表参道・原宿の東京原宿クリニック 院長の篠原です。

「最近、原因不明の蕁麻疹や鼻炎、取れない疲労感に悩まされている…」
もし、あなたがそのようなお悩みをお持ちでしたら、それはもしかすると「ヒスタミン不耐症」という、まだあまり知られていない“隠れヒスタミン中毒”が原因かもしれません。
ヒスタミン不耐症は、アレルギーとよく似た症状を引き起こしますが、通常のアレルギー検査では異常が見つからず、長年つらい症状に苦しんでいる方が少なくありません。
この記事では、ヒスタミン不耐症の基礎知識から、近年注目されている副腎疲労との複雑な関係、そして具体的な症状チェック、検査法、治療アプローチ、さらには日々の食事で実践できる低ヒスタミン食のリストや生活習慣のポイントまで、専門的な視点からわかりやすく解説します。諦めかけていたその不調、解決の糸口がきっと見つかるはずです。
ヒスタミン不耐症でお悩みの方は、栄養外来で診察しておりますので、以下よりご検討をお願いいたします。

Contents
- 1 ヒスタミン不耐症とは?基礎知識を3分で理解
- 2 ヒスタミン関連疾患の違い
- 3 動画で概説
- 4 副腎疲労とヒスタミン不耐症の相互作用
- 5 症状セルフチェック:ヒスタミン+副腎サインを見逃さない
- 6 検査・診断:数値で可視化する3つの指標
- 7 発症メカニズムとリスク因子を解剖する
- 8 治療と対策:西洋医学 × 栄養療法 × 機能性医学の三本柱
- 9 低ヒスタミン食+副腎サポート栄養プラン
- 10 ライフスタイルで再発を防ぐ8つのポイント
- 11 当院の統合アプローチと関連リソース
- 12 まとめ
- 13 ヒスタミン不耐症に関するFAQ(よくあるご質問)
- 14 オンライン診療対象地域
- 15 無料レポート新リリースしましたのでお受け取りください!
ヒスタミン不耐症とは?基礎知識を3分で理解
まず、ヒスタミン不耐症を理解するために、「ヒスタミン」そのものについて知ることから始めましょう。
ヒスタミンは、免疫反応や神経伝達、胃酸分泌など、私たちの体で多くの重要な役割を担う生理活性物質です。しかし、生命維持に不可欠な一方で、そのバランスが崩れて体内で過剰になると、アレルギー様の症状をはじめとする様々な不快な問題を引き起こす「諸刃の剣」でもあります。
ヒスタミン不耐症とは、このヒスタミンを体内で適切に分解・処理できなくなった状態を指します。その結果、食事から摂取したヒスタミンや体内で生成されたヒスタミンが過剰に蓄積し、蕁麻疹、鼻炎、頭痛、疲労感など、多岐にわたる症状を引き起こすのです(論文)。
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ヒスタミン中毒・アレルギー・MCAS との違い
ヒスタミン不耐症の症状は、他のヒスタミン関連疾患と似ているため混同されがちですが、そのメカニズムは根本的に異なります。これらの違いを理解することが、適切な診断への第一歩となります。
- ヒスタミン中毒(スコブロイド食中毒) 主に鮮度の落ちた魚介類(マグロ、サバ、イワシなど)に含まれる高濃度のヒスタミンを摂取することで起こる食中毒の一種です。これは体の免疫反応とは無関係で、摂取したヒスタミンの「量」に依存します。健康な人でも、大量のヒスタミンを摂取すれば誰にでも起こりうるのが特徴です。症状は食後数分から1時間程度で現れ、頭痛、顔面紅潮、蕁麻疹、腹痛などが見られますが、比較的短時間で軽快することが多いです(論文)。
