表参道・原宿の東京原宿クリニック院長の篠原です。
副腎疲労で悩まれている方は多いかもしれませんが、自分が副腎疲労であるかどうかをまずは適切に評価することが大事になります。自分のスタート地点を把握することによってどのように改善していくのか、改善するまでの期間を推定することができるようになります。
今回は、自分の副腎疲労がどの程度なのかを評価するための、「唾液コルチゾール検査」についてお話したいと思います。
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動画で概要を理解されたい方はこちらをご参照ください。
Contents
副腎疲労の3ステージモデル
副腎は単独で疲れているわけではなく、脳と密接に関わっていて、そのことをHPA軸(H:視床下部、P:下垂体、A:副腎)と言っております。副腎疲労についてはこちらもご参照下さい。

副腎疲労とは、HPA軸の乱れということでもあります。この乱れの進行度として、3段階モデルとしてよく使われてきました。
以下の図を参照してください。

ストレスがかかりはじめると、コルチゾールがまず上昇します(ステージ1)↑
その一方で、DHEAレベルは正常〜ゆっくり低下しはじめます↴
ステージ1においてはほとんど症状はでませんが、過剰なコルチゾールによって、インスリン抵抗性や不安症状などが生じ始めます。
さらに慢性的なストレスが続いていると、コルチゾールは低くなりますが(ステージ2)、その量は正常と同じぐらいの量に下がります。
では、どのように正常とステージ2を見分けるかというと、DHEAレベルを見れば、ステージ2では正常より低くなっています。
ステージ2以降では、脳がコルチゾールを出せという命令(ACTH)が低下(=脳の適応)していると考えられます。
さらにストレスが続くと、ステージ3に至り、バーンアウト状態と考えられています。グラフからは、DHEAはさらに低下していることがわかると思います。
ここまで進行すると、治療が困難になり、回復まで時間がとても(年単位)かかることになります。
この進行グラフは、ハンス・セリエのストレス理論から考えられたものであり、実際にこの通りに当てはまりにくい結果も存在します。
ところが、副腎疲労にはステージがあり、まず自分がどこに立っているのかを把握するための検査として、唾液コルチゾール検査は、治療をすすめていくうえでとても重要な検査と考えられます。
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唾液コルチゾール検査の理想的なカーブ
前回は唾液コルチゾール検査を行うことで、自分の副腎の状態を把握できるというお話をしていました。
今回は、各々の波形をみていきたいと思います。まずは正常な状態をみていきましょう。
下の図は、唾液コルチゾール6回の検査の結果になり、4回の検査と比べて、CARというものを測定することができます。

こちらは、正常でストレスやトラウマを抱えておらず、睡眠時間が7〜8時間(交替勤務なし)で、BMI 23の若年者の方のグラフです。
1日を通してのパターンは結構変化がありますね。
起床後3時間経つと、結構低下します。起床後30分後と60分後を測定した場合、CAR反応というものを測定できます。起床時に比べて30分後では、約35~60%増加するとされており、60分後には、だいぶ低下します。
この30分後の上昇(CAR)があることが、正常の証なのです。
CARについてはこちらもご参照ください。
DHEAを同時に測定している場合、朝のDHEAは、寝る前のレベルよりも高くでます。
このように、まずは自分自身の唾液コルチゾールの検査結果と、正常を見比べてみるということが自分の位置を確かめることに繋がります。
唾液コルチゾールのCARが高い場合
唾液コルチゾール検査を行うことによって、自分の副腎機能を把握できるということをお伝えしています。
今回は、CARが上昇している場合を考えましょう(下図)。

