原宿・表参道の東京原宿クリニック 院長の篠原です。
夜、横になると咳が出る・止まらないのは、眠るときに自律神経が副交感神経へ切り替わって気道がせまくなり、さらに炎症を抑える体内のステロイドが夜に減って、気温の低下も加わって気道が刺激されやすくなるためです。背景に、咳喘息・逆流性食道炎・後鼻漏(慢性上咽頭炎)・心不全・COPDなどが隠れていることもあります。まずは上体を少し高くして寝ると楽になることが多く、咳が4週間以上続く場合は医療機関への相談をおすすめします。この記事では、原因・寝方・対処法・受診の目安を医師がわかりやすく解説します。
日中はそれほどでもないのに、夜、横になったときに咳が止まらないことで悩んでいる方も多いのではないでしょうか。

そして、そのような方の多くは、市販の咳止めや、病院からもらった、鎮咳薬が効かないことが多いのです。
今回は、横になると咳が止まらない原因と、その対処法をお話したいと思います。
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横になると咳が止まらない理由
その理由は何個かあります。
理由1:自律神経が切り替わる
私たちが空気の通る道である、気道の太さというのは、実は自律神経によって支配されています。
自律神経は、交感神経と副交感神経に分かれています。
交感神経は、ストレス時に働いて、闘ったり逃げたりするときに働き、体を調整します。
呼吸をしやすくするため、より多くの空気を取り入れるために、気道を拡張させます。
一方、副交感神経は、リラックス時に働き、体を回復させる役目があります。
交感神経のときとは逆に、気道に対しては、収縮させます。

日中、私達は、仕事や生活などのストレスに対応するので交感神経が優位になります。
すると、気道は広がります。
ところが、夜になると、眠りにつくために交感神経が副交感神経に切り替わります。
そのため、気道が狭くなります。
このときに、気道が狭くなるので、咳が出やすくなるわけです。
理由2:内因性のステロイドが少なくなる
人は、自分で、副腎という臓器からステロイドというホルモンを作っています。

これを内因性ステロイドといいます。
ステロイドは、炎症を止めるという作用があります。
内因性ステロイドは、午前中〜日中にかけて多く作られ、夜になると少なくなります。
つまり、夜になると、気道の炎症を止めるためのステロイドが少なくなり、炎症が起きやすくなることが考えられます。
炎症がおきると、咳が出やすくなります。
理由3:温度の変化
気道は、温度の変化に敏感で、変化するときに咳が出やすくなります。
夜は気温が低下するので、特に気道が過敏の方は、咳が出やすくなると考えられます。
横になると咳が止まらなくなる病気
もともと、気道がせまくなるような病気があった場合、上記のような自律神経の変化、炎症、気温の変化などに対して咳が出やすくなります。
そのような病気で最も多いのが、咳喘息や気管支喘息です。(アトピー咳嗽については、ここでは省略します)
ともに気道に炎症がおきて、そのせいで、気道が過敏になって咳や呼吸困難になってしまうものです。
このような状態を放おっておくと、通常進行してしまうか、治りにくくなってしまいます。
つまり、横になると咳が止まらない状態が4週間以上も続かないということであれば、病院で診てもらうことが大事になってきます。
また、近年注目を浴びている、慢性上咽頭炎という病気があります。
上咽頭というところに、炎症がおきることにより、咳や全身の体調不良が起きてしまいます。

その一つの治療法として、上咽頭に対する擦過療法というものもあります。
上咽頭擦過療法については、以下を御覧ください。
横になると咳が出るときの対処法
もちろん、病院にかかるということも大切ですが、自分でできる方法はどんなものがあるでしょうか。
方法1:布団や部屋をきれいにする
喘息は、アレルギーによって起きることがおおいです。
そのアレルギー源として、ダニやほこりが多いので、それをきれいにしておくことが大切になります。

方法2:加湿する
空気が乾燥してしまうことで、気道へ刺激をあたえてしまいます。
水分を飲んだり、加湿器を使ったりして、保湿をしてみましょう。
また、マスクをして、保湿するのも効果的です。

