表参道・原宿の東京原宿クリニック 院長の篠原です。
低血糖症で悩まれている方も多いと思います。
低血糖は、血糖値が正常範囲以下に低下する状態を指します。一般的に糖尿病患者さんにおける低血糖が知られていますが、実は糖尿病でない方でも低血糖になることがあります。
今回は、糖尿病以外の要因で低血糖になりやすい人の特徴と、その対策について分子栄養学的な観点から解説します。
Contents
低血糖とは
低血糖とは、血液中のブドウ糖(血糖)濃度が通常よりも低下した状態を指します。一般的に、空腹時血糖値が70 mg/dL未満になると低血糖と判断されますが、アドレナリンで補正されるため、実際に血糖値が下がっていなくても低血糖の症状が出ることがほとんどです。
血糖値は体のエネルギー源として重要な役割を果たしているため、低血糖状態が続くと様々な症状が現れ、日常生活に支障をきたす可能性があります。
公式LINEでは会員限定医療情報を配信しています。
公式LINEでは、体調不良などの症状の改善のヒントとなる情報を配信しています。また、随時お得なクーポンなども配布しております。是非公式LINEにご登録ください。
低血糖になりやすい人の特徴
以下のような特徴がある方は、低血糖になりやすい傾向があります。
中性脂肪が低い人
中性脂肪が低い人は、エネルギーが常に枯渇している状態にあり、低血糖になりやすい傾向があります。これは、体内のエネルギー貯蔵が不足していることを示唆しています。
低中性脂肪と低血糖は密接な関係があります。詳しくは以下も御覧ください。
副腎疲労のある人
副腎疲労は、ストレスに対する体の反応が低下した状態を指します。副腎から分泌されるコルチゾールは血糖値の調整に重要な役割を果たすため、副腎疲労がある人は低血糖になりやすくなります。
副腎疲労についてはこちらも御覧ください。
慢性的なストレスを抱えている人
ストレスが長期間続くと、血糖値を調整するホルモンのバランスが崩れ、低血糖を引き起こしやすくなります。
腸カンジダが増殖している人
腸のカンジダというカビは、健康な人においても存在します。ところが、バランスを崩し腸カンジダが増殖してくると、低血糖を非常におこすようになります。特に甘いものがやめられない人に非常に多く併発しています。腸カンジダについては、以下もご参照下さい。
消化吸収力が弱い人
消化酵素の不足や胃腸の不調により、食べ物から適切にエネルギーを取り込むことが難しくなり、低血糖のリスクが高まります。
消化能力のチェックについては、こちらもご参照ください。
ビタミンやミネラル不足の人
特にビタミンB群や亜鉛、マグネシウムの不足は、糖質代謝や血糖の安定に影響を及ぼし、低血糖を引き起こすリスクが高まります。
不規則な食生活の人
食事の間隔が空きすぎたり、急激な糖質制限を行ったりすると、血糖値の維持が難しくなり、低血糖になりやすくなります。
過度な運動をする人
激しい運動や長時間の運動は、体内の糖質を急速に消費するため、適切な栄養補給がなければ低血糖になるリスクが高まります。
低血糖の症状
低血糖の主な症状には以下のようなものがあります。
- 空腹感
- めまい
- 頭痛
- 集中力の低下
- イライラ感
- 冷や汗
- 手の震え
- 動悸
- 疲労感
- 眠気
これらの症状は個人差があり、また血糖値の低下の程度によっても異なります。重度の低血糖では意識障害を起こす可能性もあるため、注意が必要です。
低血糖症リスクのセルフチェックテスト
以下の設問に答えて、低血糖症のリスクがあるか判定してみましょう。あくまでもこれは診断ではありませんので参考程度にみてください。
低血糖の原因と分子栄養学的メカニズム
低血糖の主な原因と、それに関連する分子栄養学的メカニズムについてお話します。
血糖調整ホルモンの不均衡
インスリン、グルカゴン、コルチゾールなどのホルモンは血糖値の調整に重要な役割を果たしています。これらのホルモンのバランスが崩れると、低血糖を引き起こす可能性があります。
分子栄養学的には、これらのホルモンの合成や作用には様々な栄養素が関与しています。例えば、コルチゾールの合成にはビタミンC、B5、B6が必要です。これらの栄養素が不足すると、血糖調整機能が低下する可能性があります。
肝臓のグリコーゲン貯蔵量の不足
肝臓は血糖値を維持するために重要な役割を果たしています。グリコーゲンとして糖を貯蔵し、必要に応じて血中に放出します。肝機能が低下していたり、グリコーゲンの貯蔵量が不足していると、低血糖になりやすくなります。
グリコーゲンの合成や分解にはビタミンB群、特にB6が重要です。また、肝機能の維持にはビタミンC、E、亜鉛などの抗酸化物質も重要な役割を果たします。
ミトコンドリア機能の低下
ミトコンドリアはエネルギー産生の中心的な役割を果たす細胞内小器官です。ミトコンドリア機能が低下すると、効率的なエネルギー産生ができず、低血糖になりやすくなります。
分子栄養学的には、ミトコンドリア機能の維持にはCoQ10、L-カルニチン、ビタミンB群、マグネシウムなどが重要です。これらの栄養素が不足すると、エネルギー産生効率が低下し、低血糖のリスクが高まる可能性があります。
ミトコンドリア機能の改善方法については、こちらを御覧ください。
炎症とインスリン抵抗性
慢性的な炎症状態は、インスリン抵抗性を引き起こし、血糖調整機能を低下させる可能性があります。インスリン抵抗性が進行すると、低血糖と高血糖を繰り返す血糖値の乱高下が起こりやすくなります。
