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分子栄養学

ミトコンドリアの働きを改善する活性酸素の減らし方

表参道・原宿の東京原宿クリニック 院長の篠原です。

疲れている、ということは、ミトコンドリアの働きが今ひとつの可能性があります。

ミトコンドリアがパワーを生み出すには、まず、ミトコンドリアの量が必要です。

量を増やすためには、まずは運動が必要です。

そして、次はミトコンドリアの質を高める必要があります。

そのためには、ミトコンドリアを動かすための栄養素が必要であることと、ミトコンドリアが働くのを邪魔するものを除去する必要があります。

邪魔するものの中で重要なものは、活性酸素になります。

活性酸素は、本来とても大事なものですが、いつまでも消えずに残っていると、ミトコンドリアの働きを邪魔してしまい、その結果ミトコンドリアが動かなくなってしまいます。

そうなると、疲労してしまいます。

今回は、そんな活性酸素をどのように減らしていくのかということをまとめました。

活性酸素の不都合な事実

人間が活動するためには、細胞がエネルギーを作る必要で、細胞内に存在するミトコンドリアで作られるのでした。

ミトコンドリアは栄養と酸素をとりこんで、エネルギーを作っています。

疲労感のある人は、ミトコンドリアのエネルギー産生に問題がある場合があるわけです。

もう少し詳しく見ると、解糖系や、ミトコンドリアでのTCA回路というところで作られた、H+が、電子伝達系に入って、38ATPという多量のエネルギーが作られるのでした。

