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分子栄養学

食欲あるのに体重減少する原因と対策

表参道・原宿の東京原宿クリニック院長の篠原です。

食欲があってダイエットなどの意図をしていなくても体重が減少してしまい、その結果、体力低下や免疫力低下で悩まれている方が多いです。食事量を増やしても体重が増えなかったり、そもそも食事量を増やず苦労することが多いです。

今回は体重減少について、西洋医学と分子栄養学の両方の視点からお話ししたいと思います。体重減少には様々な原因があり、単純な食事量の不足だけでなく、複雑なメカニズムが関与していることがあります。治療に難渋するケースも多く、西洋医学的なアプローチだけでなく、分子栄養学的な視点からの評価も重要になってきています。

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体重減少とは

医学的には、一般的に数ヶ月で4〜5kg以上の減少、あるいはもとの体重から5%以上の減少を「意図しない体重減少」と考えます。痩せたいと思って意図的に減量している場合は除きますが、逆に「健康的に痩せたい」という思いが強すぎて起こってしまう体重減少(オルトレキシア)もありますので、注意が必要です。

オルトレキシアとは

オルトレキシア(Orthorexia)は、「健康的な食事」へのこだわりが強すぎるあまり、かえって健康を損なってしまう状態を指します。ギリシャ語の「orthos(正しい)」と「orexis(食欲)」を組み合わせた言葉で、「正しい食事へのこだわり」という意味です。

オルトレキシアではまず、「健康的な食事」に対して強いこだわりを持ちます。添加物や農薬、遺伝子組み換え食品を極端に避け、オーガニックや無農薬の食品にこだわります。また、特定の食品群(例:糖質、乳製品、グルテンなど)を完全に排除することもあります。

食事の準備に多くの時間を費やし、事前の食材選びや調理方法にも極端なこだわりを持ちます。外食を避け、自分で調理した食事しか受け付けないという状態になることもあります。このような行動は、次第に日常生活に支障をきたすようになります。友人との食事を避けたり、仕事や学業よりも食事の準備を優先したりすることで、社会生活に支障が出ることがあります。食にこだわるが故に、このような状態にならないように気をつけましょう。

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西洋医学からみた体重減少の原因

西洋医学では、体重減少の原因を以下のように分類します。

まず、内分泌系の異常があります。代表的なものは甲状腺機能亢進症(バセドウ病)です。甲状腺ホルモンの過剰分泌により新陳代謝が亢進し、食事をしっかり摂っているのに体重が減っていくという状態になります。また、糖尿病、特に1型糖尿病やコントロール不良の2型糖尿病でも、エネルギー源としての糖が適切に利用されず、脂肪や筋肉が分解されることで体重が減少することがあります。

次に消化器系の疾患があります。消化性潰瘍、炎症性腸疾患(クローン病、潰瘍性大腸炎)などでは、食欲不振や消化・吸収障害により体重が減少します。

精神的な要因も重要です。うつ病による食欲低下や、摂食障害による極端な食事制限なども体重減少の原因となります。

また、悪性腫瘍(がん)による体重減少も重要です。がん細胞の増殖に伴うエネルギー消費の増大や、がんによる食欲不振などが原因となります。

感染症による体重減少もあります。結核やHIVなどの慢性感染症では、長期の炎症により体重が減少することがあります。

西洋医学的な検査と対策

これらの原因を特定するため、通常、医療機関において以下のような検査を行います。

血液検査では、貧血の有無、炎症反応、甲状腺機能、血糖値、栄養状態などを確認します。尿検査では腎機能や糖尿病の評価を行います。

画像診断としては、胸部や腹部のレントゲン、CTスキャンなどで内臓の状態を確認し、腫瘍や感染症の有無を調べます。必要に応じて内視鏡検査を行い、消化管の詳細な観察を行います。

