表参道・原宿の東京原宿クリニックの院長、篠原です。
最近、疲れやすかったり、風邪をひきやすかったり、肌の調子が悪かったりすることはありませんか?これらの症状の背後には、「亜鉛不足」が原因になっていることがあります。
今回は、亜鉛不足について、セルフチェックの方法から原因や対策まで、解説していきたいと思います。亜鉛は私たちの体の健康を支える重要なミネラルであり、現代の生活では不足しがちです。そのため、この記事を通じて亜鉛の重要性とその対処方法を深く理解していただければと思います。
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Contents
亜鉛とは
亜鉛は、私たちの体の中で300以上の酵素が働くために必要な大切なミネラルです。免疫力を高めたり、味覚や肌の健康を保ったり、ホルモンバランスを整えたりと、体のさまざまな働きに欠かせない栄養素です。また、細胞の成長や修復、DNAの合成にも重要な役割を果たしています。これらの機能が適切に働くことで、健康で快適な生活を維持することができるのです。
しかし、今の食生活や環境の変化によって、亜鉛不足になりやすい人が増えています。実際、日本人の亜鉛摂取量は、厚生労働省の推奨量を下回っていることがわかっています。特に若者や高齢者、偏食気味の人々は、亜鉛の摂取が不足しがちです。
亜鉛不足のサイン
亜鉛が足りなくなると、いろいろな不調が現れます。以下のような症状が見られる場合、亜鉛不足かもしれません。
1. 味覚・嗅覚の異常
- 味がわかりにくい
- 食べ物の味が変に感じる
- 食べ物の香りがわかりにくい
味覚や嗅覚の異常は、亜鉛が味覚を司る酵素の働きに関与しているからです。亜鉛が不足すると、味蕾の働きが悪くなり、味を感じにくくなることがあります。
2. 皮膚の問題
- 肌荒れやにきび
- 傷の治りが遅い
- 皮膚炎や湿疹
皮膚の健康を保つためには、細胞の修復や再生が重要です。亜鉛はこれらのプロセスをサポートするため、不足すると肌のトラブルが増えることがあります。特に若者のにきびや傷の治りが遅いのは、亜鉛不足が影響している可能性があります。
3. 髪・爪の異常
- 抜け毛が増える
- 白髪が増える
- 爪が割れやすい、白い斑点ができる
髪や爪の健康は、体内の栄養状態を反映しています。亜鉛はケラチンというタンパク質の生成を助け、髪や爪を強く保ちます。そのため、亜鉛不足になると抜け毛や爪の弱さが目立つようになります。
4. 免疫機能の低下
- 風邪をひきやすい
- 感染症にかかりやすい
- 傷の治りが遅い
免疫機能は、病気から体を守るために重要です。亜鉛は免疫細胞の生成に必要な栄養素であり、不足すると風邪や感染症にかかりやすくなります。また、傷が治るのが遅くなることも特徴的です。
5. その他の症状
- 疲れやすい
- 集中力が低下する
- イライラしやすい
- 眠れない
- 食欲がない
- 性機能の低下
亜鉛不足は、体のエネルギーを生成する過程にも影響を与えるため、疲れやすくなったり、集中力が落ちたりすることがあります。また、神経系にも影響を与えるので、イライラや不眠などの精神的な不調も引き起こされることがあります。
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亜鉛不足のセルフチェック
次の質問に答えてみてください。該当する項目が多いほど、亜鉛が足りていないかもしれません。ただし、これは診断ではありませんので、参考程度にとどめてください。
ご心配な症状がある場合は、お問い合わせよりお願いいたします。
亜鉛不足の原因
亜鉛不足になる原因には、次のようなものがあります。
1. 食事からの摂取不足
- 偏った食事
- 加工食品やインスタント食品の多い食事
- ベジタリアンやビーガンの食事
- 無理なダイエット
現代の食生活は、加工食品に偏りがちです。亜鉛は主に肉類や魚介類、種実類に含まれているため、これらを摂らない食生活を続けると、亜鉛不足になりやすいのです。特にビーガンやベジタリアンの方は、亜鉛が豊富な食材が少ないため注意が必要です。
2. 吸収の問題
- 消化機能の低下
- 胃酸の減少