方法3:暖める
体と首を暖めましょう。
気道は、温度の変化に弱いので、なるべく暖めることを意識しましょう。
方法4:鼻うがい
咳喘息や、慢性咳の原因として、慢性上咽頭炎があるというお話をしましたが、その治療や予防に有効なのは、鼻うがいで、これは自分で行うことができます。
生理食塩水をスポイトなどの容器に入れて、仰向けに寝て、両方の鼻に2mlずつ入れて、しばらくしてから、飲み込むといいです。
朝起きた時と、寝る前にやるのが効果的です。
以下のような、市販のものを使うと便利です。

方法5:上体を少し起こして寝る(寝方の工夫)
横になると咳が出る方は、上半身を少し高くして寝ると、気道が確保され、胃酸の逆流も抑えられて咳が楽になることがあります。枕を高くする、リクライニングを使う、背中や肩の下にクッションやタオルを入れるなどして、上体を15〜30度ほど起こした姿勢を試してみてください。あお向けより横向きのほうが咳が出にくい方もいます。
横になると咳が出る場合のセルフチェックテスト
咳喘息や、逆流性食道炎や、心不全といった可能性がどのくらいあるのか、セルフチェックテストを行ってみて下さい。ただし、これは診断にはなりませんので、可能性としてお考え下さい。
横になると咳が止まらない他の病気
咳喘息・気管支喘息のほかにも、横になると咳が出る・止まらない背景には、次のような病気が隠れていることがあります。セルフチェックの結果とあわせて、当てはまるものがないか確認してみましょう。
- 逆流性食道炎(胃食道逆流症):横になると胃酸がのどへ逆流しやすくなり、のどや気道を刺激して咳が出ます。胸やけや、酸っぱいものが上がってくる感じ、食後・夜間の悪化があれば疑われます。
- 後鼻漏・慢性上咽頭炎:鼻やのどの奥(上咽頭)の炎症で、横になると鼻水や分泌物がのどに流れ込み、咳を誘発します。当院では上咽頭擦過療法(EAT・Bスポット療法)にも対応しています。
- 心不全:横になると心臓に戻る血液が増え、肺に水分がたまりやすくなって、夜間の咳や息切れが出ることがあります。足のむくみ・急な体重増加・息切れを伴う場合は、早めの受診が必要です。
- COPD(慢性閉塞性肺疾患):長年の喫煙などで気道や肺が傷み、慢性的な咳・痰・息切れが続きます。喫煙歴のある方は注意が必要です。
- 感染後咳嗽(かんせんごがいそう):風邪やインフルエンザなどの後、気道が過敏になって咳だけが数週間続くことがあります。多くは時間とともに改善します。
長引く場合は、病院を受診しましょう。
当院では、咳の症状から咳の原因を鑑別していきます。
横になると咳が出るに関するよくある質問
横になると咳が出るとき、何科を受診すればよいですか?
多くは呼吸器内科や内科が窓口になります。胸やけ・逆流感が強い場合は消化器内科、鼻やのどの奥の症状が強い場合は耳鼻咽喉科とも関わります。当院でも咳の原因の鑑別を行っています。
咳が出にくい寝方はありますか?
上体を15〜30度ほど高くして寝ると、気道が確保され胃酸の逆流も抑えられて、咳が和らぐことがあります。あお向けより横向きが楽な方もいます。詳しくは本文「方法5:上体を少し起こして寝る」をご覧ください。
市販の咳止めが効かないのはなぜですか?
横になると出る咳は、咳喘息・逆流性食道炎・後鼻漏など、一般的な鎮咳薬が効きにくいタイプの原因によることが多いためです。原因に合った対処が大切なので、続く場合は医療機関で相談しましょう。
咳は何日くらい続いたら受診すべきですか?
咳が3〜4週間以上続く場合は、一度受診をおすすめします。あわせて、息切れ・足のむくみ・急な体重増加・血痰・高熱などがあるときは、早めに医療機関を受診してください。
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