マイヤーズカクテルは、メリーランド州の開業医のマイヤーズによって始められた、ビタミンやミネラルの点滴です。
さまざまな症状に有効であることから、当院でも、マイヤーズカクテルを採用しています。
今回は、文献から、どのような症状に対して用いているのか、などをお話しできればと思います。
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Contents
マイヤーズカクテルとは
メリーランド州の開業医、マイヤーズ医師は、独自の点滴を用いて、30年以上にわたって喘息や、慢性疲労、うつ病などに対して治療していました。
ところが、1984年にマイヤーズ先生が亡くなって、多くの行き場を失った患者さんが、アラン・ケイビー医師のクリニックにたどり着きました。
アラン・ケイビー医師は、論文にマイヤーズカクテルとして、紹介しました。
これが、自然療法の標準的な点滴の一つとなっています。
マイヤーズカクテルについての論文はとても少ないです。
今回は、アラン・ケイビー医師が論文にまとめたものを中心にマイヤーズカクテルについてご紹介したいと思います。
ちなみに、その論文は、
Alternative Medical Review, 2002; 7(5):389、Intravenous Nutrient Therapy: the “Myers’ Cocktail”
です。
マイヤーズカクテルが反応する病態
アラン・ケイビー先生は、マイヤーズカクテルを使用して、11年間で15,000回の注射をおこなった経験から、以下の病態に反応したと報告しています。
- 喘息発作
- 偏頭痛
- 疲労(慢性疲労症候群を含む)
- 線維筋痛症
- 痙攣
- 上気道感染症
- 慢性副鼻腔炎
- 蕁麻疹
- 月経困難症
などでした。
マイヤーズカクテルが有用な理由
マイヤーズカクテルには様々なビタミン・ミネラルが含まれています。
その中で、マグネシウムは、
- 血管平滑筋
- 気道の平滑筋
の両方の筋肉を緩めます。
ですので、偏頭痛や気管支喘息に有効と考えられます。
そして、点滴であるために、口から接種するよりも、多くのマグネシウムを入れることができます。
マグネシウムは細胞のエネルギーを作るところであるミトコンドリアを回すためにとても必要です。
ミトコンドリアが回れば、エネルギーが作られて、疲労症状にも有効と考えられます。
マイヤーズカクテルの組成
マイヤーズカクテルの文献にそってお話いたします。
マイヤーズカクテル変法と言われている組成を次に示します。
- 塩化マグネシウム20% 2~5ml
- カルシウムグルコン酸10% 1~3ml
- ヒドロキソコバラミン1,000μg/ml(B12) 1ml
- ピリドキシン塩酸塩100mg/ml(B6) 1ml
- デクスパンテノール250mg/ml(B5) 1ml
- B配合剤100 1ml
- ビタミンC 222mg/ml 4~20ml
ただし、米国の量であり、日本にはそのまま適応できません。
これを見てわかるようにマグネシウムを基軸としたビタミン・ミネラル点滴ですね。
次には、マイヤーズカクテルが有効であった症例です。
喘息
喘息の発作に対して、マイヤーズカクテルを用いると多くが、1分以内に目覚ましい効果、寛解を得られました。
毎週または、1週間おきに注射を打つことで喘息のコントロールが改善するとの報告があります。
ここでも、マグネシウムの点滴というのが呼吸機能を改善するようです。
そして、カルシウムに関しても研究されていて、やはりカウルシウムの血管内投与で
喘息症状の改善をみたとのことでした。
そして、他のビタミンも有益な効果を示していると考えられています。
ですので、マイヤーズカクテル全成分が喘息に有用と考えられます。
偏頭痛
44才の女性が頻回の偏頭痛に苦しんでいたが、マイヤーズカクテルの点滴によって速やかに改善しています。
やはり、マグネシウムが偏頭痛の改善に寄与したとの報告もあります。
喘息や偏頭痛においては、マイヤーズカクテル、特にマグネシウムが重要である可能性がありますね。
偏頭痛や喘息で悩んでいる方も試して見るといいかもしれませんね。
疲労
疲労という症状はやっかいですね。
西洋医学の病院に行って、検査をしても、問題ないということで返されてしまうことも多いです。
マイヤーズカクテルの論文によると多くの患者が軽快しています。
期間としては、数日から数ヶ月でした。
週1回を4回受けることで、半数以上の改善がみられました。
ここでも、マイヤーズカクテルに含まれるマグネシウムの役割が大きいと考えられます。
実際、マグネシウム注射群の方が疲労回復が高かったという報告があります。
マグネシウムは、ミトコンドリアというエネルギーを作るところの酵素が働くために、必須のミネラルです。
