表参道・原宿の東京原宿クリニック院長の篠原です。
「便秘じゃないのに、おならが臭くて困っている…」「周りの目が気になって、仕事や外出に支障が出ている…」そんなお悩みを持つ方が増えています。この症状、実は体からの重要なサインかもしれません。
今回は、便秘ではないのに「おならが臭い」という症状について、詳しくお話ししていきます。臭いが気になるおならは、生活の質にも影響を与えることが多いため、正しい知識と対策が重要です。特に、一般的な対処で改善しない場合、腸内環境を詳しく調べることにより解決していく方法をお話しています。
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Contents
1. 腸内ガスの基礎知識
1-1. 正常なおならの特徴
健康な人は、1日に10〜20回程度おならが出るのが正常です。においもほとんど気にならないか、軽い程度であることが一般的です。おならは腸内で発生するガスの自然な排出であり、消化の過程において必要なものです。
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1-2. おならの成分
おならの成分は主に以下のようなものです。
- 窒素:20-90%
- 水素:0-50%
- 二酸化炭素:10-30%
- メタン:0-10%
- その他の気体(硫化水素など):1%未満
これらの成分は腸内の消化過程で生成され、体外に排出されます。
1-3. 臭いの原因となる物質
臭いの原因は以下のような物質によります。
- 硫化水素
- メチルメルカプタン
- アンモニア
- インドール
- スカトール
これらは主にタンパク質や含硫アミノ酸が分解される過程で発生します。食生活や腸内環境が影響してこれらの物質の量が変動するため、臭いの強さが変わることがあります。

2. おならが臭くなる一般的な原因
2-1. 腸内細菌のバランスの乱れ
腸内には100兆個以上の細菌がいて、だいたい以下のように分類されます。
- 善玉菌(乳酸菌、ビフィズス菌など):20%
- 日和見菌:60%
- 悪玉菌:20%
このバランスが乱れると、臭いが強くなることがあります。特に悪玉菌が増加すると、腸内で腐敗が進み、臭いの原因となるガスが発生しやすくなります。
原因としては、以下のようなものがあります。
- 偏った食生活:高脂肪や低食物繊維の食事が続くと腸内細菌のバランスが崩れ、悪玉菌が増殖しやすくなります。
- 抗生物質の使用:抗生物質は悪玉菌だけでなく善玉菌も殺してしまうため、バランスが崩れることがあります。
- 過度なストレス:ストレスは腸内環境に大きく影響し、自律神経の乱れから腸内細菌のバランスが悪くなることがあります。
- 睡眠不足や運動不足:生活習慣の乱れが腸内環境に悪影響を与えます。
- 加齢や環境の変化:年齢とともに善玉菌が減少しやすくなるため、腸内環境が悪化しやすくなります。
2-2. 食生活の影響
食事の内容や摂り方も重要です。特に次のような食品が、腸内で臭いガスを発生させやすいです。
- 含硫食品(ニンニク、タマネギ、ニラ、キャベツ、ブロッコリー、カリフラワー):これらの食品に含まれる硫黄成分は腸内で分解される際に硫化水素を生成し、臭いが強くなります。
- タンパク質が多い食品(肉類、魚介類、卵、乳製品):タンパク質が消化される過程で硫化水素やアンモニアなどの臭い物質が発生します。
- 発酵食品(チーズ、漬物、発酵調味料):一部の発酵食品は消化の過程で腸内細菌によるガスの生成を増加させることがあります。
また、早食いや過食、不規則な食事時間、就寝直前の食事も腸に負担をかけ、臭いの原因になります。食べる速度が速いと、空気を飲み込む量が増え、それが腸内でガスとなります。

2-3. 消化不良
消化不良もおならの臭いを強くする要因です。特に消化がうまく進まないと腸内で腐敗が起こり、臭いガスが発生します。
消化酵素の不足や胃酸の分泌低下、腸の運動低下が原因となることがあります。特に、咀嚼が不十分であったり、胃酸が低下していたりすると、タンパク質が完全に消化されず、腸内で悪玉菌により分解される際に臭いガスが発生します。消化不良につきましては、以下もご参考にしてください。
2-4. 自律神経の乱れ
自律神経のバランスが崩れることにより、消化器系の働きが低下し、腸内ガスの発生量や臭いが強くなることがあります。特にストレスや生活リズムの乱れが影響します。自律神経が乱れると、腸の動きが遅くなり、消化が滞ってしまうことがあります。自律神経の整え方は以下もご参照下さい。
3. セルフチェックリスト
腸内環境の質を判定するセルフチェックテストをやってみましょう。ただし、これは診断ではありませんので、あくまでも参考にしてください。
4. 一般的な対策方法
4-1. 食生活の改善
まず、基本的な食生活を見直すことが大切です。
- 1日3食、規則正しい時間に摂ること:規則正しい食生活は腸内細菌のリズムを整えます。
- よく噛んで食べる(一口30回程度):よく噛むことで消化がスムーズになり、腸内での腐敗を防ぐことができます。
- 食事と就寝の間を2時間以上空ける:消化が終わってから就寝することで、腸内の負担を軽減できます。
また、次のような食材を選ぶと良いでしょう。
- 推奨される食材:食物繊維が豊富な野菜、発酵食品、新鮮な果物、良質なタンパク質
- 食物繊維:腸内の善玉菌のエサとなり、腸内環境の改善に役立ちます。
- 発酵食品:善玉菌を増やし、悪玉菌を抑制する効果があります。
- 良質なタンパク質:消化しやすい魚や豆類などが適しています。
- 控えめにすべき食材:加工食品、硫黄を多く含む食品、脂肪分や糖質の多い食品、カフェイン、アルコール
- 加工食品:添加物が腸内環境を乱す原因になります。
- アルコール:腸内の粘膜を傷つけ、悪玉菌の増殖を助長します。

