表参道・原宿の東京原宿クリニック 院長の篠原です。
近年、体臭に悩む方が増えています。満員電車やオフィスなど人との距離が近い環境が多い都会では、不快な体臭が周囲にもたらすストレスは見過ごせません。実際に、「ニオイ」を指摘されて外出を控えるようになったり、人間関係に支障が生じたりするケースも珍しくないのです。さらに、強い体臭は体の不調や病気のサインであることもあり、対策を怠ると深刻な健康リスクにつながる恐れがあります。
体臭を引き起こす原因は実に多様です。汗や皮脂などの成分が細菌に分解される過程で発生するニオイだけでなく、ストレスやホルモンバランスの乱れ、食生活の影響、さらには腸内環境の悪化が関係している場合もあります。近年は、「腸内フローラが体臭を含む健康全般に大きくかかわる」という事実が明らかになりつつあり、身体の内側からのアプローチが見直されはじめました。
そこで本記事では、まず体臭が生じるメカニズムや主な原因を整理したうえで、一般的な対策方法をわかりやすく解説します。そして、より根本的な改善を目指すために必要な「腸内環境へのアプローチ」や、GI-MAP検査を活用した具体的な改善策にも触れていきます。自分に合ったケアを知って、体臭をコントロールしながら健康的な毎日を送るきっかけになれば幸いです。
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Contents
体臭のメカニズムと主な原因
体臭が起こるメカニズムとして何個か原因があります。それぞれを見ていきましょう。
汗・皮脂・細菌がもたらすにおいの正体
体臭の多くは、皮膚表面の常在菌が汗や皮脂を分解するときに生じます。特に、アポクリン汗腺から分泌される汗には脂質やタンパク質が多く含まれるため、細菌に分解される過程で強いニオイが生まれやすいのです。一方、主に水分からなるエクリン汗腺の汗は基本的に無臭ですが、食生活の乱れなどで成分が変化するとにおいの原因になることがあります。また、皮脂の酸化で生じる「ノネナール」や「ペラルゴン酸」は加齢臭に深く関係し、年齢を問わず注意が必要です。
ストレスと自律神経の関係
ストレスが高まると交感神経が優位になり、発汗量の増加や活性酸素の生成が促されます。活性酸素は皮脂を酸化してにおい物質を作りやすくするため、体臭を強める原因となるのです。また、自律神経が乱れるとアポクリン汗腺からの分泌も増え、タンパク質を含む汗が増量。これを細菌が分解することでワキガなど特有のニオイが発生しやすくなります。

病気や加齢による体質変化
糖尿病や肝臓病、腎臓病などの疾患を抱えていると、代謝機能が低下してニオイを帯びた物質が血中に増加しやすくなります。肝機能が低下するとアンモニアの解毒が不十分になり、アンモニア臭や腐敗臭が強まるケースがあるのです。加齢による皮脂成分の変化やホルモンバランスの乱れも、加齢臭やミドル脂臭を招く大きな要因として知られています。
食生活の乱れが体臭を強める仕組み
動物性脂肪や糖質の過剰摂取は皮脂の酸化やアポクリン汗腺の活性化につながり、体臭を強める原因になり得ます。ニンニクやニラ、香辛料などニオイ成分が豊富な食材を頻繁に摂ると、呼気や汗に反映されてにおいが目立つことも少なくありません。また、食物繊維や発酵食品が不足すると腸内環境が乱れ、悪玉菌が増えることで腐敗臭の元となる有害ガスが発生しやすくなる点にも注意が必要です。

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体臭を強める要因と抑える要因―食べ物との関係
体臭を抑えるためには、まず食生活の改善が必要です。詳しくみていきましょう。
体臭を強くする食品
