表参道・原宿の東京原宿クリニック院長 篠原です。
最近「頭がぼんやりして集中できない」「考えがまとまらない」と感じることはありませんか?それは近年注目されている「ブレインフォグ」かもしれません。ブレインフォグは正式な医学用語ではないものの、脳に霧がかかったように思考力や集中力が低下する状態を指し、多くの方が悩んでいます。実はこの症状の陰にはストレスや生活習慣はもちろん、腸内環境の乱れなど意外な原因が潜んでいることもあります。本記事では、ブレインフォグの症状や原因、今日からできる解消法から専門クリニックで行う最新の治療法までをわかりやすく解説します。
ご自身の状態をセルフチェックしながら、原因に合った対策を見つけましょう。専門医の経験と最新エビデンスに基づいた情報をお届けし、治療法までを詳しく紹介します。セルフチェックを通じてご自身の状態を確認し、必要に応じた対策につなげてください。
また、公式LINEでは腸内環境の改善や体調管理に関する情報を随時お届けしています。お得なクーポンも配布していますので、ぜひご登録ください。

Contents
ブレインフォグとは?症状チェック
「ブレインフォグ」とは、文字通り脳に霧がかかったように頭がすっきりしない状態を表す俗称です。正式な病名ではなく診断基準もありませんが、日常生活の中で「思考力や注意力が鈍く集中できない」「物事をはっきり考えられない」といった状態が続く場合に、この言葉が使われます。情報処理や記憶・判断に支障をきたし、仕事や勉強のパフォーマンス低下やミスの増加につながるため注意が必要です。

ブレインフォグの症状
まずは、ブレインフォグに共通する代表的な症状を確認しましょう。当てはまるものが多いほど、ブレインフォグの可能性が高まります。
- 思考力・集中力の低下:頭がぼんやりして考えがまとまらず、仕事や勉強に集中できない。複数のことを同時に進めにくくなります。
- 物忘れの増加:直前の会話内容や予定を忘れてしまう、物を置いた場所を思い出せないなど、記憶力の低下を感じます。
- 言語化の困難:話したい言葉がすぐ出てこず、「あれ」「それ」などでごまかしてしまう。会話に時間がかかり、自分でももどかしく感じます。
- 判断力の低下:思考に霧がかかったように冴えず、判断や意思決定に時間がかかる。ミスが増え、生産性が下がることもあります。
- 疲労感・睡眠障害:常に頭が重だるく、十分寝ても疲れが抜けない。日中も眠気や倦怠感が続き、頭がシャキッとしません。
こうした症状は一時的な寝不足や風邪の後などにも現れますが、休息をとれば通常は改善します。しかし、慢性的に続く場合は要注意です。次のセルフチェックで、ご自身の状態を確認してみましょう。

公式LINEでは、体調不良などの症状の改善のヒントとなる情報を配信しています。また、随時お得なクーポンなども配布しております。是非公式LINEにご登録ください。
セルフチェックテスト:あなたもブレインフォグ状態?
