3/11~予約システムが変更になり、以前のSTORES予約が使用できません。新しいシステムよりご予約をお願いいたします。

分子栄養学

アッカーマンシア菌・フィーカリバクテリウムで腸内環境改善

表参道・原宿の東京原宿クリニック 院長 篠原です。

腸内環境と全身状態はとてもつながっているため、日々腸内環境改善につとめていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。GIMAPなどの腸内環境検査を行うと、自分の腸内フローラを知ることができますが、近年、アッカーマンシア菌や、フィーカリバクテリウムの重要性が言われるようになてきました。

そこで、今回は、この2つの菌についての重要性や、改善方法などを考えていきたいと思います。

また、公式LINEでは腸内環境の改善や体調管理に関する情報を随時お届けしています。お得なクーポンも配布していますので、ぜひご登録ください。

アッカーマンシア菌とフェーカリバクテリウム

腸内環境と健康の関係

私たちの腸内には数百種類、約40兆個もの細菌が生息しており、それらが作り出す生態系(腸内フローラ)は健康に深く関わっています。近年の食生活・生活習慣の欧米化によって食物繊維の摂取量が減り、加工食品や高脂肪・高糖質の食品が増えたことから、腸内環境の悪化(腸内フローラの乱れ)が問題視されています。腸内環境が乱れると、便秘や下痢、肌荒れやアレルギーなど様々な不調につながり、さらには肥満や糖尿病、メンタルヘルスにまで影響を及ぼすことがわかってきました (論文)。腸は「第二の脳」とも呼ばれ、免疫細胞の約7割が存在する場所でもあります。腸内細菌は消化を助け、ビタミンを産生し、有害菌の侵入を防ぐなど重要な役割を果たしており、腸内フローラのバランスは全身の健康を左右するのです。

しかし現代人の腸内では、善玉菌が減り悪玉菌が増える腸内細菌叢のディスバイオシス(乱調)が起こりがちです。例えば抗生物質の乱用や野菜不足・高脂肪食などは腸内細菌の多様性を損ない、腸のバリア機能を低下させます。その結果、腸の粘膜が傷みやすくなり、「腸漏れ(リーキーガット)」と呼ばれる状態を招いてしまいます。リーキーガットになると腸壁の隙間から本来吸収されない細菌や未消化の食物が血中に漏れ出し、慢性的な炎症を引き起こすことが知られています。腸内フローラの乱れにより腸管の免疫が過剰反応したり、短鎖脂肪酸(酪酸など)の産生量が低下すると、炎症性腸疾患、肥満、糖尿病など様々な病気の発症リスクが高まります。このように腸内環境と全身の健康は密接に関係しているのです。

腸内環境と健康の深い関係

アッカーマンシア菌とフィーカリバクテリウムとは?

では腸内フローラを語る上で重要なアッカーマンシア菌フィーカリバクテリウム(フェーカリバクテリウム)とは一体どんな菌なのでしょうか?いずれも近年、腸内環境と全身の健康との関連で注目を集めている「善玉菌」の一種です。

アッカーマンシア菌(Akkermansia muciniphila)は、腸の粘液層(ムチン)を分解してエサにするユニークな腸内細菌です (論文)。グラム陰性の嫌気性菌で、ヒトの大腸粘膜に張り付くように定着しています。この菌は腸の粘膜を適度に刺激して粘液の産生を促し、腸壁を厚く強化する働きがあります。また、代謝物として酢酸などの短鎖脂肪酸を産生し、他の有用菌のエサとなる糖を供給することで腸内エコシステム全体をサポートします。近年の研究で、アッカーマンシア菌の豊富な人ほど肥満や2型糖尿病になりにくいことが報告され、「ヤセ菌」などとも呼ばれるようになりました (論文)。実際、メタゲノム解析ではアッカーマンシア菌の存在量が肥満や糖尿病、炎症性腸疾患(IBD)などと逆相関する(少ないとこれらの病気のリスクが高い)ことが示されています。マウス実験でも、アッカーマンシア菌を投与すると高脂肪食による肥満や糖尿病の進行が抑制されたとの報告があります。つまりアッカーマンシア菌は腸のバリア機能維持代謝のコントロールに重要な役割を果たす、有望な次世代プロバイオティクスなのです。

