表参道・原宿の東京原宿クリニック院長の篠原です。幸せになりたいという方は多いのではないでしょうか。
私たちの日々の気分や感情、そして全体的な幸福感は、脳内で分泌される様々な化学物質によって大きく影響を受けています。これらの化学物質の中でも、特に「幸せホルモン」と呼ばれるものがあります。今回は、この幸せホルモンについて、その種類や効果、そして日常生活の中でどのように増やしていけるのかを、ご紹介します。
Contents
幸せホルモンとは
「幸せホルモン」という言葉を聞いたことがある方も多いと思います。実際には、これは科学的な用語ではなく、私たちの気分や感情に positive な影響を与える神経伝達物質やホルモンの総称として一般的に使われている言葉です。
これらの物質は、脳内で生成され、私たちの気分、感情、行動、そして全体的な幸福感に大きな影響を与えています。主な「幸せホルモン」には、セロトニン、オキシトシン、ドーパミンなどがあります。
これらのホルモンや神経伝達物質は、それぞれ異なる役割を持っていますが、全体として私たちの幸福感や well-being(ウェルビーイング)に貢献しています。例えば、セロトニンは気分の安定や幸福感に、オキシトシンは愛情や絆に、ドーパミンはモチベーションや達成感に関連しています。
重要なのは、これらの「幸せホルモン」は、私たちの日常生活の様々な側面と密接に関連しているということです。そして、3つのホルモンのバランスをとることも大事です。食事、運動、睡眠、人間関係、ストレス管理など、私たちの日々の選択や習慣が、これらのホルモンの分泌に大きな影響を与えているのです。
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3つの幸福とは?
樺沢紫苑氏の「3つの幸福」とは、人間の幸福を構成する3つの要素を、それぞれ異なる神経伝達物質に対応させて分類した理論です。
- セロトニン的幸福: 心の安定、穏やかな幸福感。セロトニンは、精神安定作用、幸福感、リラックス効果をもたらす神経伝達物質です。
- オキシトシン的幸福: 愛とつながりの幸福感。オキシトシンは、愛情、信頼、絆を深めるホルモンです。
- ドーパミン的幸福: 快感、興奮、意欲、成長の幸福感。ドーパミンは、快感、意欲、学習能力などを司る神経伝達物質です。
樺沢氏は、この3つの幸福をバランス良く満たすことが、真の幸福につながると述べています。
主な幸せホルモンの種類と効果
それでは、主な「幸せホルモン」について、それぞれの特徴と効果を詳しく見ていきましょう。
セロトニン
セロトニンは、「幸せホルモン」の中でも特に重要な役割を果たしています。このホルモンは、脳内で生成される神経伝達物質で、気分の安定、幸福感、そして全体的な精神的健康に深く関わっています。
セロトニンの主な効果には以下のようなものがあります。
- 気分の安定化: セロトニンは、私たちの気分を安定させる重要な役割を果たしています。適切なレベルのセロトニンは、ポジティブな気分を維持し、不安やうつ症状を軽減するのに役立ちます。
- 睡眠サイクルの調整: セロトニンは、体内時計の調整や睡眠-覚醒サイクルの維持に関与しています。これは、質の高い睡眠を得るために重要です。
- 食欲の調整: セロトニンは、満腹感を感じる脳の部位に影響を与え、食欲を調整する役割も果たしています。
- 消化機能の促進: 興味深いことに、体内のセロトニンの約90%は腸で生成されています。これは、腸の動きや消化機能の調整に重要な役割を果たしています。
- 認知機能の向上: セロトニンは、記憶力や学習能力にも影響を与えることが示唆されています。
- 痛みの軽減: セロトニンには、痛みを和らげる効果もあることが知られています。
セロトニンのレベルが低下すると、うつ症状、不安、睡眠障害、食欲不振などの問題が生じる可能性があります。そのため、適切なセロトニンレベルを維持することは、心身の健康にとって非常に重要です。
オキシトシン
オキシトシンは、「愛情ホルモン」や「抱擁ホルモン」としても知られ、人間関係や社会的な結びつきに深く関わるホルモンです。視床下部で生成され、脳下垂体から分泌されます。
オキシトシンの主な効果には以下のようなものがあります。
