分子栄養学

リーキーガット(腸漏れ)症候群とは?症状・原因から検査・治療まで徹底解説

表参道・原宿の東京原宿クリニック院長 篠原です。

今回は「リーキーガット症候群」(腸漏れ症候群とも呼ばれます)について、症状や原因、そして当院での検査・治療法まで詳しく解説します。リーキーガット症候群は腸のバリア機能の低下によって生じる状態で、慢性的な疲労感や肌荒れ、消化不良など全身の不調に深く関係しています。そのため「なんとなく体調が優れない」「原因不明の不調が続く」という方にとって見逃せない問題です。実際、腸の状態が改善することで症状が劇的に良くなるケースも多く、腸を整えることは根本的な体質改善につながります。

当院では、西洋医学と栄養学を統合した専門外来で腸内環境の改善に力を入れており、腸の不調に悩む多くの患者さんをサポートしてきました。私自身、内科医・アレルギー専門医として長年診療する中で、腸内環境の重要性を実感しております。「腸を制する者は健康を制す」と言っても過言ではありません。リーキーガット症候群を正しく理解し、適切に対処することで、皆さん本来の自己治癒力を引き出し、健やかな日常を取り戻す助けになるでしょう。それでは、リーキーガットの基本から順に見ていきましょう。

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リーキーガット初行軍の症状

リーキーガット症候群とは?

リーキーガット症候群(腸漏れ症候群、腸管壁侵漏)とは、腸壁のバリア機能が低下して腸の透過性が異常に高まった状態を指します。健康な腸では、栄養素を効率よく吸収する一方で、有害物質や未消化のものが体内に入らないよう腸管上皮細胞による強固なバリアが存在しています。しかしリーキーガットでは、このバリア(タイトジャンクションと呼ばれる腸細胞間の結合)が緩んで隙間が生じ、本来体内に入らないはずの未消化の食べ物の粒子や細菌、毒素などが腸壁を通過して血流に漏れ出てしまうのです(下図参照)。​

リーキーガット症候群の模式図

その結果、体内の免疫系が異物に過剰反応して慢性的な炎症を引き起こし、様々な不調や疾患につながる可能性があります​。いわば腸が穴のあいた状態になり、体の防御システムが突破されてしまったイメージです。単なる一時的な胃腸の不具合ではなく、腸のバリア機能が破綻した複雑な状態であり、現代人の生活習慣が背景にある新たな健康問題とも言えます。

腸は栄養を吸収する臓器であると同時に、「体内に有害なものを通さない砦」の役割も果たしています。この砦が崩れるリーキーガットでは、腸内環境が乱れて全身に様々な悪影響が及びます。例えば、消化酵素の不足や善玉菌の減少、タイトジャンクションの異常、悪玉菌の増殖、腸管免疫の低下などが重なると腸壁バリアが脆弱化し、結果としてリーキーガット症候群が発症すると考えられています。近年、この腸のバリア機能の乱れが 全身の慢性不調や生活習慣病、自己免疫疾患の一因であることが研究から明らかになってきました​。

ポイント: 「リーキーガット(Leaky Gut)」とは直訳すると「漏れる腸」です。日本語では「腸漏れ」「腸管粘膜透過性亢進」などと表現されます。医学的にはまだ新しい概念ですが、腸のバリア障害として専門家の間で注目されています。

リーキーガット症候群のサイクル
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リーキーガット症候群の症状

リーキーガット症候群が起こると、消化器系だけでなく全身にわたって多彩な症状が現れる可能性があります。以下に主な症状のカテゴリーと具体例を挙げます。

  • 消化器系の症状: 慢性的な腹痛、下痢・軟便、便秘、腹部の張り(膨満感)、ガスが溜まりやすい、消化不良などが典型的です。腸の透過性が高まると腸内環境が乱れて消化吸収機能が低下するため、こうした胃腸症状が起こりやすくなります。
  • 全身の症状: 原因不明の慢性疲労、倦怠感、頭痛、関節痛や筋肉痛、微熱が続くなど、全身的な不調がみられることがあります。腸から漏れ出た毒素や未消化物が血液に乗って全身を巡ることで慢性炎症が起こり、だるさや痛みを誘発すると考えられます​。特に副腎疲労(慢性的ストレスでホルモンバランスが乱れた状態)による疲れが重なると、一層回復しづらい疲労感に陥ります(副腎疲労についてはこちらもご参照ください)。
  • 皮膚の症状: アトピー性皮膚炎、湿疹、じんましん、ニキビ、肌荒れなど皮膚トラブルが悪化することがあります。腸と皮膚は密接に関係しており(いわゆる「腸-皮膚軸」)、腸内環境の乱れは肌の炎症反応を引き起こす誘因となります。実際、腸内細菌のバランス悪化や腸漏れは、アトピーやニキビなど皮膚疾患の悪化と関連することが報告されています(アトピー性皮膚炎につきましてはこちらもご参照ください)。
  • 精神的な症状: 腸は”第二の脳”とも呼ばれ、腸と脳は自律神経やホルモンを介して双方向に影響し合っています(腸脳軸)。そのためリーキーガットによって腸内環境が乱れると、不安感、抑うつ気分、イライラ、集中力低下、記憶力の低下、不眠といった精神神経症状が現れることがあります。腸で生じた炎症性物質が血流に乗って脳に到達すると神経系に影響を及ぼし、気分や認知機能の不調につながると考えられます。
  • 免疫系の症状: アレルギー症状(鼻炎、喘息、食物アレルギーなど)の悪化、風邪をひきやすい、なんとなく免疫力が低下した感じがする、といったことも起こりえます。腸は免疫の要でもあり、全身の免疫細胞の約7割が腸管に存在すると言われます​。リーキーガットにより腸から異常な物質が侵入すると免疫系が混乱し、アレルギー反応の増強や自己免疫疾患(本来守るべき自分の細胞を誤って攻撃してしまう疾患)の誘発につながる可能性がありますアレルギー症状の悪化、風邪をひきやすいなど免疫機能の低下も指摘されます(腸の健康は免疫力を左右します)。
リーキーガット症候群によって起こる症状