ここで、あなたのブレインフォグの治療の必要性を簡単にチェックしてみましょう。以下の質問にすべて答えて、「結果を見る」ボタンを押してください。
ご心配な症状がある場合は、お問い合わせよりお願いいたします。
このテストはあくまで自己診断の目安です。点数が高かった場合でも、必ずしもブレインフォグであるとは限りません。逆に、点数が低くても症状が気になる場合は、専門家に相談することをおすすめします。
ブレインフォグの原因【複数の要因が重なる】
ブレインフォグは単一の原因で起こるというより、複数の要因が重なって生じる状態です。医学的メカニズムは完全には解明されていませんが、考えられる主な原因を挙げます。ご自身の生活を振り返り、思い当たるものがないかチェックしてみましょう。
- 慢性的なストレス・不安:人間関係や過労、将来の不安などによるストレスが続くと自律神経が乱れ、睡眠障害やホルモン異常を招きます。その結果、脳の認知機能が低下しブレインフォグを引き起こしやすくなります。過度な飲酒・喫煙などストレス発散法の乱れも悪影響です。
- 睡眠不足・生活リズムの乱れ:慢性的な寝不足や昼夜逆転生活は脳の休息時間を奪い、情報整理や記憶定着が不十分になります。睡眠中に行われる脳の老廃物排出もうまくいかず、起床後も頭が冴えない状態が続いてしまいます。
- 栄養不足(栄養の偏り):ビタミンやミネラル、オメガ3脂肪酸など脳の働きに必要な栄養素が不足すると、神経伝達やエネルギー代謝に支障をきたします。特にビタミンD・B12、鉄分、オメガ3の欠乏は認知機能低下に直結しやすいため要注意です。また糖質過多の食生活で血糖値の乱高下が起こると、エネルギー供給が不安定になり集中力低下を招きます(低血糖症状については当院ブログ「低血糖症状のセルフチェック、原因と対処法」もご参照ください)。
- ホルモンバランスの乱れ:更年期や妊娠・産後などホルモン変動の大きい時期に記憶力や集中力の低下を訴えるケースがあります。実際、女性ホルモン(エストロゲン)の低下は脳内の神経伝達に影響し、ブレインフォグ様の症状を引き起こすことがあります。男性も加齢によるテストステロン低下で認知機能が影響を受ける可能性があります。

- 感染症や慢性炎症:近年、新型コロナウイルス感染症からの回復後にブレインフォグに悩む人が増えています。ある調査ではコロナ後遺症患者の10~40%がブレインフォグなどの認知・精神症状を訴えていると報告されています。ウイルス感染時の全身炎症や自己免疫反応による脳の炎症が一因と考えられます。また、副鼻腔炎や慢性上咽頭炎(後述)など局所の慢性炎症も全身倦怠感や頭重感を通じてブレインフォグを引き起こすことがあります。
- 腸内環境の悪化(腸脳相関の乱れ):「腸は第二の脳」とも呼ばれるように、腸と脳は相互に情報伝達し影響し合っています。腸内細菌のバランスが崩れると全身の炎症反応が高まり、脳にも炎症が波及してブレインフォグのリスクが高まります。例えば、脳内のワーキングメモリは腸内細菌が食物繊維から作り出す短鎖脂肪酸を栄養源の一つとして働いています。このため腸内環境の乱れで短鎖脂肪酸が不足すると、前頭前野や海馬といった脳の司令塔の働きが低下し、頭が鉛のように重くなるブレインフォグ症状が現れます。また腸内細菌が乱れるとセロトニンなど脳に関与する物質の産生量が減り、精神的な不安定さにもつながります。腸内フローラの乱れは知らぬ間に少しずつ進行しうるため注意が必要です(腸内環境については後述の対策法で詳しく解説します)。
- 有害物質の蓄積(環境毒素):水銀や鉛などの重金属、カビ毒(マイコトキシン)など環境由来の毒素が体内に蓄積すると脳にダメージを与えます。特に歯科治療のアマルガムや、古い建物のカビ・ホコリなどから知らずに摂取しているケースも。これら環境毒素は認知機能低下や神経症状の原因として見落とされがちです。
- デジタル過負荷(情報過多):スマホやPCで常に大量の情報にさらされる現代では、脳が休む間もなく刺激を受け続けています。長時間の画面凝視やマルチタスク作業は脳に大きな負荷を与え、認知的オーバーロードにより思考がぼんやりする原因となります。現代人特有の要因として見逃せません。
