分子栄養学

アントロキノノール含有製品|科学的研究の現在地を深く知る

表参道・原宿の東京原宿クリニック 院長の篠原です。

「がん」という診断に直面したとき、多くの方が標準治療という確かな光に向かって歩み始めます。しかし同時に、その道のりの険しさや先の見えない不安の中で、「まだ何か、やれることがあるのではないか」「最先端の科学は、どこまで可能性の扉を開いているのだろうか」と、新たな情報を探し求めるのは自然な探求心です。

その探求の途中に、この「アントロキノノール」という聞き慣れない成分の名前に辿り着いたのではないでしょうか。

この記事は、「アントロキノノールとがん研究」の科学的な事実と、現時点での限界・アントロキノノールサプリメントの紹介を目的としています。

アントロキノノールのお電話での診療のお問い合わせは承っていませんので、ご遠慮下さい。サプリメントのご希望のための診療のご予約は総合カウンセリングから、ご質問がある場合は、お問い合わせフォームにお願い致します。

本稿をお読みいただく上で、心に刻んでいただきたい極めて重要な前提があります。

アントロキノノールを含む製品は、がんを「治療」または「予防」する魔法の薬ではありません。 日本の法律上、そのように謳うことは固く禁じられており、あくまで「健康食品」という位置づけです。

手術・化学療法・放射線療法といった標準治療に取って代わるものでは断じてありません。 主治医の許可なく、現在のがん治療計画を変更・中断することは、命に関わる極めて危険な行為です。絶対におやめください。

ここで紹介する研究の大部分は、細胞や動物を用いた「基礎研究」、あるいは安全性の確認を主目的とした少人数の「初期臨床試験」の段階です。ヒトにおける有効性が確立されたものではないことを、どうか強くご認識ください。

科学的探求の最前線:アントロキノノールとがん研究

ここからが本ページの核心です。なぜ、一つの健康食品成分が、これほどまでに世界中のがん研究者の注目を集めるのか。その理由を「細胞レベルでの働き(基礎研究)」と「ヒトでの検証(臨床研究)」の二つの側面から、より深く、詳細に解説していきます。

1. 基礎研究の進展:がん細胞の「生命線」を断つアプローチ

基礎研究は、アントロキノノールが、がん細胞が生き延び、増殖するために利用する特有の「生命線」とも言えるメカニズムに、どのように干渉する可能性を秘めているかを解き明かそうとする試みです。

がん細胞増殖の「暴走スイッチ」を狙う(Ras/mTORシグナル伝達の阻害)

がんの多くは、細胞増殖をコントロールする遺伝子の異常から始まります。その中でも「Ras(ラス)遺伝子」は、最も有名な「がん遺伝子」の一つです。Ras遺伝子に変異が起こると、細胞増受け取る「増殖せよ」という命令のスイッチが常にONの状態になり、細胞は無限に分裂を繰り返します。この“暴走スイッチ”は、特に膵臓がんの95%以上、大腸がんや肺がんの約40%で発見され、治療薬開発の最大の標的とされながらも、そのタンパク質の構造的な特徴から、長年「創薬不可能」とまで言われてきました。

アントロキノノールは、このRasタンパク質が活性化するために必要なプロセスを阻害することで、増殖シグナルの伝達をブロックする可能性が、複数の研究で示唆されています [2]。

さらに、Rasからの命令を受け取り、細胞の成長やタンパク質合成を実際に実行する下流の司令塔が「mTOR(エムトール)」です。アントロキノノールは、このmTORの働きも直接的に抑制することが報告されており、増殖シグナルを上流(Ras)と下流(mTOR)の両方で遮断するという、多角的なアプローチの可能性が研究されています。この作用は、肝がん、乳がん、前立腺がん、肺がん[1]など、多岐にわたるがん細胞を用いた実験で確認されています。

がん細胞を「兵糧攻め」にする(AMPKの活性化)

