分子栄養学

リーキーガット(腸漏れ)症候群とは?症状・原因から検査・治療まで徹底解説

表参道・原宿の東京原宿クリニック院長 篠原です。

今回は「リーキーガット症候群」、いわゆる腸漏れ症候群についてお話しします。腸のバリア機能が落ちて起こる状態で、慢性的な疲労感や肌荒れ、消化不良といった全身の不調と深く結びついています。「なんとなく体調が優れない」「原因のわからない不調が続く」。そんな方にこそ知っておいてほしいテーマです。

私自身、内科医・アレルギー専門医として診療を続けるなかで、腸内環境が全身に及ぼす影響の大きさを何度も実感してきました。腸を整えることは、単なる胃腸ケアにとどまらず、根本的な体質改善の土台になると考えています。

もし、長年の体調不良に悩まれていて、検査や治療をされたいという方は当院栄養外来をご検討ください。

また、公式LINEでは腸内環境の改善や体調管理に関する情報を随時お届けしています。お得なクーポンも配布していますので、ぜひご登録ください。

腸のバリア機能がゆらぐことで、消化器、全身、皮膚、精神、免疫の不調と関連する可能性を整理した図解。

リーキーガット症候群とは?

腸に「漏れ」が起きる、と言われても、はじめはうまく像を結ばないかもしれません。私はよく、腸を体を守る一枚の壁にたとえます。壁が丈夫なうちは、余計なものは入ってこない。ところが壁にひびが入ると、通してはいけないものまで通ってしまう。リーキーガット症候群(腸漏れ症候群、腸管壁侵漏)とは、ちょうどこの、壁にひびが入った状態です。

もう少し正確に言えば、腸壁のバリア機能が低下し、腸の透過性が異常に高まった状態を指します。健康な腸は、栄養を吸収しながら有害物質や未消化物は通さない。細胞どうしをつなぐタイトジャンクションという結合が、この砦を守っています。この結合の締め具合を調整しているのが、ゾヌリンというタンパク質です。2000年代にファサノ博士のグループが見つけた、比較的あたらしい役者。ゾヌリンが増えすぎると、砦の門は開きっぱなしになります。すると、本来通さないはずの未消化の食べ物の粒子や細菌、毒素までが腸壁をすり抜け、血流に漏れ出してしまう。

漏れ出したものを、免疫系は見逃しません。異物とみなして過剰に反応し、慢性的な炎症が起こる。これがさまざまな不調や疾患の引き金になり得ます。消化酵素の不足、善玉菌の減少、悪玉菌の増殖、腸管免疫の低下。ひとつひとつは小さくても、重なれば腸壁バリアはもろくなっていきます。近年の研究では、この乱れが全身の慢性不調や生活習慣病、自己免疫疾患の一因になることも見えてきました。

> ポイント: 「リーキーガット(Leaky Gut)」は直訳すると「漏れる腸」。日本語では腸漏れ、腸管粘膜透過性亢進などと呼ばれます。医学的にはまだ新しい概念ですが、腸のバリア障害として専門家の間で注目されています。

腸内環境の乱れや粘膜への負担により、腸のバリア機能がゆらぐ仕組みを段階的に示した図解。

リーキーガット症候群の症状

お腹の話をしているのに、なぜ肌や気分や疲れの話になるのか。ここが最初のつまずきどころだと思います。リーキーガットの症状は消化器にとどまらず、全身にちらばって現れます。一見バラバラに見えて、根をたどると同じ一点、腸に行き着く。その道筋を、部位ごとに追ってみます。

消化器系の症状

まず目立つのが、お腹の不調です。慢性的な腹痛や下痢・軟便、便秘、お腹の張り、ガスっぽさ、消化不良。腸の透過性が高まって消化吸収の力が落ちると、こうした胃腸のトラブルが起こりやすくなります。

全身の症状

意外に思われるかもしれませんが、全身にも影響が及びます。原因のはっきりしない慢性疲労や倦怠感、頭痛、関節痛、微熱が続くことも。腸から漏れた毒素が血流に乗って全身をめぐり、慢性炎症を起こすことで、だるさや痛みが誘発されると考えられます。副腎疲労が重なると、疲労はいっそう抜けにくくなります。