- 腸内環境が悪い
- 消化器系の病気
亜鉛は腸で吸収されますが、胃酸が減少すると吸収効率が低下します。腸内環境が悪いと、亜鉛を効率よく吸収することが難しくなります。胃腸の健康は、亜鉛の吸収にも重要です。腸内環境についてはとても大事なので後述します。
3. 亜鉛の消耗が増える原因
- 激しい運動
- ストレス
- 多くの汗をかく
- アルコールの飲みすぎ
亜鉛は汗や尿と一緒に体外に排出されます。激しい運動をするアスリートや、仕事や勉強でストレスを感じている人は、亜鉛の消耗が増えている可能性があります。また、アルコールは亜鉛の吸収を阻害するため、過剰な飲酒も亜鉛不足の原因になります。
4. その他の原因
- 妊娠や授乳
- 成長期
- 年を取ること
- 慢性の病気
- 薬の使用
妊娠中や授乳中、成長期の子供は亜鉛の必要量が増えるため、特に注意が必要です。また、加齢に伴い亜鉛の吸収が悪くなることがあり、慢性的な病気や薬の使用も亜鉛不足に影響します。
分子栄養学から見た亜鉛不足
分子栄養学の観点では、亜鉛不足には「腸内環境」が大きく関係していることがわかっています。分子栄養学では、栄養素のバランスを整えることが体全体の健康に重要だと考えています。
腸内環境と亜鉛吸収の関係
腸内環境が乱れると、次のような問題が起こります。
- 吸収力の低下
- 腸の粘膜が傷つく
- 栄養素の吸収がうまくいかない
- 亜鉛の吸収効率が下がる
腸内環境が悪くなると、腸壁がダメージを受けて、亜鉛の吸収が難しくなります。腸の粘膜を保護することが、亜鉛の効率的な吸収に必要です。
- 腸内細菌のバランスの乱れ
- 善玉菌が減り、悪玉菌が増える
- 栄養素の吸収が阻害される
腸内細菌のバランスが崩れると、亜鉛を含む栄養素の吸収が悪くなります。プロバイオティクスなどの善玉菌を増やすことは、亜鉛の吸収を助けるうえで重要です。
ピロリ菌感染の影響
ピロリ菌に感染すると、次のような影響があります。
- 胃酸の分泌が減る
- 胃に炎症が起こる
- 栄養素の吸収がうまくいかなくなる
- 亜鉛を含むミネラルの吸収が悪くなる
ピロリ菌は胃の中に生息し、胃酸の分泌を抑えることがあります。胃酸が少ないと、亜鉛などのミネラルの吸収が難しくなり、亜鉛不足に繋がる可能性があります。ピロリ菌に関しましてはこちらもご参照ください。
腸カンジダの影響
腸でカンジダ菌が増えすぎると、
- 腸の壁に炎症が起きる
- リーキーガット症候群を引き起こす
- 栄養素の吸収が妨げられる
- 免疫反応によって亜鉛が消耗される
腸カンジダが増えると、腸の壁にダメージを与え、リーキーガット症候群と呼ばれる状態を引き起こします。これにより、栄養素の吸収が悪くなり、亜鉛不足に拍車がかかります。腸カンジダについては、こちらをご参照ください。
このように、腸内環境が乱れると、亜鉛を含む重要な栄養素が不足しやすくなります。ですので、改善しない亜鉛不足の場合、腸内環境をよくみる必要があります。当院ではそのために有効と考えているのは、GIMAP検査です。GIMAP検査についてはこちらをご参照ください。
亜鉛不足の検査
亜鉛不足が疑われる場合は、血液検査で確認することができます。
血液検査
- 血清亜鉛値を測る
- 基準値:65-110μg/dL
- 朝食前の空腹時に測定
血液検査は、亜鉛の状態を直接測定するための一般的な方法です。基準値を下回る場合は、亜鉛が不足している可能性があります。その際、銅も採血すると、より亜鉛のレベルを理解することができます。亜鉛不足を血液検査で診断する際に銅も一緒に測定する理由と、亜鉛の過剰摂取のリスクについて説明します。
亜鉛と銅の関係
亜鉛と銅の相互作用
- 亜鉛と銅は体内で相互に影響を及ぼし合う微量元素です。亜鉛の過剰摂取は銅の吸収を阻害することが知られています。
- 亜鉛と銅のバランスは重要で、亜鉛の過剰摂取により銅欠乏が起こると、貧血や免疫機能の低下、神経障害などの健康問題を引き起こす可能性があります。
血液検査での測定理由
- 血液検査で亜鉛不足を確認する際に銅も測定するのは、これらのバランスを評価するためです。亜鉛と銅の比率(銅/亜鉛比)は、体内の微量元素のバランスを示す指標として用いられます.