肉類や乳製品、糖質を多く含む食品は皮脂の分泌を促し、過剰な皮脂が酸化してニオイの原因になりやすいことがわかっています。糖質の摂り過ぎによって血糖値が急激に変動すると代謝バランスが乱れ、汗や皮脂にも影響を及ぼします。ニンニクやネギ、香辛料などが持つ強いニオイ成分が血中に取り込まれ、呼気や汗から排出されることで体臭が目立ちやすくなることもあります。アルコールやカフェインがアポクリン汗腺を刺激するケースも考慮すると、普段の食習慣は侮れません。
食べ物 | 体臭への影響 | 匂いの特徴 |
肉類(特に脂身の多いもの) | 皮脂の分泌を増加させ、酸化を促進する。 | 脂っぽい、油のような匂い |
乳製品(チーズ、バターなど) | 動物性脂肪を多く含むため、皮脂の分泌を増加させる。 | 脂っぽい匂いを発生させる可能性がある。 |
糖質の多い食品 | 皮脂の過剰分泌や血糖値の急激な変動を引き起こし、代謝バランスを乱す。 | 皮脂の酸化を促進し、脂臭い匂いを発生させる。 |
ニンニク | 硫化アリルなどの成分が分解され、強い匂いを発生させる。呼気だけでなく汗や尿からも排出される。 | 刺激臭のある強い匂い。ニンニクの匂いは体臭全体に影響を与え、その影響は約16時間続く。 |
ネギ、ニラ | ニンニクと同様に、硫化アリルなどの匂い成分が体臭を強める。 | 刺激臭のある匂いを発生させる。 |
香辛料(カレー粉、唐辛子など) | 発汗を促進し、体臭を強くする。 | 発汗による体臭増加、刺激臭を発生させる可能性がある。 |
アルコール | アポクリン汗腺を刺激し、汗の分泌を増加させる。アルコール自体にも匂いがある。体内でアセトアルデヒドが生成され、これが体臭の原因となることがある。 | 刺激臭やアルコール臭 |
青魚 | 酸化しやすい脂肪酸を多く含むため、体臭を強くする可能性がある。 | 魚の生臭い匂い |
揚げ物、スナック菓子 | 脂質の多い食事は、皮脂の酸化を促進し、体臭を強くする可能性がある。 | 酸化した油のような匂い |
体臭を抑える食品
緑黄色野菜や果物、海藻類、発酵食品のように、ビタミン・ミネラル・抗酸化物質が豊富な食材は体内の活性酸素を除去しやすく、皮脂の酸化を防ぐうえで非常に役立ちます。海藻類は悪玉菌の増殖を抑える作用が期待でき、発酵食品は善玉菌をサポートして腐敗ガスの発生を抑制する効果が注目されています。便秘や下痢を予防することが体臭ケアにつながる点は見逃せません。
食事で取り入れたいアルカリ性食品・抗酸化物質
体内の酸化ストレスを抑制するうえで、野菜や果物、豆類、海藻などのアルカリ性食品が活躍します。活性酸素が過剰になると体臭が強くなるばかりか、細胞の老化が進みやすくなるため、ビタミンCやビタミンE、ポリフェノールなどを積極的に摂ることで酸化ダメージを軽減できます。緑茶のカテキンや柑橘系果物のフラボノイドも、ニオイの原因物質を和らげる働きが期待されています。
食習慣の見直しとバランスの取れた栄養摂取
特定の食品を摂り過ぎたり避けたりする極端な食事法ではなく、バランスの良い食生活が体臭対策の基本です。肉や脂質の多い食事が続いていないか、甘いものや清涼飲料水を過度に口にしていないか、一度振り返るだけでも状況が見えてきます。加えて、よく噛んで食べる、こまめに水分を補給する、発酵食品を日常的にとり入れるなど、小さな工夫から腸内環境を整えやすくなり、結果的に体臭をやわらげられる可能性が高まります。

においの種類と原因や背景
においの種類から原因をおおよそ推定してみましょう。
においの種類 | 主な原因・要因 | 背景・ポイント |
アンモニア臭・尿のようなにおい | 肝臓や腎臓の機能低下 タンパク質過多の食事 腸内環境の乱れ(悪玉菌増加) | 血中アンモニアが増えると汗・呼気に混じりやすい 食事バランスや便通を見直しが必要です。 |
甘酸っぱいにおい(フルーツ系) | 糖尿病(特にケトアシドーシス) 極端な糖質制限や飢餓状態 | ケトン体が増えるとリンゴ酢やアセトンのようなにおい 血糖値や栄養バランスを確認する必要があります。 |