皮膚の症状

アトピー性皮膚炎や湿疹、じんましん、ニキビ、肌荒れといった肌トラブルも起こりやすくなります。腸と皮膚は腸-皮膚軸で密接につながっていて、腸内環境の乱れは肌の炎症反応を招きます(アトピー性皮膚炎についてはこちら)。

精神的な症状

腸は第二の脳とも呼ばれ、脳と双方向に影響し合っています(腸脳軸)。腸内環境が乱れると、不安感、抑うつ気分、イライラ、集中力や記憶力の低下、不眠が現れることも。腸で生まれた炎症のシグナルが脳にまで届き、その日の気分や集中力を揺らす。そんなつながりが少しずつ分かってきました。

免疫系の症状

鼻炎や喘息、食物アレルギーの悪化、風邪をひきやすい、なんとなく免疫力が落ちた気がする。腸は免疫の要で、全身の免疫細胞のおよそ7割が腸管に集まるとも言われます。異物が侵入すると免疫系が混乱し、アレルギー反応の増強や自己免疫疾患の誘発につながる可能性があります。

リーキーガット症候群で関連が考えられる消化器、全身、皮膚、精神、免疫の症状群を整理した図解。

ここまで挙げてきた症状は、たいてい加齢やストレスのせいにされます。それも間違いではないのでしょう。ただ、いくつも重なっているとき、あるいは検査では異常がないのに不調だけが続くとき、その裏で腸が静かに漏れている。そういうことが、決して少なくないのです。心当たりがあるなら、一度、腸に目を向けてみる価値はあると思います。

リーキーガットセルフチェックテスト

当てはまるものがどれくらいあるか、確かめてみてください。正式な診断ではなく、あくまで目安です。心当たりが多いほど、腸のケアを見直す価値があると考えてください。

セルフチェックテストをされたい方はこちらをクリックしてください。

1. 頻繁に消化不良を起こしますか?

2. 食後に腹痛や腹部膨満感を感じますか?

3. 便秘や下痢を繰り返しますか?

4. 食物アレルギーや過敏症がありますか?

5. 皮膚に湿疹や発疹が出やすいですか?

6. 慢性的な疲労感がありますか?

7. 関節痛や筋肉痛がありますか?

8. 頭痛が頻繁にありますか?

9. 気分の落ち込みや不安感を頻繁に感じますか?

10. 集中力や記憶力が低下したと感じますか?

11. 睡眠の質が悪く、ぐっすり眠れませんか?

12. 抗生物質やステロイド剤を頻繁に使用していますか?

13. 小麦製品(パン、パスタなど)をよく食べますか?

14. 砂糖や甘いものをよく食べますか?

15. ストレスを強く感じていますか?

結果を見るには全ての選択肢に答えてください

リーキーガット症候群の原因

発症には、いくつもの要因が複雑に絡み合っています。どれか一つが犯人というより、小さな負担が積み重なって静かに進んでいく。ここが、リーキーガットの厄介なところだと感じています。

不健康な食生活

ジャンクフードや加工食品、白砂糖、過度のアルコール、小麦(グルテン)の食べすぎは、腸壁に負担をかけます。精製された砂糖や飽和脂肪の多い食事は腸粘膜に炎症を起こしやすく、修復が追いつかないと腸漏れが起きやすくなります。

慢性的なストレス

ストレス時に出るコルチゾールは、過剰になると腸の防御機能を弱めます。慢性ストレス下では腸壁の透過性が高まり、自律神経の乱れから腸内フローラも崩れ、悪玉菌が増えていく。気づかぬうちに腸へのダメージが積み重なっている方は少なくありません。

腸内細菌叢の乱れ(ディスバイオーシス)

抗生物質の乱用や偏った食事、ストレスで腸内フローラのバランスが崩れると、悪玉菌が優勢になって粘膜を傷つけます。バリア維持に欠かせない短鎖脂肪酸を作る善玉菌が減り、悪玉菌の毒素が増えると、腸壁は炎症を起こし、透過性が高まる。

薬剤の長期使用

抗生物質は善玉菌も大量に死滅させ、腸内細菌の多様性を失わせます。NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)は胃腸の粘膜を荒らし、炎症や潰瘍で透過性を高める副作用も報告されています。ステロイドやピルも似た影響を持ちます。もちろん必要だから使う薬ですが、なんとなく長く飲み続ける、という使い方だけは避けたいところです。