ただし、食物繊維や発酵食品はSIBOと呼ばれる状態においては、逆効果にもなるので注意が必要です。SIBOにつきましては、以下もご参照下さい。
4-2. 生活習慣の改善
適度な運動やストレス管理も重要です。
- 運動:ウォーキングやヨガなど、毎日適度な運動を心がけましょう。運動は腸の動きを活発にし、ガスの排出を促進します。
- ストレス管理:趣味の時間を作る、メディテーションや深呼吸など、リラックスする時間を大切にしましょう。ストレスが腸内環境を悪化させることが多いため、リラクゼーションは非常に効果的です。
- 生活リズムの改善:決まった時間に起床・就寝し、規則正しい生活を心がけることも腸内環境の改善に役立ちます。特に睡眠の質が腸内細菌のバランスに影響することが知られています。
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5. それでも改善しない場合の分子栄養学的な専門的検査
1-2ヶ月試してみても改善が見られない場合、GIMAP検査や尿中有機酸検査などを検討するのがおすすめです。これにより、腸内環境や代謝の状態を詳しく知ることができます。
5-1. GIMAP検査
GIMAP(Gastrointestinal Microbial Assay Plus)検査は、便のDNA解析により腸内環境を詳しく調べる検査です。
- 腸内細菌の詳細な構成や病原性細菌の有無、真菌(カンジダなど)の過剰増殖、寄生虫の存在、消化・吸収機能の状態などがわかります。
- おならが臭くなる原因となる腸内細菌および腸カンジダのリストを以下にまとめます。これらの微生物は腸内でガスを生成し、特に悪臭を伴うことがあります。
- 硫化水素(H₂S)産生菌
- Desulfovibrio spp.(デスルフォビブリオ属)
- Proteus spp.(プロテウス属)
- Klebsiella spp.(クレブシエラ属)
- これらの菌は硫黄を含む化合物を代謝し、硫化水素を生成します。このガスは腐った卵のような強い悪臭を持ちます。
- メタン産生菌
- Methanobacteriaceae(メタンバクテリア科)
- メタン自体は無臭ですが、他のガスと混ざることで臭いが強まることがあります。また、腸内の発酵プロセスに影響を与えることがあります。
- ヒスタミン産生菌
- Morganella spp.(モルガネラ属)
- Klebsiella spp.(クレブシエラ属)
- Proteus spp.(プロテウス属)
- ヒスタミンを産生するこれらの菌は、腸内の炎症を促進し、ガス生成や臭いに影響を与えることがあります。
- 腸カンジダ(Candida spp.)
- カンジダは腸内で糖質を発酵させ、ガスを生成します。特にカンジダの異常増殖がある場合、腸内バランスが乱れ、臭いの強いガスが発生することがあります。腸カンジダが過剰に増殖すると、他の細菌との相互作用によって硫黄を含むガスが生成され、これが臭いの原因となります。腸カンジダについてはこちらをご参照下さい。
GIMAP検査では、このような悪臭の原因となる菌の同定が可能であり、それを同定することにより治療方針が立てられます。GIMAP検査についてはこちらをご参照下さい。
5-2. 尿中有機酸検査
尿中有機酸検査は、腸内環境や代謝の状態を尿中の有機酸から評価する検査です。
- 腸内細菌の代謝産物やミトコンドリア機能、栄養素の代謝状態などが分かります。この検査により、代謝の全体像が把握でき、個々に適した治療を行うことが可能です。
- 特に、腸カンジダを見つける能力が高いため、重要視しています。尿中有機酸検査についてはこちらをご参照下さい。