酸化した油のようなにおい | 加齢臭(ノネナール) 脂質過剰・皮脂の酸化 抗酸化物質不足 | 中高年以降に増えがち 脂質・糖質の多い食事やストレスが原因 抗酸化物質(ビタミンC、E、ポリフェノールなど)の摂取で軽減を期待 |
酸っぱい汗のにおい(酢酸・乳酸系) | 激しい運動や疲労による乳酸増加 酢酸を産生する雑菌(足の裏・靴のムレなど) | 運動や疲労で汗が酸っぱくなる 足やワキなど通気の悪い部位は雑菌増殖を防ぐために清潔&乾燥を心がける |
強いワキガ臭(刺激臭) | アポクリン汗腺の分泌物×細菌 遺伝的要因・ホルモンバランス | アポクリン汗に含まれるタンパク質や脂質を細菌が分解 医療機関でのボトックス注射やレーザー治療なども選択肢 |
腐敗臭・魚のようなにおい | 腸内環境の極端な乱れ(悪玉菌優勢) トリメチルアミン尿症(魚臭症) | 腐敗臭はアンモニア・硫化水素などが関与 魚臭症は先天的な酵素不足によりトリメチルアミンを分解できない状態 腸内環境の改善や専門的アドバイスが重要 |
その他のにおい(焦げたような、薬品・溶剤っぽい など) | 極度のストレスや自律神経失調による代謝異常 薬剤の長期服用、化学物質への長時間曝露 | 稀にゴムが焦げたようなにおいや溶剤臭をr感じるケースあり 体調不良や慢性的な倦怠感などを伴う場合は総合的に医療機関へ相談 |
一般的な体臭対策
まずは、日常でできることから始めていきましょう。
日常の衛生管理と製品の活用
体臭のケアには、日々の清潔を保つことが欠かせません。汗をかいたら早めに拭き取る、帰宅後や運動後にシャワーを浴びるなど、汗や皮脂を残さない工夫が基本になります。とはいえ、肌をゴシゴシ洗いすぎると必要な皮脂まで奪われて乾燥や肌荒れを招きかねないため、適度な力加減を意識しましょう。制汗剤や消臭スプレーなど市販の製品も、脇や足など汗をかきやすい部分に活用すれば効果的です。通気性のいい衣類を選び、汗をかいたらすぐ着替えるといったこまめな行動もニオイ対策に有効です。

生活習慣の改善
ストレスや睡眠不足が続くと自律神経が乱れ、汗の分泌や皮脂の酸化を促進し、体臭が強まりやすくなります。十分な睡眠時間を確保したり、適度な運動やリラックス法を取り入れたりして、ストレスを上手にコントロールしましょう。ウォーキングや軽いジョギングなどでこまめに体を動かすと、汗の質が改善され、ニオイの原因物質がたまりにくくなります。また、喫煙や過度な飲酒は体内の酸化ストレスを増やし、皮脂の酸化やアポクリン汗腺の活性化を招くことがあるため、体臭が気になる方は禁煙や飲酒量の制限を検討するとよいでしょう。

腸内環境の重要性と体臭の深い関係
一般的な対策によっても改善しない場合、体臭の原因が腸内環境など、体の内部にあることが多いです。そこへの対処をすることで改善への足がかりになると考えられます。
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腸内細菌叢のバランスが体臭に及ぼす影響
腸内には数百~数千種類もの細菌が存在し、善玉菌・悪玉菌・日和見菌がバランスを保ちながら共存しています。しかし、何らかの要因で悪玉菌が優勢になると、食べ物の消化や吸収がスムーズに進まず、腐敗が起こりやすくなります。その結果、アンモニアや硫化水素などの有害ガスが発生し、血液を介して全身を巡った後に呼気や汗として排出されるのです。こうしたプロセスが体臭を強める大きな要因として注目されています。
さらに、悪玉菌の増加によってビタミンB群やKなどの腸内合成が妨げられると、代謝の低下が起こりやすくなり、皮脂や汗の分泌バランスが乱れることにもつながります。したがって、腸内細菌叢のバランスを良好に保つことは、体臭対策だけでなく健康維持全般に不可欠なポイントといえるでしょう。