環境毒素への暴露

農薬や防腐剤、鉛や水銀などの重金属、大気汚染物質、カビ毒。こうしたものに毎日少しずつさらされると、腸の粘膜はじわじわと傷んでいきます。「そんなもの、避けようがないのでは」と思われるかもしれません。たしかに、ゼロにはできません。それでも、作り置きを湿気たまま放置しない、古いパンの青カビ部分だけ削って食べない、といった小さなことは効きます。カビの生えた食品に含まれるマイコトキシン(カビ毒)や重金属が慢性的に溜まると、腸漏れが進みやすくなります。

消化管の感染症

病原性細菌の感染、カンジダ菌の異常増殖、ウイルス性腸炎、寄生虫症のあと、腸粘膜が荒れてバリアがもろくなることがあります。とくに腸カンジダ症はリーキーガットを招きやすく、胃や腸のピロリ菌感染も慢性炎症を通じて腸漏れを後押しする。

栄養素不足(腸粘膜の脆弱化)

粘膜を保つ栄養が足りないと、修復や再生が追いつきません。タンパク質不足は細胞の材料不足に、ビタミンAや亜鉛の不足は粘膜上皮の生成不良に、ビタミンD不足は免疫バランスを乱します。極端なダイエットや偏食は、腸粘膜を弱らせます。

要因は積み重なって悪循環に入ります。善玉菌の減少→炎症→バリア低下→さらに炎症。外食続きで食事は不規則、仕事のストレスは抜けず、寝る時間も削りがち。この「あるある」な毎日こそ、腸にとっては一番こたえるのかもしれません。

リーキーガット症候群と関連する疾患・不調

腸のバリア障害は、全身のさまざまな疾患と関わっている可能性があります。腸から一見遠そうな不調が、実は腸とつながっている。診療を続けるほど、その実感は強くなります。

自己免疫疾患

関節リウマチやI型糖尿病、橋本病、多発性硬化症、全身性エリテマトーデス(SLE)などとの関連が指摘されています。腸壁が緩んで異物が大量に入り込むと免疫の制御が乱れ、自分自身の組織を誤って攻撃しやすくなる、と考えられています。

消化器の疾患

過敏性腸症候群(IBS)、潰瘍性大腸炎やクローン病、セリアック病との関わりが指摘されています。腸のバリアが壊れると炎症が慢性化し、逆にこれらの病気自体が腸粘膜を傷つけ、リーキーガットを助長することもあります。

アレルギー疾患

食物アレルギー、アトピー、喘息、花粉症と深く結びつきます。ふつうのアレルギー検査でみるのは、食べてすぐ症状が出る即時型(IgE)です。ところがリーキーガットで問題になりやすいのは、食べて数時間から数日たって、じわっと出る遅延型(IgG)のほう。自分では原因の食べ物に気づきにくいのが、やっかいなところです。腸漏れがあると、この遅延型が複数の食品で陽性になりやすい傾向があります。

皮膚疾患

アトピーや乾癬、慢性蕁麻疹、ニキビなどとも関連します。腸内環境の悪化は肌のバリアや免疫バランスにも及び、炎症や発疹が出やすい状態をつくります。難治性の皮膚疾患の方の腸内を調べると、重度のディスバイオーシスが見つかることも珍しくありません。

精神・神経疾患

少し意外に聞こえるかもしれませんが、うつ病や不安障害、自閉スペクトラム症(ASD)、ADHD、慢性疲労症候群や線維筋痛症とのつながりも指摘されています。よく知られた話ですが、幸せホルモンと呼ばれるセロトニンは、その9割ほどが腸で作られます。頭の調子と腸が地続きだというのは、こう聞くと少し腑に落ちるかもしれません。腸で生まれた炎症のもとが脳まで運ばれると、炎症反応や神経伝達物質の異常を引き起こす可能性があります。腸内環境を整えたら気分の落ち込みが軽くなった、という報告も、ここ数年で増えてきました。