- 薬剤副作用・疾患の影響:一部の薬(抗うつ薬、抗不安薬、抗ヒスタミン薬など)は副作用で頭がぼんやりすることがあります。また、甲状腺機能低下症やうつ病、慢性疲労症候群(CFS)、線維筋痛症といった病気ではブレインフォグ様症状を伴うことが知られています。この場合は基礎疾患の治療が優先されます。

以上のようにブレインフォグの原因は実に多岐にわたります。一人ひとり複数の要因が複雑に絡み合っていることも多く、「これさえ直せばOK」という単純なものではありません。しかし裏を返せば、生活習慣や健康状態をトータルで見直すことで症状改善の余地が大いにあるということでもあります。次章では、原因別に有効な自分でできるブレインフォグ解消法を具体的に紹介します。できることから少しずつ始めてみましょう。
最新研究トピック:ブレインフォグを巡る知見
ブレインフォグに関する研究はまだ発展途上ですが、近年いくつか注目すべきトピックが報告されています。最新の知見を押さえておきましょう。
- コロナ後遺症(ロングCOVID)とブレインフォグ:新型コロナ感染後に認知障害が残るケースが世界的に注目されています。海外の研究では、新型コロナ後遺症患者の約40%がブレインフォグに苦しんでいるとの報告もあります。原因としてウイルスによるシナプス(神経接続)障害や脳血流低下の可能性が指摘されており、治療法の研究が進められています(経頭蓋磁気刺激<TMS>などが試みられています)。コロナ禍でブレインフォグという言葉自体も広く知られるようになりました。
- 腸内細菌と脳機能の関係(脳腸相関):脳と腸の相互作用(脳腸相関)についての研究が進み、腸内細菌が作る物質が脳に影響を与えるメカニズムが少しずつ解明されてきました。たとえば短鎖脂肪酸は前述の通り脳のエネルギー源となりますし、腸内で作られる神経伝達物質のセロトニンは全体の90%が消化管由来とも言われます。また、近年注目の小腸内細菌異常増殖症(SIBO)は腸内細菌のバランス異常で起こる新しい疾患概念ですが、気づかない慢性の腹部不調や栄養吸収不良を通じて脳に影響する可能性があります。SIBOについては2020年頃から研究が進み始め、過敏性腸症候群との関連も含め議論されています。ブレインフォグ患者さんの中にも実際にSIBOの治療で症状改善がみられるケースが報告されており、腸内環境の精密検査・ケアの重要性を裏付けています(SIBOについてはこちらもご参照ください)。

- その他の知見:ブレインフォグは慢性疲労症候群(CFS)やライム病といった難治性疾患の症状の一部として昔から知られていました。また、アメリカなどではADHDや自閉スペクトラム症の成人患者が感じる「頭のもやもや」を指すこともあります。これら背景の異なるブレインフォグ症状をどう評価・治療していくか、医学界でも議論が続いています。現時点では確立した単一の治療薬や診断法はないため、症状に合わせた総合的アプローチ(栄養・ホルモン・メンタルケア・リハビリ等)が有効と考えられています。
★このような最新情報も踏まえ、次に日常生活でできるセルフケアと、当クリニックで行っている専門的アプローチを紹介します。
ブレインフォグを解消する8つのセルフケア
ブレインフォグの症状を和らげる第一歩は、日々の生活習慣を整えることです。原因となりうる要因に対応した対策を講じることで、脳のコンディションが改善する可能性があります。今日から実践できる効果的なセルフケアを8つ紹介します。どれもシンプルな習慣ですが、続けることで少しずつ霧が晴れるような感覚を得られるでしょう。
1. ストレス管理で脳をリラックス
ストレスそのものをゼロにすることは難しいですが、上手にコントロールすることは可能です。慢性的なストレスは脳疲労の大敵ですので、意識的に緩和していきましょう。
- リラクゼーション習慣を持つ:ヨガや瞑想、深呼吸(腹式呼吸)などを日常に取り入れると副交感神経が優位になり、心身がリラックスします。就寝前に軽いストレッチをする、ぬるめの入浴で体を温めるといった習慣も効果的です。
