表参道・原宿の東京原宿クリニック 院長の篠原です。
毎年春からゴールデンウイークにかけて、花粉症(アレルギー性鼻炎)で悩まれている方が多くいらっしゃいます。
また、季節にかかわらず、鼻汁やくしゃみなどに悩まれている方も多いです。
基本的に、アレルギー性鼻炎への対応は、免疫の調整です。
今回は、アレルギー性鼻炎に対しての対処を考えていきたいと思います。
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Contents
アレルギー性鼻炎の起こるわけ
花粉などのアレルゲンがマスト細胞の脱顆粒してヒスタミンなどが出て、血管が透過し、鼻水ジュルジュルになります。
ですから、花粉に暴露されないように室内に退避するわけですが、それがまた血中のビタミンDレベルを低下させて(日光にあたらないため)、さらにアレルギーを悪化させてしまうことにもなるのです。
ビタミンDは、免疫にとても重要な役割をしています。
免疫に対する対処については、こちらを御覧ください。
ヒスタミンが原因なので、抗ヒスタミン薬もとても有効ですが、血液脳関門を通過するので、とても眠くなってしまうのも困りものです。
西洋医学的には、舌下免疫療法があって、花粉の成分を毎日舌の下において体に取り込ませると、アレルギーを抑える細胞が増えたりして、アレルギー反応が低下します。
当院でも、舌下免疫療法によって、花粉症の症状が結構収まってくるなという印象があります。
舌下免疫療法については、こちらをご参照ください。
次に、アレルギー性鼻炎に対する栄養的なアプローチも考えてみたいと思います。
食事の内容が重要
食事は免疫系に影響を与えて、鼻アレルギーのリスクと関係があります。
抗炎症に働く食事、例えば、オメガ3(EPA、DHAなど)を多く含む食事をとると、鼻アレルギーの感作と症状の軽減に役立ちます。
そのため、魚や魚油がすすめられます。
妊娠中のアトピーのお母さんに魚油サプリメントを摂取すると、生まれた子供は、アレルギーが減少することが報告されています。
ただし、魚やサプリから摂る場合の注意点は、水銀などの重金属に汚染されてないか、なのでω3は質にも注意しましょう。
フルーツや野菜をよく摂ると、鼻アレルギーとか喘息のリスクが低くなります。
これらの中には、カロテノイドやフラボノイドといったものが含まれていて、強力な抗酸化作用があり、アレルギー反応を弱めてくれます。
まずは食事を抗炎症、抗酸化にしていきましょう。
腸内環境の改善が必要
スギ花粉の季節がきても、腸内環境改善につとめてきた患者さんは、症状が全然出ないと仰る方は多いです。
腸内環境を整えるのに大事なのは、プロバイオティクスです。
アトピー性皮膚炎のお母さんや乳児が特定のプロバイオティクスを使用すると、湿疹が改善することが報告されています。
アレルギー性鼻炎においても、プロバイオティクスの有効性が示されています。
Lactobacillus paracaseiにより、鼻のかゆみを減少させたとの報告があります(PMID: 24393277)。
鼻アレルギーは、ヘルパーT細胞の一種である、Th2が過剰になって起こるといわれています。
ビフィズス菌を投与すると、Th2細胞が減少し、鼻アレルギーを改善させることが報告されています。
スギ花粉で悩んでいる方々は、ぜひプロバイオティクスを利用して、腸内環境の改善を考えてみてもいいかもしれません。
ケルセチンはヒスタミン放出を防ぐ
ケルセチンは、フラボノイドの一種で、植物にふくまれている色素成分で、苦味や辛味のもととなっています。
アレルギーのある人は、マスト細胞(=肥満細胞)が脱顆粒して、中からヒスタミンが出ることで、アレルギー反応がおこって、くしゃみ、鼻水、鼻詰まりがおこります。
そこで、ケルセチンの出番です。
培養細胞での研究では、ケルセチンは、マスト細胞からのヒスタミンの放出を防いで、アレルギーの症状を抑えるのです。