ATPは、生体における、エネルギーの通貨のようなものです。

ところが、ミトコンドリアがATPを作る間に、酸素を使う都合上、どうしても1~2%の酸素が活性酸素に変身します。

活性酸素は、病原体を処理したり、貪食したりと必要な場面もありますが、過剰になると、老化、癌、心筋梗塞、脳梗塞、糖尿病などの原因になります。

酸化した食品、喫煙、添加物、大気汚染、ストレスなどからも発生します。

活性酸素は適度なコントロールが必要なため、栄養との関係について考えていきたいと思います。

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活性酸素コントロールの重要性

活性酸素を抑えることがどれだけ大事かというデータとして、体内の抗酸化酵素でSODというものがあります。

SODは、スーパーオキシドを過酸化水素に分解する酵素で、ミトコンドリアで発生してしまった活性酸素を中和してくれるものです。

そして、動物の寿命は、SODの活性に比例して長くなっています。

つまり、活性酸素を消す能力が高いほど長生きできるということです。

活性酸素が一度発生すると、連鎖反応で次々と酸化させ続けてしまいます。

そのため、SODなどの抗酸化酵素が重要になってきますが、残念なことに、年齢とともに減少してきてしまいます。

活性酸素の標的になりやすいものとして、細胞膜があります。

細胞膜は、主に不飽和脂肪酸によって構成されていますが、活性酸素によって、過酸化脂肪酸に変化して、細胞膜の機能が低下してしまいます。

そして、脳はリン脂質が大部分なので、当然活性酸素の標的になります。

脳機能が低下してしまうんですよね。

ですので、活性酸素対策はとても重要になってきます。

2種類の抗酸化システム

抗酸化システムには、2種類あって、「抗酸化物質」と「抗酸化酵素」に分かれます。

(1)抗酸化物質

抗酸化物質は、活性酸素と直接反応して、消してくれるものです。

ここに入るものは、食事由来のものとして、ビタミンC、E、B2、βカロテン、ポリフェノール、

体で合成されるものとして、グルタチオン、尿酸、ビリルビン、トランスフェリン、フェリチン、セルロプラスミンなどがあります。

(2)抗酸化酵素

抗酸化酵素は、体で作られるタンパク質で、それ自身が活性酸素を消すというよりは、触媒になるものです。

SOD、カタラーゼ、グルタチオンペルオキシダーゼなどが入ります。

このように、色んなものが共同して、活性酸素に対抗しているわけです。

では、まず抗酸化酵素からみていきましょう。

(1)抗酸化物質

ビタミンCとビタミンE

ビタミンCは、疲労回復などの作用がありますが、一番は抗酸化作用です。

最強の活性酸素である、ヒドロキシラジカル(・OH)に、ビタミンC自らの水素を与えることで、無害な水に変えることができます。

ビタミンCが不足すると、ウイルス肺炎などになりやすくなりますから、今のコロナ時代では、活性酸素で肺を壊されないために、ビタミンCが必要なわけです。

ビタミンEもビタミンCに匹敵する抗酸化物質で、脂質が酸化されるのを抑えて、細胞膜を守ってくれます。

過酸化脂質は脳の老化にも関わりますね。

過酸化脂質は、ビタミンEによって、普通の脂質に戻ります。

そのかわり、ビタミンEはラジカルになりますが、ビタミンCによって、普通のビタミンEに戻ります。

そのかわり、ビタミンCがラジカルになりますが、グルタチオンによって、普通のビタミンCに戻ります。

酸化されたグルタチオンは、糖代謝系で処理されます。

このように、ビタミンCとビタミンEは共同して、抗酸化作用を示すのです。

活性酸素が増えれば、動脈硬化が進み、色んな病気になってしまいますね。

抗酸化意識するなら、ビタミンCとビタミンEは共同してとりましょう。

ビタミンCとビタミンEが多い食事

ビタミンCは、ピーマン、ブロッコリ、じゃがいも、アセロラ、いちごなどに多いです。

ビタミンEは、アーモンド、ナッツ、うなぎ、米油、アボカドなどに多いです。

ビタミンCの推奨量は、成人で100mg/日、とわれています。

ビタミンEの摂取推奨量は成人で15mgとされています。

基礎的な量は、食事でとりつつ、

ストレスがかかって、活性酸素が発生して、ダメージを受けていそうな時には、サプリメントで補充的な感覚でいいのではと思います。

活性酸素により、ミトコンドリアの働きが阻害されますから、尿中有機酸検査を受けて、TCA回路がちゃんと回っているかどうかを確認するのもいいと思います。

ビタミンB2

ビタミンB2は、通称、リボフラビンと呼ばれます。

ビタミンB2は、ミトコンドリアを回して、エネルギーを作るために、とても重要です。

ですので、抗疲労効果があるわけです。

活性酸素に対しては、ビタミンB2は直接、戦って、活性酸素を消去します。

この時に、自分も分解されてしまいますから、活性酸素が大量に存在すると、ビタミンB2の消費もとても多くなります。

そして、ビタミンB2は脂質の代謝に重要です。

ということは、酸化した脂質である、過酸化脂質を分解する時にも必要です。

過酸化脂質は、グルタチオンペルオキシダーゼという抗酸化酵素によって、分解されますが、この酵素を作るために、ビタミンB2が必要なわけです。

前にもお話したように、細胞の膜は、脂質でできているので、酸化されては困るわけです。

ちなみに、粘膜保護の作用もあるので、口内炎の予防や治療に有効です。

ビタミンB2は、レバー、干し椎茸、納豆、アーモンドに多いです。

推奨量は、成人で1.7mg/日とされていますが、ストレスがかかり活性酸素が多そうな時には、その数倍が必要になります。

カロテノイド

抗酸化作用を持つ抗酸化物質に、カロテノイドがあります。

カロテノイドは、ビタミンAの前駆体としての役割を持っています。

その中で、βーカロテンは非常に重要になってきます。

抗酸化効果をもっているおかげで、各種がんに予防効果があるとされています。

一重項酸素を消す力が強くて、また紫外線予防効果も強いです。

ケール、ほうれん草、人参、パプリカなどに多いです。

カロテノイドで他に重要なものとして、リコピンは、トマトやパプリカに含まれています。

こちらも、皮膚がんの原因となる、紫外線の障害から、守ってくれます。

そして、カロテノイドは、脂溶性であるために、脂質の層に入って、細胞膜が酸化されることから守ってくれると考えられています。

細胞膜の抗酸化はとても重要です。

また、アスタキサンチンは、サケ、エビ、カニに多いですが、強力な抗酸化作用を持っています。

サケはその抗酸化作用をもって、川を遡上しているそうです。

なんだか、サケの切り身定食が食べたくなりましたね。

ポリフェノール

フィトケミカルという言葉をご存知でしょうか?