- 食物アレルギー 特定の食物に含まれるタンパク質成分(アレルゲン)に対して、体の免疫システムが過剰に反応し、IgE抗体という物質を介して症状が引き起こされる状態です。ヒスタミン不耐症も食物によって症状が出ますが、これは免疫反応を介さない「食物不耐症」の一種であり、メカニズムが根本的に異なります。食物アレルギーの症状は時にアナフィラキシーショックなど重篤化する可能性があります。
- マスト細胞活性化症候群 (MCAS) マスト細胞(ヒスタミンなどを貯蔵する免疫細胞)が、何らかの原因で不適切かつ過剰に活性化し、ヒスタミンをはじめとする様々な化学伝達物質を一度に大量に放出してしまう病態です。症状はヒスタミン不耐症と非常に似ていますが、MCASではヒスタミン以外の多様なメディエーターも関与するため、より多彩で重篤な症状が出ることがあります(論文)。
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ヒスタミン関連疾患の違い
特徴 | ヒスタミン中毒 | 食物アレルギー(IgE介在性) | ヒスタミン不耐症 | マスト細胞活性化症候群(MCAS) |
主なメカニズム | 高濃度ヒスタミンの経口摂取 | 特定アレルゲンへの免疫反応(IgE関与) | ヒスタミン分解能の低下、処理能力の超過 | マスト細胞の不適切な活性化、メディエーター放出 |
免疫反応の関与 | なし | あり | なし(食物不耐症の一種) | あり(マスト細胞の異常反応) |
主な原因 | 鮮度の落ちた青魚など | 特定の食物アレルゲン | 高ヒスタミン食品、DAO阻害食品、腸内環境の乱れなど | 多様なトリガー(ストレス、薬剤、感染など) |
症状発現 | 食後数分~1時間 | 食後数分~数時間 | 食後数分~数時間、時に遅れて発現 | 急性・慢性のエピソード性 |
重症度 | 軽度~中等度 | 軽度~アナフィラキシー | 不快だが生命を脅かすことは稀 | 軽度~重度、多岐にわたる |
これらの状態は症状が重なるため、自己判断は禁物です。正確な診断と適切な対応のためには、専門医に相談することが非常に重要です。
動画で概説
動画で概要を理解されたい方はこちらから御覧ください。
DAO/HNMT が担う分解ルートと“ヒスタミン・バケツ理論”
私たちの体には、ヒスタミンを処理するための2つの主要な分解酵素があります。
- ジアミンオキシダーゼ (DAO): 主に小腸の粘膜に存在し、食事から摂取されるヒスタミン(細胞外ヒスタミン)を分解する主要な酵素です。DAOは、ヒスタミンが体内に吸収される前の「入り口」で働く、いわば門番のような役割を担っています。腸内環境の状態はDAOの働きに大きく影響します(論文)。
- ヒスタミン-N-メチルトランスフェラーゼ (HNMT): 主に肝臓、腎臓、気道、そして脳などの中枢神経系に広く分布し、細胞内に取り込まれたヒスタミンを分解する酵素です。この酵素は「メチル化」というプロセスを通じてヒスタミンを不活性化します。そのため、HNMTが十分に機能するためには、メチル化サイクルをサポートするビタミンB群(特にB12、葉酸)などの栄養素が必要です。
これらの酵素の働きが低下すると、体内でヒスタミンが過剰になります。このメカニズムを理解しやすくするのが「ヒスタミン・バケツ理論」です。
- バケツの大きさ: あなたのヒスタミン処理能力(DAO/HNMT酵素の活性度、栄養状態など)。
- バケツに注がれる水: 食事からのヒスタミン、腸内での産生、ストレスによる放出など。
- バケツから水が溢れる: 処理能力を超えたヒスタミンが、蕁麻疹や頭痛などの症状として現れます。