アッカーマンシア菌の働き

一方、フィーカリバクテリウム(Faecalibacterium prausnitzii)は、人の腸内で多い善玉菌の一つで、全腸内細菌の約5%を占めるとも言われる常在菌です。グラム陽性の嫌気性菌で、大腸の内容物(便)の中に多く存在します。この菌は酪酸産生菌として知られ、腸内で酢酸を消費して酪酸を作り出します。酪酸は大腸の粘膜細胞の主要なエネルギー源であり、粘膜の修復や抗炎症作用、免疫調節作用を持つ重要な物質です。フィーカリバクテリウムが十分にいることで腸内は適切な酸性度に保たれ、腸粘膜のバリア機能が高まり、炎症が抑えられます。実際、この菌は潰瘍性大腸炎やクローン病など炎症性腸疾患の患者で顕著に減少していることが明らかになっており、抗炎症作用を持つ“守りの善玉菌”とも言えます。また酪酸を介して大腸がん細胞の増殖抑制効果なども報告されており、腸の健康維持に欠かせない存在です。

フェーカリバクテリウムの働きと重要性

これら2つの菌に共通するのは、「腸のバリア機能を守り、慢性炎症を抑える」点です。アッカーマンシア菌は粘液層を厚くし、フィーカリバクテリウムは酪酸で腸粘膜を強化します。そのため両者はリーキーガット予防の鍵と目され、全身の代謝や免疫の安定に寄与しています。しかし残念ながら、いずれの菌も現代日本人の腸内では充分に存在していないケースが多いのです。

日本人の腸内ではなぜ少ないのか?

実は欧米人と比べて日本人はアッカーマンシア菌をほとんど保有していないことが報告されています。ヨーロッパの研究では痩せ型に関与する善玉菌として注目されたアッカーマンシア菌ですが、腸内でこの菌の占有率が1%以上ある日本人は1割未満であり、大多数の日本人ではごく微量しか存在しないことが分かったのです。つまり「ヤセ菌」と呼ばれるアッカーマンシア菌ですが、日本人のやせ形体型はこの菌によるものではない可能性が高いと言われます。なぜ日本人に少ないのか明確な理由はまだ研究段階ですが、食生活や腸内細菌叢の系統的な違いが考えられます。例えば日本人はもともと乳酸菌やビフィズス菌が多く、炭水化物中心の食事で育まれた別のヤセ菌(例えばブラウティア属など)が代わりに存在しているという指摘もあります。また発酵食品を日常的に摂る日本人は腸内が酸性に保たれやすく、アッカーマンシア菌の増殖環境が欧米人と異なるのかもしれません。

フィーカリバクテリウム属についても、日本人では少なめだというデータがあります。ある腸内細菌のタイプ分類では、日本人に多い炭水化物偏重の食事パターンの腸内フローラでは、肥満を防ぐとされるバクテロイデス属が多い一方で、炎症を防ぐフィーカリバクテリウム属が少ない傾向が報告されています。食物繊維の不足や糖質過多の食習慣が酪酸産生菌であるフィーカリバクテリウムを減らしている可能性があります。またフィーカリバクテリウムは非常に酸素に弱い菌で、酸素に触れにくい大腸深部でないと増えられません。腸内発酵の産物やpH環境が日本人と欧米人で異なることも影響し、日本人では腸内発酵が穏やかで酪酸菌が相対的に少ないのかもしれません。いずれにせよ、日本人の腸内でアッカーマンシア菌やフィーカリバクテリウムが少ないことは事実として認識しておく必要があります。このことは次に述べる健康への影響を考える上でも重要です。

日本人の腸内環境の特徴:なぜ特定の善玉菌が少ないのか

アッカーマンシア菌とフィーカリバクテリウムが少ないと起こる健康問題

上述したように、アッカーマンシア菌とフィーカリバクテリウムはいずれも腸のバリア機能維持抗炎症作用に寄与する善玉菌です。そのため、これらが腸内に少なかったり不在であったりすると、様々な健康上の問題が生じるリスクが高まります。

