表参道・原宿の東京原宿クリニック 院長の篠原です。
「すぐ横になりたくなる」「一日中眠い」「倦怠感」といった症状でお悩みの方は非常に多く、一般的な病院で検査を受けても異常が見つからないというケースが少なくありません。その結果、これらの症状の改善が難しい状況が続くことが少なくありません。
クリニックや病院で異常がないと言われた場合、後述する分子栄養学の考え方を用いることで、その解決の糸口が現れることが多いです。分子栄養学とは、体内の栄養素のバランスを整えるアプローチのことです。
この記事では、「すぐ横になりたくなる」原因について、西洋医学と分子栄養学の両方の観点から原因を分析し、適切な対策について詳しく解説します。
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Contents
西洋医学的に考えられる主な原因と対策
「すぐに横になりたくなる」「倦怠感がある」といった時に、一般的な医療機関で考えられる原因としては、以下のようなものがあります。まずは、受診して調べてもらいましょう。
1. 貧血
特に女性に多く見られ、主に鉄分不足により体内の酸素運搬能力が低下し、全身の疲労感が強くなります。体の各部位に十分な酸素が供給されないことが、慢性的な倦怠感の原因となります。貧血による症状としては、動悸や息切れ、めまいなども加わることがあり、症状の軽減には鉄分を意識した食事や鉄剤の摂取が重要です。診断には、鉄欠乏性貧血を意識した採血をすることで診断できます。
2. 低血圧
血圧が低いと、脳への血流が減少し、めまいや立ちくらみ、強い疲労感を感じることがあります。血液が脳に十分に行き渡らないことで、特に午前中に倦怠感を強く感じる傾向があります。低血圧は遺伝的要因や体質に関係することも多いですが、生活習慣の改善や血圧を保つ栄養素の摂取が有効です。後述する副腎疲労においても、低血圧になる傾向があります。
3. 甲状腺機能低下症
甲状腺ホルモンの分泌が減少すると、代謝が低下し、慢性的なだるさや眠気を引き起こします。甲状腺は全身のエネルギー代謝に関与しているため、その機能低下はさまざまな身体的な不調を引き起こします。甲状腺ホルモンの低下は、乾燥肌や体重増加、寒さに対する不耐性などの症状も引き起こします。甲状腺機能については、健康診断などでは採血されないことも多いので、甲状腺機能異常を念頭においた採血が必要になります。
4. うつ病
意欲低下や不眠などの症状が日常生活に影響を与え、日中の強い眠気や疲労感を伴うことがあります。うつ病は心の問題だけでなく、身体的なエネルギーにも影響を及ぼし、全身の倦怠感を引き起こすことがよくあります。うつ病の治療には、薬物療法だけでなく、カウンセリングや生活リズムの改善も重要です。
5. 起立性調節障害
起立性調節障害(Orthostatic Dysregulation, OD)は、血圧や心拍数の調節がうまくいかず、立ち上がったときにめまいや倦怠感を感じることが特徴です。特に子どもや若年層に多く見られますが、大人でも発症することがあります。朝に症状が強く現れることが多く、日中も立位を保つことが困難になります。こちらは、後述する分子栄養学の「副腎疲労」の考え方を応用することによって、対処の糸口がみえてきます。
起立性調節障害の特徴
- 立ち上がるとめまいやふらつきを感じる
- 朝起きるのが難しい、午前中に倦怠感が強い
- 長時間立っていると気分が悪くなる
- 疲労感や集中力の低下

以上のような西洋医学の病気に対しては、以下のような対策が一般的に行われています。
- 貧血:鉄剤の服用や鉄分を多く含む食事の摂取(例:赤身の肉、ほうれん草など)
- 低血圧:塩分・水分の摂取、適度な運動、血流を良くするためのマッサージ
- 甲状腺機能低下症:甲状腺ホルモン薬の服用
- うつ病:抗うつ薬の使用、カウンセリングによる心理療法、生活習慣の改善、社交活動の促進
- 起立性調節障害:適度な塩分と水分の摂取、圧迫ストッキングの使用、徐々に立ち上がるなどの工夫、運動療法による体力の向上
しかし、これらの検査で異常が見つからない、もしくは、診断された場合においても改善がみられない場合も多く、そのようなケースでは分子栄養学的なアプローチが有効となることがあります。
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分子栄養学とは?