こうした症状は加齢やストレスのせいと見過ごされがちですが、根底に腸内環境の乱れ(リーキーガット)が潜んでいる場合が少なくありません。腸のバリア機能低下による影響は全身に及ぶため、「年だから」「疲れが溜まっているだけ」と放置せず、早めに対処することが大切です。特に複数の症状が重なっている方や、病院の検査で異常がないのに不調が続く方は、腸の状態を見直してみる価値があります。

リーキーガットセルフチェックテスト

「自分もリーキーガット症候群かも?」と感じたら、まずは以下のセルフチェック項目に当てはまるか確認してみましょう。ただし正式な診断ではなく目安ですので、結果は参考程度にしてください。

セルフチェックテストをされたい方はこちらをクリックしてください。
リーキーガットセルフチェックリスト

1. 頻繁に消化不良を起こしますか?

2. 食後に腹痛や腹部膨満感を感じますか?

3. 便秘や下痢を繰り返しますか?

4. 食物アレルギーや過敏症がありますか?

5. 皮膚に湿疹や発疹が出やすいですか?

6. 慢性的な疲労感がありますか?

7. 関節痛や筋肉痛がありますか?

8. 頭痛が頻繁にありますか?

9. 気分の落ち込みや不安感を頻繁に感じますか?

10. 集中力や記憶力が低下したと感じますか?

11. 睡眠の質が悪く、ぐっすり眠れませんか?

12. 抗生物質やステロイド剤を頻繁に使用していますか?

13. 小麦製品(パン、パスタなど)をよく食べますか?

14. 砂糖や甘いものをよく食べますか?

15. ストレスを強く感じていますか?

結果を見るには全ての選択肢に答えてください

リーキーガット症候群の原因

リーキーガット症候群の発症には、複数の要因が複雑に絡み合っていると考えられます。現代人の生活習慣や環境因子が腸に負担をかけ、次第に腸壁バリアを破綻させてしまうのです。主な原因を順に見てみましょう。

