表参道・原宿の東京原宿クリニック 院長の篠原です。
息が吸えない感じ 息を吸っても、肺に入っていかない 息を深く吸えない
ということで患者さんがいらっしゃることがあります。
何か、自分の肺に異常があるのではないか、と不安になりますよね。
特に、呼吸は生命と直結するところでもあるので、そういった症状は恐怖を伴うことがあります 。
ここでは、息が吸えなくて、なんだか苦しい、と言う時に考えることについて、お話したいと思います。
Contents
息が吸えないと感じる原因
息が吸えないと感じる時に、実際に肺に問題があるかどうかは重要です。
肺に問題があれば、対処しなくてはならないからです。
ですので、まずは、肺に病気がないか、各検査で調べることが大事です。
1.実際に肺に何らかの病気がある場合
肺の病気で、息が吸いづらくなる病気は何でしょうか。
まず、肺炎などの感染症である場合は、呼吸困難の他に、発熱や咳がみられることがほとんどで、 なかなか、息が吸いづらいというだけの症状は考えにくいです。
気管支喘息や、COPDといった病気は、空気の通り道である気道が細くなる病気です。
これらの病気は、一般的に、息が吐きづらい、といった症状になることが多いです。
息が吸いづらいだけの症状は、まれと考えられます。
肺がんや、肺血管性病変も、呼吸困難の他に、胸痛など何らかの症状があることが普通です。
ということで、息が吸いづらいという症状で、肺に実際に器質的な病気があある場合は、
①間質性肺炎
②胸膜疾患
がほとんどになるかと思います。
①間質性肺炎
間質性肺炎は、肺が線維化して、だんだんと固くなるという病気です。
肺が固くなるために、息が吸いづらくなるというわけです。
一般的に、長い年月をかけて徐々に進行することが多いのと、
呼吸困難の他に、頑固な咳を伴うことが多いです。
X線、CTや、呼吸機能検査により、その存在を診断することができます。
②胸膜疾患
胸膜疾患は、肺を包んでいる、胸膜というところに病気が起きたものです。
胸膜疾患の中には、胸膜炎、気胸などがあります。
胸膜炎は、肺の炎症が、胸膜まで到達して、炎症を起こすことにより、肺が広がりにくくなります。
この場合は、呼吸困難に加えて、発熱や胸痛を伴うことが一般的です。
気胸は、肺に穴が開いてしまうことにより、肺が萎んでしまう病気です。
多くは、急に起きて、肩や背中の痛みを伴います。
これらは、X線、CTと採血を一緒に参考にして診断します。
ということで、息が吸いづらいということで、肺に病気がある場合は、
ほとんどが、呼吸困難の他に、胸痛や発熱、咳を伴うことが多いです。
2.特に肺に問題がない場合
ですので、息が吸えないというときに、一番多いのは、肺に大きな病気が無い時が多いです。
ここで多いのが、
・過換気症候群
ということになります。
過換気症候群は、精神的な不安定によって、息を多く吸ったり吐いたりする、過換気の状態になることでおきます。
過換気になると、血液の中の炭酸ガスがどんどんと息の中に出ていってしまい、
それにより、血液がアルカリ性になります。
アルカリ性になると、血管が収縮して、その結果、手足がしびれることが多いです。
また、血液の中の炭酸ガスが少なくなると、呼吸中枢により、呼吸をしないように命令が出されます。
そうすると、患者さんは、呼吸ができなくなり、呼吸困難を感じることになります。
この場合は、血液ガス検査によって、血液中の炭酸ガスが少なくなっていることでわかります。
治療は、意識的に呼吸を少なくすることで、改善します。
ただ、日常診療の場面では、過換気症候群とまではいかないまでも、息が吸えないという気がするということに出会うことがあります。
過剰に呼吸回数が増えているわけでもなく、手足のしびれもない。
しかしながら、何となく、息を吸っているのだけど、酸素が肺に入っていかない気がする、という症状は、結構多いものです。
このような状態の場合に、明らかな病名がつくわけではありませんが、
私は、やはり、この状態、つまり過換気症候群までにはいかないが、息が吸えない感じがする、という状態は、精神的なストレスが多く関与していると感じます。
特に、今の時代、なかなか外に出れず不安ばかり募ってしまいます。
(もし、息が吸いにくい他に、発熱や咳などの症状がともなっている場合は、病院を受診してください。)
まず、ご自分では、呼吸以外のことに意識していただくといいかと思います。
呼吸のことばかり考えていると、どうしても息苦しくなります。
例えば、好きな映画や本を読むなどして、他のことに集中している時に息苦しさがなければ、ストレスが関わっている可能性が高くなります。
来院していただき、一通り、X線、CTなどを検査して、肺の器質的な病気が無いということをお伝えするとそれだけで、安心されて、その後症状が改善することが多いです。
それでも不安が強い場合は、漢方などを処方することで、改善します。
不安の原因の大概は対人関係に行き着くことが多いです。
それに気づくことで、症状の改善がみられることがあります。
症状が、心理面からきているか、次のセルフチェックを行ってみましょう。
セルフチェックテスト
息が吸えないという症状が心理面からきている可能性があるかどうか、以下の設問に答えてチェックしてみましょう。あくまでも診断ではありませんので、参考にしてください。
不安の感情との関連
息が吸えない、という症状が「不安」という感情に結びついていることもよくあります。
不安という症状は、腸脳相関という言葉にあるように、腸内環境からくる場合も多いです。
その場合、腸内環境を改善することも有効です。
腸内環境や、栄養素から不安症状を改善させることにつきましては、以下の記事を見て頂ければと思います。
まとめ
息が吸えない感じがする、という症状が、単独で現れた場合は、肺の病気がある可能性は低いです。
多くの場合、精神的なストレスが隠れていることが多く、それに気づくことで改善することが多いです。
当院では、息が吸えないという症状を診療しています。ご希望の方は内科・呼吸器内科より予約をお願いします。
当院では、CTなどが必要な方にはお近くの施設にご紹介して撮影をお願いしています。
※本記事の内容は、治療に置き換わるものではありません。個人的にお試しになり健康被害が生じても、一切責任を負えませんのでご了承下さい。
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1975年横浜生まれ、2021年9月に東京原宿クリニックを開設。内科医、呼吸器内科専門医、アレルギー専門医として豊富な経験を持つ。現在は、一般内科診療をはじめ、栄養療法・点滴療法、カウンセリングを組み合わせた総合的な健康サポートを行いながら、患者さん一人ひとりの生活の質向上をサポート。自身の体調不良経験から、従来の西洋医学に加え、栄養療法の重要性を実感。最新の医学知識の習得に励み、患者さんにとってより良い医療の提供に取り組んでいる。医学博士、日本内科学会総合内科専門医、日本呼吸器学会専門医、日本アレルギー学会アレルギー専門医、臨床分子栄養医学研究会認定指導医。