- 絆の形成: オキシトシンは、人と人との間の絆を強める効果があります。特に母子間の絆や恋愛関係において重要な役割を果たしています。
- 信頼感の増加: オキシトシンは、他者に対する信頼感を高める効果があります。これは、良好な人間関係を築く上で重要です。
- ストレス軽減: オキシトシンには、ストレスを軽減し、リラックス効果をもたらす作用があります。
- 不安の軽減: オキシトシンは、不安を和らげる効果があることが研究で示されています。
- 社会的行動の促進: オキシトシンは、共感性を高め、社会的な行動を促進する効果があります。
- 痛みの軽減: オキシトシンには、痛みを和らげる効果もあることが知られています。
- 出産と授乳: オキシトシンは、出産時の子宮収縮を促進し、授乳を助ける重要な役割も果たしています。
オキシトシンは、人との触れ合いや親密な関係を通じて分泌が促進されます。そのため、良好な人間関係を築き、維持することが、オキシトシンの分泌を増やし、幸福感を高めるのに重要です。
ドーパミン
ドーパミンは、「報酬系」や「快感物質」として知られる神経伝達物質です。モチベーション、集中力、そして快感に深く関わっています。
ドーパミンの主な効果には以下のようなものがあります。
- 報酬と快感: ドーパミンは、何かを達成したときや報酬を得たときに分泌され、快感や満足感をもたらします。
- モチベーションの向上: ドーパミンは、目標に向かって行動を起こすモチベーションを高める効果があります。
- 集中力と注意力の向上: ドーパミンは、集中力や注意力の維持に重要な役割を果たしています。
- 記憶力の向上: ドーパミンは、新しい情報の学習や記憶の形成にも関与しています。
- 運動機能の調整: ドーパミンは、スムーズな身体の動きを可能にする上で重要な役割を果たしています。
- 意思決定: ドーパミンは、リスクと報酬のバランスを考慮した意思決定にも影響を与えます。
- 気分の調整: 適切なレベルのドーパミンは、ポジティブな気分の維持に寄与します。
ドーパミンの分泌が不足すると、モチベーションの低下、集中力の欠如、うつ症状などが現れる可能性があります。一方で、過剰なドーパミン分泌は、依存症や衝動的な行動につながる可能性もあり、注意が必要です。
そのため、ドーパミンの適切なバランスを維持することが、健康的な生活を送る上で重要です。日常生活の中で適度な刺激や達成感を得ることで、ドーパミンの分泌を健康的に促すことができます。
「幸せホルモン」のセルフチェックテスト
あなたの強みと弱みを、幸せホルモンの点でセルフチェックしてみましょう。これは診断ではなく、あくまでも可能性の一つなので、参考程度に行ってください。
ご心配な症状がある場合は、お問い合わせよりお願いいたします。
検査で判断する
セロトニン、ドーパミンは腸内環境との関連が強いです。腸内環境をみる「有機酸検査」では、腸におけるセロトニンやドーパミンレベルをみることができます。もし、気になる症状があり、実際に検査をしてみたい場合にはおすすめです。有機酸検査についてはこちらをご参照ください。
幸せホルモンを増やす方法
それでは、これらの「幸せホルモン」を日常生活の中で増やしていく方法について、詳しく見ていきましょう。各ホルモンごとに、具体的な方法をご紹介します。
セロトニンを増やす方法
セロトニンは、私たちの気分を安定させ、幸福感をもたらす重要な神経伝達物質です。以下の方法で、セロトニンの分泌を促進することができます。
日光浴を楽しむ
- 朝の日光を浴びることは、セロトニンの生成を促進します。
- 可能であれば、毎日15-30分程度、外で過ごす時間を作りましょう。
規則正しい運動習慣を築く
- 有酸素運動は、セロトニンの分泌を促進します。
- ウォーキング、ジョギング、水泳などを週3-4回、30分程度行うことをおすすめします。
食事でセロトニンを増やす
トリプトファンを含む食品を摂取する
- トリプトファンは、セロトニンの前駆体です。
- 七面鳥、鶏肉、牛肉、豆腐、卵、ナッツ類などに多く含まれています。
- トリプトファンサプリや、5HTPサプリを摂取することも一手です。
適度な炭水化物の摂取
適度な炭水化物摂取は、トリプトファンの脳への取り込みを促進します。