  • 不健康な食生活: ジャンクフードや加工食品の過剰摂取、白砂糖たっぷりの菓子類、過度のアルコール摂取、そして小麦製品(グルテン)のとりすぎは腸壁に大きな負担をかけます。特に精製された砂糖や飽和脂肪の多い食事は腸粘膜に炎症を起こしやすく、バリア機能低下を招く要因です。栄養が偏った食生活が続くと腸の修復が追いつかず、腸漏れを引き起こしやすくなります。
  • 慢性的なストレス: 強いストレスに長期間さらされることも腸に悪影響を与えます。ストレス時に分泌されるコルチゾールというホルモンは、過剰になると腸の防御機能を弱めてしまいます。慢性ストレス下では腸壁の透過性が増大し、さらに自律神経の乱れによって腸内フローラのバランスも崩れて悪玉菌の増殖を招きます。その結果、腸粘膜の炎症・損傷が進みリーキーガットを誘発しやすくなります。現代社会ではストレスフルな生活を送る人が多く、気付かぬうちに腸へのダメージが蓄積していることがあります。
  • 腸内細菌叢の乱れ(ディスバイオーシス): 腸内には善玉菌・日和見菌・悪玉菌がバランスを取り合って共存しています。しかし、抗生物質の乱用や偏った食事、慢性ストレスなどでこの腸内フローラのバランスが崩れる(ディスバイオーシス)と、悪玉菌が優勢になり腸粘膜を傷つけやすくなります。善玉菌は腸のバリア維持に重要な短鎖脂肪酸などを産生しますが、それが減少し悪玉菌からの毒素が増えると、腸壁が炎症を起こし透過性が高まってしまいます。つまり腸内環境の乱れそのものがリーキーガットの直接的な原因となり得るのです。
  • 薬剤の長期使用: 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)や抗生物質、ステロイド剤、ピル(経口避妊薬)などの薬剤を長期間または頻繁に使用していると、腸内細菌や腸粘膜に影響を及ぼします。抗生物質は有害菌を退治しますが同時に善玉菌も大量に死滅させるため、腸内細菌叢の多様性が失われバリア機能が低下します。またNSAIDsは胃腸の粘膜を荒らしやすく、腸壁に炎症や潰瘍を起こして透過性を高める副作用があります。必要な薬ではありますが、濫用や長期連用には注意が必要です。
  • 環境毒素への暴露: 私たちを取り巻く環境中の有害物質(トキシン)も腸を傷つける一因です。食品中の農薬や防腐剤、重金属(鉛、水銀など)、大気汚染物質、カビ毒などに繰り返し晒されると、それらが腸粘膜にダメージを与えます。体に入った有害物質を解毒・排出するのも腸の役割ですが、負荷が大きすぎると粘膜が炎症を起こし、バリアが緩んでしまいます。例えばカビの生えた食品に含まれるマイコトキシン(カビ毒:詳しくはこちらをご参照ください。)や、水銀などの重金属が腸に慢性的に蓄積すると、腸漏れやディスバイオーシスを進行させることが懸念されています。
  • 消化管の感染症: 腸の感染症もリーキーガットの誘因になります。食中毒を起こすような腸管の病原性細菌感染、カンジダ菌(真菌)の異常増殖、ウイルス性腸炎、寄生虫症などにかかった後、腸粘膜が荒れて腸内環境が乱れることで腸壁バリアが脆弱になることがあります。特に腸カンジダ症(腸内カンジダ菌の過剰増殖)はリーキーガット症候群を引き起こしやすい要因です。当院の患者さんでも、腸内にカンジダが増えていたために腸の炎症が続き、不調の原因となっていたケースが少なくありません​。胃や腸にピロリ菌などの慢性感染がある場合も、粘膜の慢性炎症により腸漏れを助長し得ます。
  • 栄養素不足(腸粘膜の脆弱化): 腸の粘膜を健やかに保つ栄養素が不足していると、腸壁の修復・再生が追いつかずバリア機能が低下します。例えばタンパク質不足の食生活では新しい細胞の材料が足りず粘膜のターンオーバーが滞ります。ビタミンAや亜鉛の不足は粘膜上皮の生成不良につながり、ビタミンD不足は免疫バランスの乱れを招きます。極端なダイエットや偏食でこうした栄養欠乏状態に陥ると、腸粘膜が弱くなりリーキーガットを起こしやすくなります。
リーキーガット症候群に寄与する要因

以上のような様々な要因が積み重なることで**腸のバリアは徐々に破綻し、リーキーガット症候群のリスクが高まります。悪化すると「善玉菌の減少→腸の炎症→バリア機能低下→さらに炎症…」という悪循環に陥ってしまうため、「自分の腸に負担をかけている生活習慣はないか」見直すことが重要です。一つ一つの原因に心当たりがなくても、少しずつの無理が積もって腸に深刻なダメージを与えているケースもあります。例えば「忙しさで食生活が乱れ+ストレスも多い+睡眠不足気味」という現代人にはありがちな状況自体が、リーキーガットの温床と言えるでしょう。

リーキーガット症候群と関連する疾患・不調

リーキーガット症候群によって引き起こされる腸のバリア障害は、全身の様々な疾患と関係している可能性があります。「腸の状態が悪いと○○も悪化する」という例を挙げてみましょう。

自己免疫疾患: 関節リウマチ、I型糖尿病、橋本病(甲状腺機能低下症)、多発性硬化症、全身性エリテマトーデス(SLE)など自己免疫疾患との関連が指摘されています。腸壁が緩んで異物が大量に侵入すると免疫の制御異常が起こり、自分自身の組織を誤って攻撃しやすくなると考えられます​。腸の透過性亢進が自己免疫反応の引き金(ダンガーシグナル)になり得るという報告もあります。

消化器の疾患: 過敏性腸症候群(IBS)、炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎やクローン病など)、セリアック病(グルテン過敏症)など腸の疾患とリーキーガットの関係が知られています。腸のバリアが壊れると腸内で炎症が慢性化し、これら消化器疾患の症状を悪化させる可能性があります。また逆に、これらの病気自体が腸粘膜を傷つけリーキーガットを助長しているケースもあります。

アレルギー疾患: 食物アレルギー、アトピー性皮膚炎、喘息、花粉症などのアレルギー体質とも深く関係します。腸から未消化の食物成分や細菌由来物質が漏れると免疫系が過剰反応しやすくなり、アレルギー症状が悪化することがあります​。特に遅延型フードアレルギー(特定の食物に対するIgG抗体反応)はリーキーガットの指標にもなり、腸漏れがある人では複数の食品で遅発性アレルギー反応が陽性となる傾向があります。

皮膚疾患: アトピー性皮膚炎、乾癬(かんせん)、慢性蕁麻疹、ニキビなど、皮膚の病気やトラブルとも関連します。腸内環境の悪化は肌のバリア機能や免疫バランスにも影響を与え、炎症や発疹が出やすい状態を作ります​。実際、難治性の皮膚疾患を抱える方で腸内検査を行うと、重度のディスバイオーシス(腸内細菌異常)や腸粘膜の炎症所見が見つかることも多くあります。

