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分子栄養学

SIBOがブレインフォグをきたす

表参道・原宿の東京原宿クリニック 院長 篠原です。

何を食べてもお腹が張ってしまう、いわゆるSIBOの患者さんを多く診察させていただいていますが、その中でブレインフォグをきたす患者さんもいらっしゃいます。

ブレインフォグの中でも、集中力の低下をうったえる患者さんが多いと感じます。

腸と脳がとても関係があるという、「腸脳相関」ということで説明つけられることが多いですが、今回は、論文を含めて、SIBOとブレインフォグの関連について考えてみたいと思います。

SIBOとブレインフォグにつきましては、以前も取り上げていますので、詳しくはそちらもご参照ください。

SIBOについては、こちら。ブレインフォグにつきましては、こちらです。

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1.SIBOとは何か?

簡単にSIBOのおさらいをしたいと思います。詳しくは以下をご参照ください。

SIBOとは

SIBO(小腸内細菌過増殖症)は、小腸に通常よりも多くの細菌が存在する状態をいいます。

健康な小腸には比較的少ない数の細菌しか存在しませんが、SIBOではこれが異常に増加することによって、消化や栄養吸収に影響を及ぼします。

SIBOの原因としては、腸の運動機能の低下、消化液の分泌不足、免疫機能の低下、慢性的な腸疾患などが挙げられます (PMID: 25657082)。

SIBOの一般的な症状

SIBOの症状は腸だけではなく、全身にも影響しますが、主なものを示します。

  • 腹部膨満感
  • 腹痛やけいれん
  • 下痢や便秘
  • ガスの増加
  • 栄養不足による体重減少や貧血

これらの症状は、他の消化器疾患と似ているため、診断が難しいことがあります。

2.ブレインフォグの定義と一般的な症状

ブレインフォグのおさらいも簡単にしたいと思います。詳しくは以下をご参照ください。

ブレインフォグの定義

ブレインフォグ(Brain Fog)とは、脳の霧とも言われ、一般的に「頭がぼんやりする」や「霧がかかったような感覚」と表現される、認知機能の低下を指します。

医学的な正式な診断名ではありませんが、日常生活において多くの人々が経験する症状です。

特に、集中力の低下、思考の遅さ、記憶力の低下、精神的な疲労感などの総称になります。

一般的な症状

ブレインフォグの症状は人によって大きく異なりますが、以下のような症状が多いです。

  • 集中力の低下:長時間の集中が難しく、注意が散漫になる。
  • 思考の遅さ:考えをまとめるのに時間がかかり、思考が鈍く感じる。
  • 記憶力の低下:短期記憶が曖昧になり、物事をすぐに忘れてしまう。
  • 精神的な疲労感:常に疲れている感じがし、簡単なタスクでもエネルギーを消耗する。
  • 言語の問題:言葉が出てこない、適切な言葉を見つけるのが難しい。
  • 感情の不安定さ:イライラしやすく、感情のコントロールが難しい。

これらの症状が続きますと、生活の質を著しく低下させてしまいます。

ブレインフォグの原因となる原因

ブレインフォグになる原因も数多くあり、原因を特定して対処することが必要になってきます。

以下には、主なものを記します。

ストレスと不安

長期的なストレスや不安は、ブレインフォグの主な原因の一つです。

脳の機能に直接影響を与え、集中力や記憶力を低下させます。

睡眠不足

皆様もご経験あるかと思いますが、質の良い睡眠が不足すると、脳が十分に休息できず、認知機能が低下します。

睡眠不足は、ブレインフォグの頻度や重症度を増加させる要因となります。

栄養不足

バランスの取れた食事が不足すると、脳に必要な栄養素が供給されず、ブレインフォグを引き起こすことがあります。

特にビタミンB12や鉄分の不足は、認知機能に大きな影響を与えます。

ホルモンバランスの乱れ

特に女性に多いですが、ホルモンバランスの変化(更年期や妊娠など)は、ブレインフォグの原因となることがあります。

その他の健康問題

慢性的な病気や感染症(ライム病など)も、ブレインフォグの原因として挙げられます。

これらの要因は、単独でブレインフォグを引き起こすこともあれば、いろいろな原因が絡み合って症状を悪化させることもあるので要注意です。

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3.SIBOがブレインフォグを引き起こすメカニズム

近年の研究では、SIBOとブレインフォグとの関連が示唆されています。

SIBOがブレインフォグを引き起こすメカニズムとして、報告された論文をみてみましょう(PMID: 29915215)。

SIBOとブレインフォグの関連性を報告した論文

こちらの論文の研究内容を簡単に要約すると、

背景

この研究の目的は、SIBOの患者さんでプロバイオティクスの摂取すると、ブレインフォグ、ガス、膨満感に関連するかどうかを調査することです。

特に、D-乳酸アシドーシスがこれらの症状に寄与するかを評価しました。

方法

ガス、腹部膨満感、ブレインフォグを訴える患者と、これらの症状がない患者を対象に、グルコース呼気テスト(GBT)および十二指腸吸引/培養を用いてSIBOを評価しました。さらに、尿中D-乳酸および血中L-乳酸、アンモニアレベルの代謝評価を行いました。