腸内環境悪化による腐敗産物と体臭
腸内環境が悪化する原因の一つに、食物繊維や発酵食品の摂取不足があります。野菜や果物、海藻、豆類などに含まれる食物繊維は、善玉菌を増やして悪玉菌の繁殖を抑える働きを持っています。もしこれらをあまり食べない生活が続くと、悪玉菌が増殖しやすい腸内環境となり、腐敗物質が大量に産生されるようになるのです。これらの物質は腸管内にとどまるだけでなく、一部が血液に吸収されて体中を巡り、汗や呼気として排出されることで不快なニオイを感じさせます。
便秘や下痢が慢性的に続いている方は、腸内での腐敗が進みやすく、体臭に大きく影響している可能性が高まります。食習慣だけでなく、ストレスや生活リズムの乱れも腸内環境を悪化させる要因になるため、総合的に生活習慣を見直すことが重要です。ただし、食物繊維や発酵食品ととりすぎはかえってSIBOと呼ばれる、腹部膨満をきたすことがあるので、注意が必要です。SIBOにつきましては、こちらをご参照下さい。

「リーキーガット症候群」が体臭を悪化させる可能性
近年注目されている「リーキーガット症候群(腸管壁浸漏症)」は、腸のバリア機能が低下し、未消化の物質や細菌、毒素などが血中に漏れ出す状態を指します。腸の粘膜が傷んでいると、炎症や免疫反応の暴走が起こりやすくなり、全身のホルモンバランスまでもが乱れることがあります。その結果、毒素や炎症物質が汗や皮脂へ移行しやすくなり、体臭がさらに強まるリスクが高まるのです。原因不明な体臭の場合、リーキーガット症候群を併発していることがほとんどです。リーキーガットについては、こちらもご参照ください。
このように腸内フローラと体臭は密接に関連しています。腸内環境を整えるためには、食物繊維や発酵食品の積極的な摂取(SIBOには注意が必要です)、水分補給、適度な運動、ストレス管理などを組み合わせた包括的な対策が必要です。腸内環境を改善すれば、腐敗産物の発生が抑えられるだけでなく、全身の代謝が高まり、肌や体調面にも良い影響が期待できます。

体臭の原因が腸にあるかどうかのセルフチェックテスト
以下のセルフチェックを行い、体臭の原因が腸内環境にあるかどうかをチェックしてみましょう。これは診断ではありませんので、参考にされてください。
症状についてご相談されたい方は、お気軽に 公式LINEよりお問い合わせください。
実際の症状や検査結果を交えてカウンセリングをご希望の方は以下よりお申し込み下さい。
カウンセリングを予約皆様のご来院を心よりお待ちしております。
ご心配な症状がある場合は、お問い合わせからもお願いいたします。
GI-MAP(腸内環境検査)を活用した体臭改善アプローチ
腸内環境改善が大事とわかったとして、対処してもうまくいかない場合は、自分の腸内環境がどうなっているかを詳しく調べる必要があります。そのための検査としてGI-MAPという検査があります。
GI-MAP検査とは
GI-MAP(GI Microbial Assay Plus)検査は、便を用いて腸内細菌や病原体の存在・バランスをDNAレベルで解析する手法です。従来の培養検査では検出が難しかった細菌や真菌、ウイルスなども調べられるため、腸内環境を総合的に把握できる点が特徴的です。SIBO(小腸内細菌異常増殖)が疑われる方や、原因不明の便通異常・倦怠感・肌荒れなどに悩む方にとって、腸内環境が体臭にどのような影響を及ぼしているのかを客観的に把握するうえで非常に有用な検査です。GI-MAP検査につきましては、以下もご参照下さい。
GI-MAPでわかること
GI-MAP検査では、腸内に多い・少ない善玉菌や悪玉菌、病原菌の有無だけでなく、腸管バリアを示唆するゾヌリンや炎症マーカーといった多角的な指標が得られます。これにより、「どの細菌が増えすぎているか」「善玉菌が不足しているのか」「腸のバリア機能が低下しているのか(リーキーガットになっているかどうか)」といった原因を詳細に特定できるのです。