フィトケミカルとは、植物に含まれる化学成分で、紫外線や有害物質、害虫から身を守るための成分をさします。

ポリフェノールは、フィトケミカルの一種で、光合成を行う時にできます。

そして、抗酸化作用、免疫増加作用、抗がん作用、抗ストレス作用、抗炎症作用など様々な作用が知られています。

ポリフェノールに分類されるものとして、ぶどう・ブルーベリー・いちご・ナスの皮のアントシアニン、

大豆のイソフラボン、緑茶のカテキン、タマネギ・ブロッコリーのケルセチンなどがあります。

そして、重要なことは、ポリフェノールは水溶性であるということです。

前回お話した、カロテノイドは脂溶性。

ということは、カロテノイドとポリフェノールは、働く場所を棲み分けながら、抗酸化として働くということになります。

この関係って、ビタミンC(水溶性)とE(脂溶性)の関係に似ています。

フィトケミカルは、野菜や果物に多く含まれているので、意識して食べるといいかもです。

グルタチオン

食事とは別に、私達は体内で抗酸化物質を作ることができます。

グルタチオンは、体内で一番作られて、酸化ストレスから守り、さらに解毒をしてくれます。

解毒といえば、肝臓。

肝臓で解毒してくれるわけです。

ただ、グルタチオンが無くなってしまう時間はとても早いので、グルタチオンを補給するというのもいいですが、

その前駆体である、Nアセチルシステインとして補給するのも1つの手かと思います。

自分にグルタチオンが足りているかは、尿中有機酸検査でみることができます。

足りていない人は、抗酸化や解毒を意識することが必要になってきます。

尿中有機酸検査は、活性酸素でミトコンドリアが止まっていないかどうか、グルタチオンが足りているかどうかなど、多くの情報を教えてくれるので、おすすめです。

尿酸

え、痛風になるやつじゃないの?