分子栄養学とは、栄養素を分子レベルで捉え、体内の栄養バランスを整えることで健康を改善するアプローチです。体内の栄養素や代謝産物の状態を把握し、個々の体質や生活習慣に応じて適切な栄養を補うことにより、根本的な健康改善を目指します。西洋医学では見過ごされがちな軽微な栄養欠乏や代謝不良を特定し、個別化された栄養サポートを行うことが特徴です。これにより、慢性的な疲労感や体調不良の原因をより詳細に探ることが可能となります。

分子栄養学からみた原因
分子栄養学的に考えられる原因は以下のようなものがあります。
1. 副腎疲労
副腎という臓器は、ストレスに対処するホルモンであるコルチゾールを分泌する、腎臓の上にある小さい臓器です。現代社会における過剰なストレスによって、副腎が過労状態となり、十分なコルチゾールを分泌できなくなることがあります。これにより、慢性的な疲労感が引き起こされます。副腎疲労については、こちらもご参照ください。
副腎疲労の特徴
- 朝の起床がつらい、起きた後も倦怠感が続く
- 午前中に強いだるさを感じ、エネルギー不足
- 夕方になると少し元気が戻り、活動しやすくなる
- ストレス耐性が低下し、精神的・身体的に脆弱になる
- 甘いものや塩辛いものへの渇望が強くなることが多い
2. ミトコンドリア機能の低下
ミトコンドリアは、細胞内でエネルギーを生産する重要な役割を果たしており、その機能が低下すると、エネルギー不足により強い疲労感が生じます。これは全身のエネルギー代謝が落ちてしまうことに直結してしまいます。ミトコンドリアについてはこちらもご参照ください。
ミトコンドリア機能低下の特徴
- 少し動いただけで疲労を強く感じる
- 筋肉や関節の痛みが継続することがある
- 集中力が続かず、思考がぼやける
- 全身の倦怠感が長引き、横になりたくなる
- 免疫力の低下により、風邪をひきやすくなる
3. 潜在性の低血糖
血糖値が急激に低下することで、脳へのエネルギー供給が不十分となり、強い眠気や疲労感が発生することがあります。血糖値が正常範囲内にあっても急激な変動が症状を引き起こす要因となりえます。採血しても正常であったとしても潜在性の低血糖になっていることがあり、注意が必要です。特に、血液検査で中性脂肪の値がいつも低いと言われている方は、潜在性の低血糖の可能性があるので注意が必要です。低血糖についてはこちらもご参照ください。
潜在性低血糖の特徴
- 食後2-3時間で強い眠気が来ることがある
- 空腹時にイライラしやすくなる
- 甘いものを摂ると一時的に元気になるが、すぐにまた疲労を感じる
- 頻繁な空腹感と、それに続く気分の落ち込み
4. 腸内環境の乱れ
腸内環境が悪化すると、栄養の吸収が低下し、有害物質が体内に入ってくることで全身の疲労感が増すことがあります。また、腸内の状態が体全体の健康に影響を及ぼすことがわかっています。腸脳相関という言葉があるように、腸の状態は、脳にとても関係します。腸内環境が悪化すると腸漏れ(リーキーガット)になることがあります。詳しくはこちらもご参照ください。
腸内環境の乱れの特徴
- 不規則な便通、便秘や下痢の繰り返し
- お腹の張りやガスの溜まりやすさ
- 食後に強い眠気を感じることがある
- 肌荒れや吹き出物が多くなる
- 食物に対するアレルギーや不耐症状が悪化することがある
- メンタル面への影響(不安感やイライラなど)
5. 潜在性鉄欠乏
鉄が不足している状態でありながら、貧血と診断されるほどではない「潜在性鉄欠乏」は、多くの人に見られる問題です。この状態では体内の鉄の貯蔵量が不足しており、酸素運搬能力が低下するため、慢性的な疲労感やだるさが生じることがあります。とても問題なのは、健康診断などでは「正常」と判断されてしまうことです。そのため、見逃されていることも多いのが事実です。潜在性鉄欠乏性貧血につきましては、こちらもご参照くだいさい。