- 趣味や休息の時間を確保:仕事や家事の合間に好きな音楽を聴く・本を読むなど、ほっとできる時間を意識的に作りましょう。特に自然の中で過ごす時間はストレスホルモンを減らし脳をリフレッシュさせます。森林浴や公園の散歩などがおすすめです。
- 人に話す・相談する:一人で抱え込まず信頼できる人に気持ちを打ち明けましょう。話すことで脳内の情報整理が進み、ストレスそのものも軽減しやすくなります。
日々のストレスをこまめにリセットしていくことが、脳の健康維持につながります。「ストレスを溜め込まない」こと自体を習慣化しましょう。
2. 質の良い睡眠をしっかりとる
睡眠の質を高めることは、脳の回復力を取り戻す近道です。睡眠中に脳内の情報整理やダメージ修復が行われるため、ぐっすり眠れれば翌朝の思考は格段にクリアになります。以下のポイントを実践してみましょう。
- 規則正しい睡眠スケジュール:平日・休日問わず毎日ほぼ同じ時間に就寝・起床し、体内時計を整えます。決まったリズムができると深い睡眠が得やすくなります。
- 睡眠環境の工夫:寝室は静かで適度な温度・湿度に保ち、照明は暗くします。必要に応じアイマスクや耳栓を利用しましょう。
- 寝る前のブルーライトを控える:就寝前1~2時間はスマホやPC、テレビを見るのを避けます。ブルーライトは睡眠ホルモン(メラトニン)の分泌を妨げるため、画面オフの時間を意識するだけで眠りの質が向上します。
- 入眠ルーティンを作る:寝る前に心身をリラックスさせるルーティンを持ちましょう。軽いストレッチ、ハーブティーを飲む、アロマを焚く、瞑想で呼吸を整える等、自分に合う方法で副交感神経を優位にします。
- 就寝前の刺激物を避ける:寝る直前のカフェインやアルコール摂取は睡眠を浅くします。コーヒーやお酒は就寝3~4時間前までに切り上げ、夜食もなるべく控えめにしましょう。
十分な睡眠時間(7~8時間が目安)を確保し、睡眠の質を高めることで、朝起きたときの頭のモヤモヤが晴れやすくなります。「最近あまり熟睡できていない」という人は、まず睡眠習慣の見直しから始めてみましょう。

3. バランスの取れた食事を心がける
栄養バランスの良い食事は、脳のパフォーマンス維持に欠かせません。現代人は忙しさから食生活が偏りがちですが、以下のポイントを意識しましょう。
- 良質なたんぱく質と脂質の摂取:脳の神経細胞やホルモンの材料となる必須アミノ酸やオメガ3脂肪酸を意識的に摂りましょう。肉・魚・大豆製品、ナッツ類、青魚(EPA/DHA)などをバランス良く食事に取り入れてください。特にオメガ3は抗炎症作用もあり脳の炎症を抑えるのに有用です。
- ビタミン・ミネラルを豊富に:野菜や果物、海藻、キノコ類を積極的に摂取し、不足しがちなビタミンB群、C、D、鉄、マグネシウム、亜鉛などを補いましょう。これらは神経伝達やエネルギー代謝を円滑にする重要な栄養素です。特に鉄分やビタミンB12不足は認知機能低下に直結するため注意が必要です。
- 血糖値を安定させる:炭水化物中心の食事で血糖値が急上昇・急降下を繰り返すと脳へのエネルギー供給が不安定になり集中力低下を招きます。食物繊維やたんぱく質を一緒に摂って血糖値の急変動を抑え、間食には砂糖たっぷりの菓子類ではなくナッツやチーズなどを選ぶと良いでしょう。ゆっくり噛んで食べる習慣も効果的です。
栄養状態を整えることで脳の働きを支える土台が強化されます。忙しい方はサプリメントで不足分を補う方法もありますが、まずは食事の質を見直すことから始めてみてください。
4. 適度な運動で血流促進
適度な運動習慣は脳の血流を改善し、脳細胞の活性化を促します。運動によって全身に酸素と栄養が行き渡るとともに、脳内でBDNF(脳由来神経栄養因子)など記憶や学習に関わる物質の分泌が高まることがわかっています。新しい神経細胞の生成(神経新生)を促すという報告もあり、運動はブレインフォグ解消の強い味方です。
- 有酸素運動:ウォーキングや軽いジョギング、サイクリング、水泳など、自分が気持ちよく継続できる有酸素運動を週に3日以上、1回30分程度行いましょう。息が上がらない程度の適度な負荷でOKです。
- 筋力トレーニング:筋トレも代謝を上げホルモン分泌を促すため有効です。スクワットや軽いダンベル運動など大きな筋肉を動かす種目を中心に、無理のない範囲で取り入れてください。