健康な状態では、ヒスタミン(水)が注がれても、分解酵素がしっかり働きバケツから溢れることはありません。しかし、高ヒスタミン食の摂取、DAO活性の低下、腸内環境の悪化、ストレスなどが重なると、バケツからヒスタミンが溢れ出し、症状を引き起こすのです。
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副腎疲労とヒスタミン不耐症の相互作用
原因不明の慢性疲労として知られる「副腎疲労」とヒスタミン不耐症は、密接に関連し、互いに症状を悪化させる悪循環を生み出していることがあります。
副腎疲労とは、慢性的なストレスにより副腎が疲弊し、強力な抗炎症作用を持つホルモン「コルチゾール」の分泌が乱れる状態です。より正確には、脳の司令塔である「HPA軸」の機能が低下した状態(HPA軸機能障害)と考えられています。副腎疲労につきましては、こちらもご参照ください。
コルチゾール低下でヒスタミン炎症が暴走する仕組み
コルチゾールは、マスト細胞からのヒスタミンの過剰な放出を抑制し、炎症を鎮める「火消し役」です。しかし、副腎疲労でコルチゾールの働きが低下すると、この火消し役が機能しなくなり、ヒスタミンという「火種」が容易に燃え広がり、炎症が「暴走」しやすくなります(論文)。
ストレスホルモンがマスト細胞を直接刺激する経路
ストレスを感じると、脳からCRH(副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン)が分泌されます。このCRHは、コルチゾール分泌を促すだけでなく、皮膚や腸に存在するマスト細胞を直接刺激し、ヒスタミンの放出を誘発することがわかっています。つまり、ストレス自体がヒスタミンレベルを上昇させるのです(論文)。

悪循環シナリオ:HPA 軸機能低下 → DAO 枯渇 → 症状増悪
副腎疲労とヒスタミン不耐症の間には、以下のような負の連鎖が存在します。
- HPA軸機能低下 → 自律神経が乱れ、腸内環境が悪化(リーキーガット、SIBOなど)。
- 腸内環境の悪化 → 腸管粘膜の炎症により、DAOの産生・活性が低下。
- DAOの枯渇 → ヒスタミンが分解されず体内に蓄積。症状が悪化し、全身の慢性炎症を招く。
- 慢性炎症 → さらなるストレス源となり、HPA軸に追い打ちをかけ、疲弊が進行。
この悪循環を断ち切るには、HPA軸のサポート、腸内環境の改善、ヒスタミン負荷の軽減という多角的なアプローチが不可欠です。
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副腎疲労を改善させながらヒスタミン不耐症を改善させたいという方は当院栄養外来をご検討ください。

症状セルフチェック:ヒスタミン+副腎サインを見逃さない
ご自身の体調を振り返り、ヒスタミン不耐症と副腎疲労のサインがないかチェックしてみましょう。総合得点が10点以上ある場合は、受診をおすすめいたします。
ご心配な症状があってメールでのお問い合わせをご希望の方は、こちらよりお願いいたします。
皮膚(蕁麻疹・紅潮)/呼吸器(鼻炎・喘息)/神経(頭痛・不眠)
ヒスタミン不耐症では、以下のような多彩な症状が現れます。
- 皮膚症状: 蕁麻疹、かゆみ、皮膚の赤み・ほてり、湿疹、アトピー
- 呼吸器症状: 鼻水、鼻づまり、くしゃみ、咳、息苦しさ
- 神経系症状: 頭痛、片頭痛、めまい、不眠、不安感、集中力低下(ブレインフォグ)
- 消化器症状: 腹痛、腹部膨満感、下痢、便秘、吐き気、胸やけ
- 循環器症状: 動悸、頻脈、低血圧
- その他: 慢性的な疲労感、倦怠感、月経痛の悪化
朝の疲労感・低血圧・午後の眠気など副腎疲労指標
副腎疲労では、以下のようなサインが見られます。
- 朝、起きるのが非常につらい。