精神・神経疾患: うつ病、不安障害、自閉スペクトラム症(ASD)、注意欠陥多動性障害(ADHD)、さらには慢性疲労症候群や線維筋痛症などとの関連が示唆されています​。腸で発生した炎症性物質が血流に乗って脳に運ばれると、脳内で炎症反応や神経伝達物質の異常を引き起こす可能性があります。研究者らは、腸脳軸を介したメンタルヘルスへの影響に注目しており、腸内環境の改善がうつ症状の軽減につながったという報告も増えてきています。

代謝疾患・生活習慣病: 2型糖尿病、肥満、メタボリックシンドローム、脂肪肝(非アルコール性脂肪肝炎: NASH)などとも関連があります。腸から炎症性物質(LPS〈リポ多糖〉など)が大量に漏れ出すと全身の慢性炎症状態(メタ炎症)が起こり、インスリン抵抗性の悪化や脂質代謝異常を招きやすくなります​。その結果、血糖コントロールが乱れて糖尿病が進行したり、肥満になりやすい体質になったりすると考えられます。

このように、リーキーガット症候群は全身のありとあらゆる不調と関係し得るため「沈黙の引火源」とも言える存在です。ただし現時点では「リーキーガットが○○病を直接引き起こす」という因果関係は完全には解明されておらず、関連が示唆されている段階です。しかし「腸の健康が全身の健康を左右する」ことは多くの研究で支持されており、腸内環境を整えることがこれら様々な疾患の予防や症状緩和につながる可能性は十分にあります。「病院で検査しても異常なし。それでも体調が悪い…」という場合、一度腸(特に小腸)に目を向けてみる価値があるでしょう。

リーキーガット症候群によっておこること

当院での診断:どんな検査ができるか

リーキーガット症候群かどうかを調べるには、通常の健康診断や一般的な血液検査だけでは不十分です。腸に目に見える穴が開くわけではないため、内視鏡検査でも直接リーキーガットを確認することはできません。そのため腸のバリア機能や腸内環境を評価する特殊な検査を組み合わせて行う必要があります。

東京原宿クリニックの栄養外来では、腸内環境の専門知識を持つ医師が以下のような検査を駆使してリーキーガットの有無や程度を評価しています。それぞれ自由診療にはなりますが、症状の根本原因を突き止めるために非常に有用な検査です。

  • GIMAP検査(腸内フローラ遺伝子検査): 患者さんの便を採取して行う詳細な腸内細菌叢検査です。最先端のPCR検査技術を用いて便中の細菌・真菌(カビ)・ウイルス・寄生虫のDNAを解析し、腸内フローラの構成や有害菌・病原菌の有無を調べます。また消化機能や炎症の程度を示す各種マーカーも同時に測定できるため、腸内環境の全体像を把握することができます。​結果には主要な腸内細菌のバランス、ディスバイオーシスの有無、小腸内細菌異常増殖症(SIBO)の可能性、消化酵素の分泌状態、腸の炎症や免疫の指標(便中カロプロテクチンやSecretory IgAなど)も含まれます。これによりリーキーガットの要因となっている腸内細菌異常や炎症を客観的に評価できます。GIMAPにつきましては、こちらをご参照ください。
  • 遅延型フードアレルギー検査(食物アレルギー検査): 血液中のIgG抗体を測定し、様々な食品に対する遅発型(タイプIIIアレルギー)の反応を調べる検査です。リーキーガットがあると未消化の食物が血中に漏れ出して免疫反応を起こしやすいため、IgG抗体の陽性が増える傾向があります。この検査では100種類前後の食品について、反応の強さをスコア化して報告します。どの食品が腸に炎症を誘発しているか(=どの食品を避ければ腸粘膜の負担が減るか)を知ることができ、食事療法の指針となります。​当院ではアメリカの検査機関に血液サンプルを送り分析しています。
  • 有機酸検査(尿中有機酸検査): 尿を提出して行う検査で、体内代謝の中間産物(有機酸)を包括的に分析します。腸内細菌やカンジダが産生する有機酸や、エネルギー代謝・解毒経路で生じる有機酸のパターンを調べることで、腸内の隠れた菌異常(ディスバイオーシス)や栄養素欠乏の兆候を把握できます。例えば腸内カンジダ菌が増殖していると特定の有機酸(酒石酸など)が尿中に高値で検出されますし、ビタミンB群不足があれば代謝産物の蓄積から推測できます。リーキーガットに伴う腸内フローラ異常や解毒機能低下を間接的に評価できる貴重な検査です。
  • 栄養状態・有害物質の評価: 腸粘膜の機能に影響するビタミン・ミネラル類が不足していないか、また有害金属が蓄積していないかをチェックします。具体的には血液検査で亜鉛、鉄、ビタミン類の濃度を測定したり、体内の必須ミネラル・重金属量を測るOligoScan(オリゴスキャン)などを用います​。亜鉛やビタミンA不足は腸粘膜障害の一因となりますし、水銀や鉛などの蓄積は腸の炎症を悪化させる可能性があります。こうした要素まで含めて総合的に評価することで、見落としなくリーキーガットの背景要因を探ります。
リーキーガット症候群に用いられる検査