- リズム運動:ダンスや太極拳などリズムに乗った運動は脳の運動野と海馬を刺激し、認知機能の維持に役立つとの研究もあります。楽しみながらできる運動だと長続きします。
運動後は脳内に幸せホルモン(セロトニンやエンドルフィン)が分泌されるため気分も爽快になり、メンタルのリフレッシュにもつながります。身体を動かすことが結果的に頭のモヤモヤ解消にプラスに働くので、できる範囲で日常に運動を取り入れてみてください。
5. 腸内環境の改善(脳腸を整える)
「腸は第二の脳」と言われるほど、腸内環境の良し悪しはメンタルや認知機能に影響します。腸内細菌のバランスが崩れると全身の炎症や神経伝達に支障をきたし、ブレインフォグの遠因となる場合があります。腸内環境を整えることは脳の健康にも良い効果をもたらすため、次の点を意識しましょう。
- 発酵食品を摂る:味噌、納豆、ぬか漬けなど発酵食品には善玉菌(プロバイオティクス)が豊富に含まれます。毎日の食事に取り入れて腸内の善玉菌を増やし、腸内フローラの改善を図りましょう。和食は発酵食品が多く取り入れられているのでおすすめです。
- 食物繊維とオリゴ糖を十分に:野菜や果物、全粒穀物に多い食物繊維や、玉ねぎ・バナナ・にんにく等に含まれるオリゴ糖は善玉菌のエサ(プレバイオティクス)になります。これらを意識して摂取し、腸内細菌が活発に働ける環境を作りましょう。
- 腸に悪い食品を控える:脂肪分の多いジャンクフード、食品添加物の多い加工食品、過度な飲酒は腸内細菌のバランスを崩します。腸粘膜に炎症を起こす原因にもなるため、できる範囲で控えましょう。代わりに添加物の少ない自然な食品や和食中心の食事を心がけると良いです。
腸が健康になれば栄養の吸収効率も高まり、免疫バランスも整って、結果的に脳機能の安定にもつながります。ただし、小腸内細菌異常増殖症(SIBO)のように特殊な腸内環境の乱れがある場合、一般的な発酵食品や食物繊維の摂取が逆効果になることもあります。お腹の張りや慢性的な下痢・便秘など腸の不調が強い場合は、自己判断でサプリメントを試す前に専門医に相談しましょう。当院では腸内環境の精密検査(GI-MAPや有機酸検査)も可能ですので、必要に応じてご相談ください。専門的な分析に基づき適切なプロバイオティクス処方や食事指導を行うことで、根本から腸内環境を立て直すことができます。

6. デトックス(有害物質の排出を促す)
現代社会では環境中の有害物質(重金属や化学物質)が体内に蓄積しやすく、それが不調の原因となっていることがあります。脳に蓄積した重金属(鉛、水銀など)は認知機能に悪影響を及ぼす可能性が指摘されており、体内から排出(デトックス)することで症状が改善するケースもあります。日頃から次のことを意識しましょう。
- こまめな水分補給:水を適度に飲んで尿をしっかり出すことで、腎臓から老廃物を排泄しやすくなります。1日1.5~2リットルを目安に、喉が渇く前に水を飲む習慣をつけてください。利尿作用のあるカフェイン飲料ばかりでなく純粋な水を摂ることがポイントです。
- 発汗する:運動やサウナ、入浴などで汗をかくこともデトックスに有効です。汗とともに体内の一部の重金属や化学物質が排出されます。激しい運動が難しい方も、半身浴でじっくり汗をかく習慣を取り入れてみましょう。
- 添加物・化学物質を避ける:防腐剤や農薬など化学物質を極力体に入れないよう心がけます。オーガニック食品を選ぶ、空気清浄機を活用する、古いカビ臭い環境を改善するなど、小さな積み重ねが体内毒素の蓄積を防ぎます。
急性の中毒でなくても、長年の蓄積によってじわじわ不調が現れることがあります。「自分は関係ない」と思わず、知らず知らず触れている化学物質に目を向け、体内に溜め込まない工夫をしましょう。
7. ホルモンバランスの調整
とくに更年期前後の女性は、ホルモンバランスの乱れがブレインフォグに影響している可能性があります。女性ホルモン(エストロゲン)は記憶や感情の安定に関与しているため、更年期に急激に減少すると不調が出やすくなります。以下の対策でホルモンバランスをケアしましょう。
