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篠原

当院の副腎疲労の治療方針です。

当院では、副腎疲労の治療として、大きく4つのパートに分けて考えています。

①基本的なパート、②腸内環境改善、③カンジダ・SIBO除菌、④デトックスです。

全員がこれらを総て行う必要はありませんが、自分でやってもうまくいかない、治療がきかない、といった場合は、これらを順番に行っていくことが重要になります。

このページでは、それぞれをご説明したいと思います。

①基本的なパート

基本的なパートは土台がためになります。

基本的なパートはさらに4つに分かれています。

①ー1 目標の設定、①ー2生活習慣の改善、①ー3 血糖値の安定化、①ー4 副腎機能の調整です。

この、基本的なパートをしっかりと行うかどうかで、成果が変わってくるので、一番重要とも言えます。

①ー1 目標の設定

なんのために副腎疲労を改善するのかをはっきりとさせるとより効果があります。

例えば、副腎疲労を改善した後に、もっと仕事をバリバリやりたい、と目標設定した場合はどうなるでしょうか。

そもそも、自分が副腎疲労に陥ったのは、仕事をやりすぎて、余裕がなくなったからではないでしょうか。

そのような目標設定をすると、また副腎疲労を悪化させてしまうことになります。

同じ様に、副腎疲労の症状がなくなる、ということを目標にしても効果は薄くなります。

副腎疲労がなくなったことをイメージしてみたときに、自分が何をしたいでしょうか。

もしくは、症状のせいで自分が諦めていたことは何でしょうか。

それこそが、目標設定となり、その目標が現在の自分を未来から引き上げてくれることになります。

副腎疲労症状が強いときには、なかなか思いつかないことが多いですが、それでも自分は本当は何をしたかったのか、を考えて、言語化してみましょう。

そして、ぜひ、ノートに目標を書いてみましょう。

①ー2 生活習慣の改善

生活習慣を改善することはとても重要で、そこを無視して副腎疲労の改善はのぞめません。

生活習慣の改善の内容は、ストレスコントロール、食生活、炎症の改善、睡眠の改善、運動、電磁波です。

①ー2ーA ストレスコントロール

現在の生活のストレスとなるものは何でしょうか。

ストレスが強すぎると、やはり副腎疲労の改善に影響をおよぼします。

ストレスは、主に、仕事上のストレスや、家庭でのストレスに分けられます。

今の仕事があまりに肉体的に強すぎませんか?
もしくは、上司など人間関係が悪くありませんか?

家庭では、子育てや介護がワンオペになって、きつくありませんか?

そのような時には、社会サービスや、家族の協力を仰いで、すべて自分で行わないように、ストレスの棚卸しをしてきましょう。

①ー2ーB 食事の改善

すべての体調で必要になってくるのは、小麦フリー(グルテンフリー)、乳製品フリー(カゼインフリー)、甘いものフリー(精製された砂糖フリー)、カフェインフリー(減量)、加工食品や添加物を減らす、ということです。