リーキーガットとの関係

まず注目すべきはリーキーガット(腸漏れ)との関係です。アッカーマンシア菌が不足すると腸の粘液層が薄くなり、腸壁上皮細胞の結合が緩みやすくなります。またフィーカリバクテリウムが不足すると酪酸供給量が減り、腸粘膜細胞のエネルギー不足や抗炎症シグナルの低下を招きます。その結果、腸のバリアが弱まり有害物質が漏出しやすくなるのです(リーキーガット状態)。リーキーガットになると腸管免疫が常に刺激され、全身的な慢性炎症が起こりやすくなります。例えばリポ多糖(LPS)など細菌由来の毒素が血中に入り込むと、インスリン抵抗性を悪化させたり各臓器で炎症反応を引き起こしたりします (論文)。近年、慢性炎症は生活習慣病や自己免疫疾患、さらにはうつ病などメンタルヘルスにも関与するとされ、「炎症のない腸」が健康長寿の鍵とも言われます。アッカーマンシア菌とフィーカリバクテリウムが豊富な腸内では、この腸の漏れと炎症のサイクルを断ち切ることが期待できますが、逆に両者が少ない腸内ではリーキーガットを起点とした様々な不調に陥りやすくなるのです。

リーキーガットとアッカーマンシアの関係

代謝疾患との関連

次に肥満・糖尿病など代謝疾患との関連も無視できません。アッカーマンシア菌は別名「ヤセ菌」と言われるほど肥満との関係が研究されてきました。肥満の人ほどアッカーマンシア菌が腸内に少なく、痩せている人ほど多い傾向が多数の研究で示されています (論文)。この菌が少ないと腸粘膜の透過性が増し、脂肪細胞への炎症性物質の流入が進んでインスリン抵抗性を悪化させることが指摘されています。一方、フィーカリバクテリウムも糖尿病患者で有意に減少しているとの報告があり、酪酸による全身の代謝調節(腸管神経を介した食欲抑制や肝臓での糖新生抑制など)の低下が考えられています。要するに、アッカーマンシア菌とフィーカリバクテリウムが少ない腸内では慢性的な炎症代謝異常が生じやすく、太りやすい・血糖値が上がりやすい体質につながりかねないのです (論文)。

腸内細菌と代謝疾患の関係

炎症性腸疾患との関係

さらに炎症性腸疾患や過敏性腸症候群(IBS)との関連も重要です。すでに述べたようにフィーカリバクテリウムは潰瘍性大腸炎やクローン病患者で顕著に減少することが知られています。腸内の「消炎役」であるこの菌がいないと、腸内の炎症反応が暴走しやすくなるためです。アッカーマンシア菌もIBD患者で減少しているとの報告があり (論文)、粘膜保護機能の低下が病態に関与すると考えられます。またIBS(過敏性腸症候群)では腸内細菌の多様性低下や炎症の関与が示唆されていますが、アッカーマンシア菌とフィーカリバクテリウムの減少はその指標の一つかもしれません。つまり両者が不足した腸内フローラの乱れは、単なる生活習慣病リスクだけでなく消化器そのものの病気リスクも高める可能性があるのです。

このようにアッカーマンシア菌とフィーカリバクテリウムの減少は、腸のバリア機能低下(リーキーガット)、慢性炎症の亢進、代謝異常(肥満・糖尿病リスク上昇)、腸疾患の悪化など全身の健康に多方面で悪影響を及ぼしえます。裏を返せば、これらの善玉菌をきちんと腸内に維持することが健康維持・増進に極めて重要だと言えるでしょう。