結果

ブレインフォグ患者30名と非ブレインフォグ患者8名を評価しました。

ブレインフォグ患者は全員プロバイオティクスを摂取しており、SIBOの有病率はブレインフォグ群で68%、非ブレインフォグ群で28%でした。

D-乳酸アシドーシスはブレインフォグ群で77%、非ブレインフォグ群で25%でした。

プロバイオティクスの中止と抗生物質治療後、77%の患者でブレインフォグが解消し、消化器症状も大幅に改善しました。

結論

ブレインフォグ、ガス、腹部膨満の症状は、プロバイオティクスの使用、SIBO、およびD-乳酸アシドーシスに関連している可能性がありました。

プロバイオティクスの中止と抗生物質治療により症状が改善されることが示されました。

まとめると。。。SIBO→アシドーシス→ブレインフォグ

つまり、SIBOの患者さんがプロバイオティクスをとると、余計に小腸内の腸内細菌が増殖して、Dー乳酸を過剰に産生し、それは、Lー乳酸とは異なり代謝がうまくされずに、Dー乳酸の血中濃度が増加して、アシドーシスになることによって、ブレインフォグを引き起こすことが示唆されました。

アシドーシスについては、こちらもご参考にされてください

SIBOがブレインフォグをきたす他に可能性のある機序

腸内細菌が過剰増殖して、アシドーシスになることによってブレインフォグをきたすということがわかりましたが、その他の機序として考えられるものを以下に挙げてみます。

1.腸-脳軸の影響

腸と脳は密接に関連しており、これを「腸-脳軸」と呼びます。

腸内の細菌バランスが乱れると、脳の機能にも影響を与えることが知られています。

SIBOによって腸内の細菌バランスが崩れると、腸から脳へのシグナル伝達が妨げられ、ブレインフォグが引き起こされると考えられます。

2. 毒素の生成と吸収

小腸内で異常増殖した細菌がエンドトキシン(リポ多糖)を生成し、これが腸壁から血流に入ると、炎症反応を引き起こします。

この炎症が脳に影響を及ぼし、ブレインフォグを引き起こすことがあります。

また、一部の細菌はメタンや水素ガスを生成し、これが腸内で過剰に蓄積されると、腸の機能に影響を与え、間接的に脳機能にも影響を与える可能性もあります。

細菌によりアンモニアを生成されると、これが肝臓で適切に解毒されない場合、血中のアンモニア濃度が上昇し、脳に悪影響を与えることがあります。

3.栄養吸収障害

SIBOにより、ビタミンB12の吸収が妨げられることがあります。

ビタミンB12は神経機能に重要であり、その欠乏は認知機能低下やブレインフォグを引き起こす可能性があります。

また、脂肪の吸収障害により、重要な脂肪酸(例えば、オメガ3脂肪酸)の不足が生じ、これが脳機能に悪影響を及ぼすことがあります。

4. 腸透過性亢進(リーキーガット)

SIBOにより腸壁の透過性が増加し、未消化の食物や毒素が血流に入り込み、全身の炎症反応を引き起こし、これが脳に影響を与えることがあります。

リーキーガットにつきましては、こちらもご参照ください。

まとめ

SIBOは単なる消化器系の問題にとどまらず、ブレインフォグのような認知機能障害を引き起こすことがあります。

研究からは、過剰な腸内細菌によるD-乳酸アシドーシスの関与が示唆されました。

他にも腸-脳軸、炎症反応など、リーキーガットなど複数のメカニズムを通じてSIBOがブレインフォグを引き起こす可能性があることが考えられます。

SIBOを悪化させるようなプロバイオティクスの摂取をやめ、過剰な腸内細菌を減らすことが、SIBOによるブレインフォグを改善させる一歩となると考えます。

ご心配な症状がある場合は、お問い合わせよりお願いいたします。

当院では、SIBOやブレインフォグに関しては、栄養外来で行っております。

最後に(免責)

本記事の内容は、医学的治療に置き換わるものではありません。個人的にお試しになり健康被害が生じても、当院では一切責任を負えませんのでご了承下さい。

病態の改善に必要な食事・サプリメントはひとりひとり異なります。

基本的に、主治医と相談しながら治療を進めていただければと思います。

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