東京原宿クリニック院長の篠原です。
当院では、「自然な形で本来の生命力を取り戻す」「根本自立をめざす」という考えのもと、栄養療法や環境要因へのアプローチを組み合わせた診療を行っています。
このページでは、自由診療の一つとして取り扱っているAugmented NAC(増強NAC、以下 ANAC)について、一般的な N-アセチルシステイン(NAC)の位置づけ、ANACの特徴と、現時点で公表されている知見、当院における位置づけと、費用・リスクを整理してご説明します。
※本ページの内容は、現時点で公開されている論文・メーカー資料等に基づく「情報提供」であり、特定の疾患に対する治療効果を保証するものではありません。最終的な適応の可否は、診察のうえ個別に判断いたします。
Contents
現代人と「解毒の負荷」、NAC の役割
私たちの身体は、肝臓を中心とした解毒システム(フェーズI/II 代謝)によって、体内で生じる活性酸素や代謝産物、環境中の化学物質・金属・カビ毒などを処理しています。この解毒システムの中心的な分子の一つが グルタチオン です。
動画で解説
動画で概要を掴みたい方はこちらをご参照ください。
N-アセチルシステイン(NAC)とは
グルタチオンの原料となるアミノ酸システインの誘導体で、日本では、去痰薬やアセトアミノフェン中毒の解毒剤として承認されている医薬品(Curr Opin Pharmacol. 2007)ですが、海外では、抗酸化・粘液溶解作用などを目的とした臨床研究が多数行われているという背景があります。
一方、経口投与された NAC は、腸管や肝臓での初回通過効果などにより、血中にそのまま到達する割合(バイオアベイラビリティ)は 4〜10%程度と比較的低い とされています(Antioxidants. 2021)。
そのため、一般的な NAC サプリメントでは、「ある程度の高用量を、ある期間継続する必要がある」とされる一方、胃腸症状(吐き気・腹部不快感・下痢など)、特有のにおい・飲みにくさといった問題から、「量を増やしにくい」という臨床上の制約もあります。

Augmented NAC(ANAC)とは何か
成分と製造元
Augmented NAC は、
- 有効成分:N-アセチルシステイン(NAC)
- 製造元:B.A.I. Technologies SA(スイス・ルガーノ)
のカプセル製剤です。欧州等では主に「食品サプリメント(food supplement)」として販売されています。日本では医薬品医療機器等法上の承認を受けておらず、当院のように医師が責任をもって個人輸入し、自由診療で使用する形になります(詳細は後述)。
メーカーが説明する特徴(H.I.T. 技術)
B.A.I. Technologies 社は、ANACについて、製造過程で独自の電磁的処理(High-tech Integrated Technology:H.I.T.)を行う、NAC 分子の「エネルギー状態」や「振動・パターン」を最適化し、生体との共鳴性を高める、と説明しています。重要な点は、化学的な成分は一般的な NAC と同じである、いわゆる「量子技術」「量子コヒーレンス」といった概念は、現時点ではメーカー側の理論仮説・技術説明のレベルにとどまり、大学等での大規模な第三者検証は限定的である、ということです。したがって、医療として扱う際には、「通常の NAC と同じ成分を持つが、製造工程が異なる製剤」、「in vitro(試験管内)でのデータが中心であり、ヒトでの有効性は未確立」という前提で慎重に位置づける必要があります。
ANAC に関する研究・データの現状
in vitro データ(スパイクタンパク質など)
NAC 自体については、SARS-CoV-2 スパイクタンパク質のジスルフィド結合を還元しうること(論文)、NACやグルタチオンがスパイク蛋白と ACE2 受容体の結合を部分的に抑制し得ることなどを示した基礎研究が報告されています。
Augmented NAC については、メーカーや関連グループのラボデータで、標準NACと比較してスパイクタンパク質の構造変化(変性)をより高率に引き起こしたとする報告(情報)やそれらを整理したスコーピングレビュー論文(論文)が公表されています。ただし、これらは すべて in vitro(試験管内)条件での結果 であり、ヒトの体内環境において同様の変化がどの程度起きるのか、それが Long COVID やワクチン接種後の症状軽減にどの程度つながるのかについては、現時点で信頼度の高い臨床試験データは存在しません。メーカー自身も、利用規約の中で「Augmented NAC はこれまでのところ in vitro の結果しか得られておらず、in vivo(ヒトでの作用)は保証されない」と明記しています。