公式LINEでは会員限定医療情報を配信しています。

公式LINEでは、体調不良などの症状の改善のヒントとなる情報を配信しています。また、随時お得なクーポンなども配布しております。是非公式LINEにご登録ください。

GI-MAP検査で腸内環境をチェックするメリット

では、自分の腸内でアッカーマンシア菌やフィーカリバクテリウムが足りているのか、あるいは他にどんな菌が多い・少ないのかを知るにはどうすれば良いでしょうか?その答えが前述したGI-MAP検査です。GI-MAP検査を活用することで、腸内環境を客観的なデータで把握でき、効率的な腸内環境改善につなげることが可能です。

GI-MAP検査の重要性は、腸内環境が全身に与える影響が注目される中で、「まず自分の腸内を知る」ことの重要性が高まっている点にあります。闇雲に「腸に良い」と言われる食品やサプリメントを試すよりも、検査によって不足している菌や問題のある菌を特定し、それに応じた対策を講じる方が科学的で効果的です。GI-MAPはわずかな便を米国の専門ラボに送りDNAレベルで分析する高度な検査であり、従来の培養検査では検出が難しかった嫌気性菌も含め網羅的に腸内フローラを調べられるのが強みです。さらに病原性の細菌・真菌・ウイルス・寄生虫の感染状況や、それらが産生する毒素遺伝子の有無までチェックできます。腸内の炎症マーカー(便中カルプロテクチンなど)や消化不良の指標(膵臓酵素の弾性蛋白など)も測定されるため、胃腸の機能評価まで含めた包括的な腸内環境の診断が可能なのです。

GI-MAP検査で具体的にどんなことが分かるのか、例を挙げましょう。まずアッカーマンシア菌やフィーカリバクテリウムなど有用菌の量です。検査報告書ではそれぞれの菌種のDNA量が基準値とともに示され、基準より低ければ「不足している」と判断できます。日本人の患者さんの場合、前述のようにアッカーマンシア菌やフィーカリバクテリウムが検出限界以下(極めて少ない)というケースもしばしばあります。その場合、腸のバリア機能低下や炎症傾向が懸念されるため、これから述べるような対策でこれらの菌を増やす工夫が必要だと考えられます。

GIMAP検査結果

またGI-MAPでは腸内細菌のバランスも評価されます。例えば「フィルミクテス門対バクテロイデーテス門の比率(F/B比)」は肥満や腸内環境の指標として知られていますが、この比率も数値で示されます。さらに日和見菌と呼ばれる条件次第で悪玉にも善玉にもなる菌(大腸菌やウェルシュ菌、クロストリジウムの一部など)の過剰も検出されます。もしこれらが多すぎればディスバイオシスと判断され、食事改善やプロバイオティクスで是正する必要があります。同時に病原菌や寄生虫の有無もわかるため、ピロリ菌感染やカンジダ過剰、腸内寄生虫など隠れた問題が見つかることもあります (GIMAP検査で腸内環境を整える – 東京原宿クリニック)。例えば「最近お腹の調子が悪いのはカンジダ菌が異常増殖していたからだ」といった具合に、原因究明に繋がるケースも少なくありません。

さらに興味深いのは、GI-MAP検査でリーキーガットの兆候も掴める点です。オプション項目ではありますが、ゾヌリンという腸管透過性のマーカーを測定できます。ゾヌリン値が高ければ腸壁が緩んでリーキーガット気味であることを示唆しますし、便中の分泌型IgAの値から腸管免疫の活性度もわかります。これらはアッカーマンシア菌やフェーカリバクテリウムの不足と相関する可能性があり、総合的に判断することで「あなたの腸内はバリア機能が低下し炎症が起きやすい状態です」といった分析が可能になります。

要するに、GI-MAP検査を受けるメリットは腸内環境の現状を定量的かつ網羅的に把握できることです。例えば「自分にはアッカーマンシア菌が足りない」と数字で示されれば、腸内環境改善へのモチベーションも高まるでしょう。また検査後の再チェックで改善度合いを確認できるのも利点です。日本人に多い「有用菌の不足型」の腸内環境も、適切な対策によって変化させられることがGI-MAPのフォローアップで実感できます。腸内環境を本気で良くしたい方にとって、GI-MAP検査は現在の状態を知る羅針盤であり、オーダーメイドの腸活プランを立てるための強力なツールなのです。