以上の検査結果を総合して、リーキーガット症候群の「現在の腸の状態」「原因となっている要因」を明らかにします。例えば「悪玉菌が多く炎症マーカーも高いので腸内感染が疑われる」「IgG検査で複数の食品に強い反応が出ており腸粘膜のリークが示唆される」「ミネラル不足が顕著で粘膜再生力が低下している」等、患者さんごとに異なるプロフィールが浮かび上がります。当院ではそれをもとにオーダーメイドの治療プランを立てていきます(次項参照)。

当院での治療:腸から始める根本治癒

当院では、リーキーガット症候群と診断された患者さん一人ひとりに合わせてオーダーメイドの治療アプローチを行っています。単に症状を抑える対症療法ではなく、原因に対処して腸を根本から治し、患者さん自身の自己治癒力(自然治癒力)を高めることを目標に掲げています。そのために以下の柱を中心に、多角的にアプローチします。

食事療法(腸に優しい食事改善)

まず何よりも食生活の改善が重要です。毎日の食事が腸に与える影響は絶大だからです。腸に炎症を起こしやすい食品を控え、腸に良い食品を積極的に摂ることで、傷んだ腸粘膜の修復と腸内環境の改善を図ります。

  • 避けるべき食品: 小麦(グルテン)を含む食品、乳製品(カゼイン)の多量摂取、白砂糖や人工甘味料、食品添加物(保存料・着色料など)を多く含む加工食品、過度のアルコールやカフェインなどは腸のバリア機能を破壊しやすいのでできるだけ控えます。特にグルテンとカゼインはタイトジャンクションを緩める作用が指摘されており、リーキーガットの人は除去したほうが良い場合があります。
  • 積極的に摂る食品: 発酵食品(味噌、納豆、キムチ、ぬか漬けなど)や食物繊維が豊富な食品(野菜、果物、海藻、豆類、全粒穀物など)は積極的に取り入れます。発酵食品は乳酸菌や酵母などの有益なプロバイオティクスを含み、摂取することで腸内の善玉菌を直接補充できます。善玉菌が増えると腸内フローラのバランスが整い、腸粘膜の炎症軽減・修復促進につながります。また食物繊維(特に水溶性食物繊維)は腸内で発酵して短鎖脂肪酸(酢酸・酪酸など)を産生し、これが腸上皮のエネルギー源となってバリア機能を強化します。
  • 抗炎症作用のある食材: オメガ3脂肪酸を豊富に含む食品(青魚のサバ・イワシ・サケ、亜麻仁油、エゴマ油、クルミ、チアシード等)や、ポリフェノールを含むカラフルな野菜・果物(ベリー類、緑黄色野菜、ハーブ類など)も意識して摂りましょう。オメガ3脂肪酸には強力な抗炎症作用があり、腸粘膜の慢性炎症を鎮めるのに役立ちます。ポリフェノールも腸内の善玉菌を増やすプレバイオティクス作用が報告されています。
  • 粘膜修復を助ける食材: 良質なタンパク質源(肉、魚、卵、大豆製品)をしっかり摂ることはもちろん、コラーゲンやグルタミンを含む食品も腸におすすめです。例えば骨付き肉を煮込んだボーンブロス(スープ)や鶏皮、魚の皮、ゼラチン質の食品にはコラーゲンが多く、腸粘膜の再生を助けてくれます。ボーンブロスはL-グルタミンやアミノ酸も豊富で、炎症を落ち着かせ粘膜の修復材料を補給できます。
  • 不足しがちなビタミン・ミネラルの補給: 腸の粘膜維持に不可欠なビタミンA・D、亜鉛、ビタミンB群などを多く含む食材も積極的に摂ります。例えば牡蠣や赤身肉、カボチャの種、ナッツ類(特にクルミ)には亜鉛が豊富です。レバーやウナギ、緑黄色野菜にはビタミンAが多く含まれます。卵や魚にはビタミンDが、豚肉や大豆にはビタミンB群が豊富です。亜鉛は腸粘膜細胞の再生に必須で、不足すると修復が遅れます。ビタミンAやDは粘膜上皮細胞の分化を促し、バリア機能を維持する働きがあります。これらをバランス良く食事から摂取することも重要です。

なお、最近「腸活ブーム」で食物繊維や発酵食品を極端に摂る方もいますが、腸の状態によっては注意が必要です。例えばSIBO(小腸内細菌異常増殖)の傾向がある方は、食物繊維を摂りすぎるとガス産生が増えてお腹の張りが悪化することがあります。​そのため当院では検査結果を見ながら、発酵食品や食物繊維の量も個別に調整しています。

腸に優しい食事の例(まとめ)

