分子栄養学

リーキーガットの根本原因はミトコンドリア機能低下?慢性疲労・アレルギーを断ち切る栄養療法と次世代成分「ウロリチンA」の可能性

表参道・原宿の東京原宿クリニック 院長の篠原です。

篠原岳

「しっかり寝ているはずなのに、なぜか疲れがとれない」

「最近、原因のわからない肌荒れやアレルギーに悩まされている」

「集中力が続かず、頭にモヤがかかったような感じがする」

もしあなたがこのような原因不明の不調を抱えているなら、その根源は一見関係ないと思われる「腸」と、全身の細胞にある「エネルギー工場」の連携トラブルにあるのかもしれません。

近年の研究で、腸のバリア機能が壊れてしまう「リーキーガット(腸漏れ症候群)」と、細胞のエネルギー産生を担う「ミトコンドリアの機能低下」が、互いに影響を及ぼしあう”悪循環”に陥り、慢性的な炎症やさまざまな不調を引き起こすことが明らかになってきました。

この記事では、栄養療法・機能性医学の観点から、以下の点を詳しく、そして分かりやすく解説していきます。

  • そもそも「リーキーガット」と「ミトコンドリア」とは何か?
  • なぜこの二つが、慢性疲労やアレルギーといった全身の不調につながるのか?(負の悪循環のメカニズム)
  • この悪循環を断ち切るための具体的な栄養療法
  • そして、最新の研究で注目される、腸とミトコンドリアを同時に救う可能性を秘めた次世代成分「ウロリチンA」とは?

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ウロリチンA

動画で解説

動画で概要を知りたい方は以下より御覧ください。

リーキーガット(腸漏れ)症候群とは?~腸のバリア機能の破綻~

まずは、すべての不調の始まりとも言える「リーキーガット」について理解を深めましょう。

リーキーガットの定義

リーキーガットとは、腸の粘膜を構成する細胞同士の結合が緩み、本来であれば体内に侵入するはずのない未消化の食物、細菌、毒素などが血液中に漏れ出てしまう状態のことを指します。科学的には「腸管透過性亢進」と呼ばれ、文字通り腸壁に「穴」が開いたような状態(リーキー=漏れる)になることから、一般的に「腸漏れ症候群」として知られています。 リーキーガットについてはこちらもご参照ください。

なぜ起こる?タイトジャンクションという「門番」の機能不全

健康な腸では、腸粘膜の細胞同士がタイトジャンクション(密着結合)という強力なタンパク質の結合によって、レンガ塀のように固く結びついています。このタイトジャンクションが「門番」の役割を果たし、栄養素など必要なものだけを選択的に通し、有害物質の侵入をブロックしているのです。

しかし、この重要な門番であるタイトジャンクションは、様々な要因によってダメージを受け、その結合を緩めてしまいます。

タイトジャンクションを緩める主な原因

  • 食事因子: 小麦に含まれるグルテン(特にその成分グリアジン)、高脂肪・高果糖の食事、食品添加物など。
  • ストレス: 慢性的な精神的・身体的ストレス。
  • 薬剤: 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の長期使用など。
  • アルコール: 過剰なアルコール摂取。
  • 腸内環境の乱れ(ディスバイオシス): 悪玉菌の増加や腸内細菌の多様性の低下。
  • 感染症: 細菌やウイルスの感染。

特に、小麦などに含まれるグルテンの一部であるグリアジンは、「ゾヌリン」というタンパク質の放出を促します。ゾヌリンとは、タイトジャンクションに直接働きかけて、その結合を一時的にこじ開ける作用を持つ物質です。この発見により、リーキーガットが単なる物理的な損傷ではなく、特定の分子メカニズムによって引き起こされる能動的なプロセスであることが明らかになりました。

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リーキーガットが引き起こす全身への影響~局所的な問題から全身の火種へ~

腸のバリアが壊れると、何が起こるのでしょうか。

最大の問題は、グラム陰性菌の細胞壁の成分であるLPS(リポポリサッカライド)という強力な内毒素が、血液中に漏れ出てしまうことです。

血液中に侵入したLPSは、免疫細胞を過剰に活性化させ、TNF-αやIL-6といった炎症を引き起こす「炎症性サイトカイン」を大量に放出させます。この状態が慢性的に続くことを「代謝性エンドトキシン血症」と呼び、いわば体内で常に小さな火事が起きているような「慢性炎症」状態に陥るのです。