仕事でプレゼンなどを控えていると、上図のように、CARが上昇します。
一般的にストレスに対する反応で、ステージ1とされる方(ストレスに頑張って対処しているヒト)は、このようなCARの上昇というような反応をとりますが、休日になるとおさまることが多いです。
睡眠との関係も深く、無呼吸だったり、睡眠時間が減少すると、CARは鈍化します。
CAR上昇のような反応を示す方々は、持ち前の副腎で十分、眼の前にあるストレスに対処できているので、あまり困ることはありません。
ところが、これが慢性的に続くと、エネルギー切れになってしまいます。
つまり、このような場合の対処法は、
- 回避可能な仕事やストレスを特定し、回避する
- コルチゾール過多により、血糖値の乱高下が予想されるため、早食いをやめたり、血糖コントロールに有効な亜鉛やクロムの摂取も考えましょう。
- フォスファチジルセリンは、上昇しすぎたコルチゾールを抑えるために使用できるかもしれません。
ずっとCARを上昇させ続けて息切れしないように、特に、仕事をし過ぎないように気をつける必要があります。
副腎疲労で寝付きが悪いパターン
唾液コルチゾール検査を行うことによって、自分の副腎機能を把握できるということをお伝えしています。
今回は、寝る前のコルチゾールが上昇している場合を考えましょう(下図)。

一般的に、体内に炎症があると、急性の場合は、コルチゾールが上昇し、慢性の場合は、コルチゾールが低下します。
慢性的に炎症にさらされているヒトは、寝る前のコルチゾールが一般的に高いことが多いのです(上図)。
そして、寝る前のコルチゾールが高くなると、寝付きが悪くなるのです。
夜の寝付きが悪くなると、前の回でご紹介した、CARも消失する傾向にあります。
自分の唾液コルチゾール検査を見て、「あ、寝る前のコルチゾールが高い」と思った方は、以下をチェックしましょう。
- ・まず、体の中のどんな炎症が悪さをしているか見つけましょう。多くは、腸内環境や脂肪肝などです。
- ・睡眠の質(寝付きや中途覚醒など)を注視しましょう。
- ・コルチゾールを上げるサプリを夕方にとってないかチェックしましょう(例えば、甘草はコルチゾールをアップします)。
- ・寝付きが悪い場合は、メラトニンなどの力を借りましょう。
- ・百草丸は過剰なコルチゾールを下げてくれる可能性があります。
唾液コルチゾールは一見正常、だけど。。。
今回は、唾液コルチゾールでは一見正常に見えるけれど疲れているパターンをみていきましょう(下図)。

図をみてみると、正常と何が違うかというと、DHEA(副腎ホルモンの一種)が低いことです。(図にはDHEAがかかれていません。)
これは、副腎が長期間にわたりストレスにさらされ、徐々に疲弊していることを示しています。
3段階のストレス進行の中で、Stage Ⅱの所見で、週の半分ぐらいは調子が悪い方が多いです。唾液コルチゾール検査でDHEAの値まで検査しないとわからないので、やるならそちらをおすすめします。多くの方がこのステージにいるのを目にします。
もし、このステージであれば、
- ストレスマネジメント: コルチゾールのレベルが正常でも、慢性的なストレスは身体に負担をかけ続けます。
- 瞑想やヨガ、適度な運動でストレスを和らげることが重要です。
- DHEAサポート: DHEAの値が低い場合は、DHEAサプリ摂取の検討もしてみてください。
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副腎疲労で朝の目覚めがスッキリしない場合
今回は、朝起きてもスッキリしない、なんだか疲れが取れていない、という方に唾液コルチゾール検査をみながら注目したいと思います。
実は、健康な人の体では、起きてから30分以内にコルチゾールというホルモンが急激に増える、
「起床時コルチゾール反応(CAR)」という現象が起こります。
これが私たちの目覚めをサポートしているんです。
でも、ストレスや生活習慣の乱れなどで、このCARが鈍くなってしまうことがあります(下図)。

具体的には以下のような方に多く見られます。
・慢性的に疲れている方
・PTSDや長期的なストレスを抱えている方
・燃え尽き症候群の方
・冬になるとうつっぽくなる方
・睡眠時無呼吸症の方や、睡眠時間が短い方
CARが鈍くなると、どんな影響があるのでしょうか?
・朝起きても元気が出ない
・一日中疲れが取れない感じがする
・ストレスに弱くなる
・免疫力が低下しやすい
・血糖値が乱高下しやすくなる