代謝疾患・生活習慣病

2型糖尿病、肥満、メタボリックシンドローム、脂肪肝。腸からLPS(リポ多糖)のような炎症のもとが大量に漏れ出すと、体はいわば「弱い火がずっとくすぶった」状態になります。この慢性炎症(メタ炎症)が、血糖を下げるインスリンの効きを悪くし、脂質の代謝も乱していきます。

ここまで並べてきて、いささか風呂敷が広いと感じられたかもしれません。正直に言えば、因果がすべて解明されたわけではありません。それでも、腸の健康が全身を左右することは、多くの研究が同じ方向を指しています。検査しても異常なし、それでも体調が悪い。そんなときに腸を疑ってみるのは、遠回りのようでいて近道になることがあります。

当院での診断:どんな検査ができるか

なぜここまで調べるのか。原因を曖昧にしたまま手を打っても、遠回りになりやすいからです。腸に見える穴が開くわけではないので、健診や内視鏡では直接とらえられません。当院の栄養外来では、次の検査を使い分けて評価します。いずれも自由診療です。

便、血液、尿、栄養・有害物質の検査を組み合わせ、腸の状態と背景を整理する流れを示した図解。

GIMAP検査(腸内フローラ遺伝子検査)

最初にお勧めすることが多いのが、この検査です。便を使ったPCR検査で、細菌や真菌、ウイルス、寄生虫のDNAを解析して、腸内フローラの構成や有害菌の有無を調べます。小腸内細菌異常増殖症(SIBO)の可能性も見えてきます。消化酵素の状態や、便中カロプロテクチン、Secretory IgAといった炎症・免疫の指標もあわせて確認できます(GIMAPの詳細はこちら)。

遅延型フードアレルギー検査(食物アレルギー検査)

血液中のIgG抗体を測り、100種類前後の食品への遅発型反応をスコア化します。どの食品が腸に炎症を誘発しているか、いわば食事療法の道しるべ。当院ではアメリカの検査機関に血液を送って分析します。

有機酸検査(尿中有機酸検査)

尿中有機酸検査は、代謝の中間産物である有機酸を分析します。たとえば腸内カンジダが増えると酒石酸などが高く出るため、隠れた菌の異常や栄養素の欠乏を、間接的にとらえることができます。

栄養状態・有害物質の評価

亜鉛や鉄、ビタミンが足りているか、逆に有害な金属が溜まっていないかを調べます。体の必須ミネラルや重金属の量を手軽に見るOligoScan(オリゴスキャン)なども使います。亜鉛やビタミンA不足は粘膜障害の一因、水銀や鉛の蓄積は炎症を悪化させかねません。

これらを突き合わせ、腸の現在の状態と原因を明らかにし、一人ひとりに合わせた治療プランを組み立てます。

当院での治療:腸から始める根本治癒

症状を抑えるだけの対症療法ではなく、原因に手を入れて腸を根本から立て直し、その方自身の回復力を引き出すこと。ここを目標にしています。派手な一手より、順番と組み合わせがものを言う。それが、私がこの治療で大切にしていることです。

リーキーガットのケアを考える際の、食事、必要な栄養、生活習慣、背景への対策という4つの柱を整理した図解。

食事療法(腸に優しい食事改善)

どこから手をつけるか迷ったら、まずは食事からです。特別なことをする前に、腸を痛めつけているものを一つ減らす。それだけでも、体は案外正直に応えてくれます。

避けるべき食品

小麦(グルテン)、乳製品(カゼイン)の多量摂取、白砂糖や人工甘味料、添加物の多い加工食品、過度のアルコールやカフェイン。なかでも小麦のグルテンと乳製品のカゼインは、腸の細胞のつなぎ目をゆるめる働きが指摘されていて、思いきってやめてみると調子が変わる方もいます。

積極的に摂る食品

味噌・納豆・キムチなどの発酵食品は善玉菌を直接補います。私は納豆のねばねばが少し苦手なのですが、腸のことを思うと、つい手が伸びます。野菜や海藻、豆類などの食物繊維、とくに水溶性のものは、腸内で短鎖脂肪酸、なかでも酪酸に変わります。これが腸上皮のいちばんの好物で、エネルギー源となってバリア機能を強めてくれる。ぬか漬けやオクラ、なめこのぬめりも、実は同じ仲間です。