オメガ3脂肪酸
オメガ3脂肪酸は、セロトニンの機能を助ける働きがあります。
- 魚(特に青魚)、亜麻仁油、チアシードなど
ビタミンB群
ビタミンB群は、セロトニンの生成に必要な補酵素として働きます。
- レバー、卵黄、緑黄色野菜など
発酵食品
腸内環境を整え、セロトニンの生成を促進します
- キムチ、味噌など
体内の炎症を改善する
セロトニンを効率よく作るためには、体内の炎症を改善する必要があります。詳しく見てみましょう。ここで重要になってくるのは、セロトニン経路とキヌレニン経路です。
トリプトファンの代謝分岐
トリプトファンは、体内で2つの主要な経路に代謝されます。
- セロトニン経路: トリプトファンはセロトニン合成に使われ、最終的に神経伝達物質セロトニンやメラトニンが生成されます。この経路は主に中枢神経系や消化管で機能しています。
- キヌレニン経路: トリプトファンはIDO(インドールアミン2,3-ジオキシゲナーゼ)やTDO(トリプトファン2,3-ジオキシゲナーゼ)によってキヌレニンに変換され、キノリン酸などの代謝産物が生成されます。この経路は主に炎症や免疫応答に関連します。
セロトニン経路とキヌレニン経路は、同じトリプトファンを基質とするため、どちらかの経路が活性化されるともう一方の経路へのトリプトファンの供給が減少します。炎症があるとキヌレニン経路が優先されます。これにより、セロトニン経路に使われるトリプトファンの量が減少します。
体内の炎症として多いのは、次の項目の「腸内環境」であるであることが多いです。そのため、腸内環境を整えることがとても大事になります。
腸内環境を整える
- 腸内でもセロトニンが生成されるため、腸内環境を整えることが重要です。
- プロバイオティクスやプレバイオティクスを含む食品を積極的に摂取しましょう。
腸内環境は、セロトニンを生成することと、前項の炎症があるとセロトニン合成ができないので、整えることがとても大事です。詳しくはこちらもご参照ください。
質の高い睡眠をとる
- 良質な睡眠は、セロトニンの分泌と密接に関連しています。
- 規則正しい就寝・起床時間を心がけ、寝る前はリラックスした環境を作りましょう。
ストレス管理を行う
- 過度のストレスは、セロトニンの分泌を抑制します。
- 瞑想やヨガ、深呼吸など、ストレス軽減法を日常に取り入れましょう。
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オキシトシンを増やす方法
オキシトシンは、「愛情ホルモン」とも呼ばれ、人との絆や信頼関係を深める役割を果たします。以下の方法で、オキシトシンの分泌を促進することができます。
スキンシップを大切にする
- ハグや手をつなぐなど、親しい人とのスキンシップはオキシトシンの分泌を促進します。
- パートナーや家族、親しい友人との触れ合いを意識的に増やしましょう。
ペットと触れ合う
- ペットとの触れ合いもオキシトシンの分泌を促進します。
- 犬や猫などのペットを飼っている方は、積極的に触れ合う時間を作りましょう。
ボランティア活動に参加する
- 他者を助ける行為は、オキシトシンの分泌を促進します。
- 地域のボランティア活動などに参加してみるのもよいでしょう。
マッサージを受ける
- マッサージは、オキシトシンの分泌を促進する効果があります。
- 定期的にマッサージを受けたり、パートナーと互いにマッサージし合うのもおすすめです。
音楽を聴く、歌う
- 好きな音楽を聴いたり、歌ったりすることでオキシトシンの分泌が促進されます。
- カラオケに行ったり、音楽を聴きながら家事をするのもよいでしょう。
目を見て会話する
- 相手の目を見て会話することで、オキシトシンの分泌が促進されます。
- オンラインでのコミュニケーションが増えている今、意識的に対面での会話の機会を作りましょう。
瞑想や深呼吸を行う
- マインドフルネス瞑想や深呼吸は、オキシトシンの分泌を促進する効果があります。
- 1日10分程度、静かな環境で瞑想や深呼吸を行ってみましょう。
オキシトシンを増やす食事をとる
ビタミンC豊富な食品
- 柑橘類、イチゴ、キウイなど
- ビタミンCは、オキシトシンの分泌を促進します。
マグネシウムを含む食品