- 銅/亜鉛比が高すぎる場合は亜鉛不足、低すぎる場合は銅不足を示唆することがあります.
亜鉛の過剰摂取のリスク
健康への影響
- 亜鉛の過剰摂取は、消化器系の問題(吐き気、嘔吐、下痢)を引き起こす可能性があります。
- 長期間にわたる過剰摂取は、銅の吸収を阻害し、銅欠乏を引き起こすリスクがあります。これにより、貧血や免疫機能の低下、神経障害が発生する可能性があります。
推奨摂取量
- 亜鉛の適切な摂取量を守ることが重要です。成人の推奨摂取量は通常、男性で11 mg/日、女性で8 mg/日とされていますが、サプリメントを使用する場合は過剰摂取に注意が必要です。
亜鉛と銅のバランスを保つことは健康維持において重要であり、血液検査でこれらの微量元素を同時に測定することは、適切な診断と治療に役立ちます。亜鉛サプリメントを使用する際は、過剰摂取を避け、必要に応じて医療専門家に相談することが推奨されます。
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亜鉛不足の改善方法
1. 食事を改善する
- 亜鉛を多く含む食品を食べる
- バランスの良い食事を心がける
- 良質なタンパク質をしっかりとる
亜鉛を多く含む食品を意識的に摂取することが大切です。亜鉛は肉や魚介類、種実類に多く含まれているため、これらを積極的に食べるようにしましょう。
亜鉛を多く含む食品
動物性食品
- 牡蠣: 牡蠣は亜鉛を非常に多く含む食品で、100gあたり約13.2mgの亜鉛を含んでいます。
- 赤身肉(牛肉、豚肉): 牛肉や豚肉も亜鉛の良い供給源で、特に赤身の部分に多く含まれています。
- 鶏肉: 特にダークミート(もも肉など)はライトミート(胸肉)よりも亜鉛を多く含んでいます。
- 魚介類: カニやロブスターなどの甲殻類も亜鉛を豊富に含んでいます。
植物性食品
- 豆類: ヒヨコ豆やレンズ豆などの豆類は亜鉛を含んでおり、特にベジタリアンやビーガンの方にとって重要な亜鉛源です。
- ナッツ類: カシューナッツやアーモンドなどのナッツ類も亜鉛を含んでいます。
- 種実類: かぼちゃの種やヘンプシードは亜鉛を多く含む食品として知られています。
- 全粒穀物: 全粒粉パンやオートミールなどの全粒穀物も亜鉛を含んでいますが、フィチン酸が亜鉛の吸収を妨げることがあります.
亜鉛の吸収を促進する食事の工夫
- 動物性タンパク質と一緒に摂取: 動物性タンパク質は亜鉛の吸収を助けるため、植物性食品と組み合わせて摂取することで吸収率を高めることができます。
- 発酵食品の利用: 発酵食品はフィチン酸を分解し、亜鉛の吸収を促進する効果があります。例えば、納豆などが挙げられます。
これらの食品をバランスよく取り入れることで、亜鉛の摂取量を増やし、健康を維持することができます。
2. 腸内環境を整える
- 発酵食品(納豆など)を食べる
- プロバイオティクス・プレバイオティクスを利用する
- 食物繊維を多くとる
腸内環境を整えることで、亜鉛の吸収率を高めることができます。発酵食品やプロバイオティクス・プレバイオティクスを使って腸内の善玉菌を増やすことが有効です。
3. 生活習慣を見直す
- 適度な運動をする
- 十分な睡眠をとる
- ストレスをためない
- 禁煙する
- お酒は控えめにする
適度な運動や十分な睡眠は、体全体の健康に良い影響を与えます。ストレスを減らし、良い生活習慣を維持することで、体内の栄養バランスが整い、亜鉛不足も改善されやすくなります。
4. サプリメントを使う
- 医師に相談して使用する
- 亜鉛が入っているサプリメント
- マルチビタミン・ミネラルのサプリメント
亜鉛の不足がひどい場合は、サプリメントの活用を検討することも有効です。しかし、亜鉛の過剰摂取には副作用もあるため(前述)、必ず医師に相談してから使用するようにしてください。
亜鉛サプリメントにはいくつかの種類があり、それぞれに特徴があります。以下に主要な亜鉛サプリメントの種類とその特徴を詳しくみていきましょう。