と悪者にされる尿酸ですが、尿酸には活性酸素を消す働きがあって、尿酸が細胞の外にあると、善玉に働く可能性があります。

だいたい、血清尿酸値は5-6mg/dLぐらいです。

それよりも値が低いということは、抗酸化作用が弱いということになります。

ところが、細胞内において、尿酸は活性酸素の産生に関わっているという実験もあります(PMC2895915)。

細胞外では善玉、細胞内では悪玉という性質があるかも知れないということです。

尿酸が低すぎると、抗酸化作用が低く、尿酸が高すぎると、活性酸素の害になる可能性があるので、

低すぎても、高すぎてもあまり体に良くないのかもしれません。

ストレスとの関係はどうでしょうか。

マウスの実験では、ストレスにより、XORという尿酸と活性酸素を作る酵素が誘導されて、炎症がおきます。

尿酸が高い人は、ストレスが多いのかもしれません。

あなたの血液検査を見てみて、ストレスとの関係を考えてみてください。

ビリルビン

採血したりすると、ビリルビンという項目があります。

ビリルビンもまた、抗酸化作用をもつことが知られています。

酸化ストレスがあると、ヘムオキシゲナーゼ−1(HO-1)という酵素が誘導され、その結果、ビリルビンが生成されるわけです。

ビリルビンが高い方は、酸化ストレスが強くて、それを体が防御しているのかもしれません。

ビリルビンはさらに、直接ビリルビン(D.Bil)と間接ビリルビン(I.Bil)に分類されます。

酸化ストレスがあると、赤血球の細胞膜がこわれて、溶血という状態になります。

溶血になると、間接ビリルビンが上昇します。

分子栄養学では、間接ビリルビン>0.6 だと、酸化ストレスを受けていると判断します。

赤血球が壊れて溶血して、出てきたビリルビンは、それ自体が抗酸化作用を持つわけです。

尿酸もビリルビンも、老廃物でありますが、それが再利用されて抗酸化作用をもつと考えると、

生命って、本当にうまくできていると思います。

CoQ10

CoQ10は、脂溶性ですので、ビタミンEに似た抗酸化作用を持ちます。

CoQ10には2種類あって、酸化型と還元型に分けられます。

このうち、還元型のCoQ10が、抗酸化作用を持ちます。

CoQ10は、20歳代がピークで体の中で作られて、徐々に減少していき、40代では30%近く減少するといわれています。

ですので、CoQ10の減少が老化につながるとも考えられます。

もう一つ、重要な働きは、エネルギーを作るということです。

ミトコンドリアの電子伝達系というところで、電子を渡すのに必要です。

ですから、CoQ10が減少すれば、疲れやすくなることが予想されます。

CoQ10は、青魚、卵黄、肉類、豆腐などに多いです。

そして、、分子栄養学的に重要なのは、

脂質異常症で用いられるスタチンは、CoQ10合成を阻害してしまうので、注意です。

阻害されて一番困るのは、心臓ですので、心機能の低下が懸念されるわけです。

水素

水素には色々な作用があることがわかってきました。

抗炎症作用、抗アレルギー作用、新陳代謝を活性させる作用などの作用が動物実験で確かめられてきました。

今回の話題である、抗酸化作用もあります。

ほとんど副作用がないことから、脳梗塞、心筋梗塞、アレルギー、神経変性疾患、メタボなどの効果が期待されています。

エネルギーを作るためには、ミトコンドリアを動かす必要があります。

ミトコンドリアが動けば、活性酸素が発生します。

活性酸素は全部が悪者ではなく、精子の形成や傷の治癒などには必要で、

水素研究の第一人者である太田成男先生よると、「善玉活性酸素」と呼ばれます。

水素は、善玉活性酸素には直接反応せず、悪玉活性酸素にだけ直接反応して消去します。

水素は原子の始まりであり、一番小さい分子であるために、人間の細胞膜を自由に通過して、消化吸収の必要もなく、体の隅々まで行き渡ります。

小規模ながら人では、抗疲労、睡眠の質、メンタルヘルスの向上が認められたとのことで、とても有望ですね。

水素の色々な形

色んな形がありますね、水素吸入、水素水、水素サプリ、水素風呂などなど。

水素研究で第一人者である太田成男先生によると、水素が全然発生していないものがとても多いようです。

ペットボトルで売っている商品で水素が検出されたものはなかったそうです。

ちゃんと水素が出ていると仮定すると、水素は原子番号が一番小さいですから、どんな組織にも自由に出入りするので、あまり変わりがないようです。

ただ、脳に関して言うと、水素吸入は肺から吸収されて、脳に行きますが、水素水は、一度肺で一部が呼出されるために、水素吸入よりは低い濃度になります。