抗炎症作用のある食材

青魚や亜麻仁油、クルミなどのオメガ3脂肪酸には強い抗炎症作用があり、腸粘膜の慢性炎症をしずめます。サバ缶ひとつでも立派なオメガ3源です。手が込んだ料理でなくてかまいません。ベリー類や緑黄色野菜、それに緑茶やコーヒーのポリフェノールにも、善玉菌を増やす作用が報告されています。色の濃い食べ物ほど、腸は喜ぶと思っておくと選びやすいかもしれません。

粘膜修復を助ける食材

良質なタンパク質に加え、コラーゲンやグルタミンを含む食品もおすすめです。骨付き肉を煮込んだボーンブロスはL-グルタミンやアミノ酸が豊富で、炎症を落ち着かせながら、傷んだ粘膜の材料を補ってくれます。

不足しがちなビタミン・ミネラルの補給

亜鉛(牡蠣・赤身肉)、ビタミンA(レバー・緑黄色野菜)、ビタミンD(卵・魚)、ビタミンB群(豚肉・大豆)を意識します。亜鉛は粘膜の再生に欠かせず、ビタミンAとDは上皮の分化を促してバリアを保ってくれます。なお腸活ブームで極端に摂る方もいますが、SIBO傾向があると食物繊維でお腹の張りが悪化することもあるため、検査を見ながら量を調整します。

サプリメント療法(必要栄養素の補充)

サプリと聞くと身構える方もいるかもしれません。ですが、あくまで主役は食事で、サプリメントは脇役です。食事だけでは届きにくいところを、少し後押しする。その程度に考えてもらうのがちょうどよいと思います。

L-グルタミン

腸の粘膜細胞にとって、いちばんの燃料になるアミノ酸です。腸漏れがあると粘膜の修理現場が忙しくなり、その分たくさん必要になるので、多めに摂ってもらうこともあります。

プロバイオティクス

ビフィズス菌や乳酸菌の善玉菌製剤。ひとくちに乳酸菌といっても、ラクトバチルス・ラムノサスGGのように研究の蓄積が厚い菌株もあれば、名前も聞き慣れないものまで、実にさまざまです。多種の菌株を高濃度で補い、有害菌を抑えて腸内環境を整えます。抗生物質を飲んだあとで善玉菌がごっそり減っているとき、これがとりわけ頼りになります。

亜鉛サプリメント

粘膜修復に重要な栄養素。血液検査で「足りない」とはっきり出た方に補います。粘膜の壁を建て直し、乱れた免疫を整えるのを、後ろから支えてくれる栄養素です。

オメガ3系オイル

魚油由来のDHA/EPAなどを濃縮カプセルで補います。全身の炎症を抑え、腸粘膜の慢性炎症を鎮めてバリア改善に役立ちます。

ビタミンD・A・B群

不足が疑われれば補います。Dは免疫調節で過剰な炎症を抑え、Aは上皮のターンオーバーを促し、B群は粘膜・免疫細胞の代謝に欠かせません。

ストレス管理・生活習慣の改善

腸と心は、想像以上に互いを映し合っています。どんなに良い栄養を入れても、ストレスが強いままだと腸の回復は進みにくい。だから、暮らし方の見直しも並行して進めます。

ストレスマネジメント

深呼吸や瞑想、ヨガ、軽い運動、入浴。方法は何でもかまいません。こまめにストレスをゼロへ戻す時間を持ち、ストレスホルモンが高い状態を長引かせないことがコツです。

睡眠の確保

眠っている間に粘膜の再生や免疫のメンテナンスが進みます。就寝前のスマホを控え、規則正しいリズムで自律神経とホルモンを整えることが、腸の回復を助ける。

適度な運動

ウォーキングやヨガなど続けられる運動でよいでしょう。蠕動運動が促されて内容物の移動や排出が進み、血行が良くなれば粘膜への栄養供給も高まります。

その他の生活習慣

アルコールは適量に、喫煙は禁煙を。カフェインは1日2〜3杯まで。水分はコップ7〜8杯(1.5〜2リットル)を目安にすると、便がやわらかく保たれて排出がスムーズになります。