この慢性炎症こそが、腸という局所的な問題から、全身のさまざまな不調や疾患へとつながる元凶です。

リーキーガットが関連する可能性のある主な疾患・症状

  • 自己免疫疾患: 関節リウマチ、橋本病、1型糖尿病など
  • アレルギー疾患: 食物アレルギー、アトピー性皮膚炎、喘息など
  • 代謝性疾患: 肥満、メタボリックシンドローム、脂肪肝など
  • 消化器症状: 過敏性腸症候群(IBS)、炎症性腸疾患(IBD)など
  • 精神・神経症状: 慢性疲労、うつ病、不安障害ブレインフォグ、認知機能の低下など
  • 皮膚症状: ニキビ、肌荒れなど

どの臓器で症状が強く出るかは、その人の遺伝的背景や生活習慣によって異なりますが、根本に「腸の漏れ」と「慢性炎症」が隠れているケースは決して少なくありません。

すべての細胞の”発電所”ミトコンドリアとは?

さて、話は変わって、私たちの体を作る約37兆個の細胞一つ一つに存在する、もう一つの重要なプレーヤー「ミトコンドリア」に焦点を当ててみましょう。

ミトコンドリアの定義と役割

ミトコンドリアとは、私たちが食事から摂取した糖や脂肪といった栄養素と、呼吸で取り込んだ酸素を使って、生命活動に必要なエネルギー通貨「ATP(アデノシン三リン酸)」を産生する細胞内小器官のことです。その役割から「細胞の発電所」とよく例えられます。

私たちの体が動き、考え、そして細胞が生まれ変わる、そのすべての活動エネルギーは、このミトコンドリアが生み出しています。

しかし、ミトコンドリアの役割はエネルギー産生だけではありません。

  • 活性酸素(ROS)の産生と制御
  • 細胞内カルシウム濃度の調節
  • アポトーシス(プログラムされた細胞死)の制御

など、細胞の生死やシグナル伝達にも深く関与する、生命活動の司令塔とも言える存在なのです。

腸管は「高エネルギー臓器」!ミトコンドリアが重要な理由

脳や心臓、筋肉といったエネルギーを大量に消費する臓器でミトコンドリアが重要なのは想像に難くないでしょう。しかし、実は「腸」もまた、体内で最も代謝が活発な臓器の一つなのです。

腸の粘膜上皮細胞は、わずか3~5日という驚異的なスピードで絶えず新しい細胞に入れ替わっています。この活発な新陳代謝、栄養素の吸収、粘液の産生、そして前述したタイトジャンクションの構造を維持するためには、膨大な量のATP(エネルギー)が必要不可欠です。

事実、消化管は体重のわずか5%程度ですが、全身の酸素消費量の20%を占めると言われています。これは、腸管上皮細胞がいかにミトコンドリアによるエネルギー産生に依存しているかを物語っています。つまり、ミトコンドリアは腸のバリア機能を維持するための、まさに「縁の下の力持ち」なのです。

ミトコンドリアのエネルギー産生

【負の連鎖】リーキーガットとミトコンドリア機能低下の”悪循環”

ここまで、「腸のバリア」と「細胞のエネルギー工場」という二つの要素を見てきました。一見すると別々の問題に見えますが、実はこの二つは深く結びついており、一度バランスが崩れると、互いに悪影響を及ぼしあう「負の悪循環」に陥ってしまうのです。

この悪循環には、2つの主要なパターンがあります。

パターン1:ミトコンドリアの機能低下がリーキーガットを引き起こすメカニズム

まず、「ミトコンドリアの不調が、腸の漏れを引き起こす」という流れです。これを「エネルギー危機仮説」と呼ぶこともできます。

エネルギー(ATP)不足によるバリア維持能力の低下

ミトコンドリアの働きが弱まると、当然ながらATPの産生量が減少します。腸管上皮細胞がエネルギー不足に陥ると、レンガ塀のセメントにあたるタイトジャンクションを修復・維持するためのエネルギーが枯渇してしまいます。

その結果、細胞間の結合はもろくなり、バリア機能が低下。リーキーガットが進行してしまうのです。 in vitro(試験管内)の研究では、ミトコンドリアのATP産生を阻害すると、腸管上皮細胞のバリアが急速に壊れることが確認されています。