グルタチオン代謝・抗酸化作用
一般的な NAC は、システイン供給を通じてグルタチオンを補う、抗酸化・抗炎症作用を示し得ることが、多くの総説で示されています。ANACに関しては、グルタチオンの生成・再利用効率が標準NACより高かった、酸化型ビタミンCへの変換を抑制したなどの ラボベースのデータ が、メーカーや関連論文で示唆されていますが、これも同様にヒトの臨床アウトカムへの影響は、現時点では結論が出ていません。(論文)

カビ・重金属・環境要因との関係(理論レベルの整理)
当院に来院される「原因不明の不調」の方の中には、マイコトキシン(カビ毒)や真菌過剰(腸カンジダ)、重金属暴露、腸内環境の乱れ(SIBO/ディスバイオーシスなど)が背景因子として疑われるケースがあります。一般論として、グルタチオンは、脂溶性毒(カビ毒を含む)、一部の重金属(水銀など)の代謝・抱合に関与するとされており、NAC によるグルタチオン補充が、その一助となりうる可能性があります(論文)。
一方で、NACやANAC が「カビ毒・重金属・スパイクタンパクをまとめて解毒する」、「真菌を直接抑制する薬」であるといったレベルの結論を支える臨床試験はなく、現時点では「酸化ストレス・解毒回路を広くサポートすることで、結果として症状軽減に寄与しうる可能性がある」といった、かなり控えめな表現にとどめるのが妥当です。
当院では、ANACを真菌やカビ毒を直接「殺す薬」ではなく、解毒回路・抗酸化系をサポートする 補助的な選択肢の一つとして位置づけています。
当院における ANAC の位置づけ
以上を踏まえ、ANAC は当院では次のように整理しています。
利点として考えられる点(仮説レベルを含む)
- 成分は既知の NAC であり、NAC 自体の安全性データは豊富
- in vitro では、標準NACと比較してスパイクタンパク質や酸化ストレスに対する作用が強い可能性を示すデータがある
- 「量を増やしすぎずに、グルタチオン経路を刺激できるかもしれない」というコンセプトは、現代の複合的ストレス環境において理にかなっている部分もある
限界・注意点
ヒトでの有効性・安全性に関する高品質な臨床試験は、現時点で存在しないこと、Long COVID やワクチン後症状、PANS/PANDAS などに対する「治療薬」としてはいまだ研究段階であり、効果を約束できるものではないこと、国内未承認医薬品であり、通常の承認薬と比べて情報が少なく、医薬品副作用被害救済制度の対象外であることなどは注意点としてあげられます。
どのような方で検討し得るか(例)
- 標準的な検査では大きな異常がないが、慢性的な疲労感・ブレインフォグ・過敏症状などが続き、解毒や酸化ストレスの負荷が疑われる方
- 栄養療法・生活習慣改善・他のサプリ/点滴などを行っても頭打ち感があり、追加の一手として検討したい方
※上記はあくまで「検討のきっかけ」となる一般論であり、実際に適応となるかどうかは診察・既往・服薬状況などを踏まえて個別に判断します。
自由診療としてのANAC内服療法
治療内容や、費用・リスクを記します。
治療内容の概要
・内容:Augmented NAC カプセルの内服
・用法・用量:体重・症状・他の治療との兼ね合いを見ながら、少量(例:1日1カプセル=200mg 程度)から開始し、必要に応じて調整します。他のサプリ・薬剤との相互作用を考慮しながら、医師が個別に処方します。
・治療期間の目安:初回は 1〜3か月程度を一つの目安とし、経過を見ながら継続・中止・他の選択肢への切り替えを検討します。
※実際の用量・期間はお一人お一人の状況によって変わります。
費用(自由診療)
主なリスク・副作用
NAC/ANAC に共通すると考えられる一般的な副作用には、吐き気・嘔吐・胃部不快感・下痢などの消化器症状、皮疹・かゆみなどの過敏症状、まれに気分不良・頭痛、重篤なアレルギー反応(アナフィラキシー様反応)などが報告されています。
特に注意が必要な方としては、喘息など慢性呼吸器疾患があり、気管支攣縮の既往がある方、消化性潰瘍・胃炎などで、胃腸障害が起きやすい方、重い腎機能・肝機能障害がある方、ニトログリセリンなど一部の薬剤を服用されている方(血圧低下のリスク増加が知られています)、妊娠中・授乳中の方、小児の方です。
これらに該当する可能性がある場合には、診察時に必ずお申し出ください。
また、Augmented NAC 特有の長期的な安全性については、現時点で十分なデータがないため、必要最低限の期間・用量で使用し、定期的に症状や検査値を確認しながら継続の可否を判断するという方針で運用しています。