- 熟睡したはずなのに、朝から疲れている。
- 立ちくらみやめまいを感じやすい(低血圧)。
- 午後に急激な眠気に襲われる。
- 甘いものや塩辛いものが無性に食べたくなる。
- カフェインがないと一日を乗り切れない。
- ストレスにうまく対処できない、イライラしやすい。
- 風邪をひきやすく、治りにくい。
これらの症状が複数当てはまる場合、両方の可能性を視野に入れた対策が必要です。
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ヒスタミン負荷で悪化するケーススタディ
- ケース1: 熟成チーズと赤ワインを楽しんだ数時間後、激しい頭痛と蕁麻疹に見舞われた。
- ケース2: 仕事の繁忙期で睡眠不足が続くと、普段と同じ食事でもひどい頭痛と倦怠感に襲われるようになった。
- ケース3: 健康のためにと摂取したプロバイオティクスで、かえってお腹の張りがひどくなった(SIBOや腸内カンジダの可能性)。
ご自身の症状が「いつ、何をしたら、どうなったか」を記録する症状日記をつけることが、原因特定への第一歩となります。
検査・診断:数値で可視化する3つの指標
ヒスタミン不耐症や関連する不調の診断には、問診に加え、体内で何が起きているかを客観的に評価するための各種検査が有効です。
唾液コルチゾール検査・DHEA
副腎疲労(HPA軸機能低下)の評価には、唾液を用いたホルモン検査が有用です。
- 唾液中コルチゾール日内変動検査: 1日のうち4点(朝、昼、夕、夜)、もしくは6点の唾液を採取し、コルチゾールの分泌リズム(サーカディアンリズム)を評価します。副腎疲労の状態ではこのリズムが乱れます。
- DHEA: 副腎から分泌される「マザーホルモン」で、コルチゾールとのバランスが重要です。DHEAの低下は副腎疲労の進行を示唆します。唾液コルチゾール検査につきましては、こちらもご参照ください。
腸内有機酸・腸内フローラ検査で“ヒスタミン産生源”を特定
腸内環境の問題は、ヒスタミン不耐症の根本原因となることがあります。
- 尿中有機酸検査 (OAT): 尿中の有機酸を測定し、カンジダ菌などの真菌の異常増殖や、ミトコンドリア機能、ビタミン・ミネラルの過不足などを網羅的に評価します。尿中有機酸検査についてはこちらもご参照ください。
- GIMAP検査: 便中の細菌をPCR技術で調べることで、ヒスタミンを産生する菌を同定することができます。GIMAP検査につきましては、こちらもご参照ください。
遺伝子検査でDAOやHNMTなどのヒスタミン代謝経路のクセをみていく
遺伝子の情報は、生まれながらにもっているもので変えられませんが、後天的にその遺伝子の発現を高める施策を考えることもできます。遺伝子検査はヒスタミン不耐症の確定診断ではありませんが、自分のヒスタミン代謝のクセを知ることで、対処法などを知ることもできます。

発症メカニズムとリスク因子を解剖する
ヒスタミン不耐症の発症には、遺伝的素因から後天的な要因まで、様々なリスク因子が複雑に関与しています。
遺伝的 DAO 低活性 vs 後天的栄養欠乏(B6・C・銅)
- 遺伝的要因: DAO酵素を作る遺伝子のタイプによっては、生まれつきヒスタミンを分解する能力が低い「体質」の人がいます。
- 後天的な栄養欠乏: DAO酵素が働くためには、ビタミンB6、ビタミンC、銅、亜鉛といった補因子が不可欠です。これらの栄養素が不足すると、DAOの活性は低下します(B6論文, VC論文)
腸内環境破綻(SIBO・リーキーガット・カンジダ)
腸内環境の乱れは、ヒスタミン不耐症の強力なリスク因子です。