6. 検査に基づく治療法
専門的な検査に基づき、以下の治療法を行います。
6-1. 腸内環境の改善治療
- プロバイオティクス療法:乳酸菌やビフィズス菌など、個々の状態に合わせて補充します。これにより腸内の善玉菌が増え、悪玉菌を抑制します。
- 抗真菌療法:カンジダなどの過剰な真菌を治療します。抗真菌剤や天然の抗真菌成分を使用することで、腸内環境を整えます。
- 腸内環境修復:L-グルタミン、亜鉛カルノシン、オメガ3脂肪酸などを使用して腸の粘膜を修復します。腸壁の健康を保つことは、腸内の炎症を抑える上で重要です。
- ピロリ菌除菌:ピロリ菌は、検査ではとても見つかりにくい菌でありますが、存在することにより胃酸が低下し、その結果として腸内環境の悪化に繋がります。GIMAP検査は隠れたピロリ菌を見つける能力が高く、西洋医学の検査において見つからなかった場合においても陽性になることが多く、存在した場合においては、除菌を考えます。検査で見つかりにくいピロリ菌については、こちらもご参照下さい。
6-2. 個別化された食事療法
- 除去食プログラム:検査結果に基づいて不耐性のある食品を除去します。特定の食物に対する過剰な反応がガス生成の原因である場合、これを取り除くことで症状が改善されます。
- 栄養補給プログラム:不足している栄養素を補い、食事バランスを整えます。ビタミンやミネラルの不足は腸内環境に悪影響を与えるため、必要な栄養をしっかり摂取します。
6-3. サプリメント療法
- 基本的なサプリメント:マルチビタミン・ミネラル、プロバイオティクス、消化酵素、オメガ3脂肪酸など
- マルチビタミン・ミネラル:腸内細菌のバランスを整えるために必要なビタミンとミネラルを補います。
- 消化酵素:消化を助けることで、腸内での腐敗を防ぎます。
- 状態に応じた追加サプリメント:抗酸化物質、アミノ酸、ハーブサプリメントなど
- 抗酸化物質:腸内の炎症を抑える効果があります。

7. ダイオフ(好転反応)について
治療開始後、体が一時的に反応して症状が強くなることがあります。これをダイオフまたは好転反応といいます。ダイオフは、治療が体内で効果を発揮している証拠でもありますが、一時的に体調が悪化したように感じることがあります。
7-1. 主な症状
- 疲労感の増加:体が毒素を排出する過程で一時的に疲労感が増すことがあります。
- 頭痛:体内の毒素が移動することで一時的に頭痛が起こることがあります。
- おならの増加:腸内環境が変化し、善玉菌が増える過程でガスの生成が増えることがあります。
- 便通の変化:一時的に下痢や便秘になることがあります。
- 軽い吐き気:体が変化に適応する過程で吐き気を感じることがあります。
- 皮膚症状:肌に吹き出物が出ることがありますが、体内の毒素排出が原因です。
- 精神的な不安定さ:一時的に気分の浮き沈みが激しくなることがあります。
7-2. 対処法
- 水分を十分に摂る:水を多めに飲むことで、毒素の排出を促します。
- 休息を十分にとる:無理をせず、体が回復するのを待ちましょう。
- 運動は軽めにする:激しい運動は控え、軽いストレッチやウォーキングがおすすめです。
- 食事は消化の良いものを選ぶ:スープや野菜など、体に優しい食事を心がけましょう。
- 必要に応じて治療のペースを調整:症状が強すぎる場合は、治療のペースをゆっくりにすることも検討しましょう。

まとめ
便秘ではないのにおならが臭う場合、まずは食生活や生活習慣の改善から始めましょう。それでも改善が見られない場合は、専門的な検査を行い、検査結果に基づいた治療を受けることが重要です。
当院では、GIMAP検査や尿中有機酸検査を行い、個別の治療プランを提供しています。(※検査、治療ともに保険適用外です)
腸内環境を整えることで、身体全体の健康にも良い影響を与えることができます。自分に合った治療法を見つけ、日々の生活をより快適に過ごせるようにしましょう。
当院では、栄養外来で治療しています。ご検討ください。
最後に(免責)
本記事の内容は、医学的治療に置き換わるものではありません。個人的にお試しになり健康被害が生じても、当院では一切責任を負えませんのでご了承下さい。
病態の改善に必要な食事・サプリメントはひとりひとり異なります。
基本的に、主治医と相談しながら治療を進めていただければと思います。
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1975年横浜生まれ、2021年9月に東京原宿クリニックを開設。内科医、呼吸器内科専門医、アレルギー専門医として豊富な経験を持つ。現在は、一般内科診療をはじめ、栄養療法・点滴療法、カウンセリングを組み合わせた総合的な健康サポートを行いながら、患者さん一人ひとりの生活の質向上をサポート。自身の体調不良経験から、従来の西洋医学に加え、栄養療法の重要性を実感。最新の医学知識の習得に励み、患者さんにとってより良い医療の提供に取り組んでいる。医学博士、日本内科学会総合内科専門医、日本呼吸器学会専門医、日本アレルギー学会アレルギー専門医、臨床分子栄養医学研究会認定指導医。