  • 積極的に摂りたい食品: 発酵食品(納豆・味噌・キムチ等)、食物繊維が豊富な野菜や果物(根菜、海藻、きのこ、豆類、リンゴなど)、オメガ3豊富な青魚・ナッツ類、ボーンブロスなどのコラーゲンスープ、良質なたんぱく質(肉・魚・卵・大豆製品)、亜鉛やビタミンを多く含む食品(牡蠣、レバー、緑黄色野菜等)。
  • 控えたい食品: 小麦製品(パン、パスタ、お菓子などのグルテン食品)、乳製品(チーズ、牛乳など※症状による)、白砂糖たっぷりの甘いお菓子や清涼飲料、ファストフードやインスタント食品、添加物の多い加工食品、過度のアルコール飲料、カフェイン飲料(コーヒーの飲みすぎ、エナジードリンク等)。
腸内環境を改善するための食事方法

サプリメント療法(必要栄養素の補充)

食事療法を基本としつつ、不足しがちな栄養素や腸の治癒を助ける成分をサプリメントで補うこともあります。リーキーガットの回復に有用なサプリメントの例を挙げます。

  • L-グルタミン: 腸の粘膜細胞の主要なエネルギー源となるアミノ酸で、粘膜の修復・再生を直接サポートします。腸漏れがある患者さんでは粘膜が傷ついて需要が増えているため、高用量のグルタミン補給が有効な場合があります。グルタミンを十分に与えることで腸のバリア機能強化と炎症軽減を図ります。
  • プロバイオティクス: ビフィズス菌や乳酸菌などの善玉菌製剤です。食事から摂る発酵食品だけでは補いきれない場合、サプリメントで多種多様な菌株を高濃度に摂取します。プロバイオティクスは腸内の有害菌の繁殖を抑え、免疫を調整し、腸内環境を健康な状態に導きます。特に抗生物質治療後で善玉菌が減っているようなケースでは必要不可欠です。
  • 亜鉛サプリメント: 亜鉛は先述の通り腸粘膜修復に重要です。血液検査で亜鉛不足が確認された場合や、リーキーガットが強い患者さんには積極的に亜鉛を補給します。亜鉛を適切にとることで粘膜バリアの再建や免疫機能の正常化を後押しし、腸の炎症軽減にも寄与します。
  • オメガ3系オイル: 魚油由来のDHA/EPAや亜麻仁油由来のアルファリノレン酸などをサプリメントで摂取します。食事から摂る量が不足しがちなため、濃縮された魚油カプセルなどで補うことが多いです。全身の炎症を抑える作用があり、腸粘膜の慢性炎症鎮静とバリア機能改善に役立ちます。
  • ビタミンD・ビタミンA・ビタミンB群: これらも不足が疑われればサプリで補給します。ビタミンDは免疫調節作用があり、腸の過剰な炎症反応を抑えます。ビタミンAは粘膜上皮のターンオーバーを促進します。ビタミンB群(特にB6, B12, 葉酸)は粘膜細胞や免疫細胞の代謝に必要です。総合的な栄養補給で腸の治癒環境を整えます。

ストレス管理・生活習慣の改善

腸と心は相関しているため、心身のストレスを軽減することも治療の重要な一環です。慢性的なストレス状態ではどんな良い栄養を入れても腸粘膜の回復が阻害されてしまいます。そこで、リラクゼーション法の指導や生活習慣の見直しも並行して行います。

  • ストレスマネジメント: 患者さんのライフスタイルに合わせ、できる範囲でストレス発散・緩和法を取り入れていただきます。例えば深呼吸や瞑想、ヨガ、マインドフルネス、軽い運動、趣味の時間確保、入浴でリラックスするなどです。ポイントは「こまめにストレスをゼロにリセットする時間」を持つことです。ストレスホルモンが高い状態を長引かせないように心掛けていただきます。
  • 睡眠の確保: 質の高い睡眠は腸の修復に欠かせません。睡眠中に腸粘膜の再生や免疫のメンテナンスが行われるためです。夜更かしを避けて毎日十分な睡眠時間を確保するよう指導します。就寝前のスマホ・PC使用を控えリラックスした状態で寝付く、寝室の環境を整えるといった睡眠衛生の改善も促します。規則正しい生活リズムは自律神経とホルモンバランスを整え、腸の回復を助けます。
  • 適度な運動: 無理のない範囲で適度に体を動かす習慣も勧めています。ヨガやストレッチ、ウォーキング、水泳など継続できる運動は何でも構いません。身体を動かすことで腸の蠕動(ぜん動)運動が促進され、消化管内容物のスムーズな移動や老廃物の排出を助けます。また血行が良くなることで腸粘膜への栄養供給も高まり、修復が進みます。運動にはストレス解消効果や睡眠の質向上効果もあります。
  • その他の生活習慣: アルコールは適量に留め、喫煙習慣がある場合は禁煙を促します。カフェイン飲料も1日2~3杯程度に抑えます。過度の飲酒や喫煙は腸内細菌を乱し、カフェインの過剰摂取は腸管の緊張や炎症を高めるためです。またこまめな水分補給も忘れずに行っていただきます。1日あたりコップ7~8杯(1.5~2リットル)の水を目安に飲むことで、便が柔らかく保たれ排出がスムーズになります。水分は腸内環境の潤滑油であり、腸内細菌にも適した水分環境を提供します。
リーキーガット症候群の管理
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検査結果に基づく根本原因への対策

