表参道・原宿の東京原宿クリニック 院長の篠原です。
副腎疲労とは、疲労感、体の痛み、イライラ、眠れない、中途覚醒、胃腸の調子が悪いなど、西洋医学でいうと、不定愁訴ともとらえられてしまう症状の集まりを表す言葉です。
西洋医学においては、副腎疲労を別の病気として考えるかどうかはいまだ議論されているところがありますが、この症状に関連する治療を受けると、症状が著しく緩和されるという報告が多くあります。
そのため、西洋医学で検査しても問題ないと言われて、症状が改善しない場合、副腎疲労の考え方を取り入れてみてもいいかもしれません。

こちらの記事は、副腎疲労をざっと理解するために、東京原宿クリニックで行っている副腎疲労の検査や治療を元に解説しております。
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Contents
副腎疲労(アドレナル・ファティーグ)とは?
「副腎疲労」とは、慢性的な強いストレスが続くことで副腎(腎臓の上にある小さな臓器)が疲弊し、ストレスホルモンの分泌が低下して十分に機能しなくなる状態を指します。

本来、副腎から分泌されるコルチゾールは私たちの身体をストレスから守る重要なホルモンですが、長期間ストレスにさらされると副腎の働きが抑制されてしまいます。その結果、慢性的な疲労感や意欲の低下、集中力の低下など様々な不調を引き起こします。近年、この副腎疲労が現代人の隠れた不調の原因として注目されるようになっています。
副腎疲労の原因
副腎を疲労させてしまう原因は人によって様々ですが、共通するのは長期間にわたるストレスの存在です。例えば、生活リズムの乱れや環境の変化によるストレス、血糖値の急激な変動を伴うような体内代謝の異常、有害金属や化学物質への長期的な曝露(環境汚染物質など)、アルコールや喫煙の影響、そして腸内環境の悪化(腸内細菌バランスの乱れ)などが挙げられます。さらに、必須栄養素(ビタミンやミネラル)の不足や、慢性的な感染症(例えば歯周病など)・慢性炎症の存在も、副腎の負担を増大させる要因です。これら複合的な要因によって副腎の機能低下が起こり、結果として副腎疲労の症状が現れると考えられています。

副腎疲労セルフチェック:当てはまる症状は?
まずはセルフチェックとして、以下の症状に心当たりがないか確認してみましょう。下記の設問にすべてお答え頂いた後に、「結果を見る」ボタンを押して下さい。どの程度の副腎疲労の可能性があるかが表示されます。
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副腎疲労の症状
副腎疲労になると、次のような多岐にわたる症状が現れます。
- 朝起きるのがつらい。目覚ましで起きても疲労感が抜けず、布団から出られない。
- 塩辛いものや甘いものを異常に欲する。無性に塩分の濃い食べ物や糖分を摂りたくなる。
- 以前は楽しかったことに興味がわかず、やる気が出ない。趣味や仕事への意欲が湧かず何もしたくない状態。
- ストレスに対処できずイライラしやすい。些細なことで神経過敏になり、感情のコントロールが難しい。
- 性欲の低下。パートナーへの関心が薄れ、性的欲求が減退する。
- 病気や怪我からの回復に時間がかかる。風邪をひくと長引いたり、傷の治りが遅かったりする。
- 立ち上がるときにめまいや立ちくらみがする。急に立つと血圧が下がってクラクラする感じがある。
- 軽い抑うつ状態。なんとなく気分が沈みがちで、「人生に意味がない」「全てがむなしい」など悲観的な感情にとらわれる。
- 午後になると強い眠気や倦怠感がくる。とくに昼下がりの3~4時頃にぼんやりしてしまい、生産性が下がる。
- 夕食後にようやく元気になる。夜になってから急に活力が出てきてしまい、生活リズムが崩れる。
- 夜眠れない、睡眠の質が悪い。疲れているのに神経が高ぶってなかなか寝付けない、不眠傾向がある。
- カフェインなしでは動けない。朝や日中にコーヒーなどカフェイン飲料を飲まないとシャキッとせず、常に頼っている。
- アレルギー症状の悪化。花粉症やアトピーなど持病のアレルギーが悪化したり、新たなアレルギー反応が出やすくなる。
- 免疫力の低下。風邪をひきやすくなったり、感染症にかかりやすくなるとともに、炎症症状(鼻炎・湿疹・関節炎など)が治りにくくなる。