抗炎症作用を持つオメガ3脂肪酸、ビタミンD、ビタミンE、クルクミンなどの栄養素が重要です。これらの栄養素を適切に摂取することで、炎症を抑制し、インスリン感受性を改善することができます。
炎症の大部分は腸内環境と関連することが多いので、腸内環境を改善することがとても大事になってきます。
腸内環境改善につきましては、こちらを御覧ください。
低血糖症状になってしまったら
低血糖症状になった緊急事態の場合は、いち早く血糖を回復する必要があります。具体的には、すぐにブドウ糖を摂取しましょう。
緊急事態でなければ、今後低血糖にならないように以下の対策を考えましょう。
低血糖の予防と対策
低血糖を予防し、適切に対処するためには以下のような方法が効果的です。
食事の工夫
- 規則正しい食事:1日3食を規則正しく摂取し、食事の間隔が空きすぎないようにしましょう。
- バランスの良い食事:糖質、タンパク質、脂質をバランス良く摂取することで、血糖値の急激な変動を防ぎます。
- 低GI食品の選択:血糖値の上昇が緩やかな低GI(グリセミックインデックス)食品を選ぶことで、安定した血糖値を維持しやすくなります。
補食の活用
低血糖になりやすい人は、食事と食事の間に適切な補食を取り入れることで血糖値の安定を図ることができます。補食には以下のようなものがおすすめです。
おにぎりなどのでんぷん質は、補食に向いています。こちらでも説明しています。
運動の管理
適度な運動は血糖値の安定に役立ちますが、過度な運動は低血糖のリスクを高めます。運動の前後には適切な栄養補給を行い、長時間の運動時には補食を携帯するなどの対策が必要です。
ストレス管理
ストレスは血糖値に大きな影響を与えます。瞑想、深呼吸、ヨガなどのリラックス法を取り入れ、ストレスを軽減することが重要です。
栄養補給
分子栄養学的アプローチとして、以下の栄養素の適切な摂取が重要です。
- ビタミンB群:特にB1、B3、B6は糖質代謝に重要です。
- マグネシウム:インスリンの働きを助け、血糖値の安定に寄与します。
- クロム:糖質代謝を助け、インスリン感受性を高めます。
- 亜鉛:インスリンの合成と分泌に関与します。
- オメガ3脂肪酸:抗炎症作用があり、インスリン感受性を改善します。
- ビタミンD:インスリン感受性の改善や膵臓の機能維持に関与します。
これらの栄養素は、可能な限り食事から摂取することが望ましいですが、必要に応じて医療専門家にご相談の上、サプリメントの利用も検討しましょう。
その際に、血液検査やオリゴスキャンなどで自分の不足している栄養素を把握することが大事です。
睡眠の質の向上
質の良い睡眠は、ホルモンバランスの維持や血糖調整に重要です。7-8時間の十分な睡眠を心がけ、就寝前の青色光の暴露を避けるなど、睡眠環境の改善に努めましょう。
定期的な健康チェック
低血糖の原因となる潜在的な健康問題を早期に発見するため、定期的な健康診断を受けることが重要です。特に、甲状腺機能や中性脂肪、HbA1c、血糖値などは、低血糖のリスク評価に役立ちます。
当院では、診察なしで、栄養療法に対する血液検査を受けることができます。詳しくはこちらを御覧ください。
公式LINEでは、体調不良などの症状の改善のヒントとなる情報を配信しています。また、随時お得なクーポンなども配布しております。是非公式LINEにご登録ください。
まとめ
低血糖は、糖尿病患者さん以外でも起こりうる健康問題です。中性脂肪が低い、副腎疲労がある、慢性的なストレスを抱えている、腸カンジダが増殖しているなどの特徴がある人は、低血糖になりやすい傾向があります。
低血糖を予防し、適切に対処するためには、食事の工夫、補食の活用、運動の管理、ストレス管理、適切な栄養補給、質の良い睡眠の確保などが重要です。特に分子栄養学的アプローチでは、ビタミンB群、マグネシウム、クロム、亜鉛、オメガ3脂肪酸、ビタミンDなどの栄養素が重要な役割を果たします。
低血糖の症状が頻繁に現れる場合や、対策を行っても改善が見られない場合は、根本原因への対処が必要であり、専門医への相談をおすすめします。
当院では低血糖につきましては、栄養外来で診察しています。ご検討いただければと思います。
最後に(免責)
本記事の内容は、医学的治療に置き換わるものではありません。個人的にお試しになり健康被害が生じても、当院では一切責任を負えませんのでご了承下さい。
病態の改善に必要な食事・サプリメントはひとりひとり異なります。
基本的に、主治医と相談しながら治療を進めていただければと思います。
無料レポート新リリースしましたのでお受け取りください!
1975年横浜生まれ、2021年9月に東京原宿クリニックを開設。内科医、呼吸器内科専門医、アレルギー専門医として豊富な経験を持つ。現在は、一般内科診療をはじめ、栄養療法・点滴療法、カウンセリングを組み合わせた総合的な健康サポートを行いながら、患者さん一人ひとりの生活の質向上をサポート。自身の体調不良経験から、従来の西洋医学に加え、栄養療法の重要性を実感。最新の医学知識の習得に励み、患者さんにとってより良い医療の提供に取り組んでいる。医学博士、日本内科学会総合内科専門医、日本呼吸器学会専門医、日本アレルギー学会アレルギー専門医、臨床分子栄養医学研究会認定指導医。