- 植物性エストロゲンの活用:大豆製品(豆腐、納豆、豆乳など)に含まれるイソフラボンは体内で弱いエストロゲン様作用を示し、更年期の症状緩和に役立つとされます。毎日の食事に適量の大豆食品を取り入れてみてください。
- 生活リズムの安定:ホルモン分泌は体内時計の影響を強く受けます。規則正しい睡眠・食事・運動リズムを維持することで、乱れたホルモン分泌も整いやすくなります。特に睡眠不足はホルモンバランスを崩す大きな要因なので要注意です。
- ストレスを溜めない:ストレス過多によるホルモン分泌異常を防ぐため、前述のストレス管理術を活用しましょう。好きな香りのアロマを使う、リラックスできる音楽を聴くなど、自律神経を整える工夫も有効です。
なお、症状が重い場合はホルモン補充療法(HRT)も選択肢になります。婦人科や更年期外来で相談し、適切な治療によって劇的に症状改善するケースもあります。男性の場合も加齢に伴う男性ホルモン低下で意欲・集中力が落ちることがあります。性別問わずホルモンバランスは重要な健康要素です。生活改善で補えない部分は専門医療も活用し、体の内側からブレインフォグの原因にアプローチしましょう。
8. 脳トレーニング(積極的に脳を使う)
最後に、積極的に脳を使うこともブレインフォグ対策として有効です。脳も筋肉と同じで、使わないと衰えていきます。逆に適度にチャレンジを与えることで脳内ネットワークが刺激され、認知機能の維持・向上につながります。日々の習慣に以下を取り入れてみましょう。
- パズルやクイズに挑戦:数独やクロスワード、謎解きパズル、脳トレアプリなど遊び感覚でできるものがおすすめです。楽しみながら脳を使うことで、新しい神経回路の形成が促されます。
- 新しいスキルを学ぶ:語学の勉強や楽器の練習など未知の分野に挑戦すると脳にとって良い刺激になります。上達という目標があると継続しやすく、記憶力や思考力アップに効果的です。
- 読書の習慣:毎日少しでも読書の時間を作りましょう。物語を追体験したり新たな知識を得ることは、理解力や想像力を鍛え、語彙力も向上させます。ジャンルは小説でも実用書でも構いません。
- 人との交流を増やす:家族や友人との会話は脳にとって非常に高度な作業(傾聴・理解・返答を同時に行う)であり、良い刺激になります。オンラインではなく直接会って話す機会を意識的に作りましょう。
これらの「脳への良い刺激」を継続することで、使われていなかった神経回路が活性化し、脳のパフォーマンス維持に役立ちます。楽しみながら取り組むことがコツです。

公式LINEでは会員限定医療情報を配信しています。
公式LINEでは、体調不良などの症状の改善のヒントとなる情報を配信しています。また、随時お得なクーポンなども配布しております。是非公式LINEにご登録ください。
栄養療法専門医によるブレインフォグへのアプローチ
セルフケアを実践しても症状が続く場合や、原因が特定できずお困りの場合は、専門医による評価と治療を検討しましょう。ブレインフォグは原因が多岐にわたるため、当院では「根本原因の徹底分析と個別対応」をモットーに治療アプローチを行っています。ここでは当院で提供している主な医療的アプローチを紹介します。どれも医師の経験や専門知識に基づいたもので、エビデンスも蓄積されつつある最新療法です。
根本原因を見極める専門検査
ブレインフォグの隠れた原因を突き止めるため、当院では必要に応じて以下のような専門的検査を行っています。
- 栄養状態・代謝の総合解析:血液検査や尿・唾液によるバイオロジカル検査でビタミン・ミネラルの不足、炎症の指標、酸化ストレスの程度、ホルモンバランスなどを詳細に調べます。分子栄養学的な視点から身体の状態を数値化し、「何が足りないか」「何が過剰か」を見極めます。一般の健康診断ではわからない微細な異常を拾い上げることが可能です。
- 腸内環境の精密検査(GI-MAP・有機酸検査):便中の細菌叢をDNAレベルで解析するGI-MAP検査や、尿中の代謝産物を測定する有機酸検査により、腸内細菌のバランスや有害菌の有無、カンジダなど真菌の増殖、消化・解毒能力の状態を評価します。例えば「リーキーガット(腸漏れ症候群)」や「腸内カンジダ増殖」「小腸内細菌異常増殖(SIBO)」「重金属蓄積」といった問題がないか調べられます。実際、ブレインフォグに悩む患者様の中にはこうした腸内環境の乱れや有害物質の蓄積が原因になっているケースが多々あります。
