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篠原

腸内環境を整えるにあたって、GIMAP検査を活用するためのページです。

表参道、原宿の東京原宿クリニック 院長の篠原です。

近年、腸内環境の状態が、全身に与える影響がクローズアップされてきており、関心が高くなってきています。

では、どのように腸内環境を改善するか、と考える時に、まずは、自分の腸内環境がどのようになっているか、ということを調べることで、その先にどのようなことが必要なのかを判断することができます。

そこで当院では、体調不良の方や、便通に悩んでいる方に対して、積極的に便検査を行い、腸内環境を調べています。

現在、当院で腸内環境を調べる方法として多く用いているのが、便検査である、GIMAP検査です。

そこで、今回は、GIMAP検査とは、どのような検査であるかをご説明したいと思います。

少し、専門的な言葉も多くなってしまいましたので、大体の雰囲気をつかんでいただければと思います。

GIMAP検査とは

GIMAPという便検査は、一言でいうと腸の健康に影響を与える可能性のある微生物群を評価するための検査です。

DNAベースの定量的PCR(qPCR)技術を用いて、腸管の病原体、ピロリ菌、寄生虫、腸内細菌のバランス、真菌、消化吸収能力などを全体的に検出して、さらにその量がわかります。

この技術を用いることで、従来の標準的なPCR検査、培養検査、顕微鏡検査、DNAシークエンシングベースの方法よりもはるかに正確に検査することが可能になったおかげで、他の検査では見つからない微生物についても捉えることができます。

また、消化器系の健康に関するさまざまな指標(消化酵素の量、腸管免疫、腸の炎症やオプションでリーキーガットなど)も測定することができます。

この便検査を使うことで、自己免疫疾患、過敏性腸症候群、炎症性腸疾患、消化器系の不調、うつ病や不安、副腎疲労などの根本的な原因を特定し治療するのに役立ちます。

GIMAP検査がおすすめの方

GIMAP検査は、以下のような方におすすめです。

  • 消化器系の症状(下痢、便秘、腹痛、膨満感など)に悩んでいる人
  • 消化器系の疾患(過敏性腸症候群、SIBO、炎症性腸疾患、セリアック病など)がある人
  • 免疫系や神経系の症状(アトピー、副腎疲労、アレルギー、自己免疫疾患、うつ、不安など)に悩んでいる人
  • 食物不耐性や小麦不耐性があると思われる人
  • 抗生物質や非ステロイド性抗炎症薬などの薬を長期間使用している人
  • 腸内細菌叢のバランスや多様性を知りたい人
  • 腸内細菌叢に基づいた食事やサプリメントのアドバイスを受けたい人

以上のような方には、GIMAP検査が有用な情報を提供する可能性が高いです。

ただし、英語で結果が返ってくるため、結果の解釈には、専門家の助言があったほうがいいでしょう。

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GIMAPでわかること

ここからは、GIMAP検査でわかることを挙げていきます。

病原菌

病原菌とは、腸の感染症を引き起こす可能性のある微生物のことです。

一般的に、病原菌は食中毒などを起こした時だけに関係すると思いがちですが、実はその後も腸にずっと残っていて、長く続く下痢などの症状の原因になっていることがあります。

GIMAP便検査では、細菌、寄生虫、ウイルスの3種類の病原菌を測定します。

(病原菌のレポートの例)