正常細胞と異なり、がん細胞は非常に燃費の悪いエンジンで、爆発的に増殖するために大量のブドウ糖を消費します。このエネルギー代謝の異常(ワールブルグ効果として知られています)こそが、がんの弱点の一つです。PET検査でがんが光って見えるのは、このブドウ糖を大量に取り込む性質を利用したものです。

私たちの細胞内には、「AMPK」というエネルギーセンサーが存在します。細胞内のエネルギーが枯渇するとAMPKが活性化し、「省エネモード」のスイッチを入れ、エネルギー消費の激しい細胞増殖にブレーキをかけます。

基礎研究において、アントロキノノールはこのAMPKを強力に活性化させることが示されています [3]。これは、がん細胞の主要な栄養源であるブドウ糖の利用効率を下げ、エネルギー供給路に介入し、いわば「兵糧攻め」の状態にすることで増殖を抑制するという、非常に合理的な戦略の可能性を示唆しています。

がん細胞に「自滅」を命じる(アポトーシスとオートファジーの誘導)

正常な細胞は、古くなったり傷ついたりすると自ら死を選ぶ「アポトーシス(プログラム細胞死)」という崇高な仕組みを持っています。これは、体全体を健全に保つための、いわば細胞の「自己犠牲」の精神です。しかし、がん細胞はこの命令を無視し、不死化することで生き長らえます。

アントロキノノールは、この壊れたアポトーシスの仕組みを修復し、がん細胞に再び「自滅せよ」という命令を出す可能性が研究されています [3]。

さらに、「オートファジー(自食作用)」という、もう一つの細胞死のメカニズムへの関与も注目されています。オートファジーは、細胞が栄養不足の際に自らの部品を分解してリサイクルする生存戦略ですが、この作用が過剰になると、逆に細胞死を引き起こします。アントロキノノールは、このオートファジーを過剰に引き起こすことで、がん細胞を自滅に追い込むという、ユニークな作用機序も報告されています [3]。

アントロキノノールによるがん細胞増殖阻害

2. 臨床への応用を探る:初期臨床試験の現在地

これらの基礎研究の成果を受け、アントロキノノールはヒトでの安全性と有効性を検証する「臨床試験」のステージに進んでいます。特に、既存の治療法では限界がある難治性がんを対象に、希望の光となる可能性が探られています。

【膵臓がん】標準治療との併用で生存期間延長の可能性を示唆(第I/II相試験)

治療が極めて難しいとされる転移性膵臓がんにおいて、アントロキノノールの臨床試験は世界中から大きな注目を集めました [4]。この試験では、一次治療として用いられる標準化学療法(nab-パクリタキセル + ゲムシタビン)に、アントロキノノールを上乗せする形で投与されました。

  • 注目すべき結果: アントロキノノールを併用したグループの全生存期間中央値(mOS)は14.1ヶ月に達しました。これは、過去のデータにおける標準治療単独のmOS(8.5ヶ月)や、別の強力な化学療法であるFOLFIRINOX療法のmOS(11.1ヶ月)と比較しても、有望な結果である可能性を示唆しています [5]。
  • 副作用の軽減: さらに特筆すべきは、副作用に関するデータです。化学療法で問題となりやすい、好中球減少や血小板減少といった骨髄抑制(血液系の副作用)の頻度が、標準治療単独群と比較して有意に低下していました [5]。これは、治療の継続性を高め、患者さんのQOL(生活の質)を維持する上で、極めて重要な意味を持つ可能性があります。
  • 意義と今後の展望: この結果は、アントロキノノールが標準治療の効果を増強し、かつ副作用を軽減するという、理想的な補助療法の候補となる可能性を強く示唆するものです。現在、この結果を確定的なものにするための、より大規模な国際共同第III相試験が待たれています。
膵臓がんでのアントロキノノール

【非小細胞肺がん】安全性の高さと病勢コントロールの可能性(第Ⅱ相試験)