検査結果に基づく根本原因への対策

そして、検査で見えてきた原因そのものにも、ピンポイントで手を打ちます。ここが、やみくもなケアと違うところだと思っています。

腸粘膜の状態は環境や食事の影響を大きく受けますが、体質による個人差もあります。腸粘膜やヒスタミン代謝に関わる遺伝的な傾向もあわせてご覧ください。

腸内感染の治療

ピロリ菌や有害菌の異常増殖には、抗生物質やハーブによる除菌、プロバイオティクスの活用を状況に応じて検討し、粘膜炎症の火種を消していく。

カンジダ除菌

カンジダの増殖が確認されれば、抗真菌薬や抗カンジダ作用のあるハーブで除菌します。カンジダは腸壁に根を張って粘膜を傷めるため、減らすことが腸を立て直す鍵になることも。

消化酵素の補充

膵酵素などの分泌不足が疑われれば、消化酵素製剤を食事のたびに補います。食べ物がきちんと消化されると未消化物が残りにくくなり、粘膜の負担や炎症が和らぎます。

腸粘膜の炎症コントロール

強い炎症があると判断される場合は、L-グルタミンや高濃度魚油に、消化管の炎症を鎮めるハーブを組み合わせ、集中的に修復と抗炎症ケアを行います。

原因の組み合わせは、本当に一人ひとり違います。グルテンフリーだけで足踏みしていた方が、カンジダへの対応でふっと流れが変わることもあれば、菌を減らしただけで長年の腹部症状が落ち着くこともある。だからこそ、まず原因を的確に突き止める。遠回りに見えて、これが一番の近道なのです。

症例紹介:慢性蕁麻疹がリーキーガット治療で改善した一例(30代男性)

最後に、当院で実際にリーキーガット症候群の治療を行い改善した患者様のケースをご紹介します。

症例提示(30代男性)

症例提示(30代男性・慢性蕁麻疹)

患者データ: 30代男性。主訴:原因不明の慢性蕁麻疹(じんましん)。
経過: 数年来、繰り返す蕁麻疹に悩まされ、他院ではリーキーガットと診断され、グルテン除去などを実践していたものの症状は変わらなかったといいます。

検査と治療: 他院の遅延型フードアレルギー検査では小麦へのIgG反応が陽性で、小麦除去食を指導されていました。当院で詳しく調べると、パン酵母やカンジダ・アルビカンスへのIgGも高値。そこで腸カンジダ症を背景とするリーキーガットと判断し、抗真菌薬と抗真菌ハーブによるカンジダ除菌を2ヶ月間行いました。その後、蕁麻疹は治まっていきました。

食物アレルギー検査1
食物アレルギー検査2

考察: 小麦除去だけでは十分でなく、腸内のカンジダを減らしたことで粘膜の炎症が収まり、蕁麻疹という免疫反応も落ち着いたと考えられます。原因は人によって異なるからこそ、包括的な検査で真の原因を突き止めることが大切だと示された一例です。

【自由診療に関するご案内】
– 自由診療である旨:本症例で行った腸内環境の検査(遅延型フードアレルギー検査)および抗真菌薬・抗真菌ハーブによるカンジダ除菌治療は、いずれも公的医療保険が適用されない自由診療です。
– 標準的な費用の目安(税込):初診料 16,500円、抗真菌薬・抗真菌サプリメント(2ヶ月分)50,400円で、本症例の治療総額は約72,400円でした。腸内環境検査は種類により別途費用がかかります。金額は症状や治療内容によって前後します。
– 主な副作用・リスク:抗真菌薬(内服)では、まれに肝機能値の上昇、消化器症状(吐き気・下痢・腹痛)、発疹などがみられることがあり、他の内服薬との相互作用にも注意が必要です。除菌の開始初期に一時的な倦怠感や症状の悪化(好転反応・ダイオフ反応)が出る場合もあります。当院では定期的な血液検査などで安全性を確認しながら進めます。
– 標準的な治療期間・回数:本症例ではカンジダ除菌を約2ヶ月間実施しました。腸の状態には個人差があり、一般に数週間〜数ヶ月かけて段階的に行います。

よくある質問(FAQ)

Q1. リーキーガットはどの診療科で診てもらえますか?
正直なところ、保険診療にはまだ「リーキーガット」という診断名も治療の指針もなく、ふつうの内科では話が通じにくいのが実情です。相談するなら、栄養療法や機能性医学を専門にしているクリニック(自由診療)が確実だと思います。