- SIBO(小腸内細菌異常増殖): 異常増殖した細菌が、食物中のヒスチジンを原料にヒスタミンを大量に産生します。SIBOについてはこちらもご参照ください。
- リーキーガット(腸管壁浸漏症候群): 腸のバリア機能が壊れ、通常より多くのヒスタミンが血中に漏れ出してしまいます。リーキーガットにつきましては、こちらもご参照ください。
- カンジダ(腸管カンジダ症): カンジダ菌の異常増殖は、毒素を産生してリーキーガットを悪化させたり、アレルギー反応を介してヒスタミン放出を促したりします。腸カンジダにつきましては、こちらもご参照ください。
慢性ストレス・睡眠不足・交感神経優位
現代的な生活習慣も大きなリスクとなります。
- 慢性ストレス: HPA軸の機能低下(副腎疲労)を引き起こし、コルチゾールの抗炎症作用を弱め、CRHを介してマスト細胞を直接刺激します。
- 睡眠不足: HPA軸のリズムを乱し、免疫機能を低下させ、炎症を悪化させます。
- 交感神経優位: 自律神経のバランスが乱れ、交感神経が過剰に優位な状態になると、消化機能が悪化し、マスト細胞が活性化されやすくなります。

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治療と対策:西洋医学 × 栄養療法 × 機能性医学の三本柱
ヒスタミン不耐症の治療は、一つの方法に頼るのではなく、西洋医学、栄養療法、機能性医学のアプローチを組み合わせた三本柱で進めることが効果的です。
抗ヒスタミン薬・クロモグリク酸・マスト細胞安定化剤
西洋医学では、まずつらい症状を緩和するための対症療法を行います。
- 抗ヒスタミン薬: ヒスタミンが受容体に結合するのをブロックし、蕁麻疹やかゆみなどの症状を抑えます。
- マスト細胞安定化剤(クロモグリク酸など): マスト細胞からのヒスタミン放出自体を抑制します。
これらは根本治療ではありませんが、QOL(生活の質)を改善するために有効な手段です。
DAO サプリ+ビタミン C/B6/亜鉛・アダプトゲンで副腎サポート
体の内側から体質を改善する栄養療法も重要です。
- DAO酵素サプリメント: 食事由来のヒスタミンを腸内で直接分解するのを助けます。外食時などに特に有効です。
- DAO機能サポート栄養素: ビタミンC、ビタミンB6、亜鉛、銅などを補給し、体内のDAO酵素の働きを助けます。
- 副腎サポート: アシュワガンダやロディオラなどのアダプトゲンハーブや、ビタミンB群(特にB5)、マグネシウムなどを活用し、ストレスへの抵抗力を高め、HPA軸の機能をサポートします。
腸内環境リセットとメチル化サポートの優先順位
根本原因へのアプローチとして、以下の二つが鍵となります。
- 腸内環境のリセット: ヒスタミン不耐症の治療において、多くの場合、最優先で取り組むべき課題です。SIBOやカンジダの除菌、リーキーガットの修復を行い、ヒスタミンの過剰な産生と吸収を断ち切ります。
- メチル化サポート: 細胞内のヒスタミン分解酵素(HNMT)の働きには、メチル化という化学反応が不可欠です。活性型ビタミンB群(B12, B9, B6, B2)などを補給し、このプロセスをサポートすることも、体質によっては非常に有効です。
一般的には、まず腸という「土台」を整えることが、ヒスタミン代謝全体の正常化にとって極めて重要です。

低ヒスタミン食+副腎サポート栄養プラン
日々の食事が、治療の最も重要な土台となります。
食べて良い/避ける食品リスト(鮮度・発酵度で分類)
低ヒスタミン食の基本は、「新鮮な食材を、シンプルに調理して食べる」ことです。ヒスタミンは時間の経過とともに増加するため、鮮度が何よりも重要です。