活性酸素(ROS)の過剰発生によるタイトジャンクションの破壊

機能不全に陥ったミトコンドリアは、エネルギー産生効率が落ちるだけでなく、副産物として活性酸素種(ROS)を過剰に発生させるようになります。適量のROSはシグナル伝達に必要ですが、過剰になると細胞にとって強力な「サビ」となり、細胞自身を傷つけます。

この過剰なROSは、タイトジャンクションを構成するオクルディンやZO-1といったタンパク質を直接酸化・損傷させ、その構造を破壊してしまいます。これにより、細胞間の密着が物理的に緩み、腸の漏れがさらに悪化するのです。

パターン2:リーキーガットがミトコンドリアの機能低下を招くメカニズム

逆に、「腸の漏れが、全身のミトコンドリアの不調を引き起こす」という流れも存在します。

LPS(内毒素)の血中流入と全身性の慢性炎症

リーキーガットによって血液中に漏れ出たLPS(内毒素)は、血流に乗って全身を巡ります。そして、肝臓、筋肉、脂肪組織、さらには脳など、さまざまな臓器の免疫細胞を刺激し、前述した「全身性の慢性炎症」を引き起こします。

炎症性サイトカインによるミトコンドリアへの直接攻撃

この慢性炎症の過程で放出されるTNF-αなどの炎症性サイトカインは、各組織の細胞に作用し、ミトコンドリアに直接的なダメージを与えます。具体的には、ミトコンドリアの膜電位を低下させたり、ミトコンドリア自身からのROS産生をさらに誘導したりして、その機能を低下させてしまうのです。

つまり、

① ミトコンドリア機能低下 → ATP不足・ROS増加 → リーキーガット悪化
② リーキーガット悪化 → LPS流入 → 全身性炎症 → 全身のミトコンドリア機能低下

この①と②が組み合わさることで、一度陥るとなかなか抜け出せない「負の悪循環」が完成してしまうのです。長引く慢性疲労や原因不明の不調の背景には、この悪循環が深く関わっている可能性が非常に高いと考えられます。

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悪循環を断ち切る!リーキーガットとミトコンドリアを同時にケアする栄養療法

では、この絶望的に思える悪循環を断ち切るには、どうすれば良いのでしょうか。

希望はあります。機能性医学・栄養療法では、「腸の修復」と「ミトコンドリアの活性化」という2つの側面から同時にアプローチすることで、この悪循環を断ち切ることを目指します。

栄養療法の基本戦略:「腸の修復」と「ミトコンドリアの活性化」

アプローチのポイントはシンプルです。

  1. 腸管バリアの修復と強化: リーキーガットを改善し、LPSなどの有害物質の侵入を根本から断つ。
  2. ミトコンドリアの機能向上: エネルギー産生を正常化し、酸化ストレスを軽減する。

この両輪を回すために、機能性医学の現場で有効性が示唆されている代表的な栄養素をご紹介します。

腸管バリアの修復と強化に役立つ栄養素

  • グルタミン:グルタミンとは、腸管上皮細胞にとって最も重要なエネルギー源となるアミノ酸の一種です。傷ついた腸粘膜の修復を直接的に促し、タイトジャンクションを強化する働きが報告されています。また、体内で強力な抗酸化物質であるグルタチオンの材料にもなり、腸の酸化ストレスを軽減するのにも役立ちます。
  • N-アセチルシステイン(NAC):NACもまた、体内でグルタチオンの合成を促進する強力な抗酸化物質です。腸の酸化ストレスを和らげ、LPSによって引き起こされる炎症反応を抑制する効果が知られています。ある研究では、NACの投与が腸のタイトジャンクション関連遺伝子の発現を改善し、腸管透過性の上昇を抑えたと報告されています。
  • ビタミンD:ビタミンDは、骨の健康だけでなく、免疫の調節と腸管バリアの維持に極めて重要な役割を果たします。腸上皮細胞にあるビタミンD受容体(VDR)が活性化すると、タイトジャンクションを構成するタンパク質の発現が増え、バリア機能が強化されることがわかっています。ビタミンDが不足すると、バリア機能が低下するという報告もあります。
  • オメガ3系脂肪酸(EPA/DHA):魚油に多く含まれるオメガ3系脂肪酸は、強力な抗炎症作用で知られています。腸内の慢性炎症を鎮め、タイトジャンクションの機能を改善する効果が報告されています。最近の研究では、血中のDHA(オメガ3の一種)濃度が高い人ほど、腸のバリア機能が良好であるという相関関係も示されています。
腸とミトコンドリアの健康を改善する栄養素

