表参道・原宿の東京原宿クリニック 院長の篠原です。
今回は、メラトニンについてお話します。
メラトニンの作用で有名なのは、良質な睡眠に関係するということではないでしょうか。
加齢によっても年々と減少していくにつれて、不快な症状が現れる可能性があります。
ただ、色々な研究によって、眠気だけではなく、老化に関わることもわかってきており、主なものについてお話していきます。
Contents
メラトニンの様々な特徴
メラトニンには、様々な働きが報告されています。
・良質な睡眠
・免疫の向上
・がんの抑制
・血圧調整
・片頭痛の改善
などです。
メラトニンは、アミノ酸の一種である、トリプトファンからセロトニンに変化し、松果体からメラトニンとして分泌されます。
暗くなると、一気に生成量が上がって、明るくなると抑制されるのでペースメーカーとして働きます。
ただし、残念なことに、加齢ととともにメラトニンの生成量は低下してしまうため(下図)、眠りの質や、がんの抑制、免疫力の低下などにも影響してくるというわけです。
良質な睡眠に対する働き
夜がぐっすり眠れると、次の日がとても楽になりますよね。
加齢に伴い、年々メラトニンの量が減ってしまうので、不眠症を引き起こしやすくなります。
メラトニンは体内時計をコントロールしているので、例えば、時差ボケなどの対策にもなります。
メラトニンをとることで、高齢者の不眠症患者さんにおいて、睡眠潜時、睡眠効率や質のスコアを改善したことが報告されています(PMID: 9730580)。
睡眠薬は中毒性があることが多いですが、メラトニンの中毒性は報告に乏しいので、眠りに悩まれている方は、補充を試みてもいいかもしれません。
免疫のに対する働き
メラトニンは、睡眠に対する影響以外にも、多くの機能があります。
メラトニンは、脳の松果体と呼ばれるところから分泌されます。
マウスの松果体を摘出し、メラトニンが作れなくすると、T細胞、B細胞といった、免疫細胞の活性化が弱まりました(PMID: 31863775)。
そして、外からメラトニンを加えることによって、免疫力が復活したとのことです。
つまり、メラトニンは、免疫力を調整しています。
免疫力が低下することで、すぐ風邪をひいたり、がん細胞にやられやすくなったりします。
特に私達は、最近、ストレスが多く、ストレスを受けると、免疫力が低下して、感染症になりやすくなります。
そんな時にメラトニンは、免疫力を調整し、治癒力を上げてくれる可能性があります。
ところが、メラトニン自体も、ストレスにより少なくなってしまうのです。
寝る前に自転車エルゴメーターに乗って強運動をさせることで、夜間の血漿のメラトニンの増加が大幅に減少したという報告があります(PMID: 1609019)。
そんな時にメラトニンを使用することで、ストレスによるダメージを緩和しれくれる可能性があるのです。
メラトニン補充アプローチ
当院で取り扱っているホルモンは、元々、体の中に生まれながらにあるホルモンと全く同じ化学構造式のホルモンです。
望まれる結果がでないようであれば、天然の甲状腺ホルモンを使用することも念頭においてもいいかもしれません。
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まとめ
メラトニンは睡眠や免疫力の活性化など多くの調節に関係しています。
メラトニンが減少する原因として、加齢やストレスなどがあり、そのために不調が生じる可能性があります。
症状改善のために、補充を考えてもいいかもしれません。
最後に(免責)
本記事の内容は、医学的治療に置き換わるものではありません。個人的にお試しになり健康被害が生じても、当院では一切責任を負えませんのでご了承下さい。
病態の改善に必要な食事・サプリメントはひとりひとり異なります。
基本的に、主治医と相談しながら治療を進めていただければと思います。
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1975年横浜生まれ、2021年9月に東京原宿クリニックを開設。内科医、呼吸器内科専門医、アレルギー専門医として豊富な経験を持つ。現在は、一般内科診療をはじめ、栄養療法・点滴療法、カウンセリングを組み合わせた総合的な健康サポートを行いながら、患者さん一人ひとりの生活の質向上をサポート。自身の体調不良経験から、従来の西洋医学に加え、栄養療法の重要性を実感。最新の医学知識の習得に励み、患者さんにとってより良い医療の提供に取り組んでいる。医学博士、日本内科学会総合内科専門医、日本呼吸器学会専門医、日本アレルギー学会アレルギー専門医、臨床分子栄養医学研究会認定指導医。