- ほうれん草、アーモンド、黒豆など
- マグネシウムは、オキシトシンの機能をサポートします。
プロバイオティクス
- 発酵食品(納豆、キムチなど)
- 腸内環境を整え、オキシトシンの分泌を促進します。
ハーブティー
- カモミールティー、ラベンダーティーなど
- リラックス効果があり、オキシトシンの分泌を促進します。
ドーパミンを増やす方法
ドーパミンは、「報酬系」に関わる神経伝達物質で、モチベーションや達成感に深く関連しています。以下の方法で、ドーパミンの分泌を促進することができます。
小さな目標を設定し、達成する
- 目標を達成するたびに、ドーパミンが分泌されます。
- 日々の生活の中で、小さな目標を設定し、それを達成していく習慣をつけましょう。
新しいことにチャレンジする
- 新しい経験や学習は、ドーパミンの分泌を促進します。
- 趣味や学習など、定期的に新しいことにチャレンジしてみましょう。
運動を習慣化する
- 定期的な運動は、ドーパミンの分泌を促進します。
- 特に、有酸素運動が効果的です。
十分な睡眠をとる
- 質の高い睡眠は、ドーパミン受容体の感度を高めます。
- 7-8時間の睡眠を心がけましょう。
瞑想を行う
- 瞑想は、ドーパミンの分泌を調整する効果があります。
- 毎日10-15分程度の瞑想を習慣化するとよいでしょう。
音楽を楽しむ
- 好きな音楽を聴くことで、ドーパミンの分泌が促進されます。
- 日常生活の中で、積極的に音楽を取り入れましょう。
ドーパミンを増やす食品をとる
チロシンを含む食品を摂取する
- チロシンは、ドーパミンの前駆体です。
- バナナ、アボカド、アーモンド、卵、チーズなどに多く含まれています。
- チロシンサプリを利用するのも一手です。
抗酸化物質が豊富な食品
- ブルーベリー、ザクロ、ダークチョコレートなど
- 抗酸化物質は、ドーパミン受容体の機能を保護します。
タンパク質が豊富な食品
- 魚、鶏肉、豆類など
- タンパク質は、ドーパミンの生成に必要な栄養素を含んでいます。
3つの幸福ホルモンをバランスよく増やすために
以上見てきたように、セロトニン、オキシトシン、ドーパミンを増やすために全部に共通していたのは、睡眠をとること、運動をすること、規則正しい生活を送ることでした。これらをベースに各ホルモンに特徴的な食事や生活習慣を送ることで、幸せホルモンを増加させることができるようになります。
まとめ:持続可能な幸福のために
ここまで、幸せホルモンについて詳しく見てきました。セロトニン、オキシトシン、ドーパミンなど、これらの神経伝達物質やホルモンは、私たちの幸福感や well-being に大きな影響を与えています。
幸せホルモンを増やし、持続可能な幸福を実現するためには、一つの幸せホルモンだけに焦点を当てるのではなく、セロトニン、オキシトシン、ドーパミンのバランスを考えることが重要です。そのためには、それぞれのホルモンに働きかける活動を日常生活に取り入れましょう。
当院では、腸内環境や栄養をみなおすことで、幸せホルモンの調整を行っています。ご興味のある方は、栄養外来をご検討ください。
最後に(免責)
本記事の内容は、医学的治療に置き換わるものではありません。個人的にお試しになり健康被害が生じても、当院では一切責任を負えませんのでご了承下さい。
病態の改善に必要な食事・サプリメントはひとりひとり異なります。
基本的に、主治医と相談しながら治療を進めていただければと思います。
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1975年横浜生まれ、2021年9月に東京原宿クリニックを開設。内科医、呼吸器内科専門医、アレルギー専門医として豊富な経験を持つ。現在は、一般内科診療をはじめ、栄養療法・点滴療法、カウンセリングを組み合わせた総合的な健康サポートを行いながら、患者さん一人ひとりの生活の質向上をサポート。自身の体調不良経験から、従来の西洋医学に加え、栄養療法の重要性を実感。最新の医学知識の習得に励み、患者さんにとってより良い医療の提供に取り組んでいる。医学博士、日本内科学会総合内科専門医、日本呼吸器学会専門医、日本アレルギー学会アレルギー専門医、臨床分子栄養医学研究会認定指導医。