完璧にこなすことが目的ではなく、7割ぐらいを目標に減量をこころみましょう。

小麦や、乳製品は腸内環境を悪化させます。

甘いものや加工食品、添加物は腸内細菌を荒らしてしまいます。

カフェインは交感神経を刺激して、その結果、副腎疲労に陥ります。

ただし、カフェインに関しては、急に全部中止することで、体調が悪化することがありますので、徐々に減らしていきましょう。

食事は、副腎疲労の栄養療法において、最も基本となるところです。

①ー2ーC 炎症の改善

体に炎症が残っていると、副腎疲労が改善しにくいです。

炎症がおきやすい部位としては、腸、上咽頭、歯、脂肪肝などがあります。

腸の炎症をおこさないようにするためには、小麦や乳製品、甘いものをまず減らしていく必要があります。

上咽頭の炎症は、口呼吸をしていることで起きやすいので、鼻呼吸に改善していきましょう。

また、慢性上咽頭炎の診療をしている耳鼻科にかかり、自分に上咽頭炎がないかどうか、あった場合には、治療を考慮しましょう。

上咽頭炎については、以下をご参考にしてください。

歯については、虫歯や歯周病といったものが残っていると副腎疲労になります。

普段通っている歯科医で診察してもらい、口腔内を清潔に保ちましょう。

脂肪肝とは、肝臓に脂肪が蓄積して、炎症を起こしている状況です。

主に、甘い物を多くとったり、アルコールによってなります。

たまに、サプリメントの過剰摂取によってもおこることがあります。

食事を変えて、脂肪肝の改善を目指しましょう。

①ー2ーD 睡眠の改善

副腎疲労の方では、寝付きが悪かったり、中途覚醒をすることがよくあります。

また、一般的に朝より、夕方のほうが体が動きやすいこともあり、ついつい、夜ふかしをしてしまうことがあります。

つい、ダラダラとスマホを見てしまう、ということもあります。

お気持ちはよく分かるのですが、早寝、早起きが副腎疲労の改善の鍵となります。

早寝とは、夜10時には寝ることです。

夜10に寝ることでの利点は、成長ホルモンが夜間に放出されて、夜間の低血糖が防がれることになります。

そして、朝起きて、朝日を浴びることにより、HPA軸がリセットされ、副腎疲労が改善しやすくなります。

まずは、スマホを寝室に持ち込まず、早寝を心がけましょう。

①ー2ーE 運動

体を動かさないと、副腎疲労は改善していきません。

ただ、副腎疲労なので、体を動かすことが難しいということもあるかと思います。

そのため、激しい運動というのは、まずは行わないようにしましょう。

副腎疲労が強い場合、1日20~30分のウオーキングや、ヨガなどを行いましょう。

①ー2ーF 電磁波

私達をめぐる環境で、電磁波はどんどんと強くなってきてきます。

5Gになったり、オール電化になったりしています。

そのため、知らず知らずに電磁波のダメージを受けて、とくにミトコンドリアにはダメージが強く出てしまいます。

夜寝るときにはスマホを離したり、夜にはWiFiのスイッチを切ったりして、電磁波をへらすように心がけましょう。

また、電磁波グッズなどを使用することも有用です。

診察室では、電磁波に対する対策のお話などを行っています。

①ー3 血糖値の安定化

血糖値は、実はとても波があります。

西洋医学では、採血など、ワンポイントで血糖値を判断していることになります。

そのため、採血で血糖値が正常であったとしても、実は低血糖になっていることもあります。

この、低血糖というのは曲者で、低血糖になると、人間はアドレナリンやノルアドレナリンを放出して、血糖値をあげようとします。

しかし、アドレナリンやノルアドレナリンは、交感神経を緊張させて、それが続くと、低血糖に陥ります。

つまり、血糖値が安定化していないと、副腎疲労の原因になるし、副腎疲労だと、血糖値が安定しません。

ですので、血糖値を安定化することに意識をおくことはとても大事になります。

そのためには、食事がメインになります。

低血糖に陥る前に、補食をとり、血糖値を安定化することが大事になります。

①ー4 副腎機能の調整

副腎疲労は、副腎だけが疲れているわけではなく、視床下部(H)ー下垂体(P)ー副腎皮質(A)の、脳と副腎との連絡であるHPA軸全体で考える必要があります。

HPA軸は、ストレスに対して対処を行っていますが、慢性的なストレスが続くと、HPA軸が狂ってしまいます。

その、HPA軸を正常に戻すことが、副腎疲労の回復のために必要なこととなります。

HPA軸がどのようになっているかを見るための検査としては、唾液コルチゾール検査があります。

当院では、唾液コルチゾール検査を重視しております。

唾液コルチゾール検査によって、副腎疲労状態であるか、副腎疲労の重症度はどれくらいか、HPA軸をリセットするためには、どのようなサプリメントをどの時間帯にとったほうがいいか、などの判断基準になるからです。

基本的なパートのまとめ

以上のように、基本的なパートは、①ー1 目標の設定、①ー2生活習慣の改善、①ー3 血糖値の安定化、①ー4 副腎機能の調整によって成り立っていて、副腎疲労を改善するためには、とても基本的、かつ重要なところになってきます。