▼ 避けるべき食品(高ヒスタミン/ヒスタミン遊離/DAO阻害)
カテゴリー | 具体例 |
発酵・熟成食品 | 熟成チーズ、味噌、醤油、納豆、キムチ、ヨーグルト、酢(醸造酢)、アルコール類(特に赤ワイン、ビール) |
加工肉・魚 | ハム、ソーセージ、ベーコン、サラミ、魚の干物、缶詰、燻製 |
特定の魚介類 | サバ、マグロ、イワシ、ブリ等の青魚、エビ、カニ、貝類(特に鮮度が落ちたもの) |
特定の野菜 | トマト、ほうれん草、ナス、アボカド |
特定の果物 | 柑橘類、イチゴ、バナナ、パイナップル、キウイ、ドライフルーツ |
ナッツ類 | クルミ、カシューナッツ、ピーナッツ |
その他 | チョコレート、ココア、食品添加物(亜硫酸塩、安息香酸など)、紅茶、緑茶 |

▼ 比較的食べて良い食品(低ヒスタミン)※注意: このリストは一般的な目安です。ご自身の体調を観察しながら、食べられるもの、食べられないものを見極めることが最も重要です。
カテゴリー | 具体例 |
肉類・魚介類 | 新鮮な鶏肉、新鮮な豚肉、新鮮な牛肉、新鮮なラム肉、新鮮な白身魚(タラ、カレイなど)、サケ |
野菜 | レタス、キャベツ、ブロッコリー、カリフラワー、人参、大根、きゅうり、玉ねぎ、さつまいもなど |
果物 | りんご、梨、ぶどう、ブルーベリー、メロン、桃など |
穀物・芋類 | 米、キヌア、オーツ麦(GF)、さつまいも、じゃがいも |
乳製品代替 | ココナッツミルク、アーモンドミルク(無糖)、ライスミルク |
良質な油 | オリーブオイル、ココナッツオイル、MCTオイル、ギー |
飲み物 | 水、ハーブティー(カモミール、ペパーミント、ルイボスなど)、麦茶 |
電解質・良質塩分・MCTで“副腎タンク”を満たす方法
副腎疲労の状態では、体のエネルギー産生やミネラルバランスが乱れがちです。
- 電解質と良質な塩分: 副腎疲労では、ナトリウムを保持するホルモンの働きが低下し、塩分が失われやすくなります。ミネラル豊富な海塩や岩塩などを適度に摂取することが、倦怠感や立ちくらみの改善に繋がります。
- MCTオイル: ココナッツオイルなどに含まれる中鎖脂肪酸は、速やかにエネルギーに変換されるため、エネルギー不足や血糖値の不安定さを抱える人に安定したエネルギーを供給します。
ライフスタイルで再発を防ぐ8つのポイント
食事療法と並行して、日々の生活習慣を見直すことが、根本的な改善と再発防止に繋がります。
- 23時までの就寝: 質の高い睡眠は、HPA軸のリズムを整えるための土台です。
- 朝の光曝露: 朝日を浴びることで体内時計がリセットされ、コルチゾールの正常な分泌リズムを促します。
- 低強度有酸素運動: ウォーキングや軽いジョギングは、副交感神経を優位にし、ストレスを軽減します。※激しい運動は逆効果になることも。
- HRV呼吸法(ゆっくりとした深い呼吸): 意識的に呼吸を整えることで自律神経のバランスを調整し、心身をリラックスさせます。
- サウナ・高温多湿の回避: 高温はヒスタミン症状(特にかゆみ)の誘因となることがあります。利用する際は水分補給を忘れずに。
- アルコールの回避: アルコールはヒスタミンを多く含むだけでなく、DAO酵素の働きを阻害するため、最も避けるべきものの一つです。
- ストレスマネジメントの実践: 瞑想、ヨガ、自然に触れる時間など、自分に合った方法で心と体をリラックスさせましょう。
- 化学物質への曝露を減らす: 香りの強い洗剤や化粧品、農薬なども、過敏な人にとってはトリガーとなり得ます。可能な範囲で自然なものを選びましょう。

当院の統合アプローチと関連リソース