脳に効かせるなら、水素吸入が良いのではないでしょうか。

わかっていないことも多いですが、水素は活性酸素や抗疲労に有望です。

ケイ素

ケイ素については、エビデンスがとても少ない領域です。

私の話で恐縮なのですが、体調が超絶に悪かった時、1日に7~8回も下痢をしていて、しかもそれが普通だと思ってました。

電車に乗っていても、途中で下車するのも日常でした。

そんな腸内環境を一発で解決してくれたのが、ケイ素でした(個人の経験です)。

ケイ素は、骨粗鬆症の予防効果については、多くのエビデンスがあります。

その他には、抗酸化、デトックス、血管を強化、ミトコンドリアの強化、サーチュイン遺伝子をONにする、そして腸内環境を改善する、などが言われています。

腸管免疫の中心であるパイエル板において、ケイ素が重要であり、私の場合、その効果のおかげなのか、腸内環境が改善したとも考えられました。

ケイ素を多く含む食事としては、海藻類(寒天、ひじき、昆布など)、穀物、野菜などに多く含まれています。

サプリでは、吸収しやすくなっている水溶性ケイ素があり、実際デトックスの時に使用することで、副作用の軽減などが経験的に認められます。

メラトニンとケイ素

メラトニンは睡眠に大事なあれです。

メラトニンは、トリプトファンからセロトニンに合成された後に、マグネシウムやメチル基の働きによりメラトニンに変換されます。

なので、よく眠るためには、日中にセロトニンを出して、マグネシウムを補給しましょう。

メラトニンには、抗酸化作用があります。

ヒドロキシラジカルを消去能力はグルタチオンの5倍との報告もあります。

概日リズムを作るだけでなく、免疫を調整、記憶を良くしたり、骨の形成などの多彩な作用があることがわかってきました。

さて、メラトニンはどこで作られるかというと、脳の小指の先ぐらいの大きさの「松果体」です。

そして、松果体の主成分はケイ素と言われています(参考:「人類を救う珪素の力」)。

ということは、ケイ素を意識するということは、松果体を意識することになり、ひいては、睡眠や抗酸化に重要なメラトニンにつながるというわけです。

メラトニンは免疫調整があるため、流行りウイルスにも期待されていますね。

ケイ素は、酸素についで地球で多い元素ということもあり、重要なのもうなずけます。

女性ホルモン

女性ホルモンである、エストロゲンもまた、抗酸化作用をもっています。

活性酸素は、骨を壊す、破骨細胞という細胞を増やします。

エストロゲンは、酸化することをおさえて、さらにSODなどの抗酸化酵素を作り出して、骨が破壊されることを抑えます。

ネズミでは、卵巣をとってエストロゲンを作れなくすると、活性酸素が増えて動脈硬化がすすむことが報告されています。

まさに、エストロゲンは酸化ストレスから身を守るために重要な働きをしているというわけです。

女性の方が長生きであることがうなずけますね。

閉経後は、エストロゲンが減ってしまうために、骨がもろくなったり、動脈硬化がすすんでしまう原因ともなります。

ちなみに閉経後は、副腎から作られる男性ホルモンが変化してエストロゲンが作られるわけですので、ますます副腎ケアが必要になってきます。

ですので、閉経前後からは抗酸化物質を意識してとることも重要になってきますね。

αリポ酸

αリポ酸の働きは多彩です。

ブドウ糖から、エネルギーを作る時に、ピルビン酸をTCA回路内に入れるために必要です。

ですので、疲労回復がのぞめるというわけです。

硫黄を含んでいるので、有害金属とくっついて、デトックスしてくれます。

有害金属は、水銀や鉛、カドミウムやヒ素など、知らぬうちに入り込んで、エネルギーの代謝を阻害してしまいます。

自分に、有害金属が入り込んでいるかは、毛髪検査や、オリゴスキャンなどで測定することができます✨

有害金属が多ければ、αリポ酸を用いることも考慮に入るというわけですね。

そして、抗酸化作用についてです。

以前、ビタミンCとビタミンEは共同して抗酸化作用をしめすとお話しました。

抗酸化処理したビタミンCとビタミンEを、元にもどすためにもαリポ酸が使われます。

つまり、抗酸化作用も持つわけです。

エネルギーを作り、デトックスに使われ、抗酸化作用ももつ、マルチタレントなαリポ酸は、本来、体内で合成されますが、だんだんと減ってきてしまいます。

ほうれん草、トマト、ブロッコリーなど意識してみてもいいかもしれませんね。

(2)抗酸化酵素

SOD