アッカーマンシア菌とフィーカリバクテリウムを増やす方法

GI-MAP検査などで自分の腸内でアッカーマンシア菌やフィーカリバクテリウムが不足していると分かったとしても、適切な対策を講じれば、これらの菌を増やし腸内環境を改善することは十分可能です。ここでは日常で実践できる腸内環境改善策をいくつか紹介します。

1. 食事の工夫(プレバイオティクスの摂取): アッカーマンシア菌やフィーカリバクテリウムなどの善玉菌を増やすには、彼らのエサとなる食物繊維や難消化性成分を意識的に摂ることが重要です。野菜、果物、豆類、全粒穀物、きのこ、海藻などに多く含まれる食物繊維は、腸内で発酵して短鎖脂肪酸を産生し、善玉菌の増殖を助けます。特に水溶性食物繊維(イヌリンやグアーガム分解物など)はアッカーマンシア菌の増殖に有用との報告があります。またポリフェノールもプレバイオティクスとして働きます。緑茶のカテキン、ベリー類や葡萄のポリフェノール、紅茶やカカオのポリフェノールは腸で分解され、アッカーマンシア菌の増殖を促進することが示唆されています。さらに発酵食品の活用も効果的です。味噌、漬物、キムチ、納豆などには有用菌そのものや発酵産物が含まれ、腸内フローラのバランスを整えるのに寄与します。特に納豆はビタミンKやポリグルタミン酸を豊富に含み、フィーカリバクテリウム属など酪酸産生菌の増殖を助けるとも言われます。

腸内善玉菌を増やすための食事ガイド
公式LINEでは会員限定医療情報を配信しています。

公式LINEでは、体調不良などの症状の改善のヒントとなる情報を配信しています。また、随時お得なクーポンなども配布しております。是非公式LINEにご登録ください。

2. サプリメントの活用: 食事だけで補いきれない場合、市販のプロバイオティクスやプレバイオティクスのサプリメントも活用できます。近年、海外ではアッカーマンシア菌のサプリメントも登場し始めています。米国でもPendulum社が生きたアッカーマンシア菌を含むプロバイオティクス製品を販売しています。これらの「次世代プロバイオティクス」は体重管理や糖代謝改善を標榜しており、肥満や2型糖尿病の新たな対策として期待されています。ただし日本国内ではまだ入手が難しいのが現状です。一方、フィーカリバクテリウムのサプリは現時点で市販が非常に難しい状況です。というのも前述の通りこの菌は酸素に極端に弱く、製品として生きた菌を封入・流通させるハードルが高いためです。その代わり、プレバイオティクス(難消化性オリゴ糖、アラビノキシラン、イヌリン等)やポストバイオティクス(酪酸そのものを含むサプリメントなど)で間接的にフィーカリバクテリウムを増やすアプローチが考えられます。また一般的な乳酸菌・ビフィズス菌サプリも、腸内のpHを下げたり酢酸を供給することでフィーカリバクテリウムの環境を整えるのに役立つでしょう。市販サプリを選ぶ際は、科学的根拠が示された信頼性の高いブランドを選ぶことが大切です。ただし、このようなサプリメントで逆にお腹が張るなどの症状が出てくる場合はSIBOの可能性もあり、積極的にとることは控えましょう。

腸内環境改善のためのサプリメント活用ガイド

3. 生活習慣の改善: 腸内環境は日々の生活習慣とも深く関係しています。まず適度な運動は腸の蠕動運動を促し、善玉菌の定着を助けることがわかっています。運動習慣のある人は腸内細菌の多様性が高く、酪酸産生菌が多いという研究報告もあります。ウォーキングや軽いジョギング、ヨガなど自分に合った形で体を動かす時間を確保しましょう。またストレス管理も重要です。過度なストレスは自律神経のバランスを乱し、腸の蠕動や粘液分泌を低下させ、腸内フローラに悪影響を及ぼします。趣味の時間を持ったりリラックス法(深呼吸・瞑想・入浴など)を取り入れてストレスを和らげる工夫をしてください。さらに睡眠も見逃せません。睡眠不足や不規則な生活は腸内細菌の昼夜リズムを狂わせ、代謝産物の分泌リズムが乱れることが指摘されています。毎日できるだけ同じ時間に十分な睡眠をとり、腸と全身のリズムを整えましょう。