上述した検査で判明した個々の原因に対するピンポイント治療も並行して行います。つまり、リーキーガットを引き起こしている要因を直接取り除いたり補ったりするアプローチです。具体的には以下のような対策があります。

  • 腸内感染の治療: 検査でピロリ菌や有害な細菌の異常増殖が認められた場合は、除菌・駆除治療を行います。ピロリ菌には抗生物質やハーブによる除菌療法、腸内の悪玉菌増殖には適宜抗菌ハーブやプロバイオティクスの活用を検討します。腸内環境を整えることで粘膜炎症の火種を消します。
  • カンジダ除菌: カンジダ菌(真菌)の増殖が確認された場合、抗真菌薬(内服薬)や抗カンジダ作用のあるハーブサプリメントを組み合わせて腸内カンジダ除菌を行います​。カンジダは腸壁に根を張って粘膜を損傷させるため、これを減らすことで劇的に腸の状態が改善するケースがあります。当院の慢性蕁麻疹の患者様の症例(後述)でも、カンジダ除去が治癒の鍵となりました。
  • 消化酵素の補充: 消化機能検査で消化酵素(膵酵素など)の分泌不足が疑われる場合、消化酵素製剤のサプリメントを食事のたびに服用していただきます。きちんと食べ物が消化されるようになると未消化物が腸に残りにくくなり、腸粘膜への負担軽減・炎症軽減につながります。胃酸分泌が弱い人には胃酸補充(ベタイン塩酸など)の対策も行います。
  • 腸粘膜の炎症コントロール: 検査データや症状から腸に強い炎症があると判断される場合、先述のL-グルタミンや高濃度魚油、消化管の炎症を鎮めるハーブ(スリッパリーエルムやアルニカなど)を組み合わせ、集中的に粘膜の修復と抗炎症ケアを行います。必要に応じて短期間の消化管粘膜保護剤の投与も検討します。

このように、一人ひとり異なる原因に対しオーダーメイドの対応策を講じることで、リーキーガット症候群の根本治癒を目指します。例えばある患者さんでは「グルテンフリーだけでは不十分だったが、カンジダ除菌を行ったところ劇的に症状が改善した」ケースもありますし、別の患者さんでは「腸内細菌検査でクロストリジウム菌が多かったため除菌したら腹部症状が治まった」ということもあります。大切なのは、原因を的確に突き止めてそれぞれに対応することです。当院では培った知見と検査データをもとに、最適な組み合わせで治療プランを提案いたします。

症例紹介:慢性蕁麻疹がリーキーガット治療で改善した一例(30代男性)

最後に、当院で実際にリーキーガット症候群の治療を行い改善した患者様のケースをご紹介します。

症例提示(30代男性)

症例提示(30代男性・慢性蕁麻疹)

患者データ: 30代男性。主訴:原因不明の慢性蕁麻疹(じんましん)。
経過: 数年来、体に繰り返す蕁麻疹に悩まされ、他院で「リーキーガット症候群」と診断されていました。そこでは食事療法(グルテン除去など)を指導され実践していたものの症状が改善しなかったため、当院を受診されました。

検査と治療: 初診時に提出された他院の遅延型フードアレルギー検査結果では小麦に対するIgG反応(遅発型アレルギー)が陽性で、小麦除去食が指導されていましたが症状は改善せず。当院で詳細に検討したところ、パン酵母カンジダ・アルビカンスに対するIgGも高値であることが判明しました。そこで腸カンジダ症によるリーキーガット症候群と判断し、抗真菌薬と抗真菌ハーブ(サプリメント)によるカンジダ除菌治療を2ヶ月間実施しました。その結果、2ヶ月後には慢性蕁麻疹が消失し、以降再発も認められませんでした。

食物アレルギー検査1
食物アレルギー検査2

考察: この症例では小麦除去だけでは不十分でしたが、腸内のカンジダ菌を減らす治療を行ったことで腸粘膜の炎症が収まり、結果的に蕁麻疹という免疫反応が治まったと考えられます。リーキーガット症候群の原因は一人ひとり異なるため、包括的な検査で真の原因を突き止め、それに対応した治療を行うことの重要性が示されたケースです。

治療にかかった費用(参考): 初診料 22,000円(税込)、抗真菌薬・抗真菌サプリメント(2ヶ月分)50,400円(税込)。

包括的な健康戦略

よくある質問(FAQ)

Q1. リーキーガット症候群はどの診療科で診てもらえますか?
A1. 現状、日本の保険診療の範囲では「リーキーガット症候群」という診断名や治療ガイドラインが確立されていません。そのため一般の内科や消化器内科で相談しても、ピンとこない医師もいるのが実情です。リーキーガットの検査・治療を希望される場合は、栄養療法や機能性医学を専門とするクリニック(自由診療)を受診されるのがおすすめです。当院のような医療機関では、詳しい検査やオーダーメイドのアドバイスが可能です。まずは問い合わせの際に「リーキーガットの相談をしたい」と伝えてみると良いでしょう。

