東京原宿クリニック院長の篠原です。
今回は、以前公開した「体臭の原因と対策:セルフチェックで食べ物や腸内環境改善を」に続くサブ記事として、「サプリメントのエビデンス」の内容をお届けします。
「自分のニオイが気になるけれど、病院に行くほどなのかわからない」
「市販のデオドラントサプリを使っているけれど、本当に効いているのか不安」
そんな悩みを抱える方に向けて、医学論文や臨床試験のデータ(エビデンス)をもとに、どの成分が、どのようなメカニズムで体内に関与すると報告されているか、そして、どのような限界があるのかを、論文をもとに整理しました。

Contents
体臭 サプリ、本当に効く?この記事でお伝えしたいこと
「体臭の悩み」と「サプリに頼りたくなる気持ち」
体臭の悩みは、非常にデリケートです。電車の中で隣の人が席を移動したり、職場で鼻をすすられたりすると、「もしかして自分のせい?」と不安になってしまうことはありませんか? しかし、家族や友人であっても指摘しづらく、自分自身でも鼻が慣れてしまって気づきにくいという厄介な性質があります。
クリニックには、「誰にも相談できず、とりあえずネットで評判の良いサプリを飲んでいる」という方が多く来院されます。しかし、そのサプリがあなたの「ニオイの原因」に合っているかどうかは別の問題です。
体臭のタイプと、サプリでねらえる部分・ねらえない部分
体臭と一口に言っても、原因は様々です。
- 汗・皮脂由来: 皮膚の常在菌が汗や皮脂を分解して発生するニオイ(ワキガ、加齢臭など)
- 腸内環境由来: 便秘などで腸内にガスが溜まり、血中に吸収されて全身から出るニオイ
- 代謝・肝臓由来: 肝臓で処理しきれなかったアンモニアなどが汗に出る「疲労臭」

デオドラント剤(制汗剤)は皮膚の表面での対策ですが、サプリメントは「腸」や「肝臓」といった体の内側の工場に働きかけるものです。つまり、皮膚の菌が原因のニオイをサプリだけで完全に消すのは難しい一方で、「体の中から湧き出てくるようなニオイ」に対しては、サプリメントが強力な武器になり得ます。
体臭とサプリの関係を整理する:どこに効いて、どこには効かないのか
皮膚の表面のニオイ vs 体の中からのニオイ
体臭ケアには「外からのケア」と「内からのケア」が必要です。
外からのケア(入浴、制汗剤、衣服の洗濯)は、皮膚表面の細菌や皮脂汚れを落とすことが目的です。
一方、サプリメントによる「内からのケア」は、血液に乗って皮膚まで運ばれてくる「ニオイの元(基質)」を減らすことが目的です。
サプリでアプローチしやすい“体内のニオイ発生源”
サプリメントが特に力を発揮するのは、以下の3つのルートです。
- 腸内環境(便臭・腐敗臭):腸内で悪玉菌が作り出した有害物質(アンモニア、インドール、スカトールなど)を減らす。
- 肝臓・尿素回路(疲労臭・アンモニア臭):肝臓での解毒を助け、アンモニアが汗に出るのを防ぐ。
- 脂質過酸化(加齢臭):皮脂が酸化して「ノネナール」という加齢臭物質に変わるのを、抗酸化作用でブロックする。
市販体臭サプリのよくあるパターンと落とし穴
市販のサプリには「飲めばバラの香りになる」「強力デトックス」といった謳い文句のものもありますが、医学的なエビデンスレベルには大きな差があります。
例えば、「クロロフィル」は非常に有名ですが、実は一般的な体臭に対するヒトでの有効性データは限定的です。
イメージや広告に惑わされず、「自分のニオイの発生源はどこか」を見極めて成分を選ぶことが、解決への近道です。
エビデンスから見た「おすすめしやすい」体臭サプリ成分
ここからは、実際に医学論文などで効果が検証されている成分について、エビデンスレベル(信頼度)とともに解説します。