ミトコンドリアの機能向上をサポートする栄養素

  • コエンザイムQ10 (CoQ10):コエンザイムQ10とは、ミトコンドリア内でエネルギー(ATP)を産生する電子伝達系の必須構成成分であり、同時に強力な抗酸化物質としても働く補酵素です。CoQ10を補給することで、ミトコンドリアの機能そのものを底上げし、エネルギー産生効率を高め、酸化ストレスから細胞を守ることができます。還元型であるユビキノールは、腸粘膜の炎症を抑え、組織の再生を促す効果も示唆されています。

その他、プロバイオティクスやプレバイオティクス(食物繊維)で腸内環境を整えることや、抗酸化作用を持つポリフェノール(緑茶のカテキンなど)を摂取することも、腸とミトコンドリアの両方にとって有益です。

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【次世代の根本アプローチ】腸内細菌が生み出す奇跡の物質「ウロリチンA」とは?

さて、ここまでは現在知られている栄養療法について解説してきましたが、最後に、この「リーキーガットとミトコンドリアの悪循環」という根深い問題を、全く新しい角度から解決する可能性を秘めた次世代成分「ウロリチンA」についてご紹介します。

ウロリチンAとは

ウロリチンAとは、私たちが特定の食品を食べた際に、腸内にいる特定の細菌の働きによって産生される代謝産物(ポストバイオティクス)のことです。つまり、食品に直接含まれているわけではなく、私たちの腸内細菌叢との共同作業によって初めて生まれる、特別な物質なのです。

ウロリチンAの作り方:特定の食品と”選ばれた腸内細菌”が必要

ウロリチンAを体内で作り出すためには、2つの条件が必要です。

  1. 原料となる「エラグ酸」や「エラジタンニン」を豊富に含む食品を摂取すること
  2. それらをウロリチンAに変換できる能力を持つ腸内細菌が、腸内にいること

原料となるエラグ酸を多く含む食品

ウロリチンAの原料は、ポリフェノールの一種であるエラグ酸です。以下の食品に豊富に含まれています。

食品カテゴリー具体的な食品特徴
果物ザクロ、ラズベリー、ブラックベリー、イチゴ、クランベリー特にザクロの果汁や皮、ラズベリーは含有量が非常に高いことで知られています。
ナッツ類クルミ、ピーカンナッツ特にクルミは優れた供給源です。
飲料オーク樽で熟成させた赤ワイン、緑茶

生産能力の個人差「ウロリチンメタボタイプ」とは?

ここが非常に重要なポイントですが、たとえエラグ酸を豊富に含む食品をたくさん食べたとしても、全ての人がウロリチンAを産生できるわけではありません。この産生能力は、個人の腸内細菌叢に完全に依存しており、産生パターンによって人は3つの「メタボタイプ」に分類されます。

  • メタボタイプA (UM-A): ウロリチンAを効率的に産生できる人。
  • メタボタイプB (UM-B): ウロリチンA以外の関連物質も産生する人。
  • メタボタイプ0 (UM-0): 必要な腸内細菌を持たず、ウロリチンAを全く産生できない「非産生者」。

驚くべきことに、この非産生者(UM-0)は、人口の半数以上、報告によっては60%にも上るとされています。つまり、日本人の2人に1人以上は、ザクロやクルミをいくら食べても、その恩恵を十分に受けられていない可能性があるのです。

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ウロリチンAの驚くべき”二重作用”

では、なぜこのウロリチンAがこれほど注目されているのでしょうか。それは、ウロリチンAが「ミトコンドリアの機能回復」と「腸管バリアの強化」という、まさに悪循環を断ち切るために必要な2つの作用を同時に、かつ強力に発揮するからです。

作用①:ミトコンドリアの品質管理(マイトファジー)を活性化

マイトファジーとは、古くなったり傷ついたりした不良ミトコンドリアを、細胞が自ら分解・除去してリサイクルする、いわば細胞内の「お掃除システム」のことです。

加齢やストレスによってこのマイトファジーの機能が低下すると、エネルギー効率が悪く、活性酸素をまき散らす”不良ミトコンドリア”が細胞内に蓄積してしまいます。

ウロリチンAは、このマイトファジーを強力に活性化することが複数の研究で明らかになっています。これにより、細胞内のミトコンドリア全体の質が向上し、エネルギー産生が回復し、酸化ストレスが軽減されるのです。