進行した非小細胞肺がんの患者さんを対象とした初期試験では、まずアントロキノノール単独での安全性が慎重に評価されました [6]。

  • 結果の要点: 重篤な副作用は認められず、化学療法のような厳しい副作用なしに投与できる安全性の高さ(忍容性)が確認されました。がんを縮小させる効果(奏効)は限定的でしたが、一部の患者さんで数ヶ月にわたり、がんの増殖が停止する「病勢安定(Stable Disease)」が観察されました [7]。
  • 意義: 進行がんにおいて「増殖を食い止める」ことは、治療の重要な目標の一つです。安全性が高いことが確認されたことで、今後は分子標的薬や免疫チェックポイント阻害剤など、他の薬剤との併用療法の開発に期待が寄せられています。

【急性骨髄性白血病】難治性の血液がんでの有望な兆候(第IIa相試験)

再発または標準治療が効かなくなった急性骨髄性白血病は、極めて予後が厳しい病気です。この難治性の患者さんを対象とした小規模な探索的試験では、アントロキノノール単独での効果が検討されました [8]。

  • 結果の要点: 驚くべきことに、参加した患者さんの半数で、骨髄中のがん細胞が検出限界以下になる「完全寛解(CR/CRi)」が達成されました。
  • 意義と限界: これは、アントロキノノールが血液がんに対しても強力な生物活性を持つ可能性を示す、非常にインパクトの強い結果です。しかし、あくまで12名というごく少数の結果であり、この結果が普遍的なものであるかは、今後のより大規模な検証を待つ必要があります。
白血病でのアントロキノノール

オーファンドラッグ(希少疾病用医薬品)指定の重み

アントロキノノールは、米国FDAから膵臓がん、肝細胞がん、急性骨髄性白血病などを対象としてオーファンドラッグの指定を受けています [9]。これは、単なる手続きではありません。有効な治療法が乏しく、多くの患者さんが待ち望んでいる疾患に対して、その開発候補物質が「科学的に有望であり、開発を加速させるべきである」と、世界の医薬品審査をリードする規制当局が公式に認めたことを意味します。これは、アントロキノノールのポテンシャルに対する客観的な評価の一つと言えるでしょう。

安全性と利用を検討する上での最重要チェックポイント

これまでの研究でどれほど有望なデータが示されていても、「安全であること」がすべてに優先します。 特に、がん治療という繊細な状況においては、細心の注意が必要です。

サプリメントの利用を検討する際には、まず主治医にその意思を伝えることが望ましいです。

当院で情報提供を行うアントロキノノール製品

当院で情報提供の対象としているのは、台湾のGolden Biotechnology社が独自技術で開発したアントロキノノールを高濃度で含有する2つの製品、「ZSAINO(ザイノ)」と「森耀(シンキ)」です。

ZSAINO(ザイノ)森耀(シンキ)
製品カテゴリアントロキノノール ドリンクアントロキノノール カプセル
開発元Golden Biotechnology Corp.Golden Biotechnology Corp.
形状ドリンク剤カプセル
1日あたりの目安量1本18粒
アントロキノノール含有量110mg / 1本36mg / 18粒
販売形態クリニックでのみ取り扱う医療機関専売品一般薬局・クリニックにて販売
想定価格(1ヶ月分)お問い合わせください。87,000円(税込)

「ZSAINO」は、特に高濃度の摂取を目的とし、吸収性を考慮したドリンクタイプの医療機関向け専門品です。一方、「森耀(シンキ)」は、日々の健康維持のサポートとして、より多くの方が手に取りやすいようカプセルタイプで提供されています。どちらの製品も、その希少な成分と研究開発への投資を背景に、高価な健康食品として位置づけられています。

アントロキノノールのご相談

ここまでお読みいただき、誠にありがとうございます。アントロキノノールのご希望がある方は、診察の上、適応があると考えられる場合は購入方法のお伝えをいたします。

アントロキノノールのお電話での診療のお問い合わせや診療のご予約は承っていません。診療のご予約は総合カウンセリング(有料)から、ご質問がある場合は、お問い合わせフォーム(無料)にお願い致します。