Q2. リーキーガットは内視鏡検査や通常の血液検査でわかりますか?
A2. 残念ながら胃カメラや大腸カメラではリーキーガットは直接診断できません。腸壁に肉眼で見える穴が開くわけではなく、細胞レベルの「結合の緩み」なので内視鏡では検出困難です。また通常の血液検査項目にもリーキーガットを示す数値はありません(強いて言えば炎症の程度を示すCRPがわずかに高い程度などはありますが、特異的ではありません)。リーキーガットを評価するには本記事で紹介したような特殊な検査(ゾヌリン値の測定、IgGフードアレルギー検査、腸内フローラ検査など)が必要になります。これらは基本的に自由診療の検査ですので、希望する場合は対応している医療機関に相談してください。

Q3. リーキーガットは本当に医学的な疾患なのですか?
A3. リーキーガット症候群は正式な病名ではなく概念的な用語です。従来の西洋医学では「腸管壁の透過性が上がった状態」を疾患カテゴリーとして扱ってはいません。ただし近年の研究で腸管バリア機能の乱れが多くの病態に関与することが分かってきたため、学術的にも真剣に議論され始めています​。日本語では「腸もれ」「腸管壁侵漏」などとも呼ばれています。「リーキーガットそのもの」が病気というより、それが原因となって起こる様々な不調・疾患が問題なのです。欧米の機能性医学の分野ではリーキーガットの診断・治療が盛んに行われており、日本でも徐々に認知が広がりつつあります。

Q4. リーキーガットは治りますか?完治までにどれくらいかかりますか?
A4. 適切な対策を取ればリーキーガットは改善します。当院の患者さんでも腸内環境を整えることで症状が大きく改善したケースを多く経験しています。ただし完治までの期間は人によって様々です。軽度であれば食事改善やサプリメントで数週間~2ヶ月ほどで症状が落ち着くこともありますが、慢性的に腸がダメージを受けていたケースでは半年から1年程度かけてじっくり治していく必要があるでしょう。大切なのは、症状が良くなった後も再発させないよう生活習慣に気を付け続けることです。腸の粘膜は再生しますが、元の悪い生活に戻れば再びリーキーガット状態になる可能性もあります。医師の指導のもと段階的にケアを行い、腸の状態が安定したら予防策を続けることで「完治」と言える状態を維持できます。

Q5. サプリメントや市販のヨーグルトで自分で治せますか?
A5. 軽い症状であれば、市販の整腸剤やヨーグルト・発酵食品などである程度改善する可能性はあります。例えば食物繊維と発酵食品を増やし、砂糖や加工食品を減らすだけで「なんとなく不調」が解消するケースもあります。しかし自己流だけでは難しい場合も多いです。闇雲にサプリメントを摂っても、原因に合っていなければ効果は限定的ですし、場合によっては逆効果になることもあります(例:SIBOなのに食物繊維を大量摂取して悪化した等)。根本的に治すには、やはり原因を見極めた上で不足分を補い、過剰・有害なものを減らすことが必要です。専門家の指導なしに全てを行うのは難しいため、症状が強い場合は無理に自己判断せず専門クリニックで相談されることをお勧めします。もちろん日々のセルフケア(食生活改善やストレスケア)は非常に重要ですので、ぜひ取り組んでください。その上で適切な治療を組み合わせると、より早く確実に改善に向かうでしょう。

まとめ

リーキーガット症候群は腸のバリア機能低下により全身に影響を及ぼす複雑な健康問題です。その原因は食生活の乱れやストレス、腸内フローラの異常など様々ですが、腸内環境のバランスが崩れることで慢性的な炎症や自己免疫疾患、精神・神経系の不調など多岐にわたる症状が引き起こされます。

当院では、GIMAPによる腸内フローラ検査や遅延型フードアレルギー検査、血液による栄養評価などを駆使し、リーキーガット症候群の状態を的確に把握した上で治療にあたっています。食事療法やサプリメント療法を柱に、リーキーガットの原因となっている腸内細菌やカンジダへの対応、ストレス管理や生活習慣の改善など多角的なアプローチで腸の健康回復と全身の症状改善を目指します。

腸の健康は全身の健康に直結しています。リーキーガット症候群を予防・改善することで、より健康的で活力に満ちた生活を送ることが可能になります。もし思い当たる症状がある場合は一人で悩まずに当院にご相談ください。当院の栄養外来ではリーキーガット症候群の検査・治療を行っております(詳しくは【栄養療法】のページもご参照ください)。

最後に(免責)

本記事の内容は、医学的治療に置き換わるものではありません。個人的にお試しになり健康被害が生じても、当院では一切責任を負えませんのでご了承下さい。

病態の改善に必要な食事・サプリメントはひとりひとり異なります。

基本的に、主治医と相談しながら治療を進めていただければと思います。

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