アレルギーに効くということで、薬にも応用されていて、インタール(クロモグリク酸)というのは聞いたことがある方もいるかも知れません。
ラットの研究では、ケルセチンを定期的にとると、肺に移行して、アレルギーを抑える効果があることがわかりました。
ケルセチンは、そんなに副作用なく、抗酸化、抗炎症などの利点も多くて、アレルギーの方におすすめしたい栄養素です。
玉ねぎ、りんご、緑茶などに多く含まれています。
サプリメントで接種するのも効果的です。
ふきの効用
花粉症で用いられるのは、抗ヒスタミン薬ですが、その抗ヒスタミン薬の1つであるアレグラと同等の効果を示すと報告されたのが、”ふき”です(PMID: 15080820)。
この研究で用いられたのは、西洋ふきですが、日本のふきでもロイコトリエンに作用すると考えられています。
春は、卒業式や異動などのイベントがあり、心身ともにストレスがかかりやすく、五行の”肝”が大忙しです。
そして、肝と関係が深い”心”も影響を受けて、不眠、情緒不安定になりやすいです。
”心”にいいのは、この時期の旬である、山菜の苦味です。
ふきは、苦味をもって体の熱を冷まし、心を落ち着かせてくれるのです。
花粉症に悩み、心が弱っている方は、”ふき”を意識してみてもいいかも知れません。
やっぱりビタミンD
最後はやはりビタミンDです。
花粉症は、言ってみれば免疫が過剰に反応してしまっている状態ですが、それを制御してくれるのがTregです。
Tregは制御性T細胞と呼ばれていますが、過剰になってしまった免疫を抑制してくれるます。
そして、ビタミンDはTregを増やしてくれるのです。
また、花粉症とリーキーガットは大きく関連があります。
リーキーガットがあれば、外からの抗原が体内に入ってしまい、炎症や過剰なアレルギー反応を起こします。
ビタミンDは、細胞間の結合を調節しているクローディン蛋白を調整して、リーキーガットを改善します。
リーキーガットについては、こちらも御覧ください。
他にも多様な働きによって、花粉症を改善してくれると考えられています。
「サーファーに花粉症はいない」という本がありますが、日光にあたることや、ビタミンDの多い食事をとることがとても大事です。
(実際には、花粉症のサーファーはいるようですが・・・)
まずは、採血(25OHD3)をして、自分のレベルを確認するところから始めましょう。
そして、ビタミンDレベルが低下している場合は、サプリメントや、ビタミンD注射をして補いましょう。
まとめ
花粉症を治すためには、免疫力を調整する必要があります。
まずは、食べ物で抗炎症に働くオメガ3を意識し、腸内環境改善を注意しましょう。
ケルセチンは、花粉症対策に有用と思われます。
最後に(免責)
本記事の内容は、医学的治療に置き換わるものではありません。個人的にお試しになり健康被害が生じても、当院では一切責任を負えませんのでご了承下さい。
病態の改善に必要な食事・サプリメントはひとりひとり異なります。
基本的に、主治医と相談しながら治療を進めていただければと思います。
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1975年横浜生まれ、2021年9月に東京原宿クリニックを開設。内科医、呼吸器内科専門医、アレルギー専門医として豊富な経験を持つ。現在は、一般内科診療をはじめ、栄養療法・点滴療法、カウンセリングを組み合わせた総合的な健康サポートを行いながら、患者さん一人ひとりの生活の質向上をサポート。自身の体調不良経験から、従来の西洋医学に加え、栄養療法の重要性を実感。最新の医学知識の習得に励み、患者さんにとってより良い医療の提供に取り組んでいる。医学博士、日本内科学会総合内科専門医、日本呼吸器学会専門医、日本アレルギー学会アレルギー専門医、臨床分子栄養医学研究会認定指導医。