副腎機能の調整以外については、自分でもできるところになり、これだけでも体調改善することが多いので、ぜひやってみてください。

②腸内環境改善

基本的なパートを行いながら、次に目指すのは、腸内環境の改善です。

腸内環境が悪いと、下痢や便秘、腹部膨満感など、色々な症状が出てくることになります。

注意が必要なのは、一見そのような症状がなくても、実は検査をすると、改善が必要なことが多いです。

当院では、腸内環境を検査するときに、GIMAP検査を用います。

GIMAP検査では、病原体、ピロリ菌、善玉菌、日和見菌、カンジダ、寄生虫、消化酵素の出具合、腸管免疫、腸の炎症、リーキーガットなどを一覧として見ることができ、診療を行う上で、多くの情報を教えてくれます。

GIMAP検査について、より詳しくは、以下をご参照ください。

GIMAP検査をみながら、腸の炎症や、腸内細菌、腸管免疫、消化酵素の補充などを行って、腸内環境を改善していきます。

リーキーガットについては、以下をご参考にしてください。

ベースとなるのは、食事で、グルテンフリー、カゼインフリーをベースにいたします。

この段階での目標は、下痢や便秘がおさまり、1日1〜2回、バナナ状の便になることです。

この期間を1ヶ月ぐらいで考えていますが、体調により、長くなったりします。

③カンジダ・SIBO除菌

下痢や便秘が改善されたら、次に行うのは、ピロリ菌・カンジダ・SIBO除菌です。

ピロリ菌は、食べ物を消化するために重要な胃酸を低下させてしまいます。

ピロリ菌につきましては、こちらも御覧ください。

腸カンジダは、食べた栄養を横取りしたり、リーキーガットを引き起こし、ミトコンドリアを阻害して、疲労しやすくなり、毒素を放出することで、頭の働きが鈍ったりします。

また、低血糖などを引き起こしやすく、副腎疲労や低血糖がある方は、カンジダが悪影響していることが多いのです。

カンジダについては、以下もご参考にしてください。

カンジダが存在しているかどうかの検査は、GIMAP、尿中有機酸検査、食物アレルギー検査などを用いて行っています。

尿中有機酸検査については、以下もご参照ください。

また、カンジダには、SIBOと呼ばれる病態も合併していることがあります。

SIBOについては、以下を参考にされてください。

特に、お腹が張るといった場合にSIBOを疑います。

カンジダとSIBOは合併していることが多いので、一緒に除菌することが多いです。

当院では、抗真菌薬、抗菌ハーブ、バイオフィルムはがし、真菌用のプロバイオティクス、ビタミンDなどを用いて、除菌を行っています。

④デトックス

デトックスとは、体に有害な重金属や、マイコトキシンといったものを除去することです。

重金属が体に溶け込んでいると、ミトコンドリアを阻害して、副腎疲労の原因となります。

重金属が体内に入り込む経路として、ワクチン、魚、アマルガムがあります。

大型魚には水銀が多く含まれているので、気をつけましょう。

アマルガムとは、以前まで保険適応であった、歯の充填物で、水銀の補給源となりうるものです。

アマルガムがあると、水銀レベルが下がらないので、あるならば、まずは歯科で取り除くことが必要になってきます。

取り除くのは、専門的な知識と技術が必要なので、アマルガム除去に詳しい歯科医にお願いしましょう。

重金属やマイコトキシンは、脂肪の中に溶け込んでいることが多く、そのままでは排出できません。

そのため、まずは水溶性に変換して、胆汁から排泄して、便から排出する、という方法をとります。

そのためには、グルタチオンを中心とした解毒のサプリメントを使用して、2ヶ月間でデトックスをおこなっていきます。

重金属が体に入っているかどうかを調べる検査として、当院では、毛髪ミネラル検査か、オリゴスキャンを用いています。

また、重金属が多い場合は、別途キレーション点滴を併用することもあります。

デトックスについては、こちらをご参照ください。

まとめ

当院の副腎疲労の治療方針は、

①基本的なパート(目標の設定、生活習慣の改善、血糖値の安定化、副腎機能の調整)
②腸内環境改善
③ピロリ・カンジダ・SIBO除菌
④デトックス

を通して行っています。

そのためには、各種バイオロジカル検査を行いつつ、その結果に基づいて食事療法やサプリメントを使用しています。

治療の途中においては、サプリメントが多くなることがありますが、治療が終わった後には、サプリメントをなるべく使わなくてもいいような状態にもっていくのが目標です。

総治療期間は、副腎疲労の状態によることが多いので、一概には言えませんが、短い方で6ヶ月、重症であれば、2年くらいはみていただければと思います。

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