当院では、ヒスタミン不耐症やそれに伴う副腎疲労、腸内環境の問題など、複雑に絡み合う不調に対し、機能性医学的なアプローチを組み合わせた統合的な治療を行っています。
初診〜フォローアップの治療フロー(検査 ➜ 栄養 ➜ ライフスタイル)
- 詳細な問診: 現在の症状から生活習慣、ストレス状況まで詳しくお伺いし、原因を探ります。
- 各種検査: 必要に応じ、唾液コルチゾール、GIMAP、有機酸検査などを実施し、不調の根本原因を可視化します。
- 統合的治療プランの策定: 検査結果に基づき、食事療法、医療用サプリメントによる栄養療法、ライフスタイル指導を組み合わせた、あなただけの治療プランをご提案します。
- 定期的なフォローアップ: 定期的に効果を確認し、プランを柔軟に見直しながら、ゴールを目指します。
ご興味のある方は栄養外来をご検討ください。

関連ブログ:〈SIBO〉〈腸カンジダ〉〈副腎疲労サプリ〉〈ブレインフォグ〉
ヒスタミン不耐症と関連の深いテーマについて、当院のブログでさらに詳しく解説しています。ぜひ合わせてご覧ください。
- 〈SIBO(小腸内細菌異常増殖)〉– お腹の張りの原因はこれかも?SIBOの症状・検査・治療法
- 〈腸カンジダ〉– 甘いものがやめられない?腸内カンジダ症のサインと対策
- 〈副腎疲労サプリメント〉– 本当に効くサプリは?選び方と注意点
- 〈ブレインフォグ〉– 頭がぼーっとする…その原因と改善アプローチ
まとめ
「もしかして私もヒスタミン不耐症かも…」「長年の不調の原因を知りたい」
そう思われた方は、まずはお気軽に当院のお問い合わせフォームをご利用ください。簡単な質問にお答えいただくだけで、あなたの症状とヒスタミン不耐症や副腎疲労との関連性について、簡単なアドバイスをさせていただきます。
より詳しい検査や根本からの治療をご希望の方は、初診予約も承っております。
あなたの「隠れた不調」の原因を見つけ出し、健やかな毎日を取り戻すお手伝いをさせていただきます。
ヒスタミン不耐症に関するFAQ(よくあるご質問)
Q1: ヒスタミン不耐症は治りますか?
A1: ヒスタミン不耐症は、病気というよりは「体質」や「状態」に近いものです。そのため、「完治」を目指すというよりは、ご自身の体内のヒスタミン量をコントロールし、症状が出ない快適な状態を維持する「管理」をしていくことが目標となります。
「ヒスタミン・バケツ」の理論で言えば、食事療法や生活習慣の改善によってバケツからヒスタミンが溢れないようにコントロールすることで、症状なく過ごすことは十分に可能です。根本原因(腸内環境の乱れや副腎疲労など)が改善されれば、以前よりもヒスタミンに対する耐性がつき、食事の制限を緩められるケースも多くあります。
Q2: 低ヒスタミン食は一生続けないといけませんか?
A2: 必ずしも一生涯、厳しい食事制限を続ける必要はありません。低ヒスタミン食は、以下の2つのステップで進めるのが一般的です。
- 除去期間 : まずは体内の過剰なヒスタミンを減らし、炎症を鎮めるために、高ヒスタミン食品を厳格に避けます。この期間で症状が改善するかどうかを確認します。その間に副腎疲労を改善したり、腸内環境を改善することを行っていきます。
- 再導入期間(チャレンジテスト): 症状が落ち着いたら、避けていた食品を一つずつ、少量から試していきます。これにより、ご自身がどの食品に、どのくらいの量までなら反応しないかという「個人の耐性」を把握することができます。
最終的な目標は、ご自身の体と相談しながら、安全に楽しめる、栄養バランスの取れた食事の範囲を見つけることです。
Q3: なぜ健康的な食品(トマト、ほうれん草、発酵食品など)を避けなければいけないのですか?