こうした情報を踏まえると、プロバイオティクスやプレバイオティクスの取り入れ方、特定の病原菌への対策など、個々の状況に応じたオーダーメイドのアプローチが可能になります。再検査を行えば、腸内環境の改善度合いを具体的に確認できる点もメリットの一つです。
GI-MAPを活用した腸内環境改善が体臭に有用な理由
GI-MAPで腸内フローラの状態を把握し、悪玉菌の増殖やリーキーガット症候群の可能性を掴むことで、以下のような効果的なアプローチが期待できます。
- 根拠に基づくサプリ選択
特定の菌が増えすぎている場合は、その菌を抑制する成分を補ったり、善玉菌が不足していればプロバイオティクスやプレバイオティクスを積極的に取り入れたりといった、的を絞った対策ができます。 - 腸の機能面からのアプローチ
消化酵素不足などで消化機能が低下している場合は、肉などのタンパク質がうまく消化できず、そのため腸内環境が荒れてしまいやすくなります。検査によって判明すれば、消化酵素を補うなどの手段をとれることになります。 - 腸壁の修復サポート
リーキーガット症候群を示すデータがあれば、グルタミンや亜鉛など腸壁を保護する栄養素の補給や食事内容の見直しが効果を高めます。 - 経過の客観的把握
数カ月後に再検査することで、腸内環境の改善度合いを客観的に測定でき、体臭などの体感的な変化とも比較しやすくなります。
このように、GI-MAP検査は体臭の根本原因を特定し、腸内環境から整えていくための最短ルートを提示してくれる手段といえます。従来の制汗剤や消臭剤だけでは効果を感じにくかった方ほど、腸内環境の乱れが大きく関与しているケースもありますので、ぜひ選択肢の一つとして検討してみるのも良いでしょう。

分子栄養学・機能性医学の視点から見る体臭対策
分子栄養学においては、腸内環境以外にも体臭に関わる部分を探し出し、対処することができます。
代謝の低下と脂肪酸化によるにおい
分子栄養学や機能性医学では、体の代謝バランスを重視します。代謝が低下するとエネルギーの産生が滞り、脂肪が燃焼されにくくなるため、体内や皮膚表面に脂質が蓄積しやすくなります。すると皮脂の分泌量が増え、酸化によるニオイが一段と強まりやすくなるのです。急激な糖質制限ダイエットなどによって「ケトン体」が増え、独特の酸っぱいニオイを発する「ダイエット臭」が生まれるケースもあります。
こうした代謝不良による体臭を改善するには、適度な運動で筋肉量をキープしつつ、栄養バランスを整えてミトコンドリアの働きを活性化させるアプローチが必要です。食事やサプリメントで必要な栄養素を十分に摂取し、健康的に代謝を高めることで、体臭の根本的な解決を目指せます。ミトコンドリア機能をみるためには、尿中有機酸検査という検査を参考にします。
ビタミン・ミネラル不足が招く体臭のリスク
ビタミンやミネラルといった微量栄養素は酵素やホルモンの働きを助けるため、不足すると解毒や抗酸化、代謝などのプロセスが滞り、体臭を悪化させる可能性があります。たとえば、ビタミンCやビタミンEには強い抗酸化作用があり、皮脂の酸化を抑える効果が期待されます。また、亜鉛は免疫機能や解毒作用に関わり、ビタミンDはホルモン調整や免疫バランスを左右するため、これらが不足するとニオイ物質の分解や排出がうまくいかないリスクが高まるのです。
ホルモンバランス・解毒機能・ストレスと体臭
ホルモンバランスが崩れると体臭が強くなる現象は、更年期以降などで顕著にみられます。エストロゲンの低下により、男性ホルモンの影響が相対的に高まって皮脂の分泌が増えたり、代謝が変化したりするためです。また、ストレスはコルチゾールの過剰分泌を促し、免疫や解毒にかかわるシステムを乱す要因になります。肝臓や腎臓といった解毒機能が担う臓器が疲弊すると、アンモニアなどの有害物質が体内に滞留しやすくなり、体臭が悪化しやすくなるのです。解毒(デトックス)については、以下もご参照下さい。