精神的な要因が疑われる場合は、うつ病や摂食障害の可能性を評価するための問診や心理テストを行います。

対策としては、まず原因となっている疾患の治療を行います。甲状腺機能亢進症であれば抗甲状腺薬、糖尿病であればインスリンや経口血糖降下薬による血糖コントロール、消化器疾患であれば適切な治療を行います。

栄養管理も重要です。必要に応じて栄養士による指導を受け、バランスの良い食事を心がけます。特に、タンパク質は体重1kgあたり1.2~1.5gを目標に摂取することが推奨されます。

生活習慣の見直しも大切です。適度な運動、十分な睡眠、ストレス管理などを心がけましょう。精神的な問題が原因の場合は、カウンセリングや適切な治療を受けることが必要です。

分子栄養学からみた体重減少

ここからは、西洋医学的な検査で特に異常が見つからない場合や、治療に反応が乏しい場合に考慮すべき、分子栄養学的な視点からお話しします。分子栄養学では、体重減少を単なる体重の減少としてではなく、細胞レベルでの機能異常として捉えます。

まず重要なのが、ミトコンドリア機能の低下です。ミトコンドリアは細胞のエネルギー工場とも呼ばれ、私たちが食事から摂取した栄養素をATP(アデノシン三リン酸)という形でエネルギーに変換する重要な役割を担っています。このミトコンドリアの機能が低下すると、十分な食事を摂っていてもエネルギーが効率よく作られず、疲労感や脱力感とともに体重減少が起こることがあります。

ミトコンドリア機能低下の原因としては、慢性的なストレス、環境毒素への暴露、栄養素の不足、感染症、過度な運動などが挙げられます。特に現代社会では、環境中の様々な化学物質や重金属、電磁波などの影響を受けやすく、これらがミトコンドリアの機能を阻害する可能性があります。ミトコンドリアについては、こちらもご参照ください

次に重要なのが副腎疲労です。副腎は、ストレスホルモンであるコルチゾールを分泌する重要な臓器です。現代社会では慢性的なストレスにさらされている方が多く、それにより副腎が疲弊してしまうことがあります。副腎疲労が起こると、コルチゾールの分泌パターンが乱れ、朝の目覚めが悪い、日中の疲労感が強い、夜になると逆に元気になるといった症状が現れます。また、血糖値の調節も上手くいかなくなり、低血糖を起こしやすくなります。

副腎疲労では、ストレスへの適応力が低下するため、些細なストレスでも大きな負担となり、さらに副腎が疲弊するという悪循環に陥りやすくなります。また、副腎疲労は甲状腺機能にも影響を与え、代謝の低下を引き起こすことがあります。副腎疲労については、こちらもご参照ください。

胃から分泌される胃酸が減少することも、食事の消化能力の低下を招き、その結果体重減少に陥ります。胃酸が減少うする原因として、ピロリ菌の存在や、交感神経緊張などがあげられます。ピロリ菌は、内視鏡検査などでの発見が難しいことが多く、遺伝子検査によってようやく発見されることも多いです。検査で見つかりにくいピロリ菌についてはこちらもご参照ください

腸内環境の悪化も、体重減少の重要な要因となります。腸内には数千種類、100兆個以上の腸内細菌が存在し、私たちの健康に大きな影響を与えています。これらの腸内細菌は、食物の消化・吸収を助けたり、ビタミンを作り出したり、免疫系を調節したりする重要な働きを持っています。

腸内環境が乱れると、まず栄養素の吸収が低下します。特に、ビタミンB群や必須アミノ酸、ミネラルなどの重要な栄養素の吸収が妨げられることがあります。また、腸内細菌叢の乱れは腸の炎症を引き起こし、腸壁のバリア機能が低下する「リーキーガット症候群」を引き起こすことがあります。

リーキーガット症候群では、本来は腸から体内に入るはずのない物質が漏れ出してしまい、様々な免疫反応や炎症反応を引き起こします。これにより、さらに栄養吸収が妨げられ、体重減少が進行することがあります。リーキーガット症候群についてはこちらもご参照ください