- その他の特殊検査:必要に応じて、食品アレルギー検査(遅延型フードアレルギーの有無)、副腎ストレスホルモン検査(コルチゾールの日内変動)など、ブレインフォグの原因探索に役立つ検査も組み合わせます。
これらの結果を踏まえ、総合的に原因を分析します。一般の病院では「異常なし」と言われた方でも、細かく検査するとブレインフォグの引き金となっている隠れた異常が見つかることも珍しくありません。
栄養療法(分子整合栄養医学)による治療
検査で判明した不足栄養素の補充や代謝異常の是正のため、オーダーメイドの栄養療法を行います。具体的には、食事指導に加えて症状や検査結果に応じた医療用サプリメントの処方をします。例として:
- ビタミン・ミネラル補充:ビタミンDやB12、鉄、マグネシウムなど不足がみられたものを重点的に補います。これらは脳機能維持に必須で、適正化することで思考力やエネルギーが向上するケースが多いです。
- 腸内環境改善サプリ:腸漏れ(リーキーガット)があれば腸粘膜修復のLグルタミン、カンジダ過剰なら抗真菌作用を持つハーブサプリ、SIBOの疑いがあれば特定の抗菌ハーブや酵素剤、プロバイオティクスなどを用います。
- 抗酸化・ミトコンドリアサポート:全身の炎症や酸化ストレスが高い場合、ビタミンC、NAC、αリポ酸、コエンザイムQ10など抗酸化サプリで細胞ダメージを抑制します。さらに、脳のエネルギー産生を高めるため、L-カルニチンやD-リボース、ビタミンB群などミトコンドリア機能をサポートする栄養素も検討します。
これら栄養療法により、細胞レベルから脳コンディションを立て直すことを目指します。実際、通常の食事療法や生活改善では良くならなかった頑固なブレインフォグが、栄養療法によって改善する可能性があります。
当院で診た患者様でも、低血糖の是正や腸内カンジダ除去、重金属デトックスを行うことで「頭のもやが取れた」という声が多数あります。「色々試したがスッキリしない」という方ほど、一度専門的な栄養解析を受けてみる価値があります。栄養療法の詳細は当院ホームページの「栄養療法」ページでも紹介しています。
上咽頭炎の治療(EAT療法)
喉の奥にある「上咽頭」に慢性的な炎症が起きている状態(慢性上咽頭炎)は、全身の不調の隠れた原因となることがあります。上咽頭は自律神経や免疫反応とも関わる部位で、炎症が続くと倦怠感や頭重感、集中力低下などブレインフォグに似た症状を引き起こすことが知られています。当院では耳鼻科的アプローチになりますが、希望される方にEAT(上咽頭擦過療法、いわゆるBスポット療法)を実施しています。
EAT療法では、医療用綿棒で上咽頭(鼻の奥、喉の上部)に直接薬液を塗布し、慢性炎症を鎮めます。痛みを伴うこともありますが、炎症部分をダイレクトにケアすることで全身状態の改善が期待できます。実際、慢性上咽頭炎の患者さんにEATを行ったところ「頭重感が取れて視界がクリアになった」「疲れにくくなった」という報告もあります。ブレインフォグの原因の一つとして上咽頭の炎症が疑われる場合、試してみる価値のある治療法です。
上咽頭ケアはまだ馴染みが薄いかもしれませんが、「色々検査しても原因不明」の不調を抱える方には意外な改善の糸口となることがあります。
メチレンブルー点滴療法
近年、「メチレンブルー」という医薬品を用いた点滴療法がブレインフォグの改善に有用ではないかと注目されています。メチレンブルーは元々染色剤や抗マラリア薬として使われてきた古い薬ですが、低用量ではミトコンドリア機能の改善や抗酸化作用、神経細胞の保護作用を持つことがわかっています。脳内のエネルギー産生を高め、神経伝達をスムーズにする効果が期待できるため、海外を中心に難治性のブレインフォグや慢性疲労の患者さんに点滴投与する試みが広がっています当院でもメチレンブルー点滴療法を導入しており、集中力低下や思考力低下が顕著な重度のブレインフォグ患者さんに対して検討する場合があります。施行後には「頭がシャキッと冴えた感じがする」「疲れにくくなった」といった声もあり、一度試してみる価値のある新しい治療法です。メチレンブルーはミトコンドリアの電子伝達系をサポートし細胞エネルギー産生を効率化するため、脳に限らず全身のエネルギー不足状態を改善すると考えられています。抗うつ効果を示した報告もあり、気分の落ち込みを伴うブレインフォグにも有望です。