Q2. 内視鏡検査や通常の血液検査でわかりますか?
これは、とてもよくいただく質問です。残念ながら、胃カメラや大腸カメラでは直接わかりません。目に見える穴があくわけではなく、細胞と細胞のつなぎ目がゆるむ、いわばミクロの現象だからです。通常の血液検査にも、これといった項目はありません。だからこそ、さきほど挙げたような特殊な検査(IgGフードアレルギー検査、腸内フローラ検査など)の出番になります。

Q3. リーキーガットは本当に医学的な疾患なのですか?
正式な病名ではなく概念的な用語です。ただ近年、腸管バリアの乱れが多くの病態に関わることが分かり、学術的にも議論され始めています。リーキーガットそのものより、それが原因で起こる不調が問題だ、という捉え方が近いでしょう。

Q4. 治りますか?完治までどれくらいかかりますか?
適切に対策すれば改善に向かいます。軽度なら数週間〜2ヶ月ほど、慢性的にダメージを受けていたケースでは半年〜1年ほどかけて治していきます。焦らなくて大丈夫です。良くなった後に元へ戻さないこと、それが実は一番大事なところだと思っています。

Q5. サプリや市販のヨーグルトで自分で治せますか?
軽い症状なら、発酵食品を増やし、砂糖や加工食品を減らすだけで楽になることもあります。ここは正直にお伝えしたいのですが、原因に合っていないサプリは効きませんし、SIBOなのに食物繊維をどっさり摂って、かえって悪くなる例もあります。日々のセルフケアはもちろん大切です。ただ、症状が強いときは、自己流で粘るより専門クリニックで一度相談したほうが、結局は早いことが多いように思います。

まとめ

リーキーガット症候群は、腸のバリア機能の低下によって全身に影響が及ぶ健康問題です。原因は食生活の乱れやストレス、腸内フローラの異常などさまざまで、慢性炎症から自己免疫疾患、精神・神経系の不調まで、幅広い症状を招きます。

当院ではまず、腸内フローラ検査や遅延型フードアレルギー検査、栄養状態の評価で、その方の腸を丁寧に見立てます。そのうえで食事とサプリ、暮らし方、そして原因への直接的な対策を、その人に合う形で組み合わせていく。順番と組み合わせがものを言う、という話は、ここに戻ってきます。

はじめに、腸を一枚の壁にたとえました。ひびの入り方は人それぞれで、だからこそ、埋め方も一人ずつ違います。「なんとなく不調」の正体が、その壁のどこにあるのか。そこに見当がつくだけでも、次の一歩は変わってくるはずです。思い当たる症状があれば、一人で抱え込まず、栄養外来にご相談ください。

最後に(免責)

本記事の内容は、医学的治療に置き換わるものではありません。個人的にお試しになり健康被害が生じても、当院では一切責任を負えませんのでご了承下さい。

病態の改善に必要な食事・サプリメントはひとりひとり異なります。

基本的に、主治医と相談しながら治療を進めていただければと思います。

オンライン診療対象地域

青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県、茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、新潟県、富山県、石川県、福井県、山梨県、長野県、岐阜県、静岡県、愛知県、三重県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県、鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県、徳島県、香川県、愛媛県、高知県、福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県

北海道と沖縄県はバイオロジカル検査の送付ができません。バイオロジカル検査の送付が必要なければオンラインでの診察はできます。

無料レポート新リリースしましたのでお受け取りください!

副腎疲労の無料レポート新リリースしましたのでお受け取りください!

関連記事

院長の著書
『副腎疲労が招くSIBO』の書影

新刊『副腎疲労が招くSIBO』

『副腎疲労が招くヒスタミン不耐症』の書影

前著『副腎疲労が招くヒスタミン不耐症』

アートメイクで心に余裕を持とう

アートメイク

毎日健康セルフケアクイズ
新リリース
最近の記事
  1. マイコトキシン検査とは?尿中カビ毒検査でわかること・限界・高値時の対処

  2. 遅延型フードアレルギー検査の選び方|C3dを見るFIT検査

  3. 遺伝子検査結果はどう読む?体質・栄養・代謝を経路でみる方法

為替レート

CurrencyRate