診察(約30分)
5,000円
サプリメント購入に至った場合は無料

最後に(免責)

本記事の内容は、医学的治療に置き換わるものではありません。個人的にお試しになり健康被害が生じても、当院では一切責任を負えませんのでご了承下さい。

病態の改善に必要な食事・サプリメントはひとりひとり異なります。

基本的に、主治医と相談しながら治療を進めていただければと思います。

本ページで紹介する製品は、医薬品ではなく、疾病の診断、治療、予防を目的としたものではありません。

本ページにおける表現は、医薬品医療機器等法等の関連法規を遵守するよう努めていますが、ご紹介した研究内容は成分の可能性に関するものであり、製品の効能効果を保証するものではありません。

健康食品の利用に関する最終的な判断は、必ずがん治療を担当されている主治医・専門医とご相談の上、ご自身の責任において行ってください。

オンライン診療対象地域

青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県、茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、新潟県、富山県、石川県、福井県、山梨県、長野県、岐阜県、静岡県、愛知県、三重県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県、鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県、徳島県、香川県、愛媛県、高知県、福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県

北海道と沖縄県はバイオロジカル検査の送付ができません。バイオロジカル検査の送付が必要なければオンラインでの診察はできます。

無料レポート新リリースしましたのでお受け取りください!

参考文献

  1. Kumar VB, et al. Antroquinonol inhibits NSCLC proliferation by altering PI3K/mTOR proteins and miRNA expression profiles. Mutat Res. 2011;707(1–2):42–52. doi:10.1016/j.mrfmmm.2010.12.009(NSCLC・PI3K/mTOR)PubMed
  2. Ho CL, et al. Antroquinonol blocks Ras and Rho signaling via inhibition of protein isoprenyltransferase activity in cancer cells. Biomed Pharmacother. 2014;68(8):1007–1014. doi:10.1016/j.biopha.2014.09.008(Ras/Rho プレニル化阻害)PubMed
  3. Yu CC, et al. Antroquinonol… induces a cross talk between apoptosis, autophagy and senescence in human pancreatic carcinoma cells. J Nutr Biochem. 2012;23(8):900–907. doi:10.1016/j.jnutbio.2011.04.015PubMed
  4. ClinicalTrials.gov: NCT03310632 – Determine Function of Antroquinonol in Combination With SOC in First Line Metastatic Pancreatic Cancer.(第I/II相)ClinicalTrials.gov
  5. PR Newswire:https://www.prnewswire.com/news-releases/asco-gi-2024-golden-biotechs-antroquinonol-shows-significantly-prolonged-survival-in-untreated-metastatic-pancreatic-cancer-patients-302038201.html
  6. ClinicalTrials.gov / SmartPatients: NCT02047344Efficacy, Safety and Pharmacokinetics Study of Antroquinonol to Treat NSCLCPhase II)。Smart Patients
  7. Lee YC, et al. A phase I multicenter study of antroquinonol in metastatic NSCLC… Mol Clin Oncol. 2015;3(6):1375–1380. doi:10.3892/mco.2015.642 Spandidos Publications
  8. PR Newswire:https://www.prnewswire.com/news-releases/breakthrough-in-aml-treatment-goldenbiotech-reports-new-drug-trial-of-antroquinonol–outperforms-listing-drugs-in-relapsed-acute-myeloid-leukemia-301181008.html
  9. FDA OOPD(オーファンドラッグ指定)

関連記事

看護師募集
新刊
アートメイクで心に余裕を持とう

アートメイク

毎日健康セルフケアクイズ
新リリース
最近の記事
  1. 重曹・マグネシウム・亜鉛の慢性炎症・腸内バリア・脂肪肝への影響

  2. 体臭サプリの選び方とエビデンス

  3. 増強NAC:Augmented NAC(ANAC)が提案する健康アプローチ

為替レート

CurrencyRate

🤖 AIに相談
✖ 閉じる
読み込み中...