作用②:腸管バリアを直接強化し、リーキーガットを修復

ウロリチンAの作用はミトコンドリアだけにとどまりません。腸壁そのものを直接強化する作用も持っています。

  1. タイトジャンクションの増強: ウロリチンAは、タイトジャンクションを構成するタンパク質の発現を高め、細胞間の結合を物理的に”引き締める”ことで、腸の漏れを防ぎます。
  2. 粘液層の増強: 腸のバリアはタイトジャンクションだけでなく、その表面を覆う粘液層も重要です。ウロリチンAは、この保護的な粘液の産生も促進し、バリア機能を二重に強化します。

このように、ウロリチンAは、悪循環の「原因(リーキーガット)」と「結果(ミトコンドリア機能低下)」の両方に同時にアプローチできる、極めてユニークな性質を持っています。

このように、ウロリチンAは、機能性医学の分野で大きな期待が寄せられており、今後の臨床応用が待たれる注目の成分です。

まとめ:根本自立を目指すために~腸とミトコンドリアから始める健康革命~

今回は、長引く不調の裏に潜む「リーキーガット」と「ミトコンドリア機能低下」の根深い関係について、そのメカニズムから最新の栄養療法までを詳しく解説しました。

  • リーキーガット(腸漏れ)とは、 腸のバリア機能が壊れ、毒素などが血中に漏れ出て全身に慢性炎症を引き起こす状態です。
  • ミトコンドリアとは、 細胞のエネルギー工場であり、その機能低下はエネルギー不足と酸化ストレスを招きます。
  • この二つは相互に影響し、「ミトコンドリア不全 ⇔ リーキーガット」という負の悪循環に陥ることで、慢性疲労や自己免疫疾患など様々な不調の原因となります。
  • この悪循環を断ち切るには、グルタミンやCoQ10などの栄養素を用いて「腸の修復」と「ミトコンドリアの活性化」を同時に行う栄養療法が有効です。
  • ウロリチンAは、ミトコンドリアのお掃除(マイトファジー)と腸管バリアの強化という二重作用を持ち、この悪循環を根本から断ち切る大きな可能性を秘めています。
ウロリチンAの二重作用

私たちの体は、一つ一つのパーツが独立して動いているわけではなく、すべてが精巧につながり、影響しあう一個のシステムです。腸を大切にすることはミトコンドリアを元気にすることにつながり、ミトコンドリアをケアすることは腸を守ることにつながります。

もしあなたが今、出口の見えない不調に悩んでいるのであれば、その視点を「腸」と「ミトコンドリア」に向けてみてください。日々の食事を見直し、必要な栄養素を賢く取り入れることが、あなた自身の力で健康を取り戻す「根本自立」への大きな一歩となるはずです。

当院では、詳細な問診や検査を通じて、患者様一人ひとりの体の状態を深く理解し、根本原因にアプローチする最適な治療プランをご提案しています。お悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。

リーキーガットとミトコンドリアに関するQ&A

Q1. 「リーキーガット」は正式な病名なのでしょうか?病院で診断してもらえますか?

A1.

「リーキーガット症候群」という言葉は、まだ日本の多くの保険診療の現場で正式な病名として扱われているわけではありません。しかし、これは単なる俗称ではなく、科学的には「腸管透過性亢進(ちょうかんとうかせいこうしん)」として定義される、明確な病態です。

機能性医学の分野では、この腸管透過性亢進が、アレルギーや自己免疫疾患、慢性疲労といった様々な不調の根本原因の一つであると考え、非常に重要視しています。

診断については、一般的な健康診断で項目があるわけではありませんが、専門的な医療機関では以下のような検査を通じて腸のバリア機能の状態を評価することが可能です。

  • ゾヌリン検査: 腸のタイトジャンクションを緩めてしまうタンパク質「ゾヌリン」の血中濃度や便中濃度を測定します 2。この数値が高いと、腸管の透過性が亢進している可能性が示唆されます。
  • LPS(リポ多糖)検査: 腸から漏れ出た内毒素であるLPSの血中濃度を測定します。これも腸のバリア機能を知るための重要な指標となります。
  • 遅延型フードアレルギー検査: 血液中のIgG抗体を測定し、どの食物に対して免疫系が過剰に反応しているかを調べます。多数の食物に陽性反応が出る場合、背景にリーキーガットが隠れている可能性があります。

これらの検査は、不調の根本原因を探るための有力な手がかりとなります。

Q2. 慢性的に疲れがとれません。これもミトコンドリアの機能低下が関係しているのでしょうか?

