表参道・原宿の東京原宿クリニック院長の篠原です。
「最近、イライラが止まらない」「些細なことで怒りっぽくなった」という症状でお悩みではありませんか。
病院で検査をしても特に異常がないのに、日常的にイライラに悩まされている方は少なくありません。このような症状の背景には、西洋医学だけでは把握しづらい要因が隠れていることがあります。
今回は、西洋医学と分子栄養学の両面から、意味もなくイライラする原因と対策について詳しく解説していきます。
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Contents
西洋医学的なイライラの原因
① 精神的要因
精神的な原因の一つが「ストレス」です。仕事のプレッシャー、人間関係のトラブル、将来への不安など、現代社会では様々なストレス要因に囲まれています。ストレスを感じると、体内でコルチゾールやアドレナリンなどのストレスホルモンが分泌され、これらのホルモンは心拍数を上げたり血圧を上昇させたりすることで、身体を興奮状態に導きます。
適度なストレスは身体を活性化させ、パフォーマンス向上に役立ちます。しかし、過剰なストレスにさらされ続けると、ストレスホルモンが過剰に分泌され、自律神経のバランスが乱れてしまいます。コルチゾールの分泌異常は、気分のムラ、忍耐力の低下、集中力や思考力の減退、記憶力の低下、睡眠障害などを引き起こす可能性があります。
また、うつ病や不安障害などの精神疾患もイライラの原因となることがあります。特に、セロトニンやドーパミンなどの神経伝達物質の不足は、イライラや不安、抑うつ症状と密接な関係があります。精神的な疲労が蓄積することで、自律神経が乱れ、さらにイライラが悪化することも少なくありません。
さらに、ストレスによって過食や飲酒などの行動が増えることがあり、これが身体的な要因と組み合わさって症状を悪化させることがあります。これらの影響を適切にコントロールすることが必要です。
② 身体的要因
身体的な原因としては、まずホルモンバランスの乱れが挙げられます。女性の場合、月経前症候群(PMS)や更年期障害でホルモンバランスが大きく変動します。エストロゲンやプロゲステロンなどの女性ホルモンのバランスが乱れると、イライラしやすくなったり、気分のムラが激しくなったりすることがあります。これらは、身体的だけでなく精神的な負担を増幅させる要因となります。
また、甲状腺機能低下症も、倦怠感、体重増加、便秘などの症状に加えて、精神的な不安定さやイライラを引き起こすことがあります。甲状腺ホルモンのバランスが崩れることで、代謝が低下し、身体全体のエネルギー供給に支障が出るため、ストレス耐性が下がることもあります。
さらに、睡眠不足や栄養不足といったライフスタイルの乱れもイライラの原因となります。これらが慢性化すると、身体が十分な回復時間を得られず、ストレスホルモンの分泌が増加し続けることで、悪循環に陥ります。慢性的な運動不足や過度のカフェイン摂取も、ストレス反応を強化する要因となるため注意が必要です。
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西洋医学的対策
西洋医学では、身体的要因が原因である可能性もあることから、血液検査なども用いてホルモン状態をチェックしたりします。その結果に基づき、以下の対策をしていきます。
- 抗不安薬や抗うつ薬
- ホルモン補充療法
- 認知行動療法やカウンセリング
症状の程度や原因に応じて、適切な治療法を組み合わせることで、効果的な症状改善が期待できます。また、睡眠障害が原因の場合は、睡眠導入剤や行動療法を併用することも一般的です。
ところが、西洋医学の検査や対処でうまくいかない場合、または、根本治療を求める場合は、以下の分子栄養学的な対処も有用です。
分子栄養学的なイライラの原因
分子栄養学では、イライラの原因を細胞レベルで考えます。特に重要なのが「ミトコンドリア」の機能です。ミトコンドリアはエネルギーを作る細胞内小器官ですが、このミトコンドリアの機能が低下すると、脳が正常に働くためのエネルギーが不足し、イライラや集中力低下などの症状が現れます。
腸内環境と炎症
ミトコンドリアの機能低下には、様々な要因が関係しています。その一つが慢性的な炎症です。腸内環境が悪化すると、腸管からエンドトキシン(毒素)が漏れ出し、全身に炎症が広がります。この炎症がミトコンドリアの機能を阻害し、その結果、脳の機能にも影響が出てしまうのです。このことをリーキーガットといいます。リーキーガットにつきましては、こちらもご参照ください。また、炎症の場として、上咽頭炎も隠れたフォーカスであり、上咽頭もっチェックしましょう。
また、腸内細菌叢の多様性も重要です。腸内細菌は神経伝達物質の生成に深く関わっています。例えば、腸内細菌が産生する短鎖脂肪酸(酪酸、プロピオン酸、酢酸など)は、脳の機能や気分の安定に重要な役割を果たします。
ストレスによる副腎疲労
慢性的なストレスは副腎に負担をかけ、「副腎疲労」を引き起こします。この状態では、副腎から分泌されるコルチゾールの分泌リズムが乱れることがあります。コルチゾールは本来、朝に高く夜に低くなるリズムを持っていますが、このリズムが崩れると、睡眠の質が低下し、結果的にイライラや疲労感が増加するという悪循環に陥ることがあります。副腎疲労については、こちらもご参照ください。
血糖値の変動