どうすれば改善できるでしょうか?
- 朝日を浴びる習慣をつける🌞光を浴びるとリセットされるんです。
- ストレス要因を見つけて減らす
- 睡眠の質を上げる(就寝時間を早める、睡眠時間、寝る前の過ごし方)
- 栄養面でサポート
- 血糖値を安定させる食事
- ビタミンやミネラルの摂取
- 朝に甘草根エキスなどのアダプトゲンを摂る
生活習慣を少しずつ改善していくことで、多くの場合、朝の目覚めも良くなっていきます。
副腎疲労でコルチゾールが低い場合と対処法
唾液コルチゾール検査で副腎機能をみるお話の続きです。
今回は、慢性的なストレスによって、唾液コルチゾールの分泌が低下しているパターンです(下図参照)。

・一日を通じてコルチゾールレベルが基準値を下回る↘
・朝のコルチゾール上昇が見られない
・ストレス誘発性の低コルチゾール出力パターン
低コルチゾール状態になると、こんな症状が出てきやすくなります。
・慢性的な疲労感
・ストレスへの耐性低下
・炎症反応の増加
・認知機能の低下や気分の落ち込み
・睡眠障害
・免疫機能の低下
対処法としては、以下のようなアプローチを試してみましょう。唾液コルチゾール検査をやっていない方も、上記の症状がある場合は、やってみましょう。
- 朝の日光浴🌞:朝の光を浴びることで体内時計を整え、コルチゾールの分泌を促します。
- ストレス管理:瞑想やヨガなどのリラックス法を取り入れ、ストレスを軽減します。
- 睡眠の質改善:規則正しい就寝・起床時間を守り💤、睡眠環境を整えます。
栄養的なサポートとしては、
- 血糖値を安定させましょう。
- ビタミン・ミネラルの適切な摂取
- アダプトゲン(甘草など)を使ってみましょう。
運動:適度な運動はストレス耐性を高め、コルチゾールのバランスを整えますが、やり過ぎ注意です。

低コルチゾール状態は、副腎疲労のステージ3と考えられ、改善には時間がかかることがありますが、生活習慣の見直しと適切なケアによって、多くの場合改善が見込めます。自分のペースで無理のない範囲で取り組んでいきましょう。
まとめ
副腎疲労に陥ると、コルチゾールが異常に高くなったり低くなったりして、その結果、疲労感を伴うようになります。副腎疲労は3ステージあり、自分の副腎を評価するために、唾液コルチゾール検査を行うことが推奨されまさう。
唾液コルチゾール検査を行うことで、自分の位置を確認し、どのように改善していくのかを考えることができるようになります。
体調不良を感じた時に、まずは唾液コルチゾール検査で確認しましょう。
当院では、これらの検査などで体調を把握し、総合的に評価し、個々の患者さんに最適な治療プログラムを提供しています。詳細な栄養評価や腸内環境検査、ホルモンバランスの精密検査などを通じて、体調不良の根本的な原因に対処し、改善を目指しています。当院においては、これらの検査や治療は、栄養外来で行っています。ご検討いただければと思います。
最後に(免責)
本記事の内容は、医学的治療に置き換わるものではありません。個人的にお試しになり健康被害が生じても、当院では一切責任を負えませんのでご了承下さい。
病態の改善に必要な食事・サプリメントはひとりひとり異なります。
基本的に、主治医と相談しながら治療を進めていただければと思います。
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1975年横浜生まれ、2021年9月に東京原宿クリニックを開設。内科医、呼吸器内科専門医、アレルギー専門医として豊富な経験を持つ。現在は、一般内科診療をはじめ、栄養療法・点滴療法、カウンセリングを組み合わせた総合的な健康サポートを行いながら、患者さん一人ひとりの生活の質向上をサポート。自身の体調不良経験から、従来の西洋医学に加え、栄養療法の重要性を実感。最新の医学知識の習得に励み、患者さんにとってより良い医療の提供に取り組んでいる。医学博士、日本内科学会総合内科専門医、日本呼吸器学会専門医、日本アレルギー学会アレルギー専門医、臨床分子栄養医学研究会認定指導医。