いままで、体に有害な活性酸素を消す、抗酸化物質についてお話してきました。

もう一つ、体の中には、活性酸素を消すための、抗酸化酵素というものを作っていて、そのおかげで、活性酸素の中でも無事に生きていられるというわけです。

抗酸化酵素の1つにSOD(スーパーオキシドジスムターゼ)があって、スーパーオキサイドという活性酸素を、過酸化水素に変換するという重要な働きをしています。

SOD活性が高いほど、寿命が長いという報告があります(PMID: 1745074)。

SODには微量金属が含まれていて、銅・亜鉛・マンガン・鉄と一緒に働いています。

ミトコンドリアでエネルギーを作る時に、活性酸素が発生しますが、ミトコンドリアに存在する、Mn-SOD(マンガンを含んだSOD)で処理されます。

やっぱり、加齢にともなって、減少してきて、抗酸化力が低下することで、生活習慣病やがんなどの原因となるとも考えられています。

お肌の曲がり角を感じたら、抗酸化を意識したほうがよさそうですね。

セレン

以前、ビタミンCとビタミンEは共同して抗酸化機能をしめすので、一緒にとりましょう、とお話しました。

抗酸化作用に使ったビタミンEやビタミンCは、もとに戻す必要があります。

その時に活躍するのが、セレンです。

また、過酸化水素を水に戻すための酵素である、グルタチオンペルオキシダーゼには、セレンが必要です。

このようにセレンもまた、抗酸化システムに必要な微量元素となっています。

セレンは魚介類や穀物に多く含まれていて、日本人は食事から割と摂っているので、普通に食事を摂っている分には、そこまで意識はしなくても不足はしません。

もう一つ、セレンは抗がん作用があるので、注目されています。

やはり、偏りのない、バランスの良い食事というのが、重要になってくるわけです。

過酸化水素と過酸化脂質

体内で発生してしまう、最強の活性酸素は、ヒドロキシラジカルです。

体内でこれを直接処理できる酵素はないので、怖いです。

ヒドロキシラジカルは、過酸化水素が変化して、発生します。

ということは、過酸化水素の段階で、除去することが大事になってきます。

そのために活躍するのが、前回の、グルタチオンペルオキシダーゼであり、もう一つ、カタラーゼというものもあります。

また、過酸化脂質は、すごく酸化しやすい細胞膜が活性酸素によって発生してしまい、細胞の機能が低下してしまうことになります。

この過酸化脂質を処理するのが、グルタチオンペルオキシダーゼとともに、グルタチオンSトランスフェラーゼ というものです。

このように、人間には何重にも防御壁があるんですが、年とともに低下して、がんなどの原因になるために、

外から摂る抗酸化物質の、ビタミンE、ビタミンC、フィトケミカルを意識しましょう。

ケトン体と活性酸素

現代はやはり糖質過剰であることは間違いなく、それによりインスリン抵抗性が生まれて、さまざまな弊害が起きています。

そこで、糖質をなるべく控えることによって、体脂肪が分解されて、ケトン体となることを利用してのダイエットが流行っています。

その是非はともかくとして、このケトン体に活性酸素を抑える効果があります。

ケトン体は、3種類ありますが、そのうち、βヒドロキシ酪酸が主なエネルギー源となって、体内をめぐります。

これは、エピジェネティックという遺伝子発現の調節機能もあります。

βヒドロキシ酪酸は、FOXO3という転写因子を発現させて、前回までお話していた、SODやカタラーゼといった、抗酸化酵素を誘導して、活性酸素を消す方向にさせます(PMID:23223453)。

ちょっと難しい話になりましたが、糖質まみれの生活をしているなら、見直す機会になればと思います。

まとめ

エネルギーを作るには、ミトコンドリアがうまく働いていなければなりません。

活性酸素は、ミトコンドリアがエネルギーを作ることをしばしば阻害してしまうため、疲れの原因になります。

過剰な活性酸素を抑えるような栄養素をとることでミトコンドリア機能の向上がのぞめます。

最後に(免責)

本記事の内容は、医学的治療に置き換わるものではありません。個人的にお試しになり健康被害が生じても、当院では一切責任を負えませんのでご了承下さい。

病態の改善に必要な食事・サプリメントはひとりひとり異なります。

基本的に、主治医と相談しながら治療を進めていただければと思います。

参考文献

活性酸素から身体をまもる: 生活習慣病、その発症の仕組みと予防法  嵯峨井 勝 (著)

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