シャンピニオンエキス:便臭・体臭・口臭へのヒト試験
エビデンスレベル:高
マッシュルームから抽出されたシャンピニオンエキスは、体臭サプリの中では比較的しっかりとしたデータが存在する成分です。
【どのような試験があるか】
口臭や便臭などに関する指標が変化したと報告されている試験があります。
50〜79歳の男女80名を対象としたランダム化比較試験(RCT)では、シャンピニオンエキスを4週間摂取したグループで、プラセボ(偽薬)群と比較して口臭・体臭・便臭のいずれもが改善傾向を示しました。興味深いのは、摂取量が増えれば増えるほど効果が高まる「用量依存性」が見られたことです。
【メカニズムと裏付け】
この効果の背景には、腸内環境の変化があります。同試験の解析では、便中のアンモニア、p-クレゾール、インドールといった「腸内腐敗産物」が有意に低下していました。14p-クレゾールなどは、腸から吸収されて血流に乗り、皮膚や呼気から排出される悪臭物質の代表です。これを腸の段階で減らせることが、ニオイ対策の一助となる可能性がある成分として研究されています。
L-オルニチン:アンモニア由来の疲労臭に期待できる理由
エビデンスレベル:中〜高
「疲れるとアンモニアのようなニオイがする」こうしたケースでは、L-オルニチンを用いた研究も報告されています。
【どのような試験があるか】
日本人男性20名を対象とした二重盲検クロスオーバー試験において、運動前にL-オルニチンを摂取したグループは、摂取しなかったグループに比べ、皮膚から出るガス中のアンモニアの上昇が有意に抑制されました。
【メカニズムと裏付け】
オルニチンは、肝臓にある「尿素回路(オルニチンサイクル)」という、有害なアンモニアを無毒な尿素に変える工場の回転を助けるアミノ酸です。疲労やストレス、飲酒などで肝機能が低下すると、この処理が追いつかず、アンモニアが血中に溢れて汗として出てしまいます。これが「疲労臭」の正体です。オルニチンは尿素回路に関与するアミノ酸であり、アンモニア代謝をサポートする目的で利用されることがあります。
参考論文: The Effect of L-ornithine Intake on Ammonia Secretion from the Skin (Life Science Publishing)

乳酸菌・プロバイオティクス:口臭・便臭と腸内環境のエビデンス
エビデンスレベル:高
「腸活」は体臭ケアの基本ですが、これはデータでも裏付けられています。
【どのような試験があるか】
まず「口臭」に関しては、複数の試験をまとめたシステマティックレビューにおいて、プロバイオティクスの摂取が口臭の原因物質(VSC:揮発性硫黄化合物)を有意に低下させることが報告されています。また、「便臭・体臭」に関しては、シンバイオティクス(乳酸菌+オリゴ糖など)を摂取した試験で、便中のp-クレゾール(悪臭物質)が有意に低下したという報告があります。
【メカニズムと裏付け】
腸内細菌のバランスが崩れ、悪玉菌が増えると、食べたタンパク質が腐敗して有害ガスが発生します。乳酸菌やビフィズス菌などの善玉菌を補給することで、この腐敗を止め、ニオイの発生源を断ち切ることができます。
亜鉛・マグネシウム:口臭・便秘改善を通じた体臭サポート
エビデンスレベル:亜鉛(口腔)、マグネシウム(便通)
ミネラルも体臭ケアには欠かせない要素です。
【亜鉛(Zinc)】
亜鉛を配合した口腔ケア製品では、口臭ガスの一部が低下したという報告もあります。亜鉛を含有するマウスリンスや歯磨き粉を使用した試験では、硫化水素などの口臭ガスが50〜70%も低下したというデータがあります。また、亜鉛不足は胃酸の分泌低下を招き、タンパク質の消化不良(=腸内腐敗)の原因になるため、サプリでの補給も間接的に重要です。亜鉛不足につきましては、こちらの”亜鉛不足のサイン・セルフチェック・原因と対策”記事をご参照ください。
【マグネシウム(Mg)】
酸化マグネシウム(MgO)は、便秘薬として処方されることからも分かる通り、便通改善効果について確固たるエビデンスがあります。便秘は、腸内にニオイ物質を長時間貯留させ、再吸収させてしまう最大の原因です。マグネシウムは便通をサポートする目的で用いられることがあり、お通じのリズムを整えることでニオイ対策に配慮するという考え方もあります。Mg不足につきましては、こちらの”マグネシウム不足の症状と原因|セルフチェックや改善策“をご参照ください。
特殊なケースで役立つ体臭サプリと、エビデンスが限定的なもの
一方で、「効果がある」と一般に言われていても、実は科学的根拠が限定的だったり、特殊な病気にしかデータがなかったりするものもあります。