潜在性鉄欠乏の特徴
- 疲れやすく、エネルギー不足を感じる
- 集中力の低下
- 肌や粘膜の健康状態が悪化
- 冷え性や抜け毛が増えることがある
- 爪が割れやすくなる、または薄くなる

分子栄養学的な検査方法
これらの原因を特定するために、以下のような検査が有効です。原因を特定することによって、解決の糸口が見えてきます。
唾液コルチゾール検査
- 1日4回もしくは、6回の唾液採取により、コルチゾールの日内変動を評価し、副腎の状態を詳細に分析します。この検査により、副腎の疲労度合いやストレスへの反応性が明らかになります。唾液コルチゾール検査につきましては、こちらもご参照ください。
尿中有機酸検査
- 尿中の有機酸を測定することで、ミトコンドリアの機能状態や腸内環境、ビタミン不足などを総合的に評価します。これはミトコンドリアのエネルギー代謝の状態を把握するのに役立ちます。有機酸検査につきましては、こちらもご参照ください。
血液検査(栄養学的な項目を含む)
- 通常の血液検査に加えて、ビタミンD、亜鉛、マグネシウム、フェリチン、甲状腺ホルモンなどの詳細な栄養状態を測定します。特にフェリチンの値を測定することで、潜在性鉄欠乏の有無を確認することができます。これにより、栄養バランスの偏りを可視化できます。
腸内環境検査
- 便検査を通じて、腸内細菌のバランスやカンジダなどの有害菌の有無を調べます。腸内環境の状態を知ることで、栄養の吸収や免疫機能への影響を理解することができます。特に有用と考えている検査に、GIMAP検査があります。
血糖値モニタリング
- 血糖値の急激な変動を確認するために、定期的な血糖値モニタリングを行うことが有効です。これにより、低血糖エピソードや血糖値の不安定さを特定しやすくなります。リブレという測定機は血糖値をモニタリングを行うためにとても有効です。
これらの検査を総合して、副腎疲労の具合、腸内環境の具合、栄養の過不足などを判断していき、対策につなげていきます。

分子栄養学的な対策
検査結果に基づいて以下の対策を行います。
1. 副腎疲労への対策
- コルチゾールの日内リズムを整えるための生活習慣の改善、規則正しい起床と就寝時間の確保
- ビタミンCおよびビタミンB群の補給による副腎のサポート
- マグネシウムの補給による筋肉と神経のリラックス効果
- アダプトゲンハーブ(アシュワガンダ、ロディオラなど)の使用
- ストレス管理のための定期的なリラクゼーション活動(瞑想や呼吸法)
2. ミトコンドリア機能の改善
- CoQ10の補給によるエネルギー生産の向上
- アルファリポ酸の補給による抗酸化作用の強化
- ビタミンB群の補給によるエネルギー代謝のサポート
- L-カルニチンの補給による脂肪酸代謝の促進
- 抗酸化物質(ビタミンC、E)の補給で細胞を保護し、ミトコンドリアの機能を支援
これらは、主に有機酸検査をもとにして改善していきます。
3. 血糖値の安定化
血糖値が乱れていると、とても疲れやすくなります。そのため、血糖値を安定化させることが大切です。
- 低GI食品を中心とした食事により、血糖値の急激な上昇を防止
- タンパク質をしっかり摂取することで、満腹感を持続させる
- 食事を分割して摂ることで血糖値の安定を図る
- 食物繊維を豊富に摂取して血糖値の変動を抑制
- クロムとマグネシウムの補給によりインスリン感受性を改善し、血糖値の変動を最小限にする
4. 腸内環境の改善
腸内環境については、便通異常があればもとより、便通異常がなくても腸内環境が悪いことが多いので注意が必要です。一般的には以下の対策が有効ですが、改善しない場合は、GIMAPなどの検査が必要です。
- プロバイオティクス(善玉菌)の摂取により腸内フローラを改善
- 食物繊維の摂取で腸内細菌のバランスを整える