細菌の病原菌としては、カンピロバクター、サルモネラ、赤痢菌、大腸菌などがあります。

これらは食中毒や下痢などを引き起こすことがあります。

寄生虫の病原菌としては、クリプトスポリジウム、エンテロモエバ、ジアルジアなどがあります。

これらは水や食べ物に汚染されている場合に感染することがあります。

特に、ジアルジアは検出することが多く、知らず知らずに腸の不調に関与していることが多いです。

ウイルスの病原菌としては、アデノウイルス40/41型、ノロウイルスなどがあります。

これらは嘔吐や下痢などを引き起こすことがあります。

ピロリ菌

ピロリとは、ヘリコバクター・ピロリという胃や十二指腸に感染する細菌のことです。

よく、胃内視鏡の検査などで調べる項目です。

ピロリは、胃潰瘍や胃癌の原因となることがあります。

また、鉄欠乏性貧血やビタミンB12欠乏症などの全身的な影響も与える可能性があります。

ピロリ菌については、こちらも御覧ください。

そして、重要なことは、ピロリがいることにより、胃酸が低下して、タンパク質を消化できなくなったり、小腸に細菌が増殖し、SIBOと呼ばれる腹部膨満の状態の原因になることがあります。

SIBOについては、こちらを御覧ください。

GIMAP便検査では、ピロリのDNAを特定し、その量を数値で表します。

重要なことは、胃内視鏡検査や呼気検査、血液検査を行ってピロリがいない、と言われている場合においても、GIMAP検査で検出されることがとても多く、不調の原因になっていることがあります。

(ピロリ菌の検査レポートの例)

GIMAP便検査では、ピロリに対する抗生物質耐性遺伝子も測定します。

これらの遺伝子があると、ピロリが特定の抗生物質に耐性があることになり、治療法を決める際には、耐性のある抗生物質を避ける必要があります。

GIMAP便検査では、ピロリの毒性因子も測定します。

これらの因子は、ピロリが胃粘膜に付着したり、胃酸に耐えたり、炎症や癌化を促進したりする能力を示します。

毒性因子が多いほど、ピロリがより強力で危険であることを示します。

正常細菌叢

正常細菌叢とは、消化器系に住む細菌のことで、健康に有益な働きをするものが多いです。

正常細菌叢は、消化や免疫のサポート、ビタミンや短鎖脂肪酸の産生、病原菌の排除などの役割をしています。

GIMAP便検査では、正常細菌叢の中でも代表的なものを測定します。

例えば、バクテロイデス、ファーミキューテス、アクチノバクテリアなどの細菌門や、ビフィドバクテリウム、ラクトバチルスなどの属です。

GIMAP便検査では、正常細菌叢のDNAを特定し、その量や、バランスや多様性も評価します。

(正常細菌叢のレポートの例)

バランスとは、各種類の細菌が適切な割合で存在していることを意味します。

多様性とは、さまざまな種類の細菌が豊富に存在していることを意味します。

そして、重要なことは、正常細菌叢は少なすぎても多すぎても腸の不調につながるということになります。

SIBOの方では、正常細菌叢が過剰に増殖していることが多くみられます。

その場合、プロバイオティクスなどで乳酸菌を補うと、逆効果になることがあるので、注意が必要です。

日和見菌・真菌・ウイルス

日和見菌とは、通常は無害な細菌なのですが、免疫力が低下したり、正常細菌叢が乱れたりすると悪影響をおよぼす菌のことです。

例えば、炎症や漏出性腸症候群、食物不耐性、自己免疫疾患などの原因となることがあります。

GIMAP便検査では、日和見菌の中でも代表的なものを測定します。

(日和見菌のレポートの例)

例えば、バチルス、メタノバクテリウム、クレブシエラ、プロテウス・ミラビリスなどの細菌や、カンジダ・アルビカンスなどの真菌です。

バチルスは、消化機能の低下、SIBOや便秘と関連しています。

メタノバクテリウムは、メタンを生成するため、SIBOや過敏性腸症候群、便秘や腸の炎症と関連しています。

クレブシエラは、下痢、ガス溜まり、腹痛や腹部膨満と関連しています。

プロテウス・ミラビリスは、軟便や下痢の原因と考えられます。

黄色ブドウ球菌は毒素を生成して、軟便や下痢の原因となります。

カンジダ・アルビカンスは、口腔カンジダ症や膣カンジダ症などを引き起こす真菌です。

腸においては、リーキーガットの原因や、低血糖、副腎疲労、腹部膨満の原因になります。

腸カンジダにつきましては、こちらもご参照ください。

EBウイルスは、関節リウマチや、SLE、シェーグレン症候群、多発性硬化症、橋本病などとの関連があります。

これらを対処していくことで、長年の下痢や腹部膨満などの改善が期待できます。

腸の健康マーカー

腸の健康マーカーとは、消化器系の機能や状態を評価するための指標のことです。

GIMAP便検査では、腸の健康マーカーとして、以下のものを測定します。

(腸の健康マーカーのレポートの例)