また、腸内環境の悪化は腸内カンジダの過剰増殖を引き起こすことがあります。カンジダは通常は腸内に少量存在していても問題ありませんが、抗生物質の使用や食生活の乱れ、ストレスなどにより過剰に増殖すると、様々な問題を引き起こします。カンジダは糖分を好んで消費するため、必要な栄養素が奪われてしまうことがあります。腸カンジダについては、こちらもご参照ください

重金属の蓄積も見逃せない要因です。現代社会では、食品や環境中から様々な重金属を摂取する機会が増えています。これらの重金属は体内に蓄積すると、ミトコンドリア機能を阻害したり、ホルモンバランスを乱したりすることがあります。特に水銀、鉛、カドミウムなどの重金属は、神経系や内分泌系に影響を与え、様々な健康問題を引き起こす可能性があります。

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分子栄養学的な検査

これらの問題を評価するために、分子栄養学では従来の検査に加えて、より詳細な検査を行います。

尿中有機酸検査は、代謝の状態やミトコンドリア機能を評価する重要な検査です。私たちの体内では、様々な代謝過程で有機酸が生成されます。この有機酸の種類や量を測定することで、代謝のどの過程に問題があるのかを特定することができます。例えば、クエン酸回路(TCAサイクル)の働きを評価したり、ビタミンB群の不足を見つけたりすることができます。

また、尿中有機酸検査では腸内環境の評価も可能です。特定の有機酸は腸内細菌やカンジダなどの真菌が産生するため、これらの量を測定することで腸内環境の状態を把握することができます。尿中有機酸検査については、こちらもご参照ください。

GIMAPなどの腸内環境検査では、腸内細菌叢の状態を詳しく調べることができます。この検査では、善玉菌や悪玉菌の量、炎症マーカー、免疫マーカーなどを測定し、腸内環境の全体像を把握します。また、パラサイト(寄生虫)やカンジダなどの真菌の有無も調べることができます。こうした腸内環境の悪化が、栄養不足を招き、体重減少におちいっていることが多いです。GIMAPについてはこちらもご参照ください

唾液コルチゾール検査は、副腎機能を評価する重要な検査です。通常、コルチゾールは朝に高く、夜に低いという日内変動を示します。この検査では、一日数回唾液を採取してコルチゾールを測定することで、副腎の状態をより正確に評価することができます。副腎疲労では、このコルチゾールの日内変動が乱れることが多いため、治療方針を決める上で重要な情報となります。唾液コルチゾール検査については、こちらもご参照ください

毛髪ミネラル検査やオリゴスキャンでは、体内のミネラルバランスや重金属の蓄積状態を評価します。血液検査では一時的な状態しかわかりませんが、毛髪検査では過去数ヶ月の平均的な状態を知ることができます。また、必須ミネラルの不足や有害金属の蓄積なども評価できます。

分子栄養学的な対策

検査結果に基づいて、以下のような対策を行います。

まずは、以下のサイトより、総消費カロリー(TDEE)を計算しましょう。TDEE以上のカロリーを摂取しないと、カロリー不足に陥り、体重減少が悪化してしまいます。

そして、現在の食事がTDEEに達しているかどうかを、アプリなどを用いてざっくりと計算してみましょう。これを行うことによって、カロリー不足で体重が減少しているのか、カロリーは足りているのに、体重減少しているのかが判別できるようになります。

ミトコンドリア機能の改善には、まずビタミンB群の補給が重要です。B1、B2、B3、B5などのビタミンB群は、エネルギー産生に必須の栄養素です。また、コエンザイムQ10は電子伝達系で重要な役割を果たすため、積極的に補給します。L-カルニチンは脂肪酸をミトコンドリアに運び込む働きがあり、エネルギー産生を助けます。αリポ酸は抗酸化作用を持ち、ミトコンドリアを酸化ストレスから保護する働きがあります。