- 一部の食品(グルテン、乳製品など)を制限することで、腸への刺激を減らす
- 腸の粘膜を修復するサプリメント(グルタミンなど)で腸の健康をサポート
- プレバイオティクス(善玉菌の餌)の摂取により、腸内フローラのバランスをさらに強化
5. 潜在性鉄欠乏への対策
潜在性鉄欠乏の場合は、鉄を補給することで症状の改善が見込まれます。ところが過剰な鉄を入れてしまうと腸内環境が悪化するなどの逆効果になることもあるので、注意が必要です。
- 鉄分の補給:ヘム鉄を多く含む食品(肉類、レバーなど)を積極的に摂取する
- ビタミンCの同時摂取により鉄の吸収を促進
- 必要に応じて鉄サプリメントの使用
- ビタミンB6やB12の補給により、鉄の代謝をサポートし、酸素運搬能力の改善を図る

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生活習慣の改善
生活習慣の改善もとても重要です。
1. 睡眠の質の改善
- 定時に起床する習慣を持つ
- 朝日を浴びて体内時計をリセットする
- 快適な寝室環境を整える(温度、湿度、光の調整)
- 就寝前にスマートフォンやパソコンのブルーライトを避け、リラックスできる環境を作る
2. ストレス管理
- 適度な有酸素運動(ウォーキングやサイクリング)を取り入れる
- 瞑想やヨガで精神的なリラックスを図る
- 趣味の時間を持ち、気分転換を図ることの重要性
- 十分な休息とリラックスの時間を確保する
3. 食事の改善
- 砂糖や精製された炭水化物をできるだけ控えることで血糖値を安定化
- 良質なタンパク質(魚、大豆製品、卵など)をしっかり摂取
- 緑黄色野菜を多く摂取してビタミンやミネラルを補給
- 規則正しい食事時間を設け、体内リズムを整える
4. 運動習慣の確立
- ウォーキングを日常生活に取り入れることで全身の血流を改善
- ストレッチを行い、筋肉の柔軟性を向上させる
- 軽い筋力トレーニングで基礎代謝を向上
- 無理のない範囲で徐々に運動量を増やし、持久力をつける

まとめ
すぐに横になりたくなる症状の背景には、様々な原因が隠れています。西洋医学的な検査で異常が見つからない場合でも、分子栄養学的アプローチを用いることで原因が特定することができる可能性があります。特に、副腎疲労、ミトコンドリア機能低下、潜在性低血糖、腸内環境の乱れ、潜在性鉄欠乏などが主な分子栄養学的な原因として挙げられます。適切な検査と栄養療法、生活習慣の改善を行うことで、症状の改善が期待できます。
当院では、こうした症状でお困りの方に対して、分子栄養学的なアプローチによる診療を提供しています。(診察、検査、治療は保険適用外となります)栄養療法はこちらから。
最後に(免責)
本記事の内容は、医学的治療に置き換わるものではありません。個人的にお試しになり健康被害が生じても、当院では一切責任を負えませんのでご了承下さい。
病態の改善に必要な食事・サプリメントはひとりひとり異なります。
基本的に、主治医と相談しながら治療を進めていただければと思います。
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1975年横浜生まれ、2021年9月に東京原宿クリニックを開設。内科医、呼吸器内科専門医、アレルギー専門医として豊富な経験を持つ。現在は、一般内科診療をはじめ、栄養療法・点滴療法、カウンセリングを組み合わせた総合的な健康サポートを行いながら、患者さん一人ひとりの生活の質向上をサポート。自身の体調不良経験から、従来の西洋医学に加え、栄養療法の重要性を実感。最新の医学知識の習得に励み、患者さんにとってより良い医療の提供に取り組んでいる。医学博士、日本内科学会総合内科専門医、日本呼吸器学会専門医、日本アレルギー学会アレルギー専門医、臨床分子栄養医学研究会認定指導医。