クロロフィル/銅クロロフィリン:魚臭症(TMAU)などでの位置づけ
「体臭といえばクロロフィル」というイメージがありますが、実は一般の方の体臭に対する高品質な臨床試験は多くありません。高齢者を対象とした試験では、尿臭や体臭を減らす傾向は見られたものの、統計学的な「有意差」までは出なかったという報告もあります。
ただし、「魚臭症(トリメチルアミン尿症:TMAU)」という稀な疾患においては、ガイドラインで銅クロロフィリンの摂取が推奨されています。これは腸内でトリメチルアミンを吸着する効果があるためです。つまり、「デトックスのサポート」としては有用ですが、劇的な消臭効果を過信しすぎない方が良い成分です。
- 参考論文: Effect of chlorophyllin on urinary odor in incontinent geriatric patients (PubMed)
- 参考論文: Primary Trimethylaminuria – GeneReviews (PubMed)
ビタミンB群:代謝異常と魚臭、そして一般的な体臭の違い
ビタミンB2(リボフラビン)も、TMAUの治療において、ニオイ物質を分解する酵素の働きを助けるために推奨されています。しかし、健康な人がビタミンB群を飲んだからといって、すぐに体臭が消えるという直接的なデータはありません。あくまで「ビタミンB群不足による代謝低下」を防ぐための、ベースの栄養素として捉えるのが正解です。
抗酸化サプリ(ビタミンC・E・ポリフェノールなど):加齢臭との関係
加齢臭の原因物質「2-ノネナール」は、皮脂が酸化することで生まれます。ビタミンCやE、ポリフェノールなどの抗酸化サプリが、体内の「脂質の酸化」を抑えることは多くの研究で証明されています。そのため、理論的には加齢臭予防に有効である可能性が高いですが、「サプリを飲んだら加齢臭が消えた」という直接的な臨床試験はまだ少ないのが現状です。これは「予防」としての意味合いが強い成分です。
「飲めばニオイが消える」系の宣伝をどう見分けるか
サプリメントの広告には魅力的な言葉が並びますが、以下の点に注意してください。
- 「試験管内の実験」か「ヒトでの試験」か: シャンピニオンやオルニチンのように、実際に人間が摂取してニオイを測定したデータがあるものは信頼性が高いです。
- 「個人の感想」レベルか: エビデンスレベルC(推測・症例報告レベル)にとどまる成分も多くあります。
体臭サプリを飲む前にチェックしたい「体のサイン」
サプリメントは便利ですが、中には病気が隠れているサインとしての「体臭」もあります。
糖尿病・肝臓・腎臓など、まずは病気を疑うべき体臭
以下のようなニオイを感じたら、サプリに頼る前に医療機関を受診してください。
- 甘酸っぱいニオイ(アセトン臭): 糖尿病の可能性があります。
- 強いアンモニア臭: 肝機能低下や腎機能低下の恐れがあります。
- カビのようなニオイ: 真菌感染などの可能性があります。