血糖値の急激な変動もイライラを引き起こす原因となります。実は、この項が一番重要かもしれません。食事後に血糖値が急上昇すると、それを下げるためにインスリンが大量に分泌されます。この反動で血糖値が急降下し、低血糖状態に陥ることがあります。低血糖では、脳へのエネルギー供給が不足し、また、アドレナリンを放出させることによりイライラや集中力の低下、さらには頭痛や倦怠感が現れることがあります。また、副腎疲労においては、低血糖に非常になりやすいため、常にイライラしていることが多いです。低血糖につきましてはこちらもご参照ください。低血糖の対処をするだけで、イライラから開放される方も多いです。カフェインもアドレナリンを放出させるため、控えることが推奨されます。
栄養不足
栄養素の不足もイライラの重要な原因です。特にビタミンB群やマグネシウム、亜鉛が不足すると、疲労感やイライラ、集中力低下などの症状が現れることがあります。ビタミンB群は神経伝達物質の生成やエネルギー代謝に重要であり、マグネシウムは神経の興奮を抑えるリラックス効果を持っています。亜鉛は、銅とのバランスを保ち、亜鉛が減少すると銅が過剰になり、その結果イライラしやすくなるということになります。マグネシウム不足についてはこちら、亜鉛不足についてはこちらをご参照ください。
慢性的なストレスや不適切な食生活が原因で、体内の栄養素が不足すると、細胞の機能低下が進みます。特に鉄分や亜鉛、セレンといった微量ミネラルの不足は、ホルモンバランスや免疫機能に影響を与え、間接的にイライラを引き起こす可能性があります。また、過剰な糖質摂取や不適切な食事パターンも栄養バランスを崩し、症状を悪化させることがあります。
重金属の蓄積
人体に蓄積する重金属としては、水銀、鉛、アルミニウム、カドミウム、ヒ素などがあります。これらが過剰に蓄積することでイライラが誘発されます。重金属については、オリゴスキャン検査などで判断することができます。もし重金属が過剰に蓄積しているようであれば、デトックスを試みましょう。
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分子栄養学的対策
- 不足した栄養素を摂取
- 分子栄養学的な採血を行い、足りてない栄養素(マグネシウムや、亜鉛など)があれば補う
- 抗酸化物質の摂取
- ビタミンC、ビタミンE、ポリフェノール(緑茶、ベリー類など)を積極的に摂取
- 酸化ストレスを軽減し、細胞の健康を保つ
- 必須脂肪酸の摂取
- DHAやEPA(青魚や亜麻仁油)を積極的に摂る
- 炎症を抑え、脳の神経細胞を保護
- 腸内環境の改善
- 腸内環境を悪化させてしまう、精製された砂糖、小麦、乳製品、カフェインなどを控える
- 発酵食品やプロバイオティクスを摂取して、便通を改善させる
- 必要に応じて、腸内環境の検査を行い、自分の立ち位置を把握した後に検査結果に合わせた対処を行う。
- ストレス管理
- ストレスは、副腎疲労をお越し、低血糖も合併させることによりイライラに繋がります。
- アダプトゲンハーブ(アシュワガンダ、ロディオラ)を用いて、ストレスを和らげることも有効です。
- 適度な運動とリラクゼーションを行い、副腎疲労を回復させましょう。
- 低血糖対策
- 血糖値が低下することによりアドレナリンを介してイライラが惹起されます。なるべく低血糖にならないように、補食などを工夫して低血糖対策を行いましょう。
- 高GI食品などは血糖値を急上昇させ、そのあと急降下することにより、イライラを誘います。高GI食品はなるべく避けましょう。
- 生活習慣の改善
- 規則正しい食事、適切な睡眠時間を確保しましょう。
- カフェインやアルコールの摂取を控えることで、アドレナリンの放出を防ぎましょう。
まとめ
イライラの改善には、西洋医学と分子栄養学のアプローチを組み合わせることが効果的です。西洋医学の治療で短期的な改善を目指しつつ、分子栄養学のアプローチで根本的な原因にアプローチすることで、長期的な健康維持が期待できます。
食生活や生活習慣の改善を意識しながら、自分に合った方法でストレスや栄養不足に対処することが鍵です。
当院では分子栄養学に基づいた検査を行いながら、イライラを起こす原因を探し、対処していきます。診療は栄養外来で行っております。ご検討いただければと思います。
最後に(免責)
本記事の内容は、医学的治療に置き換わるものではありません。個人的にお試しになり健康被害が生じても、当院では一切責任を負えませんのでご了承下さい。
病態の改善に必要な食事・サプリメントはひとりひとり異なります。
基本的に、主治医と相談しながら治療を進めていただければと思います。
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1975年横浜生まれ、2021年9月に東京原宿クリニックを開設。内科医、呼吸器内科専門医、アレルギー専門医として豊富な経験を持つ。現在は、一般内科診療をはじめ、栄養療法・点滴療法、カウンセリングを組み合わせた総合的な健康サポートを行いながら、患者さん一人ひとりの生活の質向上をサポート。自身の体調不良経験から、従来の西洋医学に加え、栄養療法の重要性を実感。最新の医学知識の習得に励み、患者さんにとってより良い医療の提供に取り組んでいる。医学博士、日本内科学会総合内科専門医、日本呼吸器学会専門医、日本アレルギー学会アレルギー専門医、臨床分子栄養医学研究会認定指導医。