A2.

その可能性は非常に高いと考えられます。

ミトコンドリアは、私たちの活動エネルギーの源であるATP(アデノシン三リン酸)を作り出す「細胞の発電所」です。この発電所の働きが弱まると、当然ながら全身でエネルギー不足が起こり、それが「原因不明の慢性疲労」として体感されるのです。

さらに、ブログで解説した「悪循環」が関係してきます。

  1. リーキーガットによって腸から漏れ出たLPS(内毒素)が全身に軽い炎症を引き起こします。
  2. この慢性炎症によって放出される炎症性サイトカイン(TNF-αなど)が、全身の細胞のミトコンドリアに直接ダメージを与え、その機能をさらに低下させます。
  3. ミトコンドリアの機能が落ちると、腸のバリアを維持するエネルギーも不足し、リーキーガットがさらに悪化します。

このように、「腸の漏れ」と「ミトコンドリアの機能低下」が互いを悪化させあうことで、なかなか抜け出せない慢性疲労のループに陥ってしまうのです。疲れの根本原因を探る上で、ミトコンドリアの機能は非常に重要な視点です。

Q3. ウロリチンAを体内で作るために、ザクロやクルミを毎日食べれば良いですか?

A3.

ザクロやベリー類、クルミなどがウロリチンAの原料となるエラグ酸を豊富に含むため、それらを積極的に摂取することは素晴らしい第一歩です。

しかし、ここで非常に重要なのが、「ウロリチンメタボタイプ」という個人差の存在です。ウロリチンAは、食品中のエラグ酸を、腸内にいる特定の細菌が代謝することによって初めて産生されます。

研究報告によると、このウロリチンAを産生できる能力を持つ細菌が腸内にいない「非産生者」は、人口の半数以上(多い報告では60%)にも上るとされています。

つまり、2人に1人以上は、たとえ原料となる食品をたくさん食べても、体内でウロリチンAを十分に作り出すことができない可能性があるのです。

この個人差の問題を解決するために、メタボタイプに関わらず誰でも確実に有効成分を摂取できる「ウロリチンA」のサプリメントが開発され、慢性疾患の予防や治療における新たなアプローチとして世界的に注目されています。

Q4. ブログで紹介されていた栄養素(グルタミン、CoQ10など)は、全部まとめて摂取した方が効果的ですか?

A4.

ご紹介した栄養素は、科学的にもリーキーガットやミトコンドリア機能の改善に有効であることが示唆されています。しかし、自己判断で闇雲にたくさんのサプリメントを始めることはお勧めしません。

機能性医学におけるアプローチの基本は、「個体差」を考慮することです。

まず大切なのは、食事内容の見直しです。加工食品や高脂肪食、ご自身に合わない食品(グルテンや乳製品など)を避け、腸に負担の少ない食事を心がけることが大前提となります。

その上で、どの栄養素が、どのくらい不足しているのかを専門的な検査などで評価し、ご自身の体の状態に合わせて、本当に必要なものを、適切な品質と量で補充することが重要です。例えば、腸のバリア修復を優先すべきなのか、ミトコンドリアのエネルギー産生を強力にサポートすべきなのか、あるいは抗酸化による炎症抑制が急務なのか、人によって最適なアプローチは異なります。

サプリメントは非常に強力なツールですが、専門家と相談しながら、ご自身の体質や状態に合わせたオーダーメイドの栄養療法を実践することが、根本改善への一番の近道となります。

最後に(免責)

本記事の内容は、医学的治療に置き換わるものではありません。個人的にお試しになり健康被害が生じても、当院では一切責任を負えませんのでご了承下さい。

病態の改善に必要な食事・サプリメントはひとりひとり異なります。

基本的に、主治医と相談しながら治療を進めていただければと思います。

オンライン診療対象地域

青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県、茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、新潟県、富山県、石川県、福井県、山梨県、長野県、岐阜県、静岡県、愛知県、三重県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県、鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県、徳島県、香川県、愛媛県、高知県、福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県

北海道と沖縄県はバイオロジカル検査の送付ができません。バイオロジカル検査の送付が必要なければオンラインでの診察はできます。

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