腸内環境・副腎疲労・ホルモンバランスとの関係
当院が専門とする「副腎疲労”副腎疲労とは?セルフチェックでわかる症状と治し方“」や「SIBO(小腸内細菌増殖症)」がある場合、消化機能が低下し、未消化物が腸内で腐敗して強い体臭(ガス腹、口臭など)の原因になることがあります。
この場合、単に消臭サプリを飲むだけでなく、「なぜ消化力が落ちているのか」という根本原因(ストレス、炎症、ホルモンバランス)へのアプローチが必要です。
検査でわかること:血液検査・腸内環境検査・尿中有機酸
東京原宿クリニックでは、感覚的な診断だけでなく、検査による「見える化」を推奨しています。
- 血液検査: 肝機能、腎機能、栄養状態(亜鉛、ビタミンBなど)のチェック。
- 尿中有機酸検査(OAT): 腸内の悪玉菌やカンジダ菌が増えていないか、解毒回路が回っているかを代謝産物から解析します。
- GIMAP検査: 腸内フローラのバランスや消化能力を詳細に調べます。
東京原宿クリニックでの体臭サプリの位置づけ
原因仮説を立ててからサプリを組み合わせる、という考え方
当院では、「何となく良さそうなサプリを全部飲む」ことはお勧めしません。
問診や検査を通じて、「あなたの体臭の原因はどこにあるのか(腸なのか、肝臓なのか、酸化なのか)」という仮説を立て、そこに必要な成分をピンポイントで選びます。
よく使う体臭サプリの組み合わせ例
エビデンスを参考にしつつ、あくまで一例として次のような組み合わせを検討することがあります。実際の診療では、症状や検査結果を踏まえて個別に内容を調整しており、以下は一般的な考え方の例です。
本記事で触れているサプリメント・成分はいずれも医薬品ではなく食品です。
記載している内容は、論文等の結果を背景とした一般的な情報であり、特定の製品の効果効能を保証するものではありません。体臭や体調の改善・治療を目的とする場合は、必ず医療機関での診察を受けてください。
- 便秘・オナラ・便臭が強いタイプ
- アプローチ: 腸内腐敗の抑制と排泄促進
- 組み合わせ: シャンピニオンエキス + プロバイオティクス(乳酸菌・ビフィズス菌) + 酸化マグネシウム
- 疲労臭・ストレス臭・飲酒が多いタイプ
- アプローチ: アンモニア解毒と肝機能サポート
- 組み合わせ: L-オルニチン + ビタミンB群 + 亜鉛
- 口臭・歯周トラブルが気になるタイプ
- アプローチ: 口腔内フローラと揮発性硫黄化合物の抑制
- 組み合わせ: 亜鉛トローチ(またはZn含有リンス) + 口腔用プロバイオティクス

サプリだけに頼らない、食事・睡眠・ストレスケアとの併用
サプリメントはあくまで「補助」です。
例えば、毎日ジャンクフードを食べていれば、どれだけシャンピニオンを飲んでも腸内環境は良くなりません。
「食事で腸を汚さない」「睡眠で肝臓を休める」といった生活習慣の土台(根本自立)があってこそ、サプリメントは最大限の効果を発揮します。

まとめ:体臭 サプリと上手に付き合うために
エビデンスから見た「使う価値がある」場面
今回ご紹介したように、すべてのサプリが同じように有用なわけではありません。
- シャンピニオンエキスやL-オルニチン、プロバイオティクス、亜鉛(口腔用)は、ヒトでの臨床試験データがあり、試す価値が高い成分です。
- 一方で、クロロフィルや抗酸化サプリは、理論的には正しいものの、体臭改善の直接的な証拠はやや弱いため、補助的な位置づけで考えるのが現実的です。
サプリに向く体臭・向かない体臭
- 向く: 便秘によるニオイ、一時的な疲労によるニオイ、加齢によるニオイの予防。
- 向かない: 急激に強くなったニオイ、糖尿病などの疾患によるニオイ、重度のワキガ(アポクリン腺由来で外科的処置が必要な場合も)。
次に読んでいただきたい記事
サプリメントを選ぶ前に、まずはご自身の生活習慣を見直してみたいという方は、ぜひ総論記事もあわせてご覧ください。
また、体臭の原因にもなる「亜鉛不足」については、こちらの記事で詳しく解説しています。
体臭は、体からの「SOSサイン」でもあります。
ニオイをただ隠すのではなく、「体が何を訴えているのか」に耳を傾け、内側から整えていくこと。それが、結果として最も確実なニオイ対策となり、あなたの健康そのものを引き上げることにつながります。
最後に(免責)
本記事の内容は、医学的治療に置き換わるものではありません。個人的にお試しになり健康被害が生じても、当院では一切責任を負えませんのでご了承下さい。
病態の改善に必要な食事・サプリメントはひとりひとり異なります。
基本的に、主治医と相談しながら治療を進めていただければと思います。
オンライン診療対象地域
青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県、茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、新潟県、富山県、石川県、福井県、山梨県、長野県、岐阜県、静岡県、愛知県、三重県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県、鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県、徳島県、香川県、愛媛県、高知県、福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県
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