特に3つ以上当てはまる場合は、副腎がかなりお疲れで機能低下を起こしている疑いが高いため、放置せず一度専門的な検査を受けてみることをおすすめします。
副腎疲労の診断と検査:根本原因を見極めるには
症状のセルフチェックで副腎疲労が疑われる場合は、医療機関での詳しい検査によって客観的に状態を評価することが大切です。代表的な検査が唾液コルチゾール検査で、1日4回の唾液採取(例:朝8時、正午、午後4時、深夜0時)、場合によっては1日6回測定を行い、その中に含まれるコルチゾール濃度の日内変動パターンを調べます

通常、コルチゾール値は朝に最も高く徐々に下降していきますが、副腎疲労が進行すると朝の値が極端に低い、夜になっても下がらず夜間に高いなど正常とは異なる分泌パターンが現れます
唾液コルチゾール検査によって現在の副腎機能の程度(ステージ)を把握でき、治療方針を立てる指標になります。採血に比べて体への負担も少なく、自宅で簡単に検体を採取できる利点があります。必要に応じてコルチゾール以外にDHEA(副腎で産生されるホルモン)などの値を調べ、副腎皮質そのものの障害がないか確認する場合もあります。

また、副腎自体の機能評価だけでなく、副腎疲労を引き起こしている根本原因を探る検査も重要です。例えば当院では、腸内環境検査や栄養状態の詳細なチェック、ホルモンバランスの精密検査などを組み合わせて体調不良の根本原因を突き止めるようにしています
腸内フローラ(腸内細菌叢)の乱れや腸粘膜の炎症、食品に対する過敏反応(フードアレルギー)などが隠れた要因として副腎に負担をかけているケースも多いため、腸内環境の検査によってそうした異常を発見できます。実際、腸内環境の改善や肝臓の解毒機能の向上なしには副腎疲労がなかなか良くならないケースもあるため、必要に応じて包括的な検査を行い、原因に応じた対策を取ることが副腎疲労改善の近道となります。
副腎疲労の治し方と改善策
副腎疲労を改善するには、原因に合わせた総合的なアプローチが必要です。当院では副腎疲労の治療にあたり、大きく4つのパートに分けて対策を考えています。それは①基本的な生活習慣の改善、②腸内環境の改善、③カンジダ菌やSIBO(小腸内細菌異常増殖)の除去、④有害物質のデトックスです。すべての患者さんにこれら全てが必要になるわけではありませんが、一般的な対策を行っても症状が改善しない場合には、順番に根本原因へアプローチしていくことが重要になります。ここでは、副腎疲労の主な改善策について具体的に紹介していきます。

1. ストレスの軽減と生活リズムの改善
副腎疲労の最大の原因であるストレスを減らすことが何よりも重要です。仕事や人間関係など慢性的なストレス要因がある場合、可能な範囲でその負担を減らす工夫をしましょう。例えば、仕事量の調整やオンオフの切り替え、リラクゼーション法(呼吸法、瞑想、ヨガなど)の取り入れが効果的です。また、プレッシャーを感じやすい人はメンタルヘルス専門家に相談し、ストレス対処スキルを身につけるのも良いでしょう。
あわせて、生活習慣の見直しも副腎回復には不可欠です。十分な睡眠時間を確保し、毎日なるべく同じ時間に就寝・起床することで規則正しい睡眠リズムを整えます。睡眠の質を上げるため、寝る前の強い光(スマホやPC画面)を避けリラックスできる環境を作りましょう。適度な運動も効果的です。激しい運動はかえって負担になる場合があるため、軽い有酸素運動やストレッチ、ヨガなどリラックスできる運動を習慣にすると良いです。こうした基本的な生活習慣の改善は、副腎にかかる慢性的な負荷を減らし、回復を促す「土台作り」になります。