亜鉛サプリメントの種類と特徴
- グルコン酸亜鉛
- 特徴: グルコン酸亜鉛は、亜鉛とグルコン酸が結合した形で、吸収率が比較的高いとされています。
- 利点: 消化器系への刺激が少なく、胃に優しいため、空腹時でも摂取しやすいです。
- 硫酸亜鉛
- 特徴: 硫酸亜鉛は、亜鉛の含有量が高く、コストパフォーマンスに優れています。
- 利点: 経済的で、亜鉛の補給を効率的に行いたい場合に適しています。ただし、胃腸への刺激が強いことがあるため、食後の摂取が推奨されます。
- 酢酸亜鉛
- 特徴: 酢酸亜鉛は、亜鉛と酢酸が結合した形で、吸収率が良好です。
- 利点: 他の形態に比べて胃腸への負担が少なく、吸収効率が高いとされています。
- ピコリン酸亜鉛
- 特徴: ピコリン酸亜鉛は、亜鉛とピコリン酸が結合した形で、非常に高い吸収率を誇ります。
- 利点: 吸収効率が高いため、亜鉛欠乏症の改善に効果的です。胃腸への負担も少ないとされています。
- シトレート亜鉛
- 特徴: シトレート亜鉛は、亜鉛とクエン酸が結合した形で、吸収率が良好です。
- 利点: クエン酸の効果で亜鉛の吸収を促進し、胃腸への刺激が少ないため、敏感な方にも適しています。
選び方のポイント
- 吸収率: 吸収率の高いピコリン酸亜鉛やシトレート亜鉛が推奨されます。
- 胃腸への影響: 胃腸が敏感な方は、グルコン酸亜鉛や酢酸亜鉛を選ぶと良いでしょう。
- コスト: 硫酸亜鉛はコストパフォーマンスが良いため、経済的に亜鉛を補給したい場合に適しています。
亜鉛サプリメントを選ぶ際は、これらの特徴を考慮し、自分の健康状態やライフスタイルに合ったものを選ぶことが重要です。
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まとめ
亜鉛不足は、現代人にとって非常に一般的な栄養不足のひとつです。その背景には、食生活の乱れや腸内環境の悪化が大きく関係しています。亜鉛は体にとって欠かせない栄養素であり、その不足は体全体の機能に悪影響を与えます。
特に、ピロリ菌感染や腸カンジダの存在は、亜鉛の吸収を妨げ、慢性的な亜鉛不足につながります。これを改善するには、腸内環境を整えることが重要です。
亜鉛不足を改善するには、
- 食事の改善から始める
- 腸内環境を整える
- 必要に応じて検査を受ける
- 医師に相談してサプリメントを活用する
という段階的なアプローチが効果的です。小さな生活習慣の改善が、体全体の健康に大きな影響を与えることになります。
当院では、分子栄養学の観点から亜鉛不足やその他の栄養の問題に対応しています。気になる症状があれば、ぜひご相談ください。栄養バランスを整えることで、より健康で活力のある生活を取り戻しましょう。
栄養外来はこちらから
最後に(免責)
本記事の内容は、医学的治療に置き換わるものではありません。個人的にお試しになり健康被害が生じても、当院では一切責任を負えませんのでご了承下さい。
病態の改善に必要な食事・サプリメントはひとりひとり異なります。
基本的に、主治医と相談しながら治療を進めていただければと思います。
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1975年横浜生まれ、2021年9月に東京原宿クリニックを開設。内科医、呼吸器内科専門医、アレルギー専門医として豊富な経験を持つ。現在は、一般内科診療をはじめ、栄養療法・点滴療法、カウンセリングを組み合わせた総合的な健康サポートを行いながら、患者さん一人ひとりの生活の質向上をサポート。自身の体調不良経験から、従来の西洋医学に加え、栄養療法の重要性を実感。最新の医学知識の習得に励み、患者さんにとってより良い医療の提供に取り組んでいる。医学博士、日本内科学会総合内科専門医、日本呼吸器学会専門医、日本アレルギー学会アレルギー専門医、臨床分子栄養医学研究会認定指導医。