受診・オンライン診療について
Augmented NACのみの処方をご希望の場合でも、既往歴・現在の症状、他院での検査結果・現在服用中のお薬、妊娠・授乳の有無 などを確認したうえで、適応の可否と、他の選択肢も含めてご説明いたします。
- 診察時間:目安として約10分(自由診療)
- 来院/オンライン診療
診察の中で、ANAC が適さないと判断される場合には、他の治療方針・栄養療法・生活習慣の見直しなど、別の方法をご提案します。
診察をご希望の方はこちらから(自由診療処方(来院/オンライン))をご選択ください。
未承認医薬品等に関する表示
当院で使用している Augmented NAC について、医療広告ガイドラインに基づき以下の事項を明示します。
未承認医薬品等であること
Augmented NAC は、日本国内では医薬品医療機器等法上の承認を得ていない国内未承認医薬品等 です。
入手経路等
当院で使用している Augmented NAC は、スイス・ルガーノの B.A.I. Technologies SA が製造した製品を、
当院医師の責任において、厚生労働省関東信越厚生局への確認申請のうえで個人輸入しているものです。
国内の承認医薬品等の有無
有効成分である N-アセチルシステイン(NAC)を含む医薬品は、日本国内で去痰薬やアセトアミノフェン中毒の解毒剤として承認されています。ただし、内用液及び吸入液であり味・臭気、携帯・保存性、用量調整の柔軟性等の課題があります。Augmented NAC は、経口固形でありこれらの国内承認薬とは製剤設計(H.I.T. 技術による処理)、用法・用量、使用目的(栄養療法の一環としての使用)の点で異なります。
諸外国における安全性等に係る情報
Augmented NAC は、欧州等で「食品サプリメント」として販売されていますが、大手規制当局(例:米国 FDA、欧州医薬品庁)において医薬品として承認された情報は、現時点で確認できていません。メーカーの利用規約では、「これまでに得られているのは in vitro(試験管内)の結果のみであり、in vivo(ヒトでの作用)は保証されない」と明記されています。
現時点で重大な健康被害の公式な大規模報告は見当たりませんが、医薬品としての長期的な有効性・安全性については情報が不足しており、重大なリスクが明らかになっていない可能性がある 点にご注意ください。
医薬品副作用被害救済制度などの対象外であること
Augmented NAC は国内未承認医薬品であるため、万一副作用により健康被害が生じた場合でも、医薬品副作用被害救済制度・生物由来製品感染症等被害救済制度の対象とはなりません。
まとめ
Augmented NAC(ANAC)は、NAC を成分とする 国内未承認医薬品等 で、製造工程に独自の電磁的処理を加えた製剤です。in vitro でのデータや症例報告から、グルタチオン経路やスパイクタンパク質への関与が示唆されていますが、ヒトでの有効性・安全性を確立する臨床試験は現時点で不足 しています。当院では、「解毒の切り札」ではなく栄養・生活習慣・他の療法と組み合わせて検討しうる 補助的オプションの一つとして位置づけ、メリットとリスクの双方を説明したうえで、希望される方にのみ処方しています。
最後に(免責)
本記事の内容は、医学的治療に置き換わるものではありません。個人的にお試しになり健康被害が生じても、当院では一切責任を負えませんのでご了承下さい。
病態の改善に必要な食事・サプリメントはひとりひとり異なります。
基本的に、主治医と相談しながら治療を進めていただければと思います。
オンライン診療対象地域
青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県、茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、新潟県、富山県、石川県、福井県、山梨県、長野県、岐阜県、静岡県、愛知県、三重県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県、鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県、徳島県、香川県、愛媛県、高知県、福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県
北海道と沖縄県はバイオロジカル検査の送付ができません。バイオロジカル検査の送付が必要なければオンラインでの診察はできます。
無料レポート新リリースしましたのでお受け取りください!