メチレンブルー点滴は保険適用外の自由診療となりますが、副作用も少なく安全性は比較的高いとされています。ただし妊娠中の方やG6PD欠損症の方など一部適応外がありますので、興味のある方は事前に医師にご相談ください。
幹細胞上清点滴療法(再生医療)
最先端の再生医療の分野からは、幹細胞上清点滴によるブレインフォグ改善の可能性も示唆されています。幹細胞上清液とは、培養した幹細胞から得られる上澄み液で、成長因子やエクソソーム、抗炎症サイトカインなど組織の修復や炎症軽減に役立つ物質が豊富に含まれています。これを点滴で体内に投与し、全身の組織再生を促す治療法です。
ブレインフォグへの作用としては、幹細胞上清中の成分が脳の炎症を抑え、ダメージを受けた神経細胞の修復や新生を促進し、さらに血液脳関門の機能を改善することで脳への栄養供給・老廃物排出を正常化する効果が期待されています。また、細胞レベルでミトコンドリア機能を高めエネルギー代謝を底上げする作用も報告されています。こうした総合的な効果により、ブレインフォグ症状を根本から改善しうると考えられています。
幹細胞上清点滴もまだ新しい治療法ですが、当院でも希望者に対して提供しています(自由診療)。「いろいろ試したが効果を実感できない」「最新の再生医療も視野に入れたい」という場合、一つの選択肢となるでしょう。詳しくは当院サイト内の「幹細胞上清点滴について」のページもご参照ください。

まとめ:ブレインフォグかな?と思ったら
「もしかして自分はブレインフォグかも…」と感じたら、まずは本記事で紹介したセルフチェックを試し、思い当たる原因に対するセルフケアから始めてみましょう。生活習慣の改善や栄養状態の見直しで、軽度のブレインフォグはかなり改善する可能性があります。それでも症状が続く場合や、日常生活に支障をきたすほど深刻な場合は、早めに専門の医療機関に相談することをおすすめします。
適切な診断と治療によって、毎日の頭のモヤモヤが解消し、仕事や生活の質が大きく向上する可能性があります。東京原宿クリニックでは、分子栄養学に基づく栄養療法や最新の点滴療法などを用いてブレインフォグを含む様々な健康問題の根本改善に取り組んでいます。お一人おひとりの状態に合わせたオーダーメイドの治療プランを提案いたしますので、「長引く脳の疲れを何とかしたい」「集中力を取り戻したい」という方はぜひ一度ご相談ください。セルフチェックテストの結果も参考にしながら、医師と一緒に原因を突き止め、最適な解決策を見つけていきましょう。
当院でのブレインフォグの診療は自由診療(栄養療法外来)となります。詳細は【栄養療法】のページもご覧ください。
最後に(免責)
本記事の内容は、医学的治療に置き換わるものではありません。個人的にお試しになり健康被害が生じても、当院では一切責任を負えませんのでご了承下さい。
病態の改善に必要な食事・サプリメントはひとりひとり異なります。
基本的に、主治医と相談しながら治療を進めていただければと思います。
無料レポート新リリースしましたのでお受け取りください!


執筆者 篠原 岳:1975年横浜生まれ、2021年9月に東京原宿クリニックを開設。内科医、呼吸器内科専門医、アレルギー専門医として豊富な経験を持つ。現在は、一般内科診療をはじめ、栄養療法・点滴療法、カウンセリングを組み合わせた総合的な健康サポートを行いながら、患者さん一人ひとりの生活の質向上をサポート。自身の体調不良経験から、従来の西洋医学に加え、栄養療法の重要性を実感。最新の医学知識の習得に励み、患者さんにとってより良い医療の提供に取り組んでいる。医学博士、日本内科学会総合内科専門医、日本呼吸器学会専門医、日本アレルギー学会アレルギー専門医、臨床分子栄養医学研究会認定指導医。