尿中有機酸検査のページです。
表参道・原宿の東京原宿クリニック 院長の篠原です。
腸内環境が全身状態ととても関連しています。
その、腸内環境がどうなっているかを検査する方法として、GIMAP腸内環境検査や、尿中有機酸検査などがあります。
尿中有機酸検査は、GIMAP腸内環境検査に比べて、腸カンジダの検出や、ミトコンドリア機能、神経伝達物質などを捉えることに長けています。
今回は、尿中有機酸検査についてお話したいと思います。
Contents
尿中有機酸検査とは
尿中有機酸検査とは、尿に含まれる有機酸と呼ばれる代謝物質の種類と量を測定する検査です。
有機酸とは、体内でさまざまな化学反応が起こるときに生成される物質で、ビタミンやミネラル、アミノ酸や脂肪酸、糖などの代謝に関係しています。
有機酸のレベルは、個人差や食事、環境、遺伝、腸内細菌などによって変化します。
尿中有機酸検査では、ガスクロマトグラフィー・質量分析法(GC-MS)などの技術を用いて、尿中の有機酸を分離・同定・定量します。
尿中有機酸検査がおすすめの人
尿中有機酸検査は、体内の代謝状態や栄養状況を詳しく調べることができるため、以下のような人におすすめです。
- 体調不良や疲労感の原因がわからない人
- アレルギーや自己免疫疾患などの免疫系の問題を抱えている人
- 精神的な不調や発達障害などの神経系の問題を抱えている人
- 肥満や糖尿病などの代謝性疾患のリスクが高い人
- 遺伝性代謝異常(有機酸血症)の可能性がある人
尿中有機酸検査では、これらの問題に関連する有機酸の異常を見つけることができます。
尿中有機酸検査でわかること
尿中有機酸検査では、一般的に50種類以上の有機酸を測定します。
これらの有機酸は、以下のような体内のさまざまな機能や状態を反映します。
- エネルギー代謝:クエン酸回路やケトン体などのエネルギー産生に関わる有機酸のレベルは、細胞内のエネルギー状態や酸素供給、糖や脂肪の利用などを示します。
- ミトコンドリア機能:ミトコンドリアは細胞内のエネルギー工場であり、多くの有機酸の代謝に関与しています。ミトコンドリアの機能低下や障害では、特定の有機酸が蓄積したり減少したりします。
- ビタミンやミネラルの不足:ビタミンやミネラルは、有機酸の代謝に必要な酵素の補因子として働きます。ビタミンやミネラルが不足すると、その酵素の反応が遅くなり、前駆物質や中間産物が増加したり減少したりします。
- 腸内細菌叢のバランス:腸内細菌は、食物から摂取した糖や繊維質などを発酵させて有機酸を生成します。
これらの有機酸は尿に排泄されるため、尿中有機酸検査で測定することができます。
腸内細菌叢のバランスが乱れると、特定の有機酸が過剰または不足することがあります。
腸カンジダや他の細菌や真菌による腸内細菌叢の乱れではアラビノースや酒石酸などが高くなります。
腸カンジダは体調不良(慢性疲労や低血糖、栄養不足など)との関わりが強いため、これを検出する意味は高いです。
腸カンジダについては、以下もご参照ください。
神経伝達物質(セロトニンやドーパミンなど)の代謝異常では5-ヒドロキシインドール酢酸やホモバニリン酸などが高くまたは低くなります。
- 解毒能力:体内に入った毒素や薬物は、肝臓で解毒されて尿に排泄されます。
解毒過程では、グルタチオンやグリシンなどの抗酸化物質やアミノ酸が消費されます。
尿中有機酸検査では、これらの物質やその代謝産物を測定することで、解毒能力や抗酸化能力を評価することができます。
これらの情報をもとに、適切な栄養補助や生活改善を行うことで、体調や健康状態を改善することが期待できます。
尿中有機酸検査の検査方法
尿中有機酸検査は、以下のような手順で行われます。
- 検査キットを用いて自宅で尿を採取します。採取した尿は冷凍保存しておきます。
- 検査キットに同封された伝票に必要事項を記入し、冷凍した尿と一緒に送付します。
- 検査所では、尿から有機酸を抽出し、GC-MSで分析します。
- 検査結果は数週間後に報告されます。報告書には、測定した各有機酸の値と正常範囲が記載されています。
- 検査結果をもとに、医師などの専門家からアドバイスを受けます。
検査費用について
当院では、尿中有機酸検査は、栄養外来通院中の方にメインに行っています。
尿中有機酸検査のみご希望の方には、診察なしで、検査だけを行うこともできます(オンラインでキットをご自宅に郵送することも可能です)。
費用面などは、以下のページを見ていただければと思います。
まとめ
腸脳相関という言葉が有名になってきたように、腸内環境は全身の状態と深くかかわっています。
尿中有機酸検査は、腸内環境、特に腸カンジダなどの真菌を調べるためにとても有用な検査です。
また、ミトコンドリアの動きもみることができるので、エネルギーをちゃんと産生できているのかどうかも調べることができます。
特に、腸カンジダの存在は、体調不良に大きく関わっていることが多いです。
体調不良の原因を検査しながら、改善していきたいという場合は、当院の栄養外来をご検討いただければと思います。