こうした観点からは、表面的なケアだけでなく、代謝の活性化、栄養素の補給、ホルモンバランスの調整、解毒機能のサポート、ストレスマネジメントなどを総合的に行うことが、体臭対策の近道だと考えられます。分子栄養学においては、ミトコンドリアを調べることにより代謝を活性化し、血液検査で足りない栄養素を補給、ホルモン検査によってホルモンの調整、毒素が溜まっているようであればデトックスを行っていきます。

まとめ
まずは一般的な原因と対策の見直しから
体臭の原因は、汗や皮脂と細菌の相互作用、ストレスや加齢、食生活、腸内環境の乱れ、病気など多岐にわたります。まずはシャワーや制汗剤などで清潔を保つ・ニオイを抑える基本的なケアを実行しつつ、普段の食事が肉や脂質、糖質に偏りすぎていないかを振り返ってみてください。野菜や果物、発酵食品を増やし、ストレスや睡眠不足が続いていないか確認することも、体臭対策には欠かせません。加齢臭やワキガなど特定の体臭が疑われる場合は、その原因と向き合うだけでもケアの選択肢が広がります。
改善しない場合は腸内環境の検査と専門的アプローチを
基本的な対策で思うように改善が見られない場合は、腸内環境の乱れや基礎疾患が隠れている可能性があります。GI-MAP検査などを活用すれば、悪玉菌の増加やリーキーガット症候群の有無などを客観的に把握でき、原因に応じた食事・サプリメント・治療方針を組み立てやすくなります。
総合的にケアして健康的な体臭対策を
また、分子栄養学や機能性医学の観点では、腸内環境以外の代謝、栄養、ホルモン、解毒機能、ストレスといった多方面の要素を整えることが必要とされます。腸内環境を整えることに加えて上記も加味することで、体臭だけでなく肌や体調面にもプラスの効果が期待できるため、まずはできる範囲で食事やライフスタイルを見直してみましょう。
当院においては、体臭について、栄養外来で腸内環境や分子栄養学的側面から治療を行っております。ご検討いただければと思います。
重要なポイントまとめ
- 体臭の原因は汗や皮脂・細菌、ストレス、食生活、病気など多岐にわたる
- 食生活と腸内環境の乱れは特に深くかかわりがあり、発酵食品や食物繊維を意識的に摂取するのが基本(多すぎても良くないこともあります)
- GI-MAP検査を活用すると悪玉菌やリーキーガットの有無など、原因をより正確に把握しやすくなる
- 分子栄養学・機能性医学の視点からは、代謝や栄養バランス、解毒機能、ホルモン調節を総合的に整えるアプローチが有効
最後に(免責)
本記事の内容は、医学的治療に置き換わるものではありません。個人的にお試しになり健康被害が生じても、当院では一切責任を負えませんのでご了承下さい。
病態の改善に必要な食事・サプリメントはひとりひとり異なります。
基本的に、主治医と相談しながら治療を進めていただければと思います。
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1975年横浜生まれ、2021年9月に東京原宿クリニックを開設。内科医、呼吸器内科専門医、アレルギー専門医として豊富な経験を持つ。現在は、一般内科診療をはじめ、栄養療法・点滴療法、カウンセリングを組み合わせた総合的な健康サポートを行いながら、患者さん一人ひとりの生活の質向上をサポート。自身の体調不良経験から、従来の西洋医学に加え、栄養療法の重要性を実感。最新の医学知識の習得に励み、患者さんにとってより良い医療の提供に取り組んでいる。医学博士、日本内科学会総合内科専門医、日本呼吸器学会専門医、日本アレルギー学会アレルギー専門医、臨床分子栄養医学研究会認定指導医。