2. 食事の見直しと腸内環境のケア
毎日の食事は副腎の健康に直結します。まず、血糖値を急上昇させてしまう砂糖やカフェインの過剰摂取を控えることが重要です。特に甘いお菓子類や清涼飲料、エナジードリンクの摂取は一時的なエネルギーアップと引き換えに血糖の乱高下を招き、副腎に負担をかけます。また、小麦製品(グルテン)や乳製品は腸内環境を悪化させ炎症を誘発しやすいため、パンやパスタ、牛乳やチーズなどの摂取量を見直してみましょう。
腸内環境の悪化は副腎疲労を長引かせる一因となり得るため、腸に優しい食生活を心がけることが大切です。具体的には、食物繊維や発酵食品を積極的に摂って腸内善玉菌を増やし、必要に応じてプロバイオティクスのサプリメント(乳酸菌・ビフィズス菌など)で腸内フローラを整えると良いでしょう。
加えて、栄養バランスの取れた食事を意識します。副腎ホルモン(コルチゾール)の材料となるたんぱく質や、合成に必要なビタミンC・ビタミンB群(特にB5)・亜鉛・ビタミンE・ビタミンAなどの栄養素が不足しないようにすることが重要です。副腎疲労のある方の多くは、長期間のストレスで消化吸収能力が低下し、これら必要な栄養素が慢性的に欠乏しがちだと報告されています。
まずは日々の食事から良質なタンパク質(肉・魚・大豆製品など)やビタミン・ミネラルを豊富に含む食品(緑黄色野菜、ナッツ、海藻類など)をしっかり摂りましょう。それでも不足しがちな栄養素は治療用サプリメントで補給することも検討します。
特にビタミンCは副腎での必要量が非常に多い栄養素で、人体でビタミンC濃度が最も高い臓器が副腎と言われるほど重要です。ストレス下ではビタミンCの消耗が激しく、副腎内のビタミンCが枯渇するとコルチゾール合成もうまくいかなくなります。そのためビタミンCを意識的に摂取することは、副腎疲労からの回復において鍵を握ります。

3. 栄養療法とサプリメントの活用
食事だけでは補いきれない栄養素や、より積極的に副腎機能をサポートする成分については、サプリメントや医学的な栄養療法を取り入れると効果的です。副腎をサポートする栄養素としては、前述のビタミンB群(特にB5)・ビタミンC・亜鉛・マグネシウム・ビタミンE・ビタミンAなどが挙げられます。これらをバランス良く補給することでホルモン合成やエネルギー代謝を助け、ストレスに対抗する力を高めます。
また、副腎機能を高める効果が報告されているハーブも有効利用できます。例えば、エゾウコギ(シベリア人参)やアシュワガンダ、甘草(リコリス)などの生薬・ハーブは、副腎の機能回復に役立つ可能性が指摘されています。これらはアダプトゲンハーブとも呼ばれ、ストレス抵抗力を高めて体の恒常性を取り戻す手助けをしてくれます。
さらに、症状が重い場合や早急に改善を図りたい場合には、医療機関での点滴療法も選択肢となります。中でも高濃度ビタミンC点滴療法は非常に効果的だとされています。ビタミンCの経口摂取も重要ですが、点滴によって直接血中に高濃度のビタミンCを投与することで、副腎にビタミンCを迅速かつ十分に行き渡らせることができ、即効性の効果が期待できると報告されています。適切に用いることで副腎の回復を強力にサポートします。また、プラセンタ注射、幹細胞上清点滴(エクソソーム点滴)も有効です。