エラスターゼ

膵臓から分泌される消化酵素で、脂肪の消化に関与します。
数値が低いと膵臓機能不全や脂肪吸収不良になる可能性があります。
低いと、一時的に消化酵素のサプリメントの併用などが必要になるかもしれません。

カルプロテクチン

白血球から分泌されるタンパク質で、炎症の程度を反映します。
数値が高いと消化器系の炎症性疾患や感染症の可能性があります。
炎症を抑えるための食事やサプリメントが必要になることがあります。

分泌型IgA

粘膜から分泌される免疫グロブリンで、免疫系のバランスや活性を反映します。
数値が低いと免疫力の低下や感染症のリスクが高まります。
一般的に、副腎疲労であると、低くなることが多いです。
数値が高いとアレルギー反応や自己免疫疾患の可能性があります。

抗グリアジンIgA

小麦タンパク質に対する免疫グロブリンで、小麦不耐性やセリアック病の可能性を反映します。
数値が高いと小麦に対する過敏反応や小腸粘膜へのダメージが起こっている可能性があるため、より厳格に小麦のコントロールが必要になります。


便潜血

便中に混入した微量な血液で、消化器系の出血や潰瘍などを反映します。
数値が陽性となると消化器系の異常や癌の可能性がありますので何はともあれ、大腸内視鏡検査を行うことが推奨されます。

ゾヌリン(オプション検査)

ゾヌリンとは、GIMAP便検査に追加できる項目で、腸管透過性(リーキーガット)の程度を評価するための指標です。

リーキーガットとは、腸粘膜の隙間(タイトジャンクション)が開いてしまい、本来は通さないべき物質が血液に漏れ出す状態のことです。

リーキーガットについては、こちらもご参考にされてください。

リーキーガットは、消化器系の炎症や感染、食物不耐性、自己免疫疾患、副腎疲労、アトピーなどの原因や結果となることがあります。

GIMAP便検査では、リーキーガットオプションとして、ゾヌリンというタンパク質を測定します。

ゾヌリンとは、タイトジャンクションを形成する分子の一つで、リーキーガットが高まると血液中に増加します。

つまり、ゾヌリンが高ければ、リーキーガットが起きていることがわかり、対処が必要ということになります。

GIMAPの検査方法

検査キットを購入し、検査キットに含まれる説明書に従って、便を採取して、保存液に入れます。

便サンプルを検査キットに入れて封をし、検査キットに含まれる返送用ラベルを貼り付けます。

返送用ラベルが貼られた検査キットを発送します。

検査結果が出るまでに約1ヶ月要します。

検査費用

当院では、GIMAP検査は、栄養外来通院中の方にメインに行っています。

GIMAP検査のみご希望の方には、診察なしで、GIMAP検査だけを行うこともできます(オンラインでキットをご自宅に郵送することも可能です)。

費用面などは、以下のページを見ていただければと思います。

まとめ

腸脳相関という言葉が有名になってきたように、腸内環境は全身の状態と深くかかわっています。

腸内環境を調べるために、多くの情報を与えてくれるのが、GIMAP検査です。

体調不良がある場合には、ご自身の便通が良い状態であったとしても、GIMAP検査をすることをおすすめいたします。

特に、ピロリ菌の存在は、体調不良に大きく関わっていることが多いです。

体調不良の原因を検査しながら、改善していきたいという場合は、当院の栄養外来をご検討いただければと思います。

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