加えて、アルコールや喫煙は腸内細菌にダメージを与えるため控えめにする、抗生物質や消炎鎮痛剤の安易な使用は避ける、といったことも腸内環境維持には重要です。「腸に優しい生活習慣」を心がけることが、アッカーマンシア菌やフィーカリバクテリウムを含む善玉菌たちが住みやすい環境を作ることにつながります。

腸に優しい生活習慣

まとめ: 日本人の腸内環境改善のために

現代の日本人にとって、腸内環境改善(腸活)はますます重要なテーマとなっています。食生活の欧米化や生活習慣の変容により、多くの人の腸内では善玉菌が減少し、腸のバリア機能低下や慢性炎症がじわじわと進行しているかもしれません。特にアッカーマンシア菌やフィーカリバクテリウムのような鍵となる善玉菌が少ない傾向は、日本人の腸内フローラのウィークポイントと言えます。しかし幸いなことに、腸内環境は適切な対策によって改善する可能性を秘めています。そして改善の第一歩は「自分の腸内を知ること」です。

GI-MAP検査はそうした意味で非常に有用なツールです。自分の腸内細菌のプロファイルを把握することで、何に重点を置いて腸活すべきかが明確になります。「アッカーマンシア菌が足りないから食物繊維とポリフェノールを積極的に摂ろう」「フィーカリバクテリウムが少ないから発酵食品を毎日食べよう」「日和見菌が多いから甘いものを控えよう」といった具体的なアクションプランを立てることができます。それを実践し、再びGI-MAP検査を受ければ、腸内環境がどう変化したかデータで確認できるため大きな励みになるでしょう。腸内環境の改善は一朝一夕にはいきませんが、着実に続ければ必ず良い方向に向かいます。腸内フローラは努力に応えてくれるのです。

当院ではGIMAPを主軸においた腸内環境改善を栄養外来で行っています。ご検討いただければと思います。

最後に、今日からできる腸内環境改善のポイントをまとめます。

  • 毎日の食事に+1皿の食物繊維: 野菜や海藻、きのこ、豆類をもう一品追加して善玉菌のエサを増やしましょう。間食にはナッツや果物を選び、ポリフェノールもプラス。
  • 発酵食品を習慣に: 朝食に味噌汁、納豆を取り入れるなど、日本の伝統発酵食品を毎日欠かさず摂りましょう。腸内フローラの心強い味方になります。
  • 適度な運動と十分な睡眠: 散歩や軽い運動で腸の働きを活発にし、夜はしっかり眠って腸を休めます。生活リズムの安定が腸内環境改善に繋がります。
  • ストレスケア: リラックス時間を作り、自律神経のバランスを整えましょう。笑うことも腸には良い影響があります。

これらを実践しながら、必要に応じてGI-MAP検査など専門的なサポートも活用し、自分の腸内環境と向き合ってみてください。腸内環境改善は地味なようでいて、実は肥満や糖尿病予防、免疫力向上、さらには美肌やメンタルヘルスにも波及効果をもたらす素晴らしい投資です。日本人が本来持つ伝統的な食文化(発酵食品や食物繊維豊富な和食)を見直し、科学的知見も取り入れながら、アッカーマンシア菌やフィーカリバクテリウムたち善玉菌が喜ぶ腸内環境を育んでいきましょう。

最後に(免責)

本記事の内容は、医学的治療に置き換わるものではありません。個人的にお試しになり健康被害が生じても、当院では一切責任を負えませんのでご了承下さい。

病態の改善に必要な食事・サプリメントはひとりひとり異なります。

基本的に、主治医と相談しながら治療を進めていただければと思います。

無料レポート新リリースしましたのでお受け取りください!

副腎疲労の無料レポート新リリースしましたのでお受け取りください!

関連記事