A3: これらの食品は一般的には非常に栄養価が高く健康的ですが、ヒスタミン不耐症の方にとっては症状の引き金になり得ます。問題は食品そのものではなく、体内のヒスタミンを分解する能力とのバランスにあります。
- トマト、ほうれん草、ナスなど: 食品自体にヒスタミンが多く含まれています。
- 発酵食品(ヨーグルト、納豆、味噌など): 発酵の過程で微生物によってヒスタミンが大量に生成されます。
- イチゴ、柑橘類など: ヒスタミンを多く含むわけではありませんが、体内のマスト細胞からヒスタミンの放出を促す(ヒスタミン遊離作用)働きがあります。
体がヒスタミンを十分に処理できない状態の時にこれらの食品を摂ると、「ヒスタミン・バケツ」が溢れてしまうのです。
Q4: サプリメントは有効ですか?
A4: はい、食事療法や生活習慣の改善と組み合わせることで、非常に有効なサポートとなります。ただし、サプリメントだけで解決するわけではない点を理解することが重要です。
- DAO酵素サプリメント: 食事由来のヒスタミンを腸内で分解するのを助けるため、特に外食時など、高ヒスタミン食を食べる直前に摂取すると症状の予防・軽減に役立ちます。
- ビタミンC、ビタミンB6、亜鉛、銅など: 体内でDAO酵素が働くのを助ける補因子です。これらの栄養素を補うことで、ヒスタミン分解能力の向上をサポートします。
- 副腎サポートサプリメント: 副腎疲労が背景にある場合、ビタミンB群やアダプトゲンハーブなどがHPA軸の機能を整え、間接的にヒスタミン症状の改善に繋がることがあります。
Q5: 病院の検査で「アレルギーではない」と言われましたが、症状があります。なぜですか?
A5: それは、ヒスタミン不耐症のメカニズムが、一般的な食物アレルギーとは異なるためです。
- 一般的なアレルギー(IgE介在性): 体の免疫システムが特定の食品を「異物」とみなし、IgE抗体を作って攻撃することで起こる「免疫反応」です。アレルギー検査ではこのIgE抗体を測定します。
- ヒスタミン不耐症: 免疫反応ではなく、体内のヒスタミン分解酵素(DAOなど)の働きが弱い、または処理能力を超える量のヒスタミンが体内にあることで起こる「代謝の問題」です。
そのため、通常のアレルギー検査では異常が見つかりません。ヒスタミン不耐症の診断には、ブログ本文で紹介したようなDAO活性測定や、食事除去試験・チャレンジテストが重要になります。
Q6: ストレスを感じると症状が悪化するのはなぜですか?
A6: ストレスは、ヒスタミン不耐症の症状を悪化させる非常に大きな要因です。これには2つの主な理由があります。
- HPA軸の乱れによる抗炎症作用の低下: 慢性的なストレスは副腎を疲弊させ、抗炎症ホルモンであるコルチゾールの分泌を乱します。これにより、体内の炎症を抑える力が弱まり、ヒスタミンによる症状(かゆみや蕁麻疹など)が強く出やすくなります。
- CRHによるマスト細胞の直接刺激: ストレスを感じると、脳から分泌されるCRHというホルモンが、マスト細胞を直接刺激してヒスタミンを放出させることがわかっています。
つまり、ストレスは「ヒスタミン・バケツ」に内側から水を注ぎ、さらにバケツの耐久性(炎症を抑える力)をもろくしてしまうのです。
最後に(免責)
本記事の内容は、医学的治療に置き換わるものではありません。個人的にお試しになり健康被害が生じても、当院では一切責任を負えませんのでご了承下さい。
病態の改善に必要な食事・サプリメントはひとりひとり異なります。
基本的に、主治医と相談しながら治療を進めていただければと思います。
オンライン診療対象地域
青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県、茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、新潟県、富山県、石川県、福井県、山梨県、長野県、岐阜県、静岡県、愛知県、三重県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県、鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県、徳島県、香川県、愛媛県、高知県、福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県
北海道と沖縄県はバイオロジカル検査の送付ができません。バイオロジカル検査の送付が必要なければオンラインでの診察はできます。
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