そのようなマグネシウムを多く含み、また、ビタミンも含んでいるため、マイヤーズカクテルが疲労に有効なのだと考えられます。
線維筋痛症
線維筋痛症とは、全身の痛みが続いてなかなかとれない疾患です。
西洋医学ではとても手強いです。
論文では、マイヤーズカクテルが48才の女性にとても有効だったという事例がのっています。
そして、さらに栄養療法を加えることで痛みが激減しました。
線維筋痛症の患者において、細胞内のマグネシウム濃度が低下しており、
これが、マイヤーズカクテルが有効であった原因と考えられました。
うつの症例
うつになると、体が鉛のように重くなり毎日くらすのもやっとになりとても大変ですね。
こちらの症例は、文献での報告です。
46才のうつの男性に、マグネシウムを含んだビタミン点滴(マイヤーズカクテル)を行ったところ1週間にわたり70〜80%の症状が緩和されました。
その効果は、点滴のみで現れ、経口摂取では、現れませんでした。
こちらの症例では、うつ症状とともに不安症状も消失しました。
うつに、線維筋痛症や偏頭痛などの痛みが合わさっている人に対してこの点滴は有効であると考えられました。
心血管疾患の症例
79才の男性、心筋梗塞4枝といえば、心臓を栄養している血管がほぼやられているので、かなり、末期の心疾患の状態です。
加えて、足の動脈硬化もあり、閉塞しているために、壊疽が進んでいました。
足の切断をすすめられていましたが、心臓がもたないということで切断すらできない状態でした。
マイヤーズカクテルによって、心臓の衰弱が回復し、足の壊疽も健康な組織で覆われました。
このような、末期の心臓疾患が点滴によって改善したことはとても驚くべきことでした。
副鼻腔炎
今回は、マイヤーズカクテルを投与して改善がみられた症例報告をお伝えしております。
副鼻腔炎は、副鼻腔に炎症があって、なかなか改善しない状態です。
これがあると、ずっと鼻汁が出て、また、慢性炎症という意味で、副腎を疲労させてしまう原因となります。
32才の女性は、副鼻腔炎にずっと悩まされていました。
ところが、マイヤーズカクテルを初日と、翌日に注射したところ、半年以上、ほぼ無症状になりました。
アレルギー性鼻炎
アレルギー性鼻炎は、鼻がつまったり、目が痒くなったり倦怠感をおよぼす疾患です。
38才の男性は、季節性アレルギー性鼻炎に悩まされていました。
マイヤーズ点滴を行ったところすぐに改善しました。
週1回ぐらいでよくコントロールされました。
また、アレルギー性鼻炎に季節に入る前に予防的に行うことで、症状の悪化を防ぐことができました。
蕁麻疹
71才の女性は、毎日、どこかしらに蕁麻疹ができることが10年続いていました。
マイヤーズカクテルを初日と翌日に打ったところ、蕁麻疹は速やかに改善し、1年以上再発しませんでした。
このように、アレルギー性の疾患にもマイヤーズカクテルが有効であることが示唆されています。
副作用
マイヤーズカクテルの違和感として、感覚の問題があります。
胸に違和感を感じ、その後に女性では、膣に、男性は、直腸部に移動します。
視力と色覚が過敏になる方もいます。
この感覚は、人によっては1〜2日続くことがあります。
また、点滴速度が早いとマグネシウムの関係で、血圧が低下することがあります。
そのため、虚弱体質の方には、容量を少なく開始する方が安全です。
また、カリウムが低下している、もしくは、カリウムを低下させる薬を飲んでいる場合は、痙攣などの副作用が起こることがあり注意が必要です。
まとめ
今までの投稿でみてきたように、マイヤーズカクテルは多くの疾患に有効な治療法と報告されています。
- 喘息
- 偏頭痛
- 疲労
- 線維筋痛症
- うつ
- 心血管疾患
- アレルギー性鼻炎
- 蕁麻疹
- 副鼻腔炎
などです。
安全性と、継続性にすぐれています。
エビデンスという点では、まだ少数ではありますが、この栄養点滴が今後のヘルスケアにとても役立つと考えられます。
当院では、マイヤーズカクテルを行っておりますので、お気軽にご相談ください。
1975年横浜生まれ、2021年9月に東京原宿クリニックを開設。内科医、呼吸器内科専門医、アレルギー専門医として豊富な経験を持つ。現在は、一般内科診療をはじめ、栄養療法・点滴療法、カウンセリングを組み合わせた総合的な健康サポートを行いながら、患者さん一人ひとりの生活の質向上をサポート。自身の体調不良経験から、従来の西洋医学に加え、栄養療法の重要性を実感。最新の医学知識の習得に励み、患者さんにとってより良い医療の提供に取り組んでいる。医学博士、日本内科学会総合内科専門医、日本呼吸器学会専門医、日本アレルギー学会アレルギー専門医、臨床分子栄養医学研究会認定指導医。