4. 腸内環境の改善と隠れた炎症の対処
副腎疲労を根本から治すためには、副腎に負担をかけている隠れた要因を取り除くことも欠かせません。当院では栄養療法に加えて、必要に応じて腸内環境の改善やカンジダ・SIBOの除去, 有害重金属のデトックスといった専門的アプローチも段階的に行っています。例えば腸内環境の検査で腸内細菌の異常やカンジダ菌の過剰増殖が見つかった場合、食事指導(糖質を抑えた抗カンジダ食など)やプロバイオティクス・抗菌剤の投与による腸内フローラ是正を図ります。腸は「第二の脳」とも呼ばれ、腸内の状態が副腎を含むホルモンバランスに大きく影響するため、腸内環境を整えることは副腎疲労改善の重要な鍵となります。また、重金属や環境毒素の蓄積が疑われる場合には、デトックスで体内から有害物質を排出し、身体の恒常性を取り戻すサポートを行います。これらは専門的な治療となりますが、慢性的な炎症や代謝ストレスの原因を除去することで、副腎にかかっていた隠れた負担を軽減し、根本的な改善につなげることができます。

5. 改善には時間と継続が必要
副腎疲労は一朝一夕で治るものではない点に留意しましょう。長い時間をかけて疲弊した副腎を回復させるには、数ヶ月~1年以上の継続的なケアが必要になることも珍しくありません。栄養状態を整え生活習慣を改善しても、効果が実感できるまでに時間がかかる場合があります。しかし焦らず、紹介したような対策を地道に続けることで徐々に体質が改善し、少しずつエネルギーレベルが回復してくるはずです。経過に応じて検査を繰り返しながら、副腎機能の回復度合いを確認しつつ対策を調整していくと良いでしょう。途中で挫折しそうになったら、無理をせず専門家の力を借りることも大切です。

まとめ:副腎疲労は根本原因にアプローチして改善しよう
慢性的な疲れややる気の低下に悩まされている場合、一般的な検査では異常が見つからなくても副腎疲労が隠れている可能性があります。副腎疲労を疑ったら、まずは今回紹介したセルフチェックでご自身の状態を振り返ってみてください。当てはまる症状が多い場合でも決してあきらめる必要はありません。大事なのは、症状の裏にある原因に目を向けて対処することです。ご紹介したように、唾液コルチゾール検査や腸内環境検査を活用すれば、今の体の状態や隠れた不調の要因を明らかにできます。そして、その結果に基づいて生活習慣を整え、必要なら専門的な治療でサポートすることで、必ず改善への道筋が見えてきます。
東京原宿クリニックでは、生活習慣の改善を基本において、副腎にストレスをかけているものを検査で見つけて対処していくように心がけています。検査や治療は栄養外来で行っています。気になる症状などがあれば、お問い合わせ(お問い合わせフォーム)ください。
最後に(免責)
本記事の内容は、医学的治療に置き換わるものではありません。個人的にお試しになり健康被害が生じても、当院では一切責任を負えませんのでご了承下さい。
病態の改善に必要な食事・サプリメントはひとりひとり異なります。
基本的に、主治医と相談しながら治療を進めていただければと思います。
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執筆者 篠原 岳:1975年横浜生まれ、2021年9月に東京原宿クリニックを開設。内科医、呼吸器内科専門医、アレルギー専門医として豊富な経験を持つ。現在は、一般内科診療をはじめ、栄養療法・点滴療法、カウンセリングを組み合わせた総合的な健康サポートを行いながら、患者さん一人ひとりの生活の質向上をサポート。自身の体調不良経験から、従来の西洋医学に加え、栄養療法の重要性を実感。最新の医学知識の習得に励み、患者さんにとってより良い医療の提供に取り組んでいる。医学博士、日本内科学会総合内科専門医、日本呼吸器学会専門医、日本アレルギー学会アレルギー専門医、臨床分子栄養医学研究会認定指導医。