副腎疲労に対しては、まずストレス管理が重要です。可能な限りストレス要因を減らし、十分な休息を取ることが基本となります。栄養面では、ビタミンCの補給が重要です。副腎はビタミンCを最も多く含む臓器で、ストレス時には大量のビタミンCを消費します。また、ビタミンB5(パントテン酸)は副腎ホルモンの産生に必要です。マグネシウムは神経の興奮を抑える作用があり、ストレス緩和に役立ちます。

アダプトゲンと呼ばれるハーブも有用です。アシュワガンダやリコリス、霊芝などのアダプトゲンは、ストレスへの適応力を高める作用があります。ただし、これらのハーブは個人の状態によって効果が異なるため、専門家に相談しながら使用することが重要です。

腸内環境の改善には時間がかかりますが、段階的なアプローチが効果的です。まず、プロバイオティクスの投与を行います。ただし、腸内環境が著しく乱れている場合、いきなり大量のプロバイオティクスを投与すると、かえって症状が悪化することがあります。そのため、少量から開始し、徐々に増やしていくことが重要です。

また、腸を癒すための栄養療法も重要です。L-グルタミンは腸粘膜の修復に重要なアミノ酸で、リーキーガット症候群の改善に効果があります。亜鉛やビタミンAも腸粘膜の修復を助ける栄養素です。オメガ3脂肪酸には抗炎症作用があり、腸の炎症を抑える効果が期待できます。GIMAPなどの検査に基づき、消化酵素不足であれば消化酵素サプリの適応も考えます。

食事面では、腸内細菌の餌となる食物繊維を十分に摂取することが大切です。特に、プレバイオティクスと呼ばれる食物繊維は善玉菌の増殖を促進します。ただし、急激に食物繊維を増やすと腹部膨満感などの不快な症状が出ることがあるので、こちらも徐々に増やしていくことをお勧めします。

腸内カンジダの過剰増殖が認められる場合は、抗真菌療法も検討します。ただし、カンジダが死滅する際に放出される毒素による一時的な症状の悪化(ヘルクスハイマー反応)が起こることがあるため、これも段階的に進めていく必要があります。

重金属の排出(デトックス)も慎重に行う必要があります。キレーション療法や各種サプリメント、温熱療法などを組み合わせて、ゆっくりと進めていきます。急激なデトックスは体に負担をかけすぎる可能性があるため、注意が必要です。

このように、分子栄養学的なアプローチでは、体の状態を詳しく評価した上で、複数の観点から総合的な治療を行います。ただし、これらの治療は個人差が大きく、画一的なアプローチは適切ではありません。また、治療には一定の時間がかかることを理解しておく必要があります。

まとめ

体重減少の原因は実に様々で、西洋医学的なアプローチだけでは解決できない場合も少なくありません。そのような場合、分子栄養学的な視点を取り入れることで、新たな解決の糸口が見つかることがあります。

特に、ミトコンドリア機能の低下、副腎疲労、腸内環境の悪化、重金属の蓄積などは、通常の検査では見つけにくい要因ですが、これらを適切に評価し対処することで、体重減少の改善が期待できます。

ただし、体重減少、特に急激な体重減少は重大な疾患の可能性もありますので、まずは一般的な医療機関を受診することをお勧めします。その上で必要に応じて、分子栄養学的なアプローチを検討していただければと思います。当院では栄養外来で分子栄養学的なアプローチを用いて対策を行っています。ご興味のある方はご検討いただければと思います。

最後に(免責)

本記事の内容は、医学的治療に置き換わるものではありません。個人的にお試しになり健康被害が生じても、当院では一切責任を負えませんのでご了承下さい。

病態の改善に必要な食事・サプリメントはひとりひとり異なります。

基本的に